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正義と悪徳の狭間で

作者:紅冬華
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導入編
ロアナプラ編
  導入編 第3-R話 逃亡

 
前書き
この話は少々短めです 

 
名前を決めた私はベッドの下にまたもぐりこんで寝ることにした。
効果が本当にあるかはともかく、普通は死体が集められた部屋に誰かが隠れてるとは思わないと私は信じる。

鞄と靴と銃は雑誌を敷いてその上に置き、包帯はお腹の財布だけ外して他は解かずに寝る事にした。
体に巻いている分の金だけでも(血塗れなのを気にしなければ)万一の時に役に立つはずだ。

明日、起きたらシャワーを浴びて、包帯を巻きなおし、この部屋を出ていくつもりだが、
警察に行こうかほかの生きる手段を探そうか迷っている。
…たぶん、言っても無駄な気しかしないし、むしろ危険な気がする。















その日の夜も、昨日の昼間と同じ夢を見た。

どうしようもなく暗い闇の中で『私』が泣いている夢だ…
その場を離れる事も出来ず、『私』を動かすこともできなかったが、触る事は出来た。
触られてる感覚はないものの、昼間触った私の体と違いは見つけられなかった。










血の海で目を覚ます。私の主観ではこれは三回目のお目覚めだ。
しかし、そのうち二回が血の海とはまあ…わざとやってるとはいえどうかと思う。

ベッドの下からはい出そうとした時、近くで連続した銃声が二つした。
さらに金属をけるような音、そして連続する銃声…
自動小銃だろうか?というか、あの位置関係は…玄関をショットガンか何かで破って…?

銃声がしばらくやむ。
…包帯の巻き替えの時間はないか…靴を履いて銃を握って待機する。
アロハは完全に血まみれだが、むしろこうなってしまえば都合がいいだろう。

また銃声が二発、すぐ近く…そしてこの部屋の扉が破られた。
そしてもちろん連続する銃声…身を潜めて銃撃がおさまるのを待つ。

「おい、なんだこれは、もうブラッドバスじゃねぇか!」
突入してきた男が叫んだ。
「…相当冷たくなってやがる…どういう事だ!仲間割れか?」
「…いや、死体は5つある、こいつら五人組のはずだ」
「こいつマッパじゃねえかよ、しかもこめかみに一発…全裸で寝てるときに殺されたのか?」
「昼間に監視についたときには明かりがついてた、そしてそれが消えたのは間違いないねぇ。
もちろん、それから銃声もしてないし、出て行った奴もいない…つまり生きた人間がこの部屋にはいる筈だぞ」

男たちが言い争いをしている…幸いベッドの下をのぞこうという奴はいないようだ…それも時間の問題だろうが。

「もう一つの部屋だ!そっちにいやがるにちげぇねぇ!」
「おい、これ死体を引きずった跡じゃねぇのか?ってこっちに乾いた血だまりもある!」
「シャワー室に血を流した後みたいなのがありやすぜ」
「…つまり俺たちが監視につくより前、おそらく昨日の朝にこいつら五人を殺したやつは、死体をこの部屋にまとめ、ゆっくり一日を過ごした後にもう一つの部屋でおねんねしてたって事か…完全に狂ってやがる」

普通はそう考えるのか、予想通りでよかった…が、死体と同じ部屋でおねんねしてたとばれたらどんな目で見られるだろう。
…好きでやったんじゃないと説明できなければ真性の変態扱いだろうな。

「さすがに、これだけ騒げば起きてるだろう、一斉にかかるぞ、集まれ」
男たちが四人目、五人目を殺した部屋の前に移動していった。

チャンスだ

「よし、行くぞ」
また、射撃が二発…いまだ。

鞄と銃をつかんで小銃の制圧射撃が続いてるうちに男達の後ろを走り抜け…ようとした。

あ…突入タイミングを計っていたらしい男と目があった…唖然としてる。
そりゃ、無人の死体置き場だと思っていた部屋から血塗れのガキが飛び出して来たらあんな顔にもなるだろう。
だが、すぐに正気に戻るだろう…私は全力疾走で部屋を飛び出した。
 
 

 
後書き
襲撃してきたマフィアの事情は次話にて。
元監禁部屋兼お楽しみ部屋、現死体置き場にはクローゼットとか、隠れるところがなかったんです。
それで気が動転して、混乱してる間に自分たちより先に何者かがほかの場所で殺しをした痕跡が次々と見つかったら、
まだ調べてない、突入してない部屋に犯人がいると突入してきたマフィアたち考えました。
レインがその隙に攻撃に転じて脱出しなかったのは、自動小銃のフルオート射撃に驚いてさすがに勝てないと思ったからです。

まあ、万一の時はベッドの下を覗くかひっくり返した瞬間に飛び出して戦うつもりでしたが。

…もし、突入順が逆ならもう一つの部屋への連続射撃中に逃げ出そうとして、扉をマークしてたヤツにハチの巣にされてお終いか、見つかって戦うしかない展開でした。
つまり、部屋からの逃亡の所は相当にご都合主義です、ご容赦ください。 
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