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悲しみのヴァージンロード

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第二章


第二章

 俺はそのアジア系の女の子達も見て。シニカルに呟いた。
「チャイニーズかジャパニーズか?」
「まあどっちもだろうな」
「切れ長の目の娘もいるし小柄な娘もいるしな」
 何となくアジア系の違いもわかってきていた。目が切れ長なのがチャイニーズで小柄なのがジャパニーズ、これも偏見かも知れないがわかってきていた。
 アジア系は俺のイメージじゃちょっと金持ちになると背伸びをする。特にジャパニーズはそんな感じに思っていた。西海岸じゃ戦争の時に収容所にぶち込まれたって話も聞いたことがある。俺はその話についてはふざけた話だと思ってジャパニーズに同情はしている。
 けれど同情はするがそこまでやられてそれでもアメリカの上層社会に入ってやっていきたいっていうジャパニーズの気持ちは理解できない。何か悲しいものをそこに感じるだけだ。
 とにかくだ。俺は。
 俺達の服装も見て。完全にこのパーティーは失敗だと思った。
 俺達は普段着みたいなものだ。かろうじてブレザーを着ている位だ。ネクタイなんて誰も締めてはいない。これが俺達のいつものパーティーのスタイルだ。
 それに対して相手はドレスだ。お話にもならない。
 それで俺は仲間達にまた言った。
「何だよ、これ」
「何だって?」
「やっぱり嫌か」
「こんな気取ったパーティーして何になるんだよ」
 俺は憮然とした顔で言ってやった。
「ったくよ、下らねえな」
「何か向こうから頼んできたんだよ」
「ここでパーティーして欲しいってな」
「俺達の学校でな」
「じゃああれかよ」
 俺はさらに言ってやった。うんざりとした口調で。
「シルクのドレスを着たお嬢様達にフライドチキンやハンバーガーで」
「それでビールな」
「あと精々餃子とかな」
 そうしたチープな食いものしかない。後はタコスなり豚の耳なり。ピザもあるがだどれもこれも安い食いものばかりだ。俺達のいつも食ってるのはそうしたものばかりだ。
 それを話に出してだ。俺は仲間達にさらに言った。
「何処をどうやったらこんな馬鹿な話になるんだよ」
「だから向こうから頼んできたんだって」
「俺達の学校で俺達のパーティーをして欲しいってな」
「そうな」
「下らねえな」
 俺はまた言ってやった。
「そんなことをしてもな」
「庶民の味はお嬢様に合わないっていうんだな」
「雰囲気も」
「そうだよ。その通りだよ」 
 まさにそうだというのだ。
「向こうから言ってもふざけたことするなよ」
「まあそう言うなって」
「とにかく飲んで食って楽しもうぜ」
「折角のパーティーだからな」
「ふん、勝手にしろ」
 俺は不満を思いきり出して言ってやった。
「シルクのお嬢様達とディスコのダンスでも踊ってな」
「ああ、音楽はそれだぜ」
「それにしてるからな」
 実際にそれだとだ。馬鹿な返事はまただった。
「プレスリーなんてどうだ?」
「ジャクソンファイブとかな」
「だから勝手にしろ」
 このふざけた展開がとにかく納得できなくて。俺はふてくされてビールを飲んでハンバーガーだのタコスだのを食いはじめた。
 とにかく機嫌が悪くてだ。どかどかやってやった。
 そんな俺にだ。不意にだ。
 仲間の一人がだ。声をかけてきた。
「なあ」
「何だ?今の俺はストレスの塊なんだけれどな」
「それで食ってストレスを発散させてるってのか」
「ああ、そうだよ」
 まさにその通りだ。とにかく飲んで食ってウサを晴らしにかかっていた。
 その俺にだ。そいつは声を掛けてきた。それに対して。
 俺はまた言ってやった。
「それで何だよ」
「何だって言われてもな」
「用があるから声をかけてきたんだよな」
「ああ、それはな」
 その通りだと言ってきた。それでだった。
 
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