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ヘタリア大帝国

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TURN101 偽帝その一

                  TURN101  偽帝
 ゾルゲは日本に入るとすぐにだった、そこで取り込んだ大学の教授なり新聞記者なりテレビのコメンテーターなりを集めていた。
 場所はアジトの会議室だ、そこで同じ卓につきこう言ったのである。
「同志諸君、時は来た」
「というと遂にですね」
「革命ですね」
「その時が来た、今ソビエトは帝国主義者達と干戈を交えている」
「まさかラーゲリまで侵攻するとは」
「そして同志カテーリン書記長の政策を誹謗中傷するとは」
 居並ぶ知識人達は忌々しげな顔で口々に言う。
「許せないことです」
「今の枢軸、帝国主義者達は」
「同志カテーリン書記長の政策を批判することは共有主義を否定することだ」
 ゾルゲもこう言い切る。
「だからこそだ」
「はい、それ故にですね」
「遂に我々は立つのですね」
「武器は持って来た、それに援軍も来た」
 人造人間達の存在もここで言う。
「枢軸諸国の盟主である日本で革命を起こしだ」
「そして各国もですね」
「一気に共有主義に染め上げるのですね」
「その通りだ、その時が来たのだ」
 ゾルゲは仮面の様な表情で言っていく。
「ではいいな」
「はい、それでは」
「他の同志達にも連絡します」
「日本全土で革命を起こす」
 所謂シンパに声をかけてだというのだ。
「では革命の成功の前祝いとしてだ」
「はい、今はここで」
「乾杯といきましょう」
 彼等のコップにウォッカが入れられる、ソビエトの酒だ。
 その酒を掲げ彼等は口々に叫んだ。
「革命万歳!」
「共有主義万歳!」
「今から人類は生まれ変わる!」
「偉大なるカテーリン書記長によって!」
 こう口々に言いそうしてだった。
 彼等は蜂起の用意をした、その時前線ではソビエト軍がチェルノブを拠点として再び攻勢に出ていた。
 ラーゲリを果敢に攻める、だがそこには。
「祖国さんが抜けましたね」
「そうだな」
 ジューコフがコンドラチェンコに応える。
「今はな」
「何か特別任務らしいですけれど」
「その様だな、それではだ」
「今は俺達だけでやりますか」
「そしてだ」
 ジューコフはモニターにもう一人映し出した、そこには気弱そうな青い目の少女がいた。ピンクの長いややふわりとした髪にエプロンである。ソビエトの軍服がその下にあるがよく見れば耳や後ろに鰻のそれがある。
 その彼女にだ、ジューコフはこう言ったのだ。
「シベリアのウナギ民族だな」
「そんな民族いました?」
 前線に駆り出されているラトビアがここで言う。他のバルト三国の面々も一緒だ。
「僕はじめて聞きましたけれど」
「実は俺もですよ」
 コンドラチェンコはラトビアの言葉に応えた。
「そんな民族いるんですね」
「本当に初耳ですよね」
「ソビエトは物凄い数の民族がいますけれどね」
 それこそ星の数だけいるのだ。
「その中には人間族以外も沢山いますけれど」
「ウナギ民族ですか」
「そんな民族もいるんですね」
「はい、そうなんです」
 少女は何故か言い繕う感じで答えてきた。
「ウナギ=バウラーといいます」
「名前も鰻ですか」
 エストニアはそこに妙に知識欲を感じて彼女に問うた。 
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