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ヘタリア大帝国

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TURN105 スカーレット=東郷その十

「勝てる戦いも勝てない」
「つまりここは踏ん張りどころなんだな」 
 ランスもここまで話を聞いて言う。
「そういうことだな」
「ここでレッドファランクスを倒してだ」
 東郷はランスに応える形でまた述べる。
「そして連合軍の大軍を退ければだ」
「その場合は」 
 ドロシーはここでパソコンを叩き様々なデータから可能性を出して述べる。
「戦いでのダメージをすぐに修理すれば」
「そこからだな」
「ウラルを取ることが出来るわ」 
 ソビエトの欧州側、即ち主星域達への入口を抑えられるというのだ。
「遂にモスクワにね」
「そうだ、大きい」
「だからこそなのね」
「ここはあえて欲張る」
 例え勝てる可能性は殆どなくともだというのだ。
「そうしたい」
「意地ね」
「そうだ、意地だ」
「非科学的、だけれど」
 かつてのドロシーなら否定していたことだ、だが今はこう言うのだ。
「今は必要ね」
「やるしかない」 
 レーティアもこう言う、今は。
「私が見ても勝利の可能性は極めて低いがな」
「やるからには勝つ」
 イスパーニャの言葉だ、彼も今は緊張している顔だ。
「そうするとしよう」
「では今はです」
 秋山は真剣な顔で述べる、そうして彼が今言うことは。
「早速全艦隊を突貫修理に入れましょう」
「そして来月にだな」
「はい、何時でも戦える様にしておきます」
「この状況ではな」
 ここで言うのは宇垣だった、難しい顔で話す。
「前線外交も効果がない」
「一月時間があるのとないのとで全く違います」
 秋山は宇垣にも応えて言う。
「ここは特にそれが欲しいところでしたが」
「残念だがな」
 宇垣はその秋山に申し訳なさそうに返す。
「今は効果がない」
「そうですか」
「敵は来月に来る」
「ではその時は」
「ソビエト戦、いやこの戦争全体でおいてだ」
 東郷も言う。
「最も激しく辛い戦いになるな」
「連合軍だけでも辛いですね」
 日本は彼等の数からこう予想する。
「せめて二百個艦隊なら」
「三百です」
 小澤がその数を述べる。
「これだけいますと」
「尋常なものではありません」
「そしてここで負ければです」
「一気に押し切られますね」
「そうなります」
 満州までそうされてしまう、無論連合軍もそれを狙っている。だからこそである。
 東郷はそのこれまで以上に激しい戦いについて言った。
「ここは正念場だ、最後の最後まで踏ん張ろう」
「わかりました」
「必ず」
 秋山と日本が応える、枢軸軍は開戦以来最も厳しい戦いを迎えようとしていた。


TURN105   完


                      2013・4・19 
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