リトルバスターズ!~始まった世界~
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少年達の奮闘編
第六話 推理
時は最後の世界、理樹が恭介を救い出したすぐ後まで巻き戻る。
~side恭介~
「なんだよ恭介、今更呼び出して」
「全くだ、最後ぐらい五人で遊ぼうじゃないか」
俺は真人と謙吾を呼び出した。
「聞いてくれ二人共。いきなりで悪いが時間がない。手短にいかせてもらうぞ」
俺は言葉を選び、話し始めた。
「一人だけ、死んだ奴を生き返らせる可能性がある、と言ったら信じるか?」
俺の言葉を聞き終わらない内に謙吾の顔色が変わった。昔から根は一番単純だったもんな。
「茶番・・・茶番だな。俺を愚弄するつもりか。散々俺たちを弄んでおいて今度はなんだ。死んだ人が生き返る?そんなことあるはずないだろ」
「待て謙吾」
真人が口を開いた。お前は馬鹿だが物事の本質を常に見抜いている。その点は称賛に値するぜ。
「・・・話してみろ」
「オーケー。まずは虚構世界の実態の推理から話す。
この世界は現実とは時間軸が根本的にずれている異世界だ。現実での時間軸は無視できる」
「待て恭介」
案の定謙吾が口を挟んだ。
「俺の推理を聞いてからにしてくれ。この世界は恐らくいくつもある強い思いの世界の一つだ。それ故に外部から干渉することは出来ない。普通はな」
「普通というと例外があるのか?恭介よう」
「ああ。一つはこの世界と完璧に同調した時。実際それで入ってきた朱鷲戸という奴がいるからな。そいつは明らかに高校生ではなく、俺たちが世界を作る前に死んでいた。生きていたら学年はお前らと同じだろうがな。
もう一つは、対象の人物にとって大切なものと同調した場合。これは能美がテヴァにいた時に日本にいた理樹が歯車を飛ばした奇跡で証明できる」
「あれは恭介がマスターの権限を使って起こしたものではないのか?」
「いや、俺は理樹を成長させたかったし能美のトラウマを早く乗り超えて鈴のほうに行ってほしかったからそれはない。実際俺が権限を使えば能美にはわかるはずだからな。
さらにこの件に関しては二木が虚構世界に入ってきたことで証明することもできる。ここに入らなかった奴らは全てここに入った奴らの記憶から引き出してNPC化させていたのに途中から操作が効かなくなった。恐らく三枝とお揃いの髪飾りにかけた思いが三枝と反応したのだろう」
「で、この世界と最初の言葉になんの関係があるというんだ?」
「それは、この世界が現実のどの時間軸から外れていて、逆にあらゆる時間軸にもアクセスできるという点だ。さっき話した二つの例外を考えて見てくれ。前者ではどの時間軸にも存在せず、あらゆる時間軸にアクセスできることがわかる。そして後者、大切なものへの思い。これがあればどの時間軸にも行ける。大まかに言うとこんな感じだが」
「証拠はあるのか」
「もちろん。この世界、俺には生気がなかっただろ?」
「ああ」
「この世界で俺は一つの賭けをしていた。この虚構世界から現実に戻り、バスの腹に開いた燃料タンクの穴を塞ぐために這い続けたんだ。何回も力尽き、意識を失った。目を覚ますとそこは虚構世界って具合だ。で、また現実に戻る。すると体が最初に倒れた場所に戻っているんだよ。これが前者の証拠だ」
「嘘をついている可能性は?」
謙吾、お前本当は俺の言葉が正しいってわかってるんだろ?あまのじゃくなやつだな。
「俺は理樹と鈴の成長を見届けた。嘘をつくメリットがない。話を続けていいか?」
「・・・ああ」
「つぎは後者の証拠の説明だ。これも俺の体験になる。さっきの続きだな。俺は同じ行為を繰り返した結果、ついに体で穴を塞ぐことに成功した。しかし、ここで力尽きればまたスタート地点に戻される。だから俺は自分の体を傷つけ、そこがスタートになるように自分の体に思いを懸けた。その結果、自分の体と虚構世界の抜け殻の体が反応してここに戻ってくることができた。異論は?」
「「ない」」
「じゃあまず謙吾に聞く。助けたい奴が一人、いるよな?」
「・・・古式」
「オーケー。古式にまつわる大切なものは?」
「・・・彼女の葬式の時に親御さんからもらい受けた眼帯がある」
「十分だ。これから理樹達と遊び、頃合いを見計らって合図を出す。自分の体が消える時に思いを込めろ。それでいける。無事到着したらその時点での謙吾に意識が上書きされるはずだ。そして真人、お前には?」
「いや。いねえよ」
「なら、消えた後も出来る限り世界を支えてくれないか。俺も一人、お節介で助けたい奴がいるからな」
「へっ、日常を支え続けるのが俺の役割だっただろう?それを筋肉で引き継ぐだけさ」
「感謝する、真人」
俺は二人の顔を順に見てから再び口を開く。
「このミッション、失敗は許されない。もう世界はもたないからな。各自、一発で決めて見せろ!
俺たちは死ぬだろうがせめて目標は生かしてやれ!ミッション名はエンドオブリフレイン!」
「「「ミッションスタート!」」」
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