久遠の神話
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第五十九話 三人の戦いその二
「中国ではね」
「中国でjは北では水餃子が主流でしたよね」
「南で蒸しで」
「広東では蒸し餃子だよ」
王の生まれ故郷であるそこではだというのだ。
「この店でも多く作ってるけれどね」
「でしたね、北は水餃子、南は蒸し餃子」
「中国ではそうですし」
「というかどうして日本で焼き餃子が主流になったのか」
王は少しいぶかしむ感じで言う。
「日本人が東北に多くいたせいだね」
「そこでは焼き餃子だったからですね」
「それが多かったから」
「そうだよ。けれど焼き餃子は中国だと本当にね」
主流ではないというのだ。
「まして大蒜は入れないからね」
「そうなんですね、中国では」
「それにその東北でもですよね」
「うん、水餃子だよ」
その東北でも水餃子が主流だというのだ。
「主食なんだよ」
「餃子が主食ですか」
「おかずじゃなくて」
「うん、主食だよ」
まさにそれだというのだ。
「水餃子はね」
「そういえば麺もでしたよね」
シェフの一人が握ったその焼き餃子を箱に素早く入れていっている王に対してこのことも言った。
「中国では主食ですね」
「麦だからね」
「おかずじゃないんですね」
「北の方では特にね」
ここでも北の話になる。
「そうだよ」
「ああ、中国の北ではお米が採れないから」
気候の関係でそうなるのだ。米は熱帯の植物であり寒冷な地では育たないのだ。日本の東北や北海道のそれは苦心の結果である。
「だからですね」
「黄河と長江で違うんだ」
見事なまでに分かれるというのだ。
「米と麦でね」
「だから北ではなんですね」
「餃子も麺も主食だよ」
「そして饅頭も」
「餅もね」
この餅も麦を練ってそれで焼いたものだ、日本人が考える米のものではない。
「違うよ」
「それと包も」
中国のパンと考えればいい。小麦を練ったものを蒸したものだ。
「でしたよね」
「北ではね」
「けれど南では」
「どれも点心だよ」
それになるというのだ。
「水餃子もそうなるね」
「そして焼き餃子も」
「うん、全部そうだよ」
点心になるというのだ。
「南では主食は決まってるからね」
「お米ですね」
「炒飯とかね」
中華料理の基本中の基本と言われるこれもだった。
「麺とかもだから南では」
「おかずですか」
「そうなるんですね」
「このお店みたいにね」
この子美でもだというのだ。
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