この明るい星空の下で。
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星空の彼女
吸い込まれていくような星空の下で、俺は彼女に出会った。
「あなたは星空、好き?」
ーーーー春を迎え、僕は高校生になった。
白鳳学園高等科一年二組十六夜奏。
俺は部活にも恋愛にも興味のない人間になっていた。
「ふぅーん、イザヨイに自虐趣味があったとはね」
「相変わらず口の減らない奴だな。」
「まあまあ、中学からの付き合いじゃないか。」
こいつは桐ヶ谷慧。
俺の腐れ縁だ。
「まぁいい先に帰れ。」
「なんでだい?」
俺はポケットから入部届けを取り出した。
「そ、それは入部届け!?天文部!?」
「声がでかいぞ。
天文部は部員が一人もいなくて今年もいなかったら
廃部になるらしい。
「そうか。僕も入ろうかな♪」
「やめてくれ、うるさくなる。」
「ひどいなぁ、僕だってイザヨイが活動してる姿見たいよ。」
「人を見せ物見たいに言うな。」
「まぁ僕は生徒会にいくよ♪」
「ああ、」
慧は、そう言うと駆け足で外に出ていった。
「そろそろ行くか」
「「ファイトファイト!!」」
外では、陸上部が走っている。
エネルギー源はどこにあるのだろうか。俺には無理だな。
職員室は一階の端だ。
ガラガラ、
先生は誰もいない。
俺は鍵をとって先生たちが帰ってくる前に外に出た。
今は使われていない第二地学室。学校の一番は端だな。
この学校には第三地学室まであるのか。無駄だな。
ガチャ、鍵はしまっている。
ガチャン、ガラガラガラ。ガチャン。
部屋にはいると以外に整頓されている。
窓は南に二つだけ。
真ん中には四人くらいの机と椅子がある。
「あっ。」
俺は自分の出した声でない声に振り返った。
そこには、
あの日に出会った水色の髪の女の子だった。
「十六夜・・・君?」
髪はショートカットになっていたが、
その子は確かに彼女だった。
「水上?」
「・・・やっぱり十六夜くんだ!」
その彼女、水上夜空はおもいっきり俺に抱きついてきた。
「お、おいっ!離れろ!」
「やだよーっ。」
変わってない、昔から。
そして・・
「おい、慧。何見てるんだ?」
ギクッ
「イヤー、夕方に二人きりの男女が同じ教室で・・となるとね♪」
「変な言い方するな。」
「えーと、こいつは同じクラスの桐ヶ谷慧。」
「よろしく。」
「こっちは俺の「彼女でーす!」
「違うわ!」
「い、イザヨイがこんな綺麗な人と・・」
「だから・・」
「水上夜空です。」
「イザヨイの親友として応援させてもらうよ。」
「お、お前らってやつは・・それより慧、
お前はどうやって入ってきたんだ?」
確かにそうだ、この部屋は俺が鍵を閉めたはずだ。
「どうだろうね♪そうだ!今回はイザヨイの
腕のみせどころじゃないのかい?」
「みせどころって・・・・」
「十六夜くんそんなことできるの?」
うっ、この上目遣いは・・・
「わかったよ。」
「よっしゃー♪」
まあいい
まずは室内だ。
この室内はとにかく密室だ。
ドアはもちろん窓すら空いていない。
通気孔は・・・ダメか・・・。
床のパネルは空かないな。
ロッカーはダメか・・・ん?そういうことか。
まず俺は廊下を階段から上がって・・・突き当たりを・・・
!!!
「わかったよ。」
「答えを聞かせてもらおうか。」
「第三地学室だな。」
「!・・・正解。さすがだねイザヨイ。」
「私も全然わからなかった・・・」
「まず慧は、俺が第二地学室に入ったときに第三地学室
に入った。
そして第三地学室のロッカーからこちらに入った。」
「模範解答だね。」
「ここが外れるとは・・・」
「しかしなぜロッカーが仕掛けに・・ん?」ダッダッダッ!
いま誰かいたような。まあいいか。
「これは昔からあったよね。」
「ああ、まぁ慧。生徒会は終わったのか?」
「うん、帰ろう」
「水上は?」
「行く!」
こうして天文部は活動内容も決まらないまま
始まったのであった。
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