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アマガミという現実を楽しもう!

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第3話:6年目のデアイ

七咲逢(以下、逢。スイミングスクールでは名前呼びとノー敬語なんだぜ。)の担当をし、先生をからかいながら、知子や響の勉強を見てやって(知子は国語は俺よりも出来るのには驚いたな、響は何でも高得点なのにやたらと俺に聞いてくるんだが。)、本屋においてあるマンガや上映されている映画を懐かしい懐かしいという生活が2年続き、俺は小学校6年生になった。


いやはや、小学校生活短いね。授業は寝てるか、机に本を隠してそっちの勉強したりとか高校生活で良くやった内職術のスキルを磨くことに精を出しすぎて全然覚えてねえや。先生、マジスミマセンデシタ(棒)。



2年間で変わったことなぁ。数年後にこの学区を対象に入れた小学校として、新しく輝日東小学校という建物が出来るらしい。
そうそう、逢が背泳ぎ、平泳ぎ、バタフライ、クロールの4泳法を泳げるようになったんだよ。いや~、バタフライの時はなかなか試験に合格して次の級に進級できず、泣き出しそうになっていたから心配していたんだけど良かったよ。うんうん。
そして、ほとんどの子はそこで辞めていく中(俺らの台も俺、響、知子の三人だけ、中学以上は一人。)、逢だけは遠野お兄さんや響お姉さん、知子お姉さんみたいになりたい、と言って選手育成のコースに転向してくれたな。あの時は、なんか娘の成長を見守る親父の気持ちが分かるような気がしたよ。


そして俺の環境も変わった!
「ウソだろ、ぼっちだったんだろ?」「6年間、通年ぼっちだったんですね、分かります?」だと?
分かってねえ、お前ら全く分かってねえ!
俺も同学年の連中と男の友情を結んだんだよ。

しかも、その友情は口約束なんてものじゃねえ、共通の魂を持ったソウルメイトたちなんだよ・・・。
一つの大きな集団となっているんだよ・・・。




そう、「有害図書委員会」という集団でな!
























ここで少し前のことついて話しておく。





二度目の小学生も、もう1年で終わってしまうという時期に気がついたんだよ。


来年は中学生だし、そろそろ男友達を作っておいたほうがいいかなと思ったんだよ。
中二病を発症したりして難しい時期のやつらを一人で相手するのは精神的にきつそうだし。


中学生を超えてしまえば、高校生。
高校生なら、それなりに一般的な常識と価値観くらいそれなりに備わるはずだから、
俺との精神年齢が一致するはずだし。それまでは、頑張って会話のレベルを合わせて見せるさ。
流石に5年以上この環境に置かれて大体のこの世代の子の考え方くらい読めるさ。
空気は読めるんだぜ、俺!


水泳クラブで友人できなかったのか、って?

水泳クラブの活動期間は夏だけ。しかも他のクラブと掛け持ちでやらないと駄目だったから、
結局俺や響、といったいつもの面子や
最近基礎的な泳法を覚えて選手コースに変更した逢(もちろん、七咲のことだぞ)くらいしかいなかったぞ。
他はスクールでも見たこと無いような奴ばかりでな、
やる気があるのかないのか分からなくて距離を置いていたんだよ。




話が逸れちまったな。
そんな感じで、友人欲しい!というわけで何か行動しないとな、と思ったわけさ。


ある日、プールの定期メンテナンスで練習が無いから、
放課後に校舎裏の飼育小屋をぶらついていたんだ。


何で飼育小屋なんだ、って?ウサギを見に来たんだよ。
だって、ウサギ可愛いじゃんか。
俺も昔(前世の小学生のころ)、ウサギ買っててキャベツを食べる姿に癒されたりしてたわ。
てか、何で小学校の飼育小屋ってウサギが定評なんだろうね。



飼育小屋の近くまで来た時に、何か複数の話し声がしたんだよ。
小屋の近くの植木の陰でひそひそと。
何かと思って見たわけさ。
いじめだったら見逃すわけにはいかんし、悪いことだったら暴力を行使しても
止めてやる。
ガキの頃の喧嘩なんか、どうせ大学生の頃に笑い話のタネになるだけだし、
悪いことなら拳で分からせるってのも、この時期の子どもならありだしな。
俺も前世では先生に廊下に立たされたし。



さて、植木の陰で何をしてるんだね!
とおそるおそる植木の陰を覗き見る。
そこ、ビビってるじゃねえか、とか言うな!








ここで俺が見た植木の陰の光景をお伝えします。



植木に最も近い左手に見えるほうから、
男性週刊誌から切り取ったグラビア記事の切れ端を握ったままこちらをみて硬直中の男子児童一名
兄貴か親父の棚から拝借したと思われるエロ週刊誌をガン見してこちらに気がつかない男子児童一名
右手に見える方には少年漫画のエッチな1ページを捲っている最中に俺に気がついた男子児童一名。


計3名がいらっしゃいました。






どう見ても紳士の会議です、ありがとうございました。





うん、分かるよ。
俺も1年前に、ほとんどのオトコノコが経験するあの出来事を経たよ。二回目のな。
今回は既に予想できていたから、下着を慌てて洗濯機の中にぶち込むなんて
衛生上良くないことはしなかったぞ。
前世のお父さん、お母さん。あの時は、洗濯機にあんなものをぶち込んですみませんでした。


精神的には成人だったから、エロイことは転生の時点から興味があったけど、
身体が幼稚園児とか身体的に未発達なときは、精神的な欲求を支える肉体の成長が
追いつかなくてな。結局不健全な生活を送っていたよ。
もちろん、世間に顔向けできないようなことはしてないぞ!
知子に背中からよく抱きつかれて、
微妙な胸のやわさにドギマギしたくらいだぞ!
だから、ロリコン氏ねとかいうな、っつーの!お前らも当時、体験したことあるだろうが!
てか、あいつ、俺と響が逢の担当になったあたりくらいから
理由無くベタベタ俺にくっついてくるんだよ!



今では、男性機能も整いつつあるし、今は男としての義務をしっかり果たしているぜ!
おいでませ、紳士達の夜の活動!久しぶり、日課!


まあ、彼らもオトコノコとしてお年頃になったわけだ。
うんうん、初々しいね。


「な・・なんだよ、何か俺たちに用でもあるのかよ!」
「何も悪いことしてねえし、何か文句でもあんのかよ!」


左手に見えていた奴と右手の奴が、立ち上がって答えてきた。
強がってるなー。
顔真っ赤だし、ニヤケたままじゃないか。耳もそれ以上に真っ赤だし。
いや、別に用も無いし、悪いとも思っていないし、文句もねえよ。


「お宝の鑑賞会か?」
「う・・・うるせえぞ、コラ!殴るぞ!」


顔を真っ赤にしたまま、三人が立ち上がる。
股間のオットセイが「びんびんなう」って主張したままの光景は正直、
俺の腹筋が崩壊させるのに十分であった。


「・・ま、まあ、落ち着け。別に悪くもねえし、恥ずかしいことでもねえさ。俺だって家で同じようなことをやっているだろ

うし、先生みたいな大人は俺達よりもすげえ本を持っているだろうさ。」


こみ上げてくる笑いに堪えつつ、俺は彼らにゆっくり話した。
正直、小学生のそれなんて社会人のそれに比べたら可愛いものだしな。
三人は互いを見やり、要点の掴めないような戸惑った顔をした。
真ん中の奴が少し苛立った、動揺を隠そうとしているような漢字でもあるが、俺に話しかける。







「じゃあ何だよ、俺達に何が言いたいんだよ。」
「そんなちっぽけなものじゃなく、遥かなる高みに興味は無いか?」


「遥かなる高み?」
「そうだ。俺が、お前達を新世界に導いてやる。」









某週間少年雑誌に掲載された某主人公さんみたいなことを言って、俺は彼らに手を伸ばす。
そうだ、俺達は武力ではなく、新世界で完全に理解りあうことができる。
俺がガン◎ムだ、と叫んだ彼も武力ではなく、対話で相互理解したんじゃないか!



少年達は俺を呆然と見た。
俺の影が伸び、少年達を包んだ。太陽が俺の背後に隠れたな。
もしかしたら少年達から見た俺の姿は後光が差し、まさしく新世界の神様みたいに思われたのかもしれない。




彼らは、恐る恐る手を伸ばし、俺の手を握る。
この日、「有害図書委員会」が発足した。

























そして現在に戻る。
どうだ、素晴らしい友情の結び方だろう!

「悪の成人小学生が、子どもを悪の道に染めようとしている」?
「こいつには児童指導室ではなく、営倉が必要だ」?
「魂じゃなくて、欲望で繋がっているじゃねえか」?

てめえら・・・



あ~、まあ戻るぞ。
彼らは、俺とクラスメイトではないが同学年であることが判明し、今でも「有害図書委員会」の初期メンバーとして動いている。



有害図書といっても、別に青少年保護に違反するような書籍や将来褒められない性癖を誘発する恐れのある書籍は一切入れて無いぞ。社会でマイナーな性癖に目覚めて、変○ゼミナールみたいなところでしか褒められないようになるのは、一般人を装うにも気力がいるしな。



そういうわけで、この話は全年齢対象の至って健全な作品だ!!そこんとこよろしくぅ!
俺の存在が18禁指定?褒め言葉として受け取っておこう。



今日も練習が始まる前までの、放課後の委員会活動だ。
活動に向かう前に、知子と響を捲く必要があったな。知子からは、「たっくん、何処行くのよ!練習あるのよ!」と腕掴まれて引き止められそうにし、響からも「何か悪いことでも企んでいるんでしょ?ほどほどにしておきなさいよ。」とまるで俺のお袋のように俺を諭してきた。
いつものように、「わりぃな、ちょっとあいつらと用事があるから、また後でな!」といって逃げたけどね。後ろを振り向くと、腕を振り上げて「コラー!逃げるなー!」と大声を上げる知子に、無言で眉は困ったような形をしているが、それでいて目元や口元は笑っている響が見えた。すまんな、男の友情は魂で結ばれるくらい堅い物なのさ!



奴らや新規加入した奴ら(勿論全員同学年)計8名が、体育館裏の体育用具予備置き場前に集合した。
俺達のお宝本(入荷ルートは主に廃品回収で放置された古本雑誌がメイン)は、
この中の古びて使われなり放置された跳び箱の隙間に隠してある。
神社も探してみたけど家から遠いし、先客がいたしな。残念。



今回の議題は、徹(初期メンバーの一人、グラビア記事を握っていた奴)が廃品として放置された本「89’ローアングル探偵団ベストセレクション」の品評会だ。議論としてのレベルは小学生ゆえに物足りなさはあったが、全員(端からすれば無駄なことに)全力を注いで話し合ってたな。きっと学者や研究員になったら、その探究心と議論で素晴らしい成果を挙げられると思った。



しかし、ここで招く予定の無い人物が現れた。
ガサガサという茂みに何かが入り込んだ音と背後から音、そして足音がした。
俺は全員を見やる、全員何が起こった?とお互いを見やって戸惑っている様子だ。
ぼけっとしている場合じゃない!お前ら、解散!解散だ!急げ!!



「先生に見られたらやっかいだ!!片付けて逃げるぞ!」



と徹がヒソヒソ声で委員に話しかけて逃走準備に入り、あらかじめ決められていたルートを使って逃げ出した。
他の委員も徹の用いた同様のルートを経由して逃走した。戦争というのは、勝つことも大事だが、もしもの際にはうまく逃げて損害を出さずにうまく負けることを考えよう。いやぁ、宇宙の魔術師元帥ってすごいよなぁ。そのおかげで、今まで先生にも見つからず、こうやって人生楽しめているんだから。



俺も逃げに掛かったが、一冊のローアングル探偵団が片付けきれてなかったことに気がつき、逃げる準備が遅れた。くっ、失敗した!こんな初歩的なミスで・・・!
足音がとまる。背後に気配。既に、その足音の主はかなり近い位置にいるようだ。
俺は観念して、後ろを振り返ることにした。



「そんなところでなにやってるの?」
「よう、あったのか?」



声変わりが始まりかけた二人の男の子の声と共に顔を見た。
押しは弱いけど温かみのある優しそうな顔をしたサラサラ髪の優しい声を持った少年、
そしてスポーツ狩りのねじり鉢巻をつけたら寿司職人のような快活な声を持った少年。











幼き日々の変態紳士、橘純一と梅原正吉であった。









(次回へ続く) 
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