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ISー電王の名を継ぐ者

作者:林檎
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VS代表候補生編
  TIME1 出会いと始まり

3月3日 とあるマンション

「ふぁ~あ……もう10時かよ……。今日は姉さんのカフェ休みだしあっちのカフェで本読むか。あそこ、まだ読んでない本有ったしな」

いきなり寝起きで悪いが俺は野上涼河(のがみりょうが)。普通の高校生……にはまだなってないけどもうすぐ高校生だ。
休日は基本、カフェに行ってコーヒーとか飲みながら自分の本はもちろん、その店にある古い本とかを読む事を日課にしてる。
もちろん、友達とも遊んだりはする。よく間違われるが決して根暗なんかじゃない。


「よし、行くか」

俺は服を着替えて愛用のウェストポーチに本を入れて自分の住むマンションを出た。

現在 3月3日 時刻 10時20分






話は変わるが俺には姉がいる。
名前は静那(しずな)
これがまた変わった姉で世界最強のIS操縦者とそのISを作り上げた天才科学者と友達という物凄い人脈を持った人だ。

今言ったISとは正式名称「インフィニット・ストラトス」。
宇宙空間での活動を想定し、開発されたマルチフォーム・スーツだ。
ISは核となるコアと腕や脚などの部分的な装甲であるISアーマーから形成されており、その攻撃力、防御力、機動力は非常に高く正に究極の機動兵器。
そんな男なら一度は乗りたくなるようなガン○ムみたいな代物だが、生憎それは女性にしか扱えない。

だが最近、ISを使える男が現れて世界中でそれが騒がれている。
名前は確か……織斑一夏。
さっき言った世界最強のIS操縦者の弟らしい。
姉弟揃ってご立派だ。

え?なんでこんなに知ってるのかって?
実は一時期ISについて気になり図書館でひたすら読み漁ったからだ。

話を戻すが姉さんは一人で『クリームドリップ』というカフェを経営している。
そしてそのカフェの二階に姉さんの家があるのだが、生憎リビング以外部屋が一つしかない。
小学生までは一緒に暮らしていたが中学生になる時に引っ越して今は別々に暮らしている。

「にしても今日はやけに砂っ気が多いな。天変地異の前触れか?まぁいっか、着いたし」

今回俺が来たのはカフェ『ミルクディッパー』。
このカフェは俺と同じ姓の野上愛理(のがみあいり)という人が経営している星をテーマにしたライブラリーカフェで星関係の本が沢山置いてあり中には見たことの無いような古い本がおいて有ったりする。
もうほとんど読んだが、後一冊だけ読めていない本が有る。
まぁそれはさておき、なんといってもここはコーヒーが凄く美味い。
前にどう作っているかを愛理さんに聞いたが秘密ですと言われて教えてくれなかった。

「こんにちは」

ドアに付いた鈴の音と共に俺は扉を開けた。

「あら、涼河君。いらっしゃ~い♪」

愛理さんはいつも通り笑顔で迎えてくれた。相変わらず綺麗な人だ。

「愛理さん、コーヒーを一つお願いします」

「かしこまりました~」

軽い足取りで愛理さんはコーヒーを作りに行った。

その時、五つの光る球が扉の隙間から涼河の身体に入り込みズボンの裾から大量の砂が溢れた。

現在 3月3日 時刻 10時40分






常連の尾崎さんと三浦さんの二人を筆頭に騒がしくなってきたのを聞き流しながら本を読んでいると、ベルを鳴らしながら店の扉が開き1人の青年が入って来た。

「姉さん遅れてごめん。あ、涼河君。来てたんだ。いらっしゃい」

「ん?あ、良太郎さん。お邪魔してます。……………てか今日はどんな不幸に遭ったんですか?」

この人は野上良太郎さん(のがみりょうたろう)。この店のオーナーである愛理さんの弟でよく手伝いに来ている。そして言いたくは無いが良太郎さんは……

「良ちゃん、今日は何?マンホールに落ちた?それともこの間みたいに三輪車に撥ねられちゃった?」

今愛理さんの言った事は決して比喩ではなく本当にあった事である。
まぁ、いまさら言わずとも分かると思うが良太郎さんは非常に運が悪いなのだ。

俺も前、たまたま良太郎さんを見かけ話しかけようとしたら自転車に乗っていた良太郎さんの上を通り過ぎた大量のカラスに糞を落とされ、全てに当たるという離れ技をしていた。
決して出来たいとは思わないが……。

今日も服のあちこちが汚れていた。

「いや~、良太郎君の運の悪さはギネス級ですね」

尾崎さんが良太郎さんについた砂をはらいながらそんな事を言う。

「あ、不味い。持ってきちゃった」

良太郎さんがポケットから代わった黒いパス(?)の様な物を出して焦っていた。
店を出て行こうとしていたので慌てて引き止める。

「ちょっ!良太郎さん。怪我してるんですから休んでて下さい。これは俺が持ってきますから」

そう言って、良太郎さんからパスを取った。

「いや、涼河君。悪いよ」

「怪我人は休んでて下さい。大丈夫です、ちゃんと交番に届けますから」

そう言って俺はコーヒー代の金を置いて店を出た。

そして俺は後で後悔する事になる。なんで俺は大人しく店でコーヒーを飲んで本を読んでいなかったのかと……。

現在 3月3日 時刻 11時40分





俺は今交番へ向かって歩いている。無論、あのパスを届けるためだ。

「早く届けないと落とした人困るだろうな。でもこのパス、変わった形だよな。オーダーメイドか?まぁ、いい。走るか」

そう思い、走ろうとした時だった。
俺の後ろから電車の走る音が聞こえてくる。
まさかな、此処は道路。電車が走るわけがない。
そう思ったのも束の間、俺の横を電車が通った。
その中から1人女性が出てくる。

「う……うわぁぁぁぁぁ!」

とりあえず俺は全力で走る。
まぁ、電車に敵う筈もなくすぐに追いつかれた。

「ねぇ、返して!持ってるよね、黒いパス!それ凄い大切な物なの!」

「あんたみたいな怪しい人に預かり物を渡せるか!大体、なんで俺が持ってんの知ってんだよ!」

俺は角を曲がり電車から逃げた。

「待ってよ~!」

だが、その時女性は見た。走る涼河の体から砂が舞っていた所を。

「えっ、まさか……」

現在 3月3日 時刻 11時52分





「はぁ…はぁ…。ったく、何なんだよ」

変な電車には追いかけられるし、パス返せとか言われるし。あんなあからさまに怪しい人に渡せるかってんだ。

「くそっ!」

落ちていた缶を適当に蹴るとそれが運悪く人に当たった。

「あっ……すいま…せ…ん」

何だ?何で身体から砂が零れてんだ?それに目付きも悪い。まるでなんかに乗り移られてるみたいだ。
その人は俺のウェストポーチについた鈴を見た瞬間に目を見開き

「返せ……」

「は?」

「返せ…。返せ……!」

そして身体から砂が溢れ出しその砂から一体の怪物が生まれた。

「何だよ……それ…」

変な電車の次は怪物かよ。一体何がどうなってんだ?

「とりあえず今俺の為すべきことは……」

素早くクラウチングスタートの体勢を取り全力で走りだす。

「待て」

後ろから超音波の様な攻撃をされ俺は吹っ飛ばされた。

「うわぁぁ!」

地面を転がる俺。そして追い討ちを掛ける様に後ろから怪物が飛んでくる。

「ちょっ!?離せ!」

なんと怪物は俺を抱えて空を飛び出した。
更に空から廃工場の屋根に落とされた。
屋根が抜けたが、運良く積まれたダンボールの上に落ちた。
にしたってめちゃくちゃ痛い……。

「ったく、何だってんだ!」

叫んだ瞬間、俺の身体から砂が溢れ出しその砂が5体の砂の怪物に変わった。

「今度は何だよ…お前ら……」

「俺等か?俺等はイマジ…「はいはい、ちょっと黙っててね。それ、ストレートに言い過ぎだよ」あぁ!うるせぇぞてめえ!」

見た感じ鬼みたいな奴と亀みたいな奴が口喧嘩している。

「えー、それでは、私から決まり事を言わせて貰おう。お前の望みを言え。どんな望みも叶えてやる。お前の払う代償はたった一つだ」

もう一体の鬼みたいな奴が丁寧に説明した。
てか、望みを叶えるってなんだ?
俺的には代償の方が気になるんだが……。

「おい、お前。そんなんいきなり言われても分からんで?」

「そうだよ~。それよりこの状態嫌だから早くお願い聞きたいんだけど。早く言ってね、答えは聞いてない!」

「聞けよ!」

熊みたいな奴と龍みたいな奴の会話に今出来る最高のツッコミを入れた。心境的にこれが限界だ。

「とりあえず、悪霊退散」

「誰が悪霊だこのヤロウ!」

口の悪い方の鬼みたいな奴が砂のまま、突っ込んで来たので蹴り飛ばす。
それは一瞬で砂になって消えた、と思いきやまた砂が寄り集まって復活しやがった。

「てめえ!いきなり蹴る事ねぇだろうが!」

「チッ……しぶとい奴め」

「そいつらは悪霊なんかじゃないよ」

「ん?あんた、電車の……」

そう。電車で俺を追い掛けてきた謎の女がそこにいた。

「それにしても、まさかイマジンを五体も入れといて普通にしてれるなんてね。全く、なんで気づかなかったんだろ?君が特別な存在、『特異点』だって」

「は?特異……?」

俺の疑問は無視して女性は砂の方を見る。

「それにしても五体ものイマジンに選ばれるなんて……あんた達、まさか……彼に狙って入ったなんて言わないわよね?」

その質問に亀みたいなやつが前に出た。

「ここは僕が。で、綺麗なお姉さん?僕等が彼に狙って入ったかだったよね?……そう僕等は彼に狙って入った。僕等のまぁ、ある意味ボスに釣られない為にね」

「釣られない為?どういう意味よ?」

「簡単な事だよ。彼はあの『電王』に選ばれる資格があるからさ。そう、特異点であるという条件を持つ彼にね」

「なんであんた達が電王の事を……」

「さっき言ったボスがちょっとだけ言ってたんだよ。電王について、少しだけね」

「まぁ要するに、俺達はイマジンと戦う為に来たんだよ。あの野郎が気に食わねえと思ってるやつを集めてな」

最後を馬鹿な鬼の方のやつが締めくくった。

「って、ちょっと待ってくれ。全然意味が分かんねえ!電王?イマジン?何だよそれ!?」


その質問を遮る様に、あのコウモリが空から降りてきた。

「なるほど特異点か……ならば潰すしかないな…!」

そう言って飛んでくるが

「フンッ!」

飛んできたそいつを俺は思い切り蹴った。

「ぐぉっ……!」

蹴られたコウモリが地面を転がる。

「「「「「………は?」」」」」

「わ~!君すごい!」

なんか拍手して喜んでる一匹とか周りのやつ等が唖然としてるのは無視だ、今はそれより

「さっきの質問に応えろ。イマジンんてのはあのコウモリだろ?じゃあ電王ってなんだ?」

「ちょっと待って。イマジンを電王も無しに蹴りで吹っ飛ばすって……ありえない」

「よくも!」

コウモリがさっきの超音波をこっちに放つ。俺たちはもろに喰らった。
砂のイマジン達は全員砕け散る。

「ねぇ、あのパス!持ってるよね?」

「痛ってて……え?あぁ、これか?」

俺はポケットからあの黒いパスを出した。

「そう、それを使って!変身するの!」

そして、あのコウモリイマジンを指差し

「あいつと戦うの!」

「どうやって『変身』するんだよ!」

そういうと、俺の腹部にベルトが現れた。

「なんだこれ?」

「………もう!」

女の人がベルトを嵌めてくれた。

「あ、ありがと。で、どうするんだよ?」

そう言って振り向いた時、偶々俺の持ってたパスがベルトにタッチした。
そしてベルトが輝きだし俺の身体に電車のレールの様ななんとも無機質なアーマーが装着された。

「…………で?」

なるほど、これが電王ね。
でも変身は出来たみたいだけどあんま状況変わってないぞ?
そう考えている矢先に、またコウモリイマジンが飛んできた。

「またかよ!」

『おい、俺等に変われ!』

攻撃を避けた時、馬鹿鬼の声がどこからか聞こえてきた。

「変われってどうやって!」

『知るか!』

「知らねぇなら黙ってろよ!」

「ベルトのボタンを押して!」

女の人が物陰から叫んだ。

「ボタン?ボタンボタン……これか!」

俺は1番上にある赤いボタンを押して、パスをベルトにタッチした。

『sword fome』

宙にアーマーが浮き、俺に装着される。

「フッ……俺、参上!」 
 

 
後書き
と、いうわけで第一話でした。

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