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儚き運命の罪と罰

作者:望月
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第二話「交渉、そして模擬戦」

 
前書き
第二話です。

亀更新ですがどうかよろしくお願いします。テストで期間が開きすぎてしまった・・・!


12/5更新しました。 

 
『悪趣味』

リオンが自分を助けたであろう女の様子を見て思った感想を一言でまとめた言葉がこれだ。それに対して相方もそうだねと同意する。
カツカツと靴音をたてて女に近づく。

「貴様は何者だ。何故僕を助けた。」

およそ自分の命を救った恩人に対する態度と言葉とは言えなかった。ただ、助けてもらったからと言って先の女の行動...娘への虐待の様子を省みれば致し方ないとも言えた。

・・・もっともリオンの性格、と言うよりも口の悪さを考えるとその行動を見なくても同じ様に言った可能性が高いが。

「貴方こそ何者かしら?病人や怪我人はそれらしく暖かいベッドで黙ってぬくぬく過ごしているのが筋では無いかしらねぇ?」

そう言って先程フェイトに振るっていた鞭をリオンに振るう。

その判断はイレギュラーである少年に対する対応としては間違ってはいない。戦いになってもこの女...プレシア・テスタロッサは大魔道士と呼ばれるに足りる実力の持主である。そうそうそんじょそこいらの相手に遅れをとることは無いだろう。

ただプレシアにとって不幸だったのは、

相手が「そんじょそこいらにいるような少年」ではなく


「遅い...虎牙破斬(ごがはざん)!」


「天才剣士」「ソーディアンシャルティエのマスター」


リオン・マグナスであったことだ。



「な!?」

たったその剣技のみで鞭は真っ二つに斬り裂かれる。

否、正確に言うならばその剣技は斬り上げ斬り下げの二段の斬撃からなる技で、
鞭を両断したその後の一撃を当たる寸前で止め、

「もう一度聞く。何故僕を助けた。」

「答えた方が、貴方の身のためですよ。」

リオンはプレシアの喉元にシャルティエをつきつけながら問う。
シャルティエもどうせ聞こえないだろうと思いつつも自分のマスターに合わせて軽口でもたたくような口調で女に話す様言った。

一つ彼等にとって予想外だったのは

「話す剣...インテリジェントデバイス...!」

と苦々しい顔で女が言ったことだった。どうやらこの女にもソーディアンマスターの資質があるらしい。

(随分ソーディアンマスターの資質を持ってる人が多いですね・・・)

シャルティエがこの時自分が何も失言をしていないことにホッとしたのはまた別の話である。

(またそのインテリジェントデバイスか...この辺りでのソーディアンの呼び方かなんかか?)

リオンはリオンで少し考えていた、がそれでいて目の前の女から注意を逸らす様な愚かなことはしない、いずれにせよ聞くことができるだろうと予想できるのでこの上ない判断といえる。

「答えろ。」

「・・・聞かれて答える義理が私にあるとでも?」

その言葉の後、シャルティエがさらに女の喉元に近づいた

「さもなくば...斬る!」

殺気がその目にこもった。

「やめろ!」

そういってフェイトを介抱していたアルフが身構える。
・・・鬼ババァは大嫌いだけど、それじゃあフェイトが...!

そう思ったが故の言動だった。

無論リオンにその言葉に耳を傾けてやる義理も無い。チラッとだけみて皮肉をこめた笑みで返すのみで向き直る。


・・・その一瞬が僅かな隙を生んだ。

「サンダーレイジ!」

女が電撃をリオンに向けて放った。リオンに反応できない筈もなく難なく避ける




・・・それでも距離をとられるには十分な時間を与えてしまったことに変わりは無い。

「チッ...小癪な...」

先程までの余裕に満ちた顔から180度変わって苦々しい顔になる。さっきいとも簡単に追い詰められたのは女に油断があったからと言うことをわからないリオンではない

「私からも聞きたいわね...貴方は何者?一体なぜジュエルシードからでてきたの?」

プレシアにはもう余裕の欠片もなかった。・・・勿論内心での話だが。
実際にはプレシアは病に犯されていて戦いができるような状態では到底無かった。
心のうちに隠しながらリオンに問う。

無論リオンとしては

「ジュエルシードだと?僕はそんなもの知らない所か見たことも聞いたこともないな。」

知っていても話すことは無いだろうが、と心の中で吐き捨てる

「あら?知らないなんてことが通ると思っているのかしら?」

「ああ、通るな...と言いたい所だが。」

そこでリオンは言葉を切ってシャルティエをおろす。

「僕とて、貴様に聞きたいことが山のようにある。貴様がその疑問に答えてくれるというのならわかる範囲内でなら話してやらんことも無い。」

ただし一問一答形式だがな、と後につけた。

「・・・良いわよ。」

それを聞いたリオンはさっきおろしたシャルティエを鞘に納めた。

満足気なリオンに対しプレシアは内心ため息をついていた。
先の剣技に扉を粉砕した未知の魔法...アルフと違ってデモンズランスを直接その眼で見たわけでは無いが危険と判断するには充分すぎることだった。

(・・・今まともに戦えば負ける...いや全盛期だった頃でもわからない...となれば戦わずに話を聞くのが得策ね。)

そうプレシアは考えた。賢明な判断だった。



「まずは僕から聞かせてもらおうか。なぜ僕を助けた。」

プレシアがアルフを追い出したあと、二人の談話は始まった。

「聞きたいことがあったのよ。」

ジュエルシードからでてきた訳を、そしてそれがプレシアにとっての最初の質問となった。

「一体どうしてジュエルシードからでてきたのかしら?」

そう尋ねながら内心首を捻っていた。

(そんなこと当の本人に解るはずも無いのに・・・何故そんなことを聞いているのかしら私は。)

「だからさっきもそんな物のことなど知らないと言っただろう。」

「貴方は...」

「一問一答だということをもう忘れたか?僕にも質問させてほしいものだがな。」

思わずプレシアは顔を歪めた。頭の中はこのあまりにも無駄な問答にどうやって終止符を打つかのみだった。

(違う世界のことなど多分知りもしない男にどうやってそれを説明するか...管理局でもない私がなぜそんなことを考えなければならないのかしら?)

幸運なことにこの世界単位の迷子はとても聡明だった。

・・・それでその地球という星の海鳴という町にその願いをかなえるジュエルシードとやらが散らばっていて貴様はさっきのあのフェイトと言う娘に集めさせているわけか。」

最初気でも狂ったか、と思っていたリオンだったが自分の知っている技術がこれに比べたらゴミ屑としか言いようがないような「技術」を目の当たりにして納得した・・・完全に信じたわけでもないしプレシアも全てを見せたわけでは無いが。


「ええ、その認識で正しいわよ。」

大まかな話しか聞いていないとは言えリオンはこの女にあの男・・・ヒューゴと同じ臭いを感じた。

フェイトに対する扱い、認識。

人質がいるかいないかの違いを除けばヒューゴとリオンの関係にそっくりだった。
それを気に食わないリオンでは無論ない。

「フン、全くもって馬鹿馬鹿しいとしか言いようが無いな。」

「なんですって、貴方に何がわかると言うの!」

キッとリオンを睨み付けた。

それを彼は涼しく受け流して。

「僕を雇え。そのほうがはるかに効率も増すだろう。」

そう言った

「それは私に今日はじめて話すどころかいきなり斬り付けて来る相手を信用しろと言うことかしら?無茶を言わないで欲しいわね。」

「僕はそのジュエルシードとやらに興味は無い。・・・僕だって虐待を行うような女を信用したいとは思わない。だが、その方がお前も僕も互いに手綱を握り合えて好都合だろう。」


少し考え込んでプレシアは

「いいわ、そのかわり条件がある。」

「条件?」

「ええ、そうよ。貴方が雇うにたる実力があるか否か示してもらえれば文句は無いわ。」

「安いな、いいだろう。どうすればいい?」

「簡単なことよ...」


「行くぞシャル。」

「了解です。坊ちゃん。」

鞘から抜き放ち静かに構える。

「覚悟はいいな・・・フェイト・テスタロッサ!」

実に簡単な条件だった。『本当にリオンを雇ったほうが効率がいいかどうか』それを示せるか否かだった。
フェイトの使い魔であるアルフはこの模擬戦に難色を示したが

「ヒール」

シャルティエの晶術の一つを見ると、それを戦闘後にも使うことを条件に納得した。

「バルディッシュ、セットアップ。」

少女も得物を構えた。それと同時に死神を連想させる様な黒き鎧である服、バリアジャケットを身に纏った。







静寂が戦場を満たしていく...

先に動いたのはフェイトだった。

「フォトン・ランサー」

彼女の髪と同じ金色の槍がリオンに襲い掛かる。

それを横に跳んでよけて


魔神剣(まじんけん)!」


一発の地を素早く駆ける斬撃で返す、戦う二人にとって名刺代わりとなる初撃の打ち合いだった
その名刺交換でリオンにとって予想外だったのは縦に跳んで回避した事だ。リオンは訝った、上に跳んで回避するのは着地する時に隙を生むため良策ではない、一瞬素人なのかとも思ったが、あの性悪がそんな事をするのは不自然だ...そう思っていると予想を超えた行動に出てきた。
なんとそのまま水平に移動して斜め上から斬激を加えてきたのだ。

「なにっ!?」

あたる直前で右手の短刀で何とか防いだ...防がれた事を見て取ったフェイトは更に高度を上げて魔法を練り上げた。

「サンダー・スマッシャー!」

サンダースマッシャーを走って回避しながら顔をしかめる。
彼女にとって飛行はさして苦労してするものではないらしい、そしてさっきのフォトンランサーに今のサンダー・スマッシャーといい遠距離攻撃もある。これが何を意味するのかと言うと彼女を何とか地上に落とすかリオンも飛び上がるかしないとただ狙い打たれるだけと言う事になる。彼女の飛行に何らかの制限はあるかもしれないがそれが何なのかわからない以上それに期待する事はできない。
いっそのこと僕たちも飛んじゃいます?と冗談交じりにシャルティエは言った。言葉通り擬似的ならあの空にいるフェイトと同等の速さで空中を駆けることはリオンにも決して不可能ではなかったが

「それは奥の手だ。…シャル、やるぞ。」

「わかってますよ坊ちゃん。」

ソーディアンマスターの真骨頂はマスターとソーディアンのコンビネーションだ。二人は口を合わせ放つ。
そのタイミングはまるで双子であるかのように完璧だった。

「「エア・プレッシャー!!」」

そう唱えた瞬間、茶色に輝く魔方陣のようなものが現れた。

(結界系の魔法...?なら脱出するまで)

そう思って円状に広がるその中から横に跳ぶことで脱出を計った...その時ガクンとなって思い切り地面に引っ張られる感触があった。

「グッ!?」

その力の凄まじさに逆らう事もままならずリオンとシャルティエの思惑通り地に足を着けることになった。しまったとは思っても後の祭りだ。リオンが剣と話していたのを見て何をするのかと様子を見てしまったのがまずかったのかーと言うことを考えながらシャルティエを構えて凄まじい速度で突っ込んでくるリオンを見た。
速い、そう感じたのは初めてのことだった。フェイト自身素早さには絶対の自信がある。並大抵の魔道士なら追い抜かれる事はまずもってない。だがそんなフェイトをして少年の素早さは尋常ではないと認めた。

(でも...!)

フェイトにだって接近戦の心得が無い訳ではない。いやそれどころか彼女の使うミッドチルダ式の魔道士としては極めて稀な接近戦特化の魔道士だった。彼女はリオンにそれを挑まなかったのは彼の得物が剣だったからであって、もし他の...杖とかなら普通に接近戦を挑んだだろう。

「はぁっ!」

「せいっ!」

ガキィンという無機質な音を立てて剣と鎌はぶつかり合った。
だがその時には既にフェイトはそれが失策だと気付いていた。リオンは両手の剣を器用に時計の針のように回転させフェイトの武器...バルディッシュをまるで吸い寄せるようにしてその回転の中に巻き込んだ。

「あっー」

自分の手から離れていくバルディッシュに思わず手を伸ばした...

「遅い...崩龍残光剣(ほうりゅうざんこうけん)!」

それを聞いたのを最後にフェイトは意識を失った。


「満足したか?プレシア・テスタロッサ。」

「そうね、貴方を雇うわ。」

あの後約束に従ってフェイトに『ヒール』をかけてプレシアに話を聞きにいった。

ほぼ無傷で勝ったのだからプレシアに文句があるはずも無いが

「それでいくら払えばいいのかしら?」

「衣食住を提供しろ。」

つまるところリオンが一番困っていたのはそこだった。
予想通りの答えをプレシアも納得して聞き入れ、

「これが貴方の住む部屋の鍵よ。そしてこれが地図。」

「礼を言う。」

そこまではリオンにとってなんら不安はなかった。
どうやら地球に住むことになったらしいがこの陰鬱な雰囲気のする『時の庭園』よりは遥かにいい、そう思った。

「坊ちゃん、これで宿無しは防げそうですね。」

「その言い方は止めろ。まあ確かにな、おそらく世界が違えば通貨もガルドではない可能性も高いからな。」

実際地球に降り立って思ったことは恐ろしく町が開発されていることだ、これでは野宿もできまい。そういった意味であの要求を(快くとはお世辞にもいえないが)プレシアが受け入れてくれたことはリオンにとって幸運だった。


「ここか。」

「みたいですね。」

リオンはあるマンションの前についた。ここをプレシアから指定されていた。


「入りますか。」

「ああ。」


短いやり取りを相方と交わしてそのマンションの一室にプレシアからもらった鍵を使ってはいる。
そこには・・・


「ふぇ?」

「は?」

先程模擬戦をした相手がいた

それだけならまだ良かったのだろう。


彼女は風呂上りだった。


「え何で貴方が...ってきゃああああああああああああああ!!!!!!!!!」

バッシイイイイイイン!

「ガハァッ!」

リオンの頬に時期外れの紅葉がついた。
(なぜこれだけの攻撃をさっきの模擬戦でしてこなかったんだ...!) 
 

 
後書き
リオンはプレシアから大事なことは殆ど聞いていません。クローンとかクローンとか。まあ逆も然りですが。

それ故に誤解してフェイトを自分に重ねます。 
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