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裂けたチケット

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第二章

「いたんだよ」
「嘘だろ・・・・・・んっ?」
 ここでだ、川崎はふと自分の今の視界の端にあるものを見た、それはというと。
 チケットだった、彼はそのチケットが入った方を見てすぐに織部に言った。
「おい、チケットだぞ」
「何っ!?」
「ほらこれだよ」
 そのチケットを指差しての言葉だ。
「これな」
「えっ、さっきなかったぞ」
 織部はそのチケット、裂けたそれを見て目を丸くさせて声をあげた。
「何で今はあるんだ?」
「いや、そう言われてもな」
 川崎も驚いているのだ、何しろさっきまでなかったからだ。
 それでチケットを見る、やはりそれは裂けている。
 そしてだ、駅のホームの方、改札口の先を見ると。
 青い電車があった、二人はそれも見て言った。
「まさかな」
「ああ、さっきのゴム人間の話だけれどな」
「それか?」
「ゴム人間ってあの青い電車に乗って来たのか?」
「そうじゃないのか?この鉄道会社確かに青い電車も走らせてるけれどな」
 二人は鉄ヲタだ、このことは知っていた。
 だがそれでもだった、今見る青い電車は。
「形はな」
「ああ、この会社が今走らせるのだけれどな」
「それでも、まさかな」
「普通のじゃないのか?」
「ゴム人間がいたってことは」
 巷で噂になっている怪人、その正体が色々言われている人間のことを考えてだった。
 それでだ、こうも言うのだった。
「あの青い電車はな」
「異次元に行くやつか?」
「そうじゃないのか、やっぱりな」
「じゃああれに乗れば」
「行くのは異次元かよ」
 二人は話しているうちに次第にその顔が青くなっていった、そしてだった。
 織部はこの駅に行くまでの元気なぞ何処かに行ってしまっていた、それで青くなったその顔でこう川崎に言った。
「あれ、乗るか?」
「御前はどうするんだよ」
「ゴム人間の世界だぞ、乗ったらな」
「地獄でも何処でも行くんじゃないのか」
「馬鹿、地獄ならどういった場所かわかってるだろ」
 仏教の地獄だ、若しくはダンテの神曲にあるキリスト教世界の地獄だ。どちらにしても二人の知っている世界である。
 だが、だ。それでも異次元はだったのだ。
「そんな場所知らないからな」
「だよな、じゃあここは」
「おい、一旦この駅から出てな」
 そしてだとだ。織部は川崎に言う。
「あの電車がホームから消えてからな」
「この駅から出るんだな、いやそれでもな」
「駅の外はか」
「ゴム人間がいたんだろ」
 その正体不明の怪人がだというのだ。
「だから今はな」
「駅の外に出たらまずいか」
「そうだろ、だからな」
 それでだとだ、川崎は周囲をしきりに見回しながらも青い電車への警戒を忘れずに織部に言う、無論チケットも見ている。
「キオスクに入ってな」
「あそこか」
「あそこで時間を潰して青い電車が出てからな」
 それからだというのだ。 
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