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ヘタリア大帝国

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TURN105 スカーレット=東郷その七

「そういうことですか」
「何てこった、無茶苦茶だな」
 プロイセンもここまでの話を聞いて愕然とした感じだ。
「あの総統やっぱり信用出来なかったんだな」
「今は去るわ」
 スカーレットは微笑みのままで東郷達に告げる。
「けれど次はね」
「次か」
 暫く黙っていた東郷がここでようやく口を開いた、そして言うことは。
「その次にだ」
「かつて私達は夫婦だったけれど」
「今は違うか」
「私は海賊、それも共有主義者よ」
 だからだというのだ。
「枢軸軍の貴方を倒すわ」
「いいだろう、相手をしよう」
 東郷はこの状況でも己を失っていない、やはり悠然とした態度で言うのだった。
「そして君を取り戻した時にだ」
「それが出来ると思っているのね」
「そうだ」
 その通りだというのだ。
「必ずそうしてみせる」
「自信家ね、相変わらずの」
 スカーレットはその東郷に微笑んで返す。
「それでも私もね」
「自信はあるというか」
「そうよ、あるわ」
 如何にもという返事だった。
「私は貴方を倒しこの世界を共有主義で統一してみせるわ」
「そうはいかない、俺は君を倒しそのうえで取り戻す」
 ここでも動じない東郷だった。
「そのことを約束しよう」
「出来ればね」
 スカーレットの冷静さは変わらない、そのうえで東郷との話を続けるがそこには夫婦を思わせるものは彼女の口からはなかった。
 そのうえでだ、こうも言うのだった。
「その時を楽しみにしているわ」
「お姉ちゃんにとってはもうキリング家もなのね」
「共有主義は個人の財産を否定しているわ」
 彼女の実家もこれで否定出来た、それも完全に。
「それだけよ」
「そういうことね」
「ではいいわね」
「ええ、よくわかったわ」
 キャロルはここでもへの字の口で応える。
「あたしがお姉ちゃんの目を覚まさせてあげるわ」
「僕もだ」
 アメリカもキャロルに続く、その右手は拳になっている。
「君の目を覚まさせてやるぞ」
「あんた今絶対に普通じゃないからね」
 アメリカ妹も言うのだった、兄と同じく強い声で。
「その目、覚まさせてあげるわよ」
「どんなことをしてもだ」
 彼等も必死だったがスカーレットの言葉には応えない、そうして。
 スカーレットは悠然としてチェリノブから消えた、今の戦いは枢軸側の勝利と言えた。
 だがそれは到底勝利と言えるものではなかった、キャロルは港に戻ってからこれまで誰も見たことのないまでに苦々しい顔になって出迎えて来たハンナ達に言った。
「見たわよね」
「ええ」
 ハンナも沈痛な顔で応える、ハンナがこの顔になったのははじめてのことだ。
「よくね」
「信じられないけれどね」
「スカーレット姉様が生きておられるだけじゃなくてね」
「海賊の首領でね」
「しかも共有主義者なんてね」
「何よ、この連続コンボ」
 こう忌々しげに言うのだ。 
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