ヘタリア大帝国
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TURN106 ウラル星域会戦その七
「そうするわ」
「わかりました」
こうしてレッドファランクスは枢軸軍に降伏を打診した、東郷はそれを受けてモニターのスカーレットに応えた。
「そうか、降伏するか」
「忌々しいけれどね」
スカーレットは夫に苦笑いで応える。
「そうするしかないわ」
「わかった、では降伏を受諾する」
「海賊のメンバーには丁重な対応を御願いするわ」
「それは約束する」
最初からそのつもりだった、東郷もそこを害するつもりはない。
「それではな」
「後で詳しいお話を聞きたいですね」
コロネアもモニターから東郷に言って来た。
「あのバリアのことは」
「やれやれ、君もいるとはな」
「私は常にお嬢様と共にいますので」
その生死もだというのだ。
「当然です」
「相変わらず手強いな」
「それはお互い様、それでは」
「ああ、降伏を受諾する」
「それでは」
こうしてだった、スカーレットとレッドファランクスは投降した。それからだった。
東郷は敵主力の後方に回った、そのうえで彼等を後方から攻めた。
ドイツもそれを見て総攻撃に移る、それで戦いは決まった。
挟撃を受けた連合軍はかなりの損害を出して撤退するしかなかった、こうしてウラルは枢軸軍の手に落ちたのだった。
戦いは彼等の勝利に終わった、だが。
問題はここからだった、降り立ったウラルの湊において日本は困った顔で東郷に話した。
「スカーレットさんですが」
「完全に共有主義者になっているな」
「マンシュタインの時と同じだ」
レーティアもこのことをこう指摘した。
「洗脳されている」
「あの人の時もまさかと思ったがな」
東郷も今は微妙な顔で語る。
「スカーレットまで洗脳されるとはな」
「カテーリン書記長と会うとです」
そのマンシュタインの言葉だ。
「どうしてもです」
「逆らえないんだな」
「そうなってしまいます」
こう語る。
「不思議なことに」
「それはあの石のせいか」
「カテーリン書記長の左手の甲にあるあの赤い石を見ると」
それでだというのだ。
「彼女の言葉を唯一無二の真実だと確信してしまうのです」
「不思議な話だな」
「まさに洗脳されます」
そうなるというのだ。
「全く逆らえなくなります」
「そうなんですよね、本当に不思議なことに」
リディアも出て来て話す。
「共有主義こそが正しいって思うんですよ」
「確かに赤本はよく出来ている部分もありますが」
リンファはカテーリンと会ったことはない、彼女は赤本から共有主義に入っている。
その赤本についてだ、リンファはこう語る。
「落ち着いて観ると現実を直視していないことばかりです、社会や経済の」
「あれはまさに子供の主張だ」
東郷はここでも共有主義をこう評した。
「理想論でしかない」
「はい、その通りです」
「だから所々に問題点がある」
「そのことに。熱狂していると気付きません」
「若しくは洗脳されていると」
「そうなってしまいます」
「確かに貧富の差や差別はないに越したことはない」
東郷にしろそうしたことには反対だ。
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