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デュエルペット☆ピース!

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デュエルペット☆ピース! 第4話「SIN」(後編)

 
前書き
Pixivにも同じ名義、タイトルで連載しています。試験投稿中。 

 
                     *     *     *


 少年が眼を開けると、再びアパートの中であった。夕焼けが照り映えていた先程とは違い、時刻は真夜中。窓の外は何もない闇。蛍光灯の熱を欠いたような光が、中途半端に室内を照らしている。
 次は一体何を見せられるのか―――アズの元へたどり着くための糸口すら一向に見いだせない現状に、少年が焦燥を覚えたその瞬間、怒号が飛んだ。

『敬語を強要するなんて、すぐやめさせて!』
『うるさい! 躾なんだ! 口出しするな!』
『何言ってるの! 自分じゃ戻せなくなってるのよ!? いいわけないでしょう!』

 父と母が激しく言い争っている。母の後ろに隠れるようにして、不安げな瞳のアズが、両親を見上げている。不幸にも、その姿が父親の眼にとまってしまう。

『お前のことだぞ! ちゃんと聞かんか!』

 父はアズの頭を掴むと、母の影から引きずり出し、そのまま力任せに放り投げた。突然のことに満足に反応できなかったアズは、物体のように頭から床に叩きつけられ、後頭部をしたたかにぶつけた。
 いっそのこと、脳震盪を起こしてひと思いに気絶してしまえば―――何もできず、ただその光景を見せつけられるだけの少年は、そう願ったほどである。しかしそんな消極的な願いすら、アズの記憶の中では叶えられない。不運にも意識を保ち続けている童女は、頭蓋骨に響き渡った激痛に身悶えながら、暴虐から逃れようと体を引きずる。
 しかし、父はそれを見逃さなかった。這いずるアズの背中を足で思い切り踏みつけ、体重をかける。

『あ゛え゛ぇっ!』

 肋骨と内臓をひとまとめに、自身の何倍もの体重で圧迫されて、童女はアマガエルのような高くおぞましい声を口から吐き出し、舌を突き出したまま四肢を痙攣させる。あろうことか、瀕死の両生類のような娘の様子に嫌悪感を覚えた父親は、童女の薄い身体を踏み抜くつもりで、さらに体重をかけた。とうとう声も出なくなり、白目をむいて口の端から血の混じった泡を吹くアズ。
 娘を襲うあまりの惨状に、母がさらに狂い咲く。

『やめて! アズには手を出さないって言ったでしょう!』

 母が父に掴み掛る。バランスを崩した父の足がアズの背中から離れ、童女の内臓が重圧から解放された。だが、それで打ち止め。夫婦の間には絶望的な体格差があった。むしろ、アズを解放させたことだけでも、母として殊勲賞ものであった。

『うるさい! どいつもこいつも俺をばかにしやがって!』

 夫が妻の横っ面を、思い切り殴りつける。激しい暴虐の対象が、娘から母へと変わってしまったのだ。

『あっ!』

 怒号と拳が飛び交い、妻が殴りつけられる音が響き渡る。その間に、何とか部屋の隅まで這い逃げた童女が、混濁した意識のまま、母と、暴虐を振るい続ける父を見つめる。その視線に気づかないほど、できた父ではなかった。

『何見てやがる!』

 拳がアズめがけて振り下ろされる。その瞬間、母が娘を抱きかかえ、拳を背中に受けて庇った。ごりぃっ、と、背中に拳骨がめり込む嫌な音が部屋に響き渡る。思わず耳をふさぎたくなる種類の、少なくとも尋常の音ではない。しかし、そんなものは聞こえていないかのように、夫の殴打はなおも続いた。
 母に抱かれながら、意識が半濁したままのアズの、弱々しい祈りが委員長の耳に聞こえてくる。

『ごめんなさい……ゆるして、ください』

『ごめんなさい……ゆるして、ください』
『ごめんなさい……ゆるして、ください』
『ごめんなさい……ゆるして、ください』

『ごめんなさい……ゆるして、ください』『ごめんなさい……ゆるして、ください』『ごめんなさい……ゆるして、ください』『ごめんなさい……ゆるして、ください』『ごめんなさい……ゆるして、ください』『ごめんなさい……ゆるして、ください』『ごめんなさい……ゆるして、ください』『ごめんなさい……ゆるして、ください』『ごめんなさい……ゆるして、ください』『ごめんなさい……ゆるして、ください』『ごめんなさい……ゆるして、ください』『ごめんなさい……ゆるして、ください』『ごめんなさい……ゆるして、ください』『ごめんなさい……ゆるして、ください』『ごめんなさい……ゆるして、ください』

 もはや、祈りではなく―――委員長には、呪いにすら聞こえた。

『この野郎!』

 誰を指しての咆哮だったか―――父が、娘を庇ってうずくまる母の背中を、渾身の力で蹴った。娘ごと母が転がり、一回転してあおむけの状態で動きを止めた。衝撃に、童女は母の手から離れ、部屋の中央まで転がって、完全に意識を失っていた。
 荒い呼吸を繰り返す父が、突然台所へ向かう。その行動の目的に思い当って、委員長は思わず、あっ、と声を上げた。誰の耳にも届かなかった。
 台所から戻ってきた父の手に、包丁が握られている。気絶してる娘の横を通り過ぎ、一歩、また一歩と、倒れている母の元へ凶器と狂気が迫っていく。

『お前は、梓咲を生んでから娘のことばっかりで……何一つ嫁らしいことをしなくなったな……』

 ぼろぼろに傷ついた母は、夫の言葉が聞こえているのかいないのか、弱々しく頭を横に振る。

『お前は、結局亭主なんかどうでもいいと思ってやがる……俺と結婚したのだって……梓咲が欲しかったからだろうが……この淫売!』

 とうとう、父が母の上に馬乗りになった。死が迫っていることを認識したはずの母の顔に、あまりにも奇妙な、悪魔のような微笑みが浮かんだ。

『何がおかしい!!』

 吠え猛る父に向けて、母は言い放った。

『梓咲じゃない……あの子は、「アズ」よ』

 その結果として、父のタガが外れた。振り下ろされた凶器は、胸の中央を深々と刺し貫いた。赤い噴水が、部屋中を彩っていく。

『ひぃっ……!』

 凄惨な光景の中、あまりに場違いな情けない声が、当の父の口から出た。全身を真っ赤に染めた母の上から降り、慌ててその場を離れようとするが、血で濡れた畳に足を滑らせ、その場に尻もちを付く。
 そして―――沈んだ男の代わりに、真っ赤に染まった女が起き上がった。母の顔には、指される前と同じ笑みが張り付いている。赤い顔の中に浮かび上がる漆黒の瞳が、ゆっくりと夫をとらえ、金縛りに追い込む。男が逃げられなくなったことを確認し、母の顔がさらにいびつに歪んだ。
 不意に、血だらけの顔が夫のさらに背後―――傍観していた委員長に向けられる。突然に壮絶な視線で射ぬかれ、少年は息を呑んだ。額から垂れた血が眼の中に流れ込み、黒い瞳すら真紅に染まる。その真紅に、少年は見覚えがあった。決闘に赴く聖衣をまとった、彼女の娘の瞳の色―――。
 ふ、と、母親の顔から狂気が失せて、少女の表情になる。少年に向けて、母ははっきりとこう言った。

『「死ぬほど、愛して」』

 その声は、少年の知る今のアズの声と重なって聞こえる。
 少年がその言葉の意味を悟るのと同時に、母の視線が少年を外れて、自分を刺した夫へと戻る。

―――ぶしゅぅっ!

 母が、自分の胸から包丁を引き抜いた音であった。胸からの出血が激化し、スプリンクラーのように、父親の頭から爪先まで、全てを赤に染める。
 当然、眼の中も。血液が流れ込み、視力を潰されてしまった父が、情けない声を上げて両目を激しくこする。だがそれは、角膜を傷つけ、水晶体に赤を浸みこませるだけであった。
 ゆらっ、と母が一歩寄り、引き抜いて間もない暖かな包丁を、右手に握りしめ、左手を柄の部分に添える。視界が赤に潰されたというただそれだけのことで、子供のようにわめきたてる男―――その首筋に狙いを定め、母は包丁を突立てた。文化包丁の刃が頸動脈を引き裂き、なおも肉を突き破って―――その状態から、一気に真横に向けて包丁が振りぬかれる。男の首は、ほとんど薄皮一枚でつながっている状態まで、裂かれたのだった。
 男の首からの出血も加わって、二つの死にぞこないのスプリンクラーが、さらに部屋を余すところなく血に染めていく。しかし、どういう訳か、部屋の中央、二人の娘が倒れているその周辺だけは、一滴の血も付着せず、円形の聖域のように畳が元のままの色を保っていた。
 男の身体が、どしゃりと倒れ込む。胴体から外れかかった首はあらぬ方向を向いていた。

『あはっ……あははっ……あはははははははっ!』

 母の笑い声が、狂気を咲かせる。より狂っていたのがどちらか、火を見るより明らかであった。
 かしゃん、と包丁が女の手から滑り落ちて、それきり、笑い声が途絶える。真っ赤になって倒れ伏す父、真っ赤になって立ち尽くす母。そして部屋の中央には、幸運にも、全てが終わってから意識を取り戻し、起き上がる娘。童女は一点の血の穢れもない、純白の身体―――それが、「アズ」。


                     *     *     *


「ねぇ、お母さん……お父さんは寝ちゃったのですか?」
―――そうね、起こしちゃいけないから……静かにしていましょう。
「よかった……お父さん今日は機嫌がいいんですね。今日はわたしもお母さんも、ぶたれずにすみそうです」
―――そう、ね……うふふ、お母さんもちょっと安心だわ。
「えへへっ。ねぇお母さん、一つおねがいしてもいいですか?」
―――アズがお願いなんて、珍しいわね。どんなお願い? 
「えっと……だっこしてもらっても……いいですか?」
―――アズはもうすぐ小学生でしょう……もう大きいのに甘えてはダメよ。
「けど……お母さんもお父さんもまっかなのに、わたしだけふつうのままだから……」
―――駄目よ。こちらに来ては駄目。汚れてしまうから。
「だって……わたしもお母さんと一緒がいいです!」
―――いい加減にしなさい!
「ひぅっ……うぇ……」
―――泣いてはダメよ。これからアズは強くならなくちゃいけないの。一人で生きていくために。
「ひと……り?」
―――ねぇアズ、お母さんと一つ、約束してくれる? そしたら……だっこしてもいいわ。
「は、はいっ! なんでもいうことききます! なんですか?」

 赤い手が、少女を引き寄せ、胸に抱く。触れた部分は瞬く間に赤に染まり、肌に穢れがしみ込んで、それでも、母と娘は幸福の絶頂にあった。


                     *     *     *


 凄惨な真紅の光景、その記憶が、アズの脳裏に完全な形でよみがえった瞬間、とどめの言葉が解き放たれた。

闇アズ
『―――もしあの時、あなたに勇気があったのなら、お父さんもお母さんも、死なずにすんだでしょうに!』

―――ぱりぃぃんっ……!

 アズの心臓が砕け散る音であった。

アズ
「ごめ……ん、なさい……」
闇アズ
『何ですか? 聞こえませんよ?』
アズ
「ごめんなさい……ごめんなさいっ! ごめんなさいぃっ……許して……ゆるして、ゆるしてゆるしてぇっ!」

 童女のように泣き崩れ、その場に崩れるアズを、闇アズサは包み込むように抱きしめる。

闇アズ
『赦されませんよ……だって、赦してくれるお父さんとお母さんは、もうこの世にいないんですから……だぁれも、あなたを赦してくれない……』
アズ
「いやぁっ、たすけて、だれかぁっ……!」
闇アズ
『辛いですよね? 苦しいですよね? 赦されたいですよね? 愛されたいですよね?』

 半狂乱になって、アズはがくがくと首を縦に振り、もう一人の自分の言葉を全て肯定していった。

闇アズ
『だから……わたしが助けてあげますよ?』
アズ
「ほ、ほんとう……ですか?」
闇アズ
『もちろん。だって、わたしはこの世でたった一人の、「もう一人のアズ」なんだから。誰よりもあなたを愛してる。わたしだけが、あなたを赦してあげられる……』

 少女の頬を流れ落ちる涙を、もう一人の少女が唇を這わせて拭い取る。涙と一緒に罪まで拭われるような気さえして、アズは恍惚に浸る。少女の瞳から意思の光が失せ、全身から生命力が失われていく。

アズ
「ぁ……ゆるして……もら、え……るの……?」
闇アズ
『そう……さぁ、わたしにすべてを委ねて……? そうすれば、わたしの中で、赦してあげる、ずっとずっと、愛してあげますから……』
アズ
「は……い……」

 とうとう、アズが「アズ」を放棄する決定的な言葉が漏れ出してしまう。同時にアズのディスクに埋め込まれた宝玉が輝きを失い、闇アズサのディスクの宝玉が代わりに光を発した。ターンプレイヤーを示すディスクの光が移り変わった―――それはすなわち、アズのターンが強制終了し、闇アズサのターンへ移行したことを示す。アズがプレイしないまま3分間が経過したことで、ターン進行放棄とみなされてしまったのだ。

・闇アズサ(手札4 LP:3950)
《デュエルナイト・セイバー》ATK:2500・★4・ORU×2
《憑依装着―ダルク》ATK:1850・☆4
・アズサ(手札4 LP:4000)
《憑依装着―ライナ》ATK:1850・☆4


<ターン5>
 もう一人のアズが、抱擁を解いて、アズから離れる。アズはすがるように闇アズサに手を伸ばしたが、黒のアズは女神のような微笑を携えたまま、その手を払いのけた。

闇アズ
『わたしの……ターン!』

DRAW!
・闇アズサ 手札:4→5

闇アズ
『さぁ……救済の刻です。ちょうど、来てくれましたよ。あなたに赦しをもたらしてくれる、断罪のカードが……』

 闇アズサが、ドローしたばかりのカードを天に掲げる。その途端、アズのはるか後方、元々のデュエルフィールドにたたずむ魔剣士に異変が起きた。剣たる少女が手にした大剣を取り落とし、頭を抱えて苦しみだす。かつての主同様の赤と白の洋装が、次第に黒く染まり、地に刺さった大剣も闇色に染まって、周囲を浮遊していたORUは剣に吸収されて消失し、刀身はノコギリのような禍々しい凹凸を持つ異形へと変貌していく。
 黒に染まりきった魔剣士が、変貌した剣を手に取り、肩に担ぐ。顔を上げた剣たる少女は、瞳こそもとの真紅のままであったが、もはや別の存在に変わっていた。その事実が、「アズ」の交代を象徴する。

闇アズ
『素敵でしょう? 新たなる、わたしの剣―――《ナイトメア・セイバー》……!』

 だが、もはや正気を失っているアズに、その言葉は届かない。背後で起きた魔剣士の変化にも気づかず、焦点の定まらぬ瞳で、ひたすらもう一人の自分に救済を請うばかりである。

SPECIAL SUMMON!
《ナイトメア・セイバー》ATK:2500・☆8

闇アズ
『あらあら、デュエルナイト・セイバーがせっかく新しい姿になったのに、見てあげないなんて……薄情なマスターですねぇ。だったら勝手に進めちゃいましょう。《ナイトメア・セイバー》は、ORUを持つモンスターをリリースして、特殊召喚できる……そして、リリースしたモンスターのORUの数×500ポイントの攻撃力を、相手モンスターから吸い取ります。リリースしたデュエルナイト・セイバーのORUは2つ! よって、攻撃力1000ポイントをライナちゃんから頂きます!』

 漆黒の魔剣士が、禍々しき剣を闇色の空へ向けて掲げる。闇の魔力の力場が生じ、その力に触れた光の少女魔導師の力が、急速に失われていく。とうとう銀髪の少女魔導師、ライナの膝から力が抜け、魔杖を地面に突立てて、かろうじて立っている有様となる。少女と同窓で魔法を修めた黒髪の少年、ダルクは、無慈悲に力場を発生させる黒の魔剣士を、複雑な表情で見つめていた。

ACTIVATE!
誘発《ナイトメア・セイバー》:攻撃力1000吸収
《憑依装着―ライナ》ATK:1850→850(-1000)
《ナイトメア・セイバー》:ATK:2500→3500(+1000)

闇アズ
『最後のバトルフェイズへ移行……《ナイトメア・セイバー》でライナちゃんを攻撃!』

ATTACK!
《ナイトメア・セイバー》ATK:3500 ⇒ 《憑依装着―ライナ》ATK:850

 黒の魔剣士が跳躍し、一気に間合いを詰めてくる。絶望的な攻撃力の差を前に、なおも少女魔導師は愛杖を握りしめ、戦意を露わに立ち向かう。背後の主はもはや戦意を喪失し、ライナの存在など一顧だにしない状態であったが、それでも主を守ろうとする使命感が光の少女を突き動かしている。
 滞空している魔剣士めがけ、ライナの杖の先端から光の魔法矢が幾本も発射される。だが、矢は全て黒の大剣にあっけなく弾かれ、何の意味もなさない。魔剣士が着地する。その地点は、ライナの目の前である。
 大剣が振り下ろされ、ライナがとっさに愛杖でそれを受け止める―――だが、不慣れな接近戦に加えて、得物の重量も魔力の量も、圧倒的な差があるこの状況で、次の展開は目に見えていた。

―――ばりぃん!

 甲高い金属音を響かせて、光少女の愛杖が粉々に砕け散る。切断されたというよりも、大剣の重量に叩きつぶされた格好であった。ライナの表情が、死の恐怖、そして主を守れない無力感が重なって、絶望で満たされる。
 黒の魔剣士にとって、丸腰の少女魔導師など、試し斬り素材と変わらない。冷酷な魔剣の一閃が、逆袈裟に光少女の皮膚を切り裂き、鮮血がほとばしる。光魔導師の見開かれた瞳が、一瞬、密かに想いを寄せていた黒の少年を捉え、すぐに光を失った。
 光魔導師が爆散する。かつての主は、魔剣士に背を向けたまま、新たな「アズ」へ救済を請う視線を送るのみで、背後に刃が迫っていることに気づきもしない。
 剣たる少女自身がそうであるように、鞘たる少女も堕ちてしまったのだ。黒の魔剣士の瞳に、一瞬、哀愁めいた感情が揺らめいた―――が、そんな事実はもはや些末である。
 攻撃表示同士のモンスターの戦闘、超過したダメージは、デュエリストがその身で受ける。心を崩された少女に、生命のバリアを張る気力も意思も残っていない。壊れてしまった主に、壊れてしまったしもべが歩み寄り―――少女の背中に大剣を突き立てた。

アズ
「きゃぁぅっ……」

 自らの剣に背後から胸を貫通されて、弱々しい悲鳴とともに、少女の口から鮮血がほとばしった。魔剣士は間をおかず、無慈悲に剣を引き抜く。胸の中央に風穴を開け、周囲の闇を真っ赤に染めて、アズであったはずの少女は倒れ伏した。

・アズ LP:4000→1350(-2650)


                     *     *     *


 少年が眼を開けると、闇の中であった。一面赤に染まった凄惨な光景とは打って変わり、周囲に何も見当たらない、完全な暗闇の中。しかし、立ち尽くしている時間はない。何も起こらないのであれば、アズを探して進むまでである。委員長はひとまず前方に向かって走り出した。
 しばらく進むと、前方にうずくまっている人の影らしきものが見えた。急いで傍に寄ると、小さな背中が震え、嗚咽を漏らしているのがわかった。泣いているのは、小さな童女であった。
 干渉できないとわかっていながら、それでも、少年はその名を呼ぶ。

「アズ……だな?」

 震えていた背中が、ぴくりと反応し、背後の少年の存在を感じ取って、童女がこちらへ顔を向けた。泣き腫らし、眼は真っ赤に充血している。

「お兄さん……だれですか……?」

 どういうわけか、このアズとは対話できるようだ。実体と悪夢とが交わることができないとすれば、実体の少年と交わることのできる今の童女は―――。

(現実と悪夢の、中間にいるのか―――?)

 ようやく手がかりらしいものまでたどり着き、少年ははやる気持ちを抑え、片膝をついて童女と目線を合わせた。

「俺は―――お前の友達だ。お前のことが心配で、迎えに来たんだ」
「わたしの、おともだち……?」
「ああ。それよりどうした、そんなに泣いて」

 少年の指が童女の涙を拭う。しかし、すぐにまたじわりと瞳が潤み、涙がにじみ出て童女の頬を伝い落ちていく。

「アズが……わたしのこと、わるい子だって……」

 童女が、少しずつ、言葉を紡いでいく。

「お父さんも、お母さんも、わたしのせいで、いなくなりました―――」

「あのこと、せんせいを、ころしました―――」

「ひとりぼっちがイヤで、ナイトのパートナーになりました―――」

「ナコちゃんを、まきこんだのに、ともだちができて、うれしいっておもいました―――」

「いんちょぅさんに、小さいころのこと、しゃべって、わたしのこと、みてほしいって、おもいました―――」

「だから、わるいこで、わたし、ゆるしてもらえない、ゆるしてもらえない……です」

 身体が成長しても、心の中でずっと消えないでいる、罪の意識―――決闘の理由。
 少年は、なおも涙を流し続けるアズを引き寄せて、抱きしめた。

「アズ、よく聞け」

 童女を赦してやれる人間は、もうこの世にいない―――だからこそ、アズは自分で自分を罰しようとしている。あのデュエルピースは、まぎれもないもう一人のアズ。
 だが、それでも。

「資格なんかなくても、俺は、お前をゆるしたい」

―――闇の中、血だまりに沈む少女の人差し指が、ぴくりと動く。

「たとえアズがお前を赦さなくても、俺が―――グラナイトも、諸星も、お前をゆるす」

―――少年の声を、はっきりと少女の鼓膜がとらえた。

「忘れてくれるなよ。「アズ」は独りだが、お前には、俺たちがいるから」

―――赤の空洞に成り果てていた少女の瞳に、再び命の光がともる。

「だから……立て! アズ―――!」


                     *     *     *


 少年が眼を開けると、そこはアナザーデュエルのフィールドであった。委員長の足元に、血塗れで倒れ伏すアズの姿。思わず少年が叫ぶ。

委員長
「おい! しっかりしろ!」

 その声を確かにとらえて、アズがゆっくりと起き上がる。胸の傷を押さえ、口の端からは血が流れているが―――出血は止まり、傷自体はふさがっていた。

アズ
「委員長さん……大丈夫、です……」

 委員長に背中から支えられ、よろめきつつもアズが立ち上がる。その様子を闇アズサが、驚愕の表情で見つめている。

闇アズ
『どうやってここに……それに……どうして傷が治っているんですか!』
アズ
「わたしは……ダメージ計算後のタイミングで、このカードを発動しました……!」

 アズが指示したカードは、《冥府の使者ゴーズ》。カードが光を発し、漆黒の鎧をまとい、大剣を提げた紅髪の上位悪魔が、フィールドに降り立ち、黒の魔剣士とにらみ合う。

ACTIVATE!
誘発《冥府の使者ゴーズ》:特殊召喚
SPECIAL SUMMON!
《冥府の使者ゴーズ》ATK:2700・☆7

アズ
「このカードは、フィールドにカードがない状態でダメージを受けた時、手札から特殊召喚できる……!」
闇アズ
『レベル7のモンスター……! そんなもの、わたしがコピーしたデッキには無かったのに!?』
アズ
「さらに続いて、ゴーズの効果発動! 特殊召喚のトリガーとなった戦闘ダメージを力とし、受けたダメージ分の数値を持つトークン、《冥府の使者カイエン》を特殊召喚!」

 いつの間にか、アズの背後に、白き鎧に剣を携えた天使が佇み、治癒の光を放っている。アズの傷を塞いだ者の正体であった。主が受けた痛みを自身の力とし、天使カイエンが跳躍して、ゴーズとともにフィールドに並び立った。

ACTIVATE!
誘発《冥府の使者ゴーズ》:カイエン特殊召喚
SPECIAL SUMMON!
《冥府の使者カイエントークン》ATK:2650・☆7

闇アズ
『天使と悪魔の揃い踏みとは……! わ、わたしはダルクを守備表示に変更して、ターンエンドです!』

《憑依装着―ダルク》DEF:1500・☆4

・闇アズサ(手札4 LP:3950)
《ナイトメア・セイバー》ATK:3500・☆8
《憑依装着―ダルク》DEF:1500・☆4
・アズサ(手札3 LP:1350)
《冥府の使者ゴーズ》ATK:2700・☆7
《冥府の使者カイエントークン》ATK:2650・☆7


<ターン6 アズサ>
アズ
「委員長さん、ありがとう、来てくれて……うれしかったです」
委員長
「ああ。まだ、戦えるか?」
アズ
「はい! 赦されることはないけれど……委員長さんたちの気持ち、受け取りたいから……戦います!」

 二人の笑顔が交わる。闇アズサが手に入れられなかった、本当のアズの姿がそこにあった。

アズ
「委員長さん! 見ていてください! わたしのデュエル! わたしのターン!」

 デッキからカードが引き抜かれる。ドローの動きによって、アズを中心にふわりと風が吹き、悪夢という精神世界の闇すら、撫でるように優しく退ける。

DRAW!
・アズ 手札:3→4

 引いたのは、アンクの紋章が描かれた緑枠のカード。そのカードを目にした瞬間、アズの脳裏に選び取るべき道筋が全て、明らかになる。

アズ
「行きます! 《死者蘇生》を発動!」
闇アズ
『モンスターを復活させるカード……けれど! あなたの墓地にいるカードでは、攻撃力3500のナイトメア・セイバーは倒せませんよ!』
アズ
「確かに、わたしの墓地には2体のヘリオロープとライナのみ。けれど、一つ忘れています……! 死者蘇生は、相手の墓地からもモンスターを特殊召喚できる!」
闇アズ
『っ……! まさか!?』
アズ
「わたしは、あなたの墓地から《デュエルナイト・セイバー》を特殊召喚!」

 空中に死者を呼び戻すアンクの紋章が浮かび、その力に反応して闇アズサのディスクから光が漏れ出し、そこから赤と白の魔剣士が飛び出す。
 空中で一回転し、颯爽とアズのフィールドに降り立った魔剣士が、鞘たる少女をちらりと振り返る。アズが視線でそれに応えると、剣たる少女の瞳に、希望の光が満ち満ちた。主が再起したことに、魔剣士が安堵している。マフラーに隠された口元は見えないが、微笑んでいるのかもしれない。

ACTIVATE!
通常魔法《死者蘇生》:特殊召喚
SPECIAL SUMMON!
《デュエルナイト・セイバー》ATK:2500・★4・ORU×0

アズ
「更に《決闘夜の序曲》(デュエルナイト・プレリュード)を発動! 《デュエルナイト・セイバー》の攻撃力を1000アップ!」

ACTIVATYE!
通常魔法《決闘夜の序曲》:ATK:1000アップ
《デュエルナイト・セイバー》ATK:2500→3500

闇アズ
『攻撃力3500……!』
委員長
「これで奴のモンスターに並んだ!」
アズ
「続いて、《憑依装着―ダルク》を通常召喚っ!」

NORMAL SUMMON!
《憑依装着―ダルク》ATK:1850・☆4

アズ
「バトルフェイズ! ダルクであなたのダルクを攻撃!」

ATTACK!
《憑依装着―ダルク》ATK:1850 ⇒ 《憑依装着―ダルク》DEF:1500

 アズのダルクは、光の少女魔導師の敵討ちに燃え、禍々しいデザインの愛杖に魔力を込める。青白い闇魔導の稲妻が掲げた杖からはなたれ、闇アズサのダルクを襲った。守備体勢を取っているダルクは、抵抗する様子を見せず、もう一人の自分の稲妻によって貫かれる。最後に少年魔導師が見せたのは、光の少女を見殺しにした罪から解放される、安堵。一瞬の後、闇アズサのダルクが爆散する。

アズ
「デュエルナイト・セイバーでナイトメア・セイバーを攻撃! わたしの剣よ! 悪夢を斬り捨てよ!」
闇アズ
『くっ……迎え撃って! わたしの剣!』

ATTACK!
《デュエルナイト・セイバー》ATK:3500 ⇒ 《ナイトメア・セイバー》ATK:3500

 白き魔剣士と黒き魔剣士が同時に跳躍する。空中で両者の剣が激しく衝突し、魔力を伴った火花を散らした。刀身同士がいったん離れ、二人の剣士が着地する。そこからは、眼にもとまらぬ斬撃の応酬であった。フィールドの中央で二振りの剣が舞い、衝突し、受け流し、またぶつかり合う。
 激しい膠着に痺れを切らした黒の剣士が、再び跳躍して、上空から魔光を放つ。雪崩のように押し寄せる黒の奔流に対して、白の剣士は大剣を一閃し、魔力ごと斬り捨てた。そして、空中にいるもう一人の自分めがけ、こちらも跳躍する。
 再び、空中で両者の剣がぶつかり合う。と同時に、二本の剣の刀身に亀裂が入った。限界が近づいている。それを悟った両者が、渾身の力を込めて斬撃を見舞う。エスカレートを尽くした空中での打ち合いに、とうとう白と黒の魔力が炸裂し、大爆発を起こして二人の魔剣士を飲み込んだ。

委員長
「相打ち……! だが、これで!」
アズ
「2人の冥府の使者で、ダイレクトアタック!」

 荒れ狂う爆風の中、光と闇、一対の冥府の使者が剣を手に地を蹴り、闇アズサに一挙に斬りかかった。エースモンスターが倒れたことに呆然とする闇アズサだったが、なんとかライフバリアの展開を間に合わせた。
 天使カイエンの剣が、ライフバリアと衝突し、火花を散らしながら闇アズサの命を削り取る。

DIRECT ATTACK!
《冥府の使者カイエントークン》ATK:2650 ⇒ 闇アズサ
・闇アズサ LP:3950→1300(-2650)

闇アズ
『づぁっ! そんな、わたしが……負ける……?』

 防御しきっても、安堵する暇は与えられない。カイエンが飛び退ると、その陰から悪魔ゴーズが現れ、剣を振り下ろす。
 再び闇アズサのバリアがそれを受け止めるが、無駄だった。冥府の使者の剣が衝突とともにバリアを完全に粉砕し、魔力の奔流が闇アズサを直接に襲った。
 黒きデュエルフォームのアズサの身体が、はるか後方に吹き飛ばされ、地面に転がった。

DIRECT ATTACK!
《冥府の使者ゴーズ》ATK:2700 ⇒ 闇アズサ
・闇アズサ LP:1300→0(-2700)

                  【決闘内決闘終了 勝者:小鳥遊アズサ】

                     *     *     *


 少年がデュエルピースが形成した黒球に突入して、すでに一刻が経過していた。落ち着きのないナコをガーネットが諌め、ナイトがアズの身を案じて祈る、そんなやり取りを何度繰り返したのかすら忘れてしまった頃、変化は突如として現れる。
 それまで均整のとれた球形を保っていた黒球が大きくゆがみ、ぐにゃぐにゃと変形する。

ナコ
「なんだぁ!?」
ガーネット
『これは……あの二人、やったのね……!』

―――ぱぁん!

 ガーネットが確信する瞬間、歪んだ球体がとうとう存在を保てず、破裂音とともに霧散する。黒い霧があたり一面に広がり、その霧も次第に夜風で晴れていく。
 霧の中から、アズと委員長の姿が現れる。続いて、フィールドにて相対する、アズの魔剣士と、闇アズサの異形の姫君のデュエルピース。そして最後に、姫君の後方、四つん這いになって荒い息を吐きながら苦しむ、満身創痍の闇アズサの姿があらわになった。

ナイト
『アズ……!』

 パートナーが浮遊術を使い、アズの肩に寄り添った。

ナイト
『アナザーデュエル、勝ったんだな!』
アズ
「はい! 委員長さんのおかげで! ナイトは、大丈夫ですか?」
ナイト
『もちろんだ! このまま一気に畳み掛けよう!』
委員長
「ったく……俺は無視か……」

 委員長は浮遊する白獅子を引っつかみ、引き寄せた。

ナイト
『うわっ! 何をする少年!』
委員長
「……後は頼むぞ、似非ライオン」
ナイト
『わかった、任せろ……!』

 同じ少女のために奮闘する男同士、通じ合うものがあったのか―――それは定かでないが、委員長はそれだけ言うと白獅子を解放し、アズに目配せしてから後方へ下がった。アズは、微笑みを向けて少年を見送ると、ナイトとともにもう一人の自分に向き合う。

闇アズ
『く……負けるなんて……うそ……!』

 ゆっくりと闇アズサが立ち上がるが、よろよろと、今にも倒れそうな状態であった。

アズ
「アナザーデュエルはわたしが勝利しました! よって、勝者と敗者はそれぞれの賞と罰を受け取ることになります……! 敗者のあなたは、シャアラのORUの数×1000、つまり4000のライフを失う……!」
闇アズ
『ひっ……! う、ぃぎゃぁぁぁっ―――!』

 フィールドの異形の姫君が、闇アズサの命を吸引していく。ダメージではなく、命そのものを収縮させられる効果のために、ライフバリアを張ることすら許されず、闇アズサが悶絶してアスファルトの上を転げまわった。

・闇アズサ LP:7300→3300(-4000)

 吸引が終了すると同時に、姫君のORUから光がはなたれ、アズのデッキにその光が吸い込まれていく。デッキトップの4枚が、とりわけ強い光を放った。

アズ
「そして勝者は、ORUの数、つまり4枚のカードをドロー!」

 アズが光るデッキトップをまとめて引き抜く。

DWAR!
・アズ 手札:4→8

ナイト
『一気に手札8枚! これで!』
ナコ
「よっしゃぁ! あれだけ手札がありゃ、アズの勝ちで決まりだ!」

 倒れていた闇アズサが、忌々しげな表情で立ち上がる。そこに宿る憎悪は、もはや「アズ」とは呼べない有様になっていた。

闇アズ
『ぐっ……いや……このまま負けるなんてぇっ! リバース・マジック、オープン! 装備魔法《巨大化》! これをシャアラに装備!』
ナイト
『《巨大化》だと!?』

ACTIVATE!
《巨大化》:ATK×2
《DP. 05 翡翠の悪夢を語る姫》ATK:3000→6000(×2)

ガーネット
『《巨大化》は相手よりライフが下の場合、装備モンスターの攻撃力を倍にする装備魔法……アナザーデュエルで敗北してライフが大幅に減った時のために、あらかじめ伏せてた……か』
ナコ
「攻撃力倍って……ろ、6000!? うそだろぉ!?」
委員長
「なるほどな。あのカードが保険だったというわけか」

 魔力の印章が異形の姫君に刻まれ、女神が上昇し、空中で二回りも巨大化した。見上げるほどの怪物となったデュエルピースに、その場の誰もが圧倒される―――ただ一人、アズを除いて。

闇アズ
『負けなぃ、負けたくないっ! わたしはアズになるんだからぁっ! ぐ、グレファーを守備にしてターン終了っ……!』

《ダーク・グレファー》DEF:1600

・アズサ(手札8 LP:4000)
《デュエルナイト・セイバー》ATK:3300・★4・ORU×2
《団結の力》(装備:デュエルナイト・セイバー)
 伏せカード×1
・闇アズサ(手札0 LP:3300)
《DP. 05 翡翠の悪夢を語る姫》ATK:6000・☆10・ORU×4
《ダーク・グレファー》DEF:1600・☆4
《巨大化》(装備:翡翠の悪夢を語る姫)

<ターン5 アズサ>
アズ
「わたしのターン!」

DRAW!
・アズ 手札:8→9

アズ
「《二重召喚》を発動! このターンの通常召喚の権利を一回増やします! そして、《セイクリッド・ソンブレス》と《リトル・フェアリー》を連続召喚!」

AVTIVATE!
通常魔法《二重召喚》:召喚権+1
NORMAL SUMMON!
《セイクリッド・ソンブレス》ATK:1550・☆4
《リトル・フェアリー》ATK:800・☆3

 創造神の力すら胸に宿し、神星なる騎士たちの武器全てを従えた荘厳な最終戦士と、対照的に、星の形のあしらいがついた細いステッキを片手に、桃色の髪のファンシーな天使が、同時にフィールドに降り立った。

アズ
「そして《リトル・フェアリー》の効果発動! 手札を1枚墓地に送って、レベルを1つアップ!」

ACTIVATE!
起動《リトル・フェアリー》:レベルアップ
《リトル・フェアリー》☆3→4

アズ
「そして……」

 救世の騎士と小さな天使の不釣り合いなほどの対照ですら、今のアズにとっては小さな差異であった。たった一つ、モンスターがその魂に宿した星の数さえ共通しているなら、そこに新たな存在を創造してみせる。

アズ
「《セイクリッド・ソンブレス》と《リトル・フェアリー》でオーバーレイ!」
闇アズ
『なっ!? なんですって!?』

 二体の天使が輪郭を失い、一対の光球へと変化し、アズの両手に一つずつ宿った。

アズ
「二体のレベル4天使族でオーバーレイ・ネットワークを構築……! エクシーズ召喚!」
ナイト
『デュエルナイト・セイバーは既にフィールドにいるというのに……新たなモンスター・エクシーズを創造しようというのか……!?』

闇アズ
(そんなバカな……アナザーデュエルの時は、たしかにデュエルナイト・セイバーしか呼べなかったはず……なのに……!?)

アズ
「おいでなさい! 《フェアリー・チア・ガール》!」

 二つの光球まとわす、可憐な蝶の羽根のチア天使が、フィールドに降り立った。りょうてに持ったポンポンに一つずつORUが宿り、光り輝く。

《フェアリー・チア・ガール》ATK:1900・★4・ORU×2

ナコ
「ひゃぁ……すげェ……エクシーズが二体だぜ!」
ガーネット
『あれは天使族のドローソース……けど、決して天使族を中核としないアズちゃんのデッキで呼び出すなんて……あの子、化けるのかも……!』

 可憐なチア天使と苛烈な魔剣士が、またもアズのフィールドに対照を醸していた。その光景を闇アズサは忌々しげに見つめる。

闇アズ
『い、いくらモンスター・エクシーズが増えようと……!』
アズ
「まだ行きます! リトル・フェアリーのコストで墓地に送った《オーバーレイ・イーター》を墓地から除外して、効果を発動! 相手のORUを一つ取り除いて、わたしのモンスター・エクシーズに移す!」

 アズの墓地からカメレオンの舌が飛び出し、空中の姫君のところまで一気に伸びる。姫君の周囲を浮遊する光球の一つを、伸ばされた舌が吸着し、一気に引きずりだした。そのまま舌が縮み、地上の魔剣士のところまで運ばれる。魔剣士の大剣が、光球を吸い取った。

ACTIVATE!
起動《オーバーレイ・イーター》:ORU吸収
《DP. 05 翡翠の悪夢を語る姫》ORU×4→3
《デュエルナイト・セイバー》ORU×2→3

アズ
「さらに! 手札より魔法カード《オーバーレイ・リジェネレート》を発動! デュエルナイト・セイバーのORUを1つ増やします!」
闇アズ
『アナザーデュエルでわたしが使ったマジック……けど、1つ増やしたところで……!』
アズ
「1つじゃありません! 3枚発動して3つ増やします!」
闇アズ
『は、はぁっ!?』

ACTIVATE!
通常魔法《オーバーレイ・リジェネレート》:ORU増強×3
《デュエルナイト・セイバー》ORU×3→6

 大剣をまとう光球が一気に倍加し、刀身が見えなくなるほど魔力の光が収束する。

委員長
「ORUが6つとは……」
ナコ
「け、けど、そんなに増やしてどうする気だよ……」
闇アズ
『な、ナコちゃんの言う通り……! いくらORUの数を増やしたところで破壊無効効果の回数が増えるだけ……攻撃力6000のシャアラは倒せませんよ!』

 闇アズサが威嚇し、大声を張り上げたその瞬間、アズの顔に不敵な笑みが浮かんだ。

アズ
「……それは、どうでしょうか」
闇アズ
『なん、ですって……!?』
アズ
「アナザーデュエル……自分の悪夢の中で、わたしは二つのことに気づきました。一つは……わたしには、友達がいたということ。だから……たとえ赦されないで終わるとしても、立ち上がらなくちゃいけないと……」

 アズが、ナイトと視線をかわす。パートナーとの間に、確かな信頼と絆を確かめた。続き、背後の仲間の方を振り返る。ナコが白い歯を見せ、笑顔でサムズアップを向け、委員長もガーネットも微笑みを返してくれる。

―――生きなさい、アズ。

(お母さん。わたし、生きます。これが、デュエルが、わたしが生きるということ―――!)

 母との誓いを胸の中で反芻し、新たな答えを見出したアズを、月明かりが照らし出す。その姿は、まぎれもなく本物の、小鳥遊アズサにほかならない。

アズ
「そして二つ目。もう一人のわたしが示してくれた、わたしの新たな可能性……!」
闇アズ
『……まさか!?』
アズ
「フェアリー・チア・ガールの効果発動! 1ターンに1度、ORUを1つ使って、カードを1枚ドローできる!」

ACTIVATE!
起動《フェアリー・チア・ガール》:ドロー
《フェアリー・チア・ガール》ORU×2→1
DRAW!
・アズ 手札:2→3

 ドローカードを確認する―――必要もなかった。デッキトップのカードに指が触れた瞬間、アズにはその正体がわかっていたのだ。右腕に握られたそのカードが月明かりに照らされ、満足げに微笑むアズ。明らかになったカードの正体に、むしろナイトの方が驚いていた。

ナイト
『アズ……このカードは一体……?』
アズ
「わたしは心の奥で、ずっと罪に震えていたから……このカードも、紛れもなくわたしなんです。でも、見ていてください、ナイト。わたしは悪夢だって、心の剣に変えてみせます! 《デュエルナイト・セイバー》をリリース! わたしの剣よ! 悪夢の終焉を刻め! 《ナイトメア・セイバー》を特殊召喚!」

 白の魔剣士を中心に、稲妻が発生し、夜の風に流れる周囲の魔力を吸収して、剣たる少女は黒く染まっていく。6つのORUが大剣に吸収され、刀身が黒く、そしてノコギリのように禍々しい形に変容していった。
 かっと、黒の魔剣士が眼を開く。その瞳だけが、主と変わらぬ真紅の光を宿す。

SPECIAL SUMMON!
《ナイトメア・セイバー》ATK:2500・☆8

闇アズ
『あぁ……そんな……』
アズ
「わたしもこのカードを使えるということは……あなたもわたしも、「アズ」であったという証明です。でも……それでも言わせてもらいます!」

 アズが右の人差し指を、まっすぐに闇アズサに突き付けて、高らかに言い放った。

アズ
「消えなさい! 偽物のアズよ!」

 同時に、黒の魔剣士の剣が強烈な闇の魔力の力場を生じさせる。空中に浮かぶ巨大な姫君が、その力場に引き込まれて地上に墜落し、膝をつく。青い稲妻が姫君を包み込み、デュエルピースの魔力が、禍々しき魔剣にみるみる吸収されていく。

アズ
「ナイトメア・セイバーは、リリースしたモンスターのORUの数×500ポイントの攻撃力を、相手モンスターから吸収できる! デュエルナイト・セイバーが持っていたORUは6つ……よって、シャアラから3000の攻撃力を吸収します!」

ACTIVATE!
誘発《ナイトメア・セイバー》:ATK3000吸収
《ナイトメア・セイバー》ATK:2500→5500(+3000)
《DP. 05 翡翠の悪夢を語る姫》ATK:6000→3000(-3000)

闇アズサ
『こ、攻撃力が逆転するなんて、そんな……ウソぉっ!!』
アズ
「バトルフェイズへ! フェアリー・チア・ガールでダーク・グレファーを攻撃!」

ATTACK!
《フェアリー・チア・ガール》ATK:1900 ⇒ 《ダーク・グレファー》DEF:1600

 チア天使のポンポンから光がはなたれ、全身黒の戦士は一瞬のうちに蒸発してしまう。

アズ
「ナイトメア・セイバーで、シャアラを攻撃!」

 黒の魔剣士がアスファルトを蹴った。力の半分を吸い取られてしまった姫君は、魔剣士との圧倒的な体格差にもかかわらず、もはやまともに戦う意思を見せない。ただ、魔剣士の突撃を押しとどめようと、腕を前に伸ばすのみ。その腕を、ひじの部分で魔剣士が斬り捨てる。切断された黒い二本の腕が、大地に転がった。
 剣たる少女が跳躍し、不具となった姫君の脳天から、星空を背景に大剣を掲げて急降下を始める。

ATTACK!
《ナイトメア・セイバー》ATK:5500 ⇒ 《DP. 05 翡翠の悪夢を語る姫》ATK:3000

アズ
「斬り捨てよ! ダークフェアリー・ブラックアウト!」

―――ざぁんっ!

 一閃、後に、着地する魔剣士。そして静寂。
 不意に、姫君の脳天から股下まで、一本の縦線が入った。否、その線は線に非ず、両断されたことで見え隠れする、姫君の背後の空間であった。

―――ぎゅぁぁぁぁぁ!

 二つに分かたれた姫君が、獣じみた断末魔とともに、大爆発する。そして、消滅したデュエルピースは、闇アズサそのもの。同じ痛みが、稲妻となって黒の少女を襲った。

闇アズ
『ぎゅぁぁぁぁ!』

 全身を魔の稲妻に焼かれ、偽りのデュエルフォームがぼろぼろに焼けちぎれる。瀕死の少女が倒れ込み、四肢が痙攣した。

・闇アズサ LP:3300→800(-2500)

闇アズ
『ぁぅっ……ぐぅっ……』

限界がすぐそこまで迫っているというのに、アズという一個の魂への執着だけで、なおも闇アズサは立ち上がった。

闇アズ
『いや……いや、いやイヤイヤいぁぁぁっ!』

 夜空に向けて、黒の少女が吠える。その緑の瞳からは、涙が伝い落ちていた。

闇アズ
『きえたく、なぃ……アズ……に、わたし、はぁっ……ぁ、アズに、なるぅっ!!』

 闇アズサの輪郭がとうとう揺らぎ始め、アズとしての身体と、闇色の液体との間を行き来し、混濁する。追い詰められた闇アズサ―――シャアラは、痙攣する身体を鞭打ち、足元で魔力を炸裂させて、反動で飛び出し、フィールドを駆け抜けてアズに襲いかかった。

ナコ
「あのヤロォ! 何する気だ!」
ガーネット
『……大丈夫よ』

 ガーネットのそのセリフは、アズの瞳が、それすら見越していたからこそのもの。
 跳びかかるシャアラの身体が、アズが展開したライフバリアによって止められる。アズのライフは未だ4000、全く消耗していなかったのだ。瀕死のシャアラには、バリアを砕くどころか、傷一つつけることすらかなわない。
 衝突の反作用によって、半壊したシャアラの身体が弾き飛ばされ、地面に叩きつけられた。なおも起き上がり、再び襲かかろうとするシャアラに対して、アズは手向けの言葉を投げかける。

アズ
「さよなら、もう一人の、わたし」

 同時に、アズの足元に伏せられていた罠カードが発動した。

ACTIVATE!
《エクシーズ・リボーン》:モンスター・エクシーズ特殊召喚
SPECIAL SUMMON!
《デュエルナイト・セイバー》ATK:2500・★4・ORU×1

 再び跳躍しようとしたシャアラの背後に、大剣を掲げた白の魔剣士が立っている。気づいた時には、目前に振り下ろされた大剣の刀身があった。

―――ゆるして、アズ。

 最後にそう思ったのは、果たしてどちらのアズであったか。
 両断されたシャアラの身体が完全な闇に還元され、夜風に流れて溶けていった。

DIRECT ATACK!
《デュエルナイト・セイバー》ATK:2500 ⇒ 闇アズサ
・闇アズサ LP:800→0(-2500)

                   【決闘終了 勝者:小鳥遊アズサ】

 デュエルフォームを解除し、アズが元の姿に戻る。白と黒、二人の魔剣士の姿も、同時に消滅していった。
 最後にシャアラが立っていた場所に、ひらひらとカードが舞い落ちた。ナイトがそれを拾い上げ、今度こそ厳重に封じて、光の粒子となし、御影石の瞳に吸収する。白獅子はアズにねぎらいの言葉をかけようと少女の顔を見上げて―――言葉を飲み込んだ。
 背後で見守るナコ達には、アズの顔は見えない。しかし、少女の背中が、かすかに震えていることは遠目にもわかって、誰もが言葉を失った。
 やがて、ナコが肘で委員長を小突く。

「行ってやれよ、委員長。今回は……あんたがいなきゃ、どうにもならなかったし」

 少年が無言でそれを受け取って、アズへ向かって歩きはじめる。少年の姿を認めた白獅子が、アズを残して少年の方へ歩いてきた。
 獅子と少年がすれ違う。すれ違いざま、白獅子がつぶやく。

『後は、頼んだ。少年。あまり遅くならないうちに、送ってやってくれよ』
「……まかせろ、白騎士」

 ちょうど、アナザーデュエルを終えて戻ってきた時とは、正反対のやり取りであった。
 ナコと二頭が引き上げていく。二人きりになっても、少年はアズの背後、すぐそばに立ちながら、震える背中に対して、何も言葉を投げかけない。こんなとき、抱擁して慰めるのが気の利いた男のやり口なのかもしれないし、ナコなら、もっと純粋な気持ちから、そうしたのかもしれない。
 だとしても、全てを見てしまった自分がそれをするのは、何かが違う。少年はそう確信して、少女が落ち着くのを、互いの息遣いが聞こえるほどの距離で、ただ待った。


                     *     *     *


「その……落ち着いたか?」
「……はい。もう。情けないところをお見せしてしまって、ごめんなさい」
「そんなのは、いいけどな……別に迷惑でもないし。それより、俺の方も謝らないと」
「委員長さんが……?」
「デュエルピースのせいとはいえ……全部見てしまったからな。お前の夢、というか、過去を。あまり、人に知られたいものじゃない……だろ」
「それは……でも、やっぱり謝らないでください。委員長さんの声が聞こえなかったら、勝てなかったですし。それに……その、うまく言えないですけど……委員長さんなら、知られても、悪い感じはしないかなって……」
「小鳥遊さん……」
「そ、それで……その、委員長さん、一つ、お願いしていいですか?」
「ああ。何でも言ってくれ」
「なら、「アズ」とお呼びください」

「……え?」

「呼び方です。親しい方は……「アズ」と呼びますから。それに、お母さんにもらった大事な名前だから、委員長さんに使ってほしいんです」
「そういわれると……で、でもな、その、体面とか逡巡とか羞恥とかいろいろ……」
「ダメ……ですか?」
「あ、いや……」
「夢の中の委員長さんは、呼んでくれたのに……」
「う……」

 上目使いの少女を前に、「アズ」を知ってしまった少年が、抵抗できるわけもなく。

「わ、かった……えっと……」

 少女の顔がぱっと輝き、少年の眼を見て、今か今かと急かす。もはや、引き下がれないところまで来ていた。

「……アズ」
「……! あ、あの、もう一回お願いできますか?」
「……アズ……」
「も、もう一回……!」
「アズ……! ってもういいだろ!」
「そういわず、もう一回だけ……!」

 お互い顔を真っ赤に染めながら、少年と少女の奇妙なやり取りは、帰途の間延々と繰り返されるのであった。

                        <第4話・了>


■ あとがき ~あとのわるあがき~

 なんて遊戯王らしいサブタイトルなんだ! ただ【SIN】はハイビートすぎてどうしても扱いきれない……。

 元々は二話構成のお話を、どこで区切ったらいいのかわからず、とうとう一話三分割になってしまった。
 生命の危機→貞操の危機→リップドローときて、次は何か。これはもうメンチサイド(精神破壊)しかなかろう! と確信したのが、やはり運のつき。アズちゃんの。
 とはいえ、メンチサイドというにはちょっと責めがヌルい気もするし、委員長が到着してすぐ立ち直ったし、右腕折った時の方が痛そうだったし、まあ、今回はR指定要らないような気もする。
 とか思ってたら、カードゲームと何の関係もないリアル殺人を書いていた件。やっぱR-15は毎回つけよう。

<ストーリー的なお話>
 今回は主人公の闇人格(別人格ではなく、別人だけど)登場と、遊戯王をタネに創作をするなら、一度はやってみたいシチュエーションである。どう料理するか迷うところだったが、「色以外はほぼアズと同じ+アズをメンチサイドするために必要な、適度のSっ気」という造形に落ち着いた。これまでのデュエルピースに憑依された者は、はっちゃけキャラクターばかりだったために、おとなしめの印象になっているかもしれない。
 闇人格登場と双璧をなす今回の核、アズの過去。実は、この経緯、私の処女作を下敷きにしている。処女作はまだ遊戯王もジュエルペットも知らないころ書いたもの。第一話のアズを書いていて、今までの私の創作に通底していたヒロイン要素を集約させることを思いつき、処女作のヒロインの一種のリボーンキャラクターという形で、このような過去を持たせた。といっても、全く同じものを書いたわけではない。処女作のヒロインは、思春期最中で少々ひねくれており、「父に虐待を受け、母に庇ってもらいながら、父も母もうまく愛せない」という造形であった。これに対して「いい子」であるアズは、逆に「父に虐待を受け、母に庇われながら父も母も憎まない」という逆ベクトルの造形へ進んだ。
 心理描写が面倒で結構端折っているが、伝わるだろうか……。

<キャラクター的な話>
 新キャラクター、委員長。名前は伊院千代、というのは冗談で、まぁ、名前なんぞどうでもいいから「委員長」を登場させたかったために作ったキャラ。アニメZEXALの影響である。ただ、ウザキャラとして登場し、おまけにだんだん空気化している本家の委員長と比べて、こっちの委員長はちゃんと男の子しているし、いざってときには迷わず動ける。ナコ同様、基本的にデュエルの予定はないが、心理面および頭脳面(成績もいいよ)でアズを大いにサポートしてくれるはず。
 アズパパは、原作遊戯王伝統の「ろくでもない父親」。ただお話の焦点がママなので、あんまり原作海馬のような「父殺し(父親越え)」は意識していない。
 アズママは、「狂った家庭にあって、娘を守ることに命を懸けることで自我を保つ」という、これも狂っているキャラクター。本文中ではあまりそういう描写をしなかったが、お父さん以上に狂っている。愛情の裏に狂気があるが、それでもアズにとっては最上の愛を捧げてくれる存在。アズの人格形成に一番大きな影響を与えているだろう。
 ちなみに「生きなさい」という約束をした時点では、お母さんもう死んでると思う。ただ、最終的にアズママのやっていることが、ほとんどホラー映画「呪怨」の佐伯伽耶子そのままというのがね。実はそれを受けて、最初の宿主である浮浪者の名前は伽耶子の息子「佐伯俊雄」から、「冴木トシオ」としてあるわけだが。

 ホラーファンで悪かったな!

<遊戯王的なお話>
 今回は、数あるTCGの中でもユニークな効果として名高い、MTGの「サブゲーム(ゲーム内ゲーム)」を題材とした。MTGでは、日本語でいう「シャハラザード」と「ダンジョン潜入」の2枚がそのような効果を持っている。今回の「シャアラ」というデュエルピースのネーミングは、アズが言うように、本家MTGのアラビアンナイトの語り手からきている。
 アナザーデュエル(サブデュエル)中は、基本的にミラーマッチになっているが、下記のデュエルピースの効果を読めばわかるとおり、実はアナザーデュエルに入る前にサイドチェンジができることになっている。そこで、【ギミック・パペット】から【アズ】デッキへとスイッチしたという設定。
 なお、前回のライオウといい、今回のウサギといい、アズのデッキに壮絶にガチなカードが含まれ始めている。OCGに通じた方ならおわかりだろうが、一瞬ヴェルズ・オピオンを出しかけている。おかげでこれから彼女のデッキがいかに発展するか、道筋が見えてきた。
 また、デュエルターミナルマスターガイドを購入して、内容が結構面白かったことに引きずられて、これからはDTのカードも増えてくるかもしれない。
 また、空気を読まずにダルク×ライナネタを挟んでいる。案外、この手のOCGネタを挟んでいくのも楽しいかもしれない。霊使いについてはそれほどファンという訳でもないが、アウスはかわいいですね。

<オリジナルカード>
 本編中に登場したオリジナルカードを、コメントともに掲載。

◆《憑依装着―ライナ》
効果モンスター
☆4/光属性/魔法使い族
ATK:1850・DEF:1500
[ル]このカードは自分フィールド上の「光霊使いライナ」1体と光属性モンスター1体を墓地へ送り、手札またはデッキから特殊召喚できる。
[誘]この方法で特殊召喚に成功した時、デッキからレベル3またはレベル4の魔法使い族・闇属性モンスター1体を手札に加える事ができる。
[永]また、この方法で特殊召喚したこのカードが守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が超えていれば、その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える

コメント:ライナだけまだ憑依装着がないので、勝手に作る。作ると言っても、ダルクのテキストの光と闇を入れ替えただけ。ただ、これだとエクゾ本体をサーチ出来てしまうのが少々危険かもしれない。レベル4サーチ限定でもいいので、コナミにOCG化が望まれるところ。


◆《DP. 05 翡翠の悪夢を語る姫》(デュエルピース・ファイブ ジェイドメア・ザ・シャアラ)
デュエルピース・効果モンスター
☆10/闇属性/悪魔族
ATK:3000・DEF:2000
[ル]このカードは、ORUを持つことができる。自分フィールド上に表側表示で存在する墓地から特殊召喚したモンスター2体以上を下に重ねてORUとし、手札からこのカードを特殊召喚できる。
[外]この方法で特殊召喚に成功した時、互いのプレイヤーはその時点のデッキ・エクストラデッキを自分のデッキ・エクストラデッキとし、ライフ4000ポイントで、デュエル中1度だけサブデュエルを行う(先攻・後攻は入れ替え、デュエルとフィールドは共有しない。また、サブデュエル開始前に1度だけサイドデッキのカードとデッキのカードの交換ができる)。このカードの効果によるサブデュエルが終了した時、サブデュエルの互いのフィールド・墓地・手札に存在するカードを全てゲームから除外し、その時点のサブデュエルのデッキ・エクストラデッキをデッキ・エクストラデッキとし、デュエルを再開する。また、サブデュエルに勝利したプレイヤーは、このカードのORUの数までカードをドローし、敗北したプレイヤーは、このカードのORUの数×1000ポイントのライフを失う。

コメント:効果長すぎぃ……。サブデュエルなどという前例のない効果を過不足なく書くのは無理だった……。サブデュエルとの勝者と敗者のデメリットはいささか大味だったか。


◆《ナイトメア・セイバー》
効果モンスター
☆8/闇属性/魔法使い族
ATK:2500・DEF:2000
[ル]このカードは自分フィールド上に表側表示で存在するORUを持つモンスター1体をリリースして手札から特殊召喚できる。
[誘]この方法で特殊召喚に成功した時発動する。エンドフェイズ時まで、このカードの攻撃力はリリースしたモンスターのORUの数×500ポイントアップし、相手フィールド上のモンスター全ての攻撃力を同じ数値分下げる。

コメント:黒いデュエルナイト・セイバー。名前はいろいろ迷ったが、シンプルに落ち着いた。いっそ、《SINデュエルナイト・セイバー》でもよかったかもしれないが、フィールド魔法も除外もパラドックスもドラゴンも何の関係もないので、まあ、これでよかろうと。効果は、調整版ホープレイといったところ。


 とまれ、またどこかで。  
 

 
後書き
というわけで、一挙4話まで試験投稿。

一話あたり長すぎますかね。もうちょっと切ってもいいんですが、デュエルは一気に書いているので切りどころがわからないというか・・・。

ちなみに後で気づきましたが、このデュエルは重大なルールミスがあります。それはゴーズ。モンスターが戦闘破壊されたときのダメージでゴーズが召喚できるわけない・・・。ダメージ計算からゴーズ発動までの間に心象風景が入っているので、うっかり忘れてしまいました。のですが、ゲーム構成を直す気力がなく、展開としても気に入っているので、そのままにしています。ゲームリプレイ創作はほんと怖い。

形式、内容いずれも、感想等ありましたら忌憚なく。 
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