FAIRY TAIL 真魂の鼠
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第十一話 『白と黒の象徴』 後編
前書き
こんにちは~♪07でぇ~す♪
今回は『白と黒の象徴』後編ですっ!!攫われたルイカ王女と『白の象徴』の運命は!?そして、シトロン騎士の恋の行方は・・・!?
途中で目線が変わります。最初はシン目線です。
それでは、第十一話・・・どうぞ~♪
俺はあの後、眠っているマリアさんとプリシアさんを抱えて炎に包まれた『アディール城』から脱出した。俺は所々火傷を負い、今はドニファンが持ってきた氷水で冷やしている最中。
マ&プ「申し訳ございませんっ!!」
マリアさんとプリシアさんが俺と『アディール城』の王であり、ルイカ王女の父親のルージュ王に頭を下げる。
シ「俺は大した事してませんよ。あのまま放って置いたら二人は丸焼きでしたから。」
マ&プ「ルイカ王女を助けられないくらいなら、丸焼きになった方がましですっ!!」
そ、そんな・・揃って同じ事を言わなくても・・・マリアさんとプリシアさんの瞳には、涙が溜まっていた。後からソーヤが教えてくれたんだけど、マリアさんとプリシアさんの家は、代々『アディール城』の王女様に仕えるメイドだったらしい。すると、今までずっと黙っていた『アディール城』王であり、ルイカ王女の父親のルージュ王が、
ルー「マリアとプリシアのでせいではない。『イドゥーレ城』の騎士がやって来たとゆうのに、警戒しなかったわしの判断ミスじゃ。」
ルージュ王は自分の事を責めた後、俺の方に顔を向けると、
ルー「お前にも怪我を負わせてしまった。この通り、お詫び申す。」
ルージュ王は俺に頭を下げた。王様が騎士一人に頭を下げるなんて・・・聞いた事もねぇぞ。
シ「そ、そんな、こんな火傷、氷水で冷やせばすぐ治りますよ。」
実際氷水で冷やしてるし。
ウェ「しかし、『白の象徴』を奪われたうえに、ルイカ様まで攫われてしまうなんて・・・」
バ「でも、どうしてルイカ様を攫ったんすかね?」
ジュ「それに、地下には警報装置があるはず。『白の象徴』を盗んだ時、どうして鳴らなかったんだ?」
謎が多い中、ルージュ王がゆっくりと口を開いた。
ルー「シトロン、『白の象徴』とルイカを攫いに来たのは「リドリー」と「レイチェル」と名乗らなかったか?」
シ「そうです。男が「リドリー」、女が「レイチェル」と名乗ってました。」
俺の言葉にルージュ王は「やはり・・・」と小さく呟くと、
ルー「リドリー・ピアスンとレイチェル・マルティーは『イドゥーレ城』に仕える者で、『黒の誘拐団』とゆう異名で呼ばれている有能な攫い屋だ。」
「攫い屋」?何だそれ?
ソ「ブラッククラウンでは逃がし屋、修理屋という変わった仕事があるんです。人を攫ったりして働くのが攫い屋。リドリーとレイチェルは、『イドゥーレ城』に仕える有能な攫い屋なんです。」
ソーヤが教えてくれた。『白騎士』と『黒の誘拐団』・・・面しれぇじゃねぇか。俺は他の人達にバレないように口角を上げる。
ルー「リドリーとレイチェルは自分たちで作った誘拐道具で人を攫ったり、物を奪ったりするのを得意としている。もちろん、その道具で戦う事も出来る。」
なるほどねぇ~。
ルー「そして、『イドゥーレ城』の王であるオルフェスの息子であり、『イドゥーレ城』の王子であるオリファスは、ルイカに惚れておるんじゃ。」
シ「なぁにぃぃぃぃぃっ!?」
俺は驚きのあまり飛び上がる。だからあいつ等はルーシィを攫ったのか・・・!ルージュ王は額に手を当てると、
ルー「オリファスはすでに結婚まで考えておる。急がなければ、ルイカは・・・!」
俺はだんだん腹が立ってきた・・・!怒りで拳が震えている。ていうか・・・俺は小声で隣にいるソーヤに聞く。
シ「これ、RFG内での出来事だよな?本当に結婚する訳・・ない、よな?」
ソ「う~ん・・・時間が経つに連れて、ルーシィ様は本当に結婚してしまうかもしれませんね。」
ソーヤの答えに俺の思考が止まった。敵対関係になってる顔も知らない男と初めて会って結婚するなんて、そんな馬鹿げた話、ある訳ねぇっ!!俺は立ち上がると、ルージュ王に頭を下げて、
シ「俺が、ルイカ様と『白の象徴』を取り返しに行きますっ!!」
断言した。
ルー「し、しかし、お前は怪我を・・・」
ド「心配要らないですよ、ルージュ王様。シトロンはルイカ様の為なら火の中水の中、どこでも飛んで行きますから。だろ?シトロン。」
ルーシィだけ助けに行くんじゃねぇ。『白の象徴』も取り返しに行くんだ。一言二言余計だが、横からドニファンが説得してくれる。ルージュ王は目を瞑ってしばらく考えた後、
ルー「・・・・良かろう。シトロン・ファメイルよ、ルイカと『白の象徴』の運命を貴様に託す。ただし、必ず明日の日没までにルイカと『白の象徴』と共に、『アディール城』に戻って来るのが条件じゃあっ!!」
天に届くくらいの迫力のある声で命じた。俺は一礼すると、『イドゥーレ城』に向かって走り出した。が、
?「ま、待って下さぁ~い!!」
非常に慌てた声が俺を止めた。急いでる時に、何なんだよ・・・ムスッとした顔で振り向くと、白い馬を連れた童顔の俺と同じ格好をした男が走って来た。
ソ「シン様と同じ、『アディール城』の騎士であり、主に馬の世話を担当しているアワーズ・カギシャリオさんです。」
ソーヤが教えてくれた。随分長い名前だな・・・アワーズは息を切らして来ると、
ア「シンさん!よかったら、この馬に乗って行って下さいっ!!」
アワーズが連れてきた白い馬が尻尾を振る。
ア「この子はフィニイとゆうとても賢い馬です。『イードゥレ城』までの道のりを全て覚えているので、指示をすれば連れて行ってくれますよ。」
へぇ~。俺がフィニィの背中を優しく撫でると、ザラザラした舌で右頬を舐めてきた。
ア「フィニィ、シンさんの事が気に入ったみたいです。」
俺はフィニイの涎を拭いながらフィニイの背中に跨る。馬の背中に乗ったのは人生初だ。俺の後ろにソーヤがちょこんと座る。結構高いんだなぁ~・・・手綱を操ってフィニイの顔を街の方に向ける。
シ「それじゃあ、必ずルイカ様と『白の象徴』と一緒に、明日の日没までに帰って来ます。」
そう言うと、手綱を軽くペチンッ!と叩くと、フィニイは『イドゥーレ城』に向かって風のように走り出した。
ソ「ルーシィ様、無事でしょうかね?」
シ「分からねぇ。でも、必ず俺が助けるっ!!」
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『ここからルーシィ目線でいきます。』
ル「・・ん・・・こ、ここ・・は・・・?」
気がつくと、皺一つ無い白い布が掛けられている長方形のテーブルに、横に十脚、縦に一脚ずつ椅子がずらぁーーーーーっと並べられていた。でも、そこは『アディール城』じゃないって事が一目で分かった。『アディール城』はピンクや白、クリーム色や薄い水色といったパステルカラーが目立つけど、今私がいるのは赤や白、黒や茶色といったゴシック調の色が目立っている。
ル「ど、どこなのここは・・・って、えぇぇぇぇぇっ!?」
立ち上がろうとしたけど、私の両手は椅子の手すりにガムテープで固定されていて、両足もガムテープでぐるぐる巻きにされていた。ど、どうなってるのぉ~!?混乱していると、横にソフィアが立っていた。
ル「ソフィア!私何で拉致されたみたいな状況になってるのっ!?ていうかこれ外してぇ~!!」
ソフィ「すみません、ルーシィ様。私はRFG『白と黒の象徴』の案内役として、ルーシィ様の傍にいます。ですが、ルーシィ様を助ける為に傍にいる訳ではないのです。なので、このガムテープを外す事は出来ません。」
ル「そんなぁ~!!冷たい事言わないで外してよぉ~!!」
私が椅子ごと暴れていると、
?「お目覚めですか?ルイカ王女様。」
声がした方に視線を移すと、外側にくるんとカールした茶色い髪の毛に、鼻の下に先がくるんとカールした茶色い髭の男の人と、茶色い短髪に、顔にそばかすのついた青年がいた。
オ「こんな見苦しい状況にさせてしまいお詫び申します。私は『イドゥーレ城』の王、オルフェスと申します。」
オリ「僕は『イドゥーレ城』の王子、オリファスと申します。初めまして、ルイカさん。」
『イドゥーレ城』!?確か、『白の象徴』を狙っているのよね・・・そうだ。私、あの時、リドリーっていう人と、レイチェルっていう人に眠らされて・・・
ル「私をどうするつもり?」
オ「実は、息子のオリファスが、ルイカ王女様に惚れていまして。」
ル「えっ?」
私の思考が止まった。オリファスは恥ずかしそうに顔を赤らめながらこっちに歩いてくる。
オリ「写真とかでは何度も見た事があるけど、やっぱり本物は美しい。まるでピンク色の薔薇のようだ。」
例え方は素敵だけど、気持ち悪い・・・
オ「すでに結婚手続きもしております。式は明日。ルイカ様には素敵なウェンディングドレスに身を包んでいただきます。」
ル「え・・・」
私の頭の中が真っ白になった。ソフィアも隣で目を見開いている。
オリ「楽しみだなぁ~。ルイカさんのウェディングドレス姿。」
オ「明日までの辛抱だ。それではルイカ王女様、この後メイドが部屋に案内していただきますので、今日は明日に備えてゆっくりお休み下さい。」
そう言ってオルフェスとオリファスは出て行った。その後すぐに、数名のメイドさんが来た。
メ1「ルイカ王女様、お部屋にご案内致します。」
メイドさんたちがガムテープを外してくれて、ようやく自由になった。そのまま私は部屋に案内された。
メ2「こちらが、本日ルイカ王女様がお休みになられる部屋でございます。」
扉を開けると、この部屋だけゴシック調の色じゃなくて、パステルカラーでまとめられた部屋だった。でも、『アディール城』と違って少し薄暗かった。
メ3「それでは、ごゆっくり、お休み下さい。」
そう言ってメイドさんたちは扉を閉めて部屋から出て行った。メイドさんたちの足音が聞こえなくなると、私は扉に手を掛けた。が、
ル「う、嘘ッ!?開かない・・・」
何度もやってみたけど、扉はガチャガチャ音を立てるばかり。窓の外を見ても、地面は遥か下にある。とても飛び下りて怪我だけで済む高さじゃない・・・私は絶望的だった。
ソフィ「ルーシィ様、これって・・・!」
ソフィアの声に顔を上げると、部屋のベットの手すりに純白のウェディングドレスがあった。明日、これを着るんだ・・・そう思うと涙が溢れてきた。私は両手で顔を覆い、その場にうずくまった。
ソフィ「大丈夫です。私もずっと傍にいますし、シン様とソーヤが、必ず助けに来てくれますよ。」
ソフィアが背中を優しく撫でながら励ましてくれた。
ル「シン・・・早く、早く、助けに来て・・・!」
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『ここからまたシン目線でいきます。』
ル『シン・・・早く、早く、助けに来て・・・!』
シ「えっ?」
ソ「シン様?どうかしましたか?」
シ「あ、いや、何でもねぇよ。」
今、ルーシィの声が聞こえたような気がした。嫌な予感がする・・・!
シ「フィニイ!急いでくれっ!!」
フィニイは手綱も叩いていないのにスピードを上げた。アワーズが言ったとおり、めちゃくちゃ賢い。すると、
ソ「シン様!あれ!」
ソーヤが指差した方を見る。前方には灰色の壁に黒い屋根のでかい建物。建物の周りに赤々と燃える炎が揺らめいている松明が燃えていた。
シ「あれが、『イドゥーレ城』・・・」
『アディール城』は白い壁に赤い屋根、周りには色とりどりの花が咲いていて、全体的に華やかだ。物語に出て来るお城そのものだ。が、『イドゥーレ城』は『アディール城』の真逆だ。一言で言えば、魔物が取り付いたお城だ・・・
ソ「ぶ、不気味ですね・・・」
シ「あぁ。」
すると、『イドゥーレ城』の門の前に二人の人影が見えた。一人は群青色の髪の毛に黒い瞳、体がすっぱり隠れる黒いマントを羽織っている男と、栗色のウェーブがかかったロングヘアーに茶色い瞳、紫色のワンピースを着た女。俺は門の前でフィニイを止めた。
シ「リドリー、レイチェル。『黒の誘拐団』・・・」
リ「やっとお気づきになられましたか。」
レ「待ちくたびれましたわ。」
俺はフィニイから降りると、腰に差してあった剣を抜いて刃先をリドリーとレイチェルに向ける。
シ「ルイカ様と『白の象徴』はどこだ。」
リドリーとレイチェルは肩を竦めると、
リ「ルイカ王女様の居場所は分からない。攫った後、そのままオルフェス王に連れて行かれてしまいましたから。」
シ「何ッ!?」
ソ「えぇっ!?」
俺とソーヤは目を見開く。冷や汗が額から右頬に流れ落ちる。・・・ま、まさかとは思うが、あ、明日・・結婚式とかやるつもりじゃあ・・ねぇよな・・・?
レ「あなたが思っているとおり、明日、オルフェス王の息子であり、『イドゥーレ城』の王子、オリファス王子とルイカ王女様の結婚式が開かれますわ。」
シ「んなっ!?」
ソ「あわわわわ・・・!!」
開いた口が塞がらない。案内役のソーヤも思っても見なかった事に慌てふためく。リドリーとレイチェルは驚く俺とソーヤ(ソーヤは姿が見えないけど。)を鼻で笑う。
リ「『白の象徴』は『イドゥーレ城』のどこかにあります。」
シ「どこだっ!!」
レ「言う訳無いじゃなぁ~い♪でも、私たちとの勝負に勝つ事が出来たら、教えてあ・げ・る♪」
レイチェルの投げキッスをさり気なく避ける。
シ「・・本当に、お前等の勝負に勝ったら、『白の象徴』がある場所を、教えてくれるんだな?」
リ「はい。僕たちは嘘をつきません。」
レ「約束は、必ず守るわよ♪」
レイチェルのウィンクをさり気なく避ける。
シ「その勝負、受けて立つ。」
リ「『白騎士』の君なら、そう言うと思っていました。」
レ「楽しみましょうね☆」
リドリーとレイチェルには『余裕』とゆう言葉しか表示されていない。そんなに自信があるのか?尚更面白くなってきた。
ソ「シン様、本当に戦うんですか?あの二人、とても強いですよ。」
心配そうにソーやが言う。
シ「挑まれた勝負は引き受けるのが基本だ。それに、この勝負に勝てば、二つ目の試練の三分の二は達成出来るし、『白の象徴』の在り処を教えてくれるんだろ?一石二鳥じゃねぇか。でも、負ける事は許されねぇ。」
俺は小声で言う。この勝負、『利益』にもなれば『不利益』にもなる。俺は持っていた剣を構え直すと、まずはリドリーに向かって駆け出した。
シ「うぉらぁぁぁぁぁっ!!」
剣を思いっきり振りかざす。が、
リ「防御!」
リドリーの両手から半透明の黄緑色の正方形が出てきて、俺の攻撃を防ぐ。
レ「炎の幻影!」
レイチェルが横から炎を繰り出す。でも、「幻影」という事は・・・俺は炎を避けずにそのまま立ち竦む。すると、炎は俺の体をすり抜けた。レイチェルは一瞬目を見開いたが、すぐに不吉な微笑を浮かべた。
レ「あら。この仕組みに気づくなんて、なかなか冴えているのね。」
リ「君は倒しがいがある。」
それは喜んでいいのか?でも、こいつ等相手に剣一本で戦うのはさすがに難しいな。俺は地面に剣を投げ捨てた。
リ&レ「!?」
ソ「シン様!何をっ!?」
その場にいた全員が俺の思わぬ行動に目を見開く。が、
シ「勘違いするなよ。俺は降参なんかしない。ただ、お前等に剣一本で戦うのは難しいと判断したんだ。だから・・・」
俺はズボンのポケットから五色腕輪を取り出すと、紐から緑色の腕輪を外し腕に付ける。
シ「俺も道具を使って戦う事にする。」
両手に風を纏う。
リ「な、何だあの道具は・・・!?」
レ「初めて見たわ・・・」
リドリーとレイチェルは五色腕輪に目を丸くしている。驚くのも無理無いよな。でも、
シ「よそ見してたら、危ないぞっ!!」
リ「うがっ!!」
レ「あふっ!!」
風を纏った拳でリドリーの右頬を、レイチェルの額を殴る。
シ「風は、そよ風~爆風がある。風で吹き飛ばすのはもちろん、風で切り刻む事も出来るんだぜ。自然ってすげぇ~よなぁ~。」
なぜ俺がこんな余談話をしたかと言うと、なぜリドリーの右頬とレイチェルの額から血が出ているのか説明したかったからだ。リドリーは右手で血を拭い、レイチェルは左手で額を押さえながら、
リ「・・・君は、面白い道具を持っているんですね。その道具がとても欲しくなりました。」
レ「か弱い女性に傷を付けるなんて、その道具は処分しないといけないわね。」
レイチェルが「か弱い女性」かは俺には分からねぇけど・・・俺はもう一度風を両手に纏うと、
シ「だらぁぁぁぁぁっ!!」
リドリーの顎、レイチェルの鳩尾を狙うが、
リ「防御!」
レ「守護神!」
今度は防がれた。さて、そろそろ最後の攻撃にするか。俺は緑色の腕輪を外すと、今度は紐から赤い腕輪を外し腕に付けた。両手に炎を纏う。
シ「俺はこれで、最後の攻撃にする。」
リ「ほぅ。では、僕達も・・・」
レ「女性たるもの、最後は美しく終わらせましょう。」
俺達三人は小さく微笑むと、
リ「原子爆弾!!」
レ「孤独な幻影!!」
シ「でぇりゃああああああああああっ!!」
三つの技がぶつかり合い、ドドドガガガガガァァァァァァァァァァン!!!と爆発音が当たりに響き渡り、砂煙が舞う。
シ「ゲホッ!ゲホッ!ゲホッ!」
ソ「コホッ!コホッ!コホッ!」
すぐ近くでソーヤが咳き込んでいるのが聞こえた。随分可愛らしい咳だな・・・俺は咳き込みながら、左手で砂煙を晴らそうとする。すると、まだ砂煙でよく見えないけど、地面に誰かが倒れているのが微かに見えた。砂煙が晴れると、倒れていたのはリドリーとレイチェルだった。この勝負、俺の勝ちって事だ。俺は倒れているリドリーの肩を揺さぶる。
シ「おい、俺が勝ったんだ。約束どおり、『白の象徴』の在り処を言え。」
俺が言うと、リドリーはゆっくり起き上がり、
リ「・・・『白の象徴』は、『イドゥーレ城』の地下にある。『黒の象徴』と一緒に並べて置いてあるはずだ。」
シ「『イドゥーレ城』の地下へはどうやって行くんだ?」
すると今度はレイチェルがゆっくり起き上がり、
レ「『イドゥーレ城』の敷地に、木の蓋で塞がれた隠し通路があるわ。そこを通って行けば、『イドゥーレ城』の地下に行けるわ。」
ふぅ~ん。以外にあっさり親切に教えてくれるもんなんだな。俺は立ち上がると、
シ「んじゃ。」
振り返らずに歩き出した。俺の後ろをちょこちょことソーヤがついて来た。が、その時、リドリーとレイチェルが怪しげに微笑んでいるのに、俺とソーヤは気づかなかった。
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シ「ここだな。」
リドリーとレイチェルが言ってたとおり、『イドゥーレ城』の敷地に着の蓋で塞がれた隠し通路があった。そこには梯子が掛けられていて、俺とソーヤは慎重に梯子を下りて行った。
シ「よっと!」
十m程下りた所でようやく足が地面に着いた。地下は真っ暗で何も見えない。が、中央に白く光り輝く『白の象徴』と、黒く不気味に光る『黒い象徴』が眩しい輝きを放っていた。俺は『白い象徴』を手に取ると、ズボンのポケットに押し込んだ。
ソ「ありゃりゃ。二つ目の試練を達成する前に、三つ目の試練を達成しちゃいましたね。」
シ「えっ?」
・・も、もしかして・・・『白い象徴』を取り戻すのが、三つ目の試練だったのか?でも、二つ目の試練も三分の二は達成してるんだ。後は『イドゥーレ城』の王子、オリファスを倒してルーシィを助ければ二つ目の試練も達成だ。まだ時間もたっぷりあるし、日没までには間に合う。
シ「よし。まずはここから出ねぇとな。」
梯子に右足を掛けたその時、俺の足元に金色の魔法陣が浮かび上がった。
シ「な、何だこれ?」
そう思った瞬間、魔法陣から地雷が起こり、俺を襲った。
シ「うがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
ソ「シン様ッ!?」
いきなりの攻撃に、もちろん俺はかわす事が出来ずにまともに地雷を受けた。・・こ、ここまで、来て・・・こ、こんなの、アリ、かよ・・・俺はその場に倒れ込み、意識を失った。
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『ここから少しだけまたルーシィ目線でいきます。』
翌日、私は純白のウェディングドレスに身を包んで窓の前に立っていた。
ル「シン・・・」
何で、何で助けに来てくれないのよ・・・!
ソフィ「大丈夫ですよ。もう少しで、シン様もソーヤも助けに来てくれますよ。」
ソフィアが必死に励ましてくれるけど、私の心はあまり晴れなかった。すると部屋の扉がノックされた。もしかして、シン!
ル「どうぞ。」
期待して扉の方を向く。扉の前には数人のメイドさんが立っていた。
メ1「ルイカ王女様、そろそろお時間です。」
ル「・・・はい。」
私はメイドさん達に連れられて部屋を出た。涙が頬を伝ったけど、ベールのお陰でメイドさん達には分からなかった。でも、ソフィアには見られちゃった、かな・・・?
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『ここからまたシン目線でいきます。』
シ「・・・ん・・・・んぁ?」
ソ「シン様ッ!?よかったぁ~。」
目を開けると、目の前にソーヤの顔があった。体を起こすと、全身が悲鳴を上げる。そして俺は最悪な事を思い出した。
シ「ソーヤ!今何時だっ!?」
ソ「時間は分かりませんが、たぶん夜は明けていると思います。」
「夜は明けている。」という事は・・・結婚式が始まってるってゆう事だっ!!俺はソーヤの胸倉を摑むと、
シ「ソーヤ!何で俺を起こさなかったんだっ!!」
ソ「以前も言いましたが、僕はRFG『白と黒の象徴』の案内役であり、シン様の傍にいます。ですが、シン様の事を助けたりする事は出来ません。なので・・・」
「俺を起こすのはルール違反だ」って言いたいんだろっ!?とりあえず、まずはここから早く出ねぇと。俺が梯子に右足を掛けようとすると、
ソ「また地雷が襲ってくるかもしれませんよ。」
ソーヤの言葉に動きを止める。
シ「くっそっ!!どうやってここから出ればいいんだっ!!」
ソ「他に出る方法があるかもしれません。探してみましょう。」
俺とソーヤは他に出口がないか地下をくまなく探した。が、出口らしきものは何にも無かった。
シ「くっそぉ~!!」
俺は固く握り締めた拳で地面を殴る。その時、ちょろちょろちょろと微かに水が流れる音がした。俺は耳を澄まして水の音がする所を探した。すると、地下の端に直径がハンドボールくらいの大きさの折れた下水道管が突き出していた。そこに耳を当てると、微かに大勢の人の声が聞こえた。この下水道管の中を通って行けば、外に出られる!
ソ「ですが、こんな狭いところをどうやって通るんですか?僕は案内役で、幽霊のような存在なのですり抜けて通れますけど。」
あ、そうなんだ。なら心配はいらないな。俺は左手首に付けている緑と赤茶色の石のブレスレットを外す。
ボワワワワワァン。
白い煙が俺の体を包み込む。煙が晴れると、『子』の姿になった俺がいた。俺の姿にソーヤは目を丸くすると、
ソ「シ、シン様・・・あなたは、いったい・・・?」
俺は急いでいるので手短に答えた。
シ「鼠人間だ。」
俺はそう言うと、下水道管の中に滑るように入って行った。俺の後ろをソーヤが幽霊のようについて来る。急がねぇと、体が元に戻っちまうし、ルーシィが・・・!
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『ここからまたルーシィ目線でいきます。』
レッドカーペットの上を汚れ一つ無い純白のスーツをピシッと着こなしたオリファスと、白い薔薇の飾りが付いた純白のベールとウェディングドレスに身を包んだ私がお客さんの歓声を浴びながらゆっくり歩く。私の横でソフィアが歩いてるけど、姿は私にしか見えないから誰も気に留めない。結婚式はそのまま順調に進んでいき、いよいよキスシーンに・・・
オリ「ルイカさん、失礼します。」
オリファスは口調はすごく落ち着いてるけど、手がすごく震えている。震える手で、ベールを上に上げる。すぐ隣でソフィアがドレスを摑む。
ソフィ「シン様・・・ソーヤ・・・」
オリファスがゆっくり目を閉じて顔を近づける。私は目を硬く閉じた。その時、
オリ「ぐはっ!!」
目を開けると、私の目の前にはオリファスの姿は無かった。見回すと、人ごみの中に突っ込んでいる。
ソ「二つ目の試練、達成ですっ!!」
聞き覚えのある男の子の声がした。すると、私の体がふわっと持ち上がった。私の足は地面に着いていない。私はお姫様抱っこをされている状態だった。
ル「えっ?」
逆光で顔は見えないけど、グレイと似た感じの灰色の髪の毛が風で揺れている。
オ「お、お前は何者だっ!?私の息子の結婚式を台無しにして、息子をこんな無残な姿にさせるとはっ!!」
オルフェスが怒鳴り声を上げる。私をお姫様抱っこをしている人は鼻で笑うと、
シ「俺はシトロン・ファメリア!偉大なる『アディール城』より、ルイカ王女をお迎えにあがった!!」
ル「シィ~ンッ!!」
シ「おわっ!!」
私はシンに飛びついた。シンはバランスを崩して私を抱いたまま倒れる。シンは上半身だけを起こして、私の耳元に顔を寄せると小声で、
シ「ルーシィ、今の俺たちはシトロンとルイカってゆう設定なんだ。シンとルーシィって言ったら怪しまれるだろ。」
ル「ゴメンゴメン。」
やっぱり、シンって演技が上手いのね。すると、私の鼻がツゥ~ンとくる臭いに反応する。
ル「シ、シン?何か臭わない?」
シ「あ、悪ィ。たぶん、下水道管の臭いだ。」
な、何でシンから下水道管の臭いがするのよっ!?突っ込みたかったけど、私とシンは立ち上がる。お客さんたちはざわついていて、オルフェスは真っ青になっている。
オ「シ、シトロン・ファメリアだと・・・!?き、貴様が、あの『白騎士』の異名を持つ、有能な『アディール城』の騎士か・・・!?」
シ「あぁ。」
私には『白騎士』の意味が全く分かんないけど、それがシン・・・いや、シトロンに関係しているとゆう事は分かった。
オ「リ、リドリーとレイチェルはどこだっ!?早くこいつを倒せっ!!」
シ「残念だけど、その二人ならすでに俺が倒した。それと、『白の象徴』は取り返しといたぜ。」
あの二人を倒したのっ!?シンはポケットから白く光り輝く『白い象徴』を取り出した。それを見たオルフェスは真っ白になった。すると、私とシンの背後に人が三人横に並んで通れるくらいの夜空のように光り輝く大きな門が姿を現した。
ソ「空想の世界の出口、『終わりの門』です。」
ル「これが、『終わりの門』・・・」
ソフィ「三つの試練を全て達成したので、この門が現れたのです。」
周りにいた人たちはいきなり現れた大きな門に驚いて言葉を失い、その美しさに見惚れていた。
ソ「RFG『白と黒の象徴』はこれにて終了です。」
ソフィ「『終わりの門』を潜って元の世界にお戻り下さい。」
ソ&ソフィ「本日はRFG『白と黒の象徴』に挑戦していただきありがとうございましたっ!!」
ソーヤとソフィが私達に頭を下げる。シンはソーヤに『白の象徴』を渡すと、私の事をまたお姫様抱っこをする。
ル「ひゃあっ!!」
シ「な、何で驚くんだよ?さっきは平然としてたのに?」
だ、誰でもいきなりこんな事されたら、驚くに決まってるでしょっ!!私の気持ちにシンは気づかずに、
シ「じゃあなソーヤ、ソフィア。」
ソーヤとソフィアに手を振っていた。私も慌てて手を振る。
ル「元気でね。」
ソ「シン様もルーシィ様も。」
ソフィ「どうかお幸せに。」
最後にソフィアが言ってた意味が分からなかった。なぜかシンは顔を赤らめていたけど。私はシンにお姫様抱っこをされたまま、『終わりの門』を潜った。
ソ&ソフィ「Best wishes!!」
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『終わりの門』を潜ると、私達は空想の館に戻って来ていた。
ナ「シン!!」
ウェ「ルーシィさん!!」
皆はすでに戻って来ていた。私とシンが一番最後だったみたいね。シンはやっと私を下ろしてくれた。そっと右頬を触ってみるとすごく熱かった///////////////その時、
ロ『お疲れ様でした。』
フィ『RFG、楽しんで頂けましたでしょうか?』
スピーカーからロッタとフィーネの声が聞こえた。
エ「すごく楽しかったぞ。」
グ「Gだとは思えねぇくらいRだったぜ。」
ケ『そりゃあよかった。』
セ『皆が挑戦したRFG、現実化させる事が出来ると思うかな?』
ケイが喜んで、セナが質問してきた。でも、
ル「現実化は出来ると思うけど、しない方がいいんじゃないかな?」
ロ&フィ&ケ&セ&シイ&ア「えっ?」
シャ「ルーシィの言うとおりね。私とウェンディとエルザが挑戦したRFG『囚われの南の神』を、もし現実化させるとしたら、まず『東西南北の神』なんてこの世界にいないじゃない。」
ハ「おいらとナツとグレイが挑戦したRFG『悪鬼邪神の村』を、もし現実化させるとしたら、まず『邪神』なんてこの世界にいないよ。」
シ「俺とルーシィが挑戦したRFG『白と黒の象徴』を、もし現実化させるとしたら、まず城はどうするんだよ?」
ロ&フィ&ケ&セ&シイ&ア「・・・・・」
シャルル、ハッピー、シンの言葉にロッタ達は何も言えなくなっちゃった。
ナ「RFGは空想の世界でも十分楽しめっぞ。」
ウェ「逆に、RFGを現実化させてしまったら、空想の世界で出来た事が出来なくなっちゃうと思います。」
エ「だから、私達はこのままでいいと思うぞ。」
ロ&フィ&ケ&セ&シイ&ア「・・・・・」
ロッタ達はしばらく何も話さなかった。
シイ『皆さんの、言うとおり・・・』
シイナの声が聞こえた。
ア『空想を現実化させるってゆう考えが間違ってたみたいだな。』
皆納得してくれたみたい。
ロ『本日はご協力して下さり誠にありがとうございました。報酬の400万Jはすでに妖精の尻尾に届けております。気をつけて、お帰り下さいませ。』
私達は空想の館を出た。空はすっかりオレンジ色に染まっていた。
ナ「なぁシン、お前何か臭いぞ。」
シ「下水道管を通ったんだ。気にしないでくれ。」
ウェ「な、何で、下水道管・・・?」
シン、帰ったらちゃんとお風呂入りなさいよ。
後書き
第十一話終了~♪
うん、思った以上に長くなってしまいました。腰が痛い~!!
私、結婚式行った事無いので、全く結婚式がどうゆう式なのか分かりません!結婚式がどうゆう式なのかご存知の読者様、このお話を読んで、結婚式の場面で変なところがありましたら遠慮なく指摘して下さい。お願いします。
次回はなんとシンの元に『挑戦状』が届いたぁっ!?送り主は・・・えっ?『卯』?
お楽しみに~♪
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