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NARUTO -もう一人のうちは-

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EX 悪夢

「! お前、俺と同じ『眼』を…」

「なんで…、どうしてこんなことをするんですか !」

「俺はこの眼を手に入れるために同胞を殺した。ただそれだけのことだ…。何か問題でもあるのか… ?」

「大有りですよ…。更なる力を手に入れるために仲間を殺すだなんて…。そ、そうだ ! これは何かの罠なんだ…。これは、誰かが僕に幻術をしかけ、いや、僕以外も幻術にかけて、うちは一族を混乱させようという企みを持つ輩の仕業なんだ ! ということは、目の前にいるイタチさんも本物のイタチさんじゃない ! そうだ、幻術を解けばいいじゃないか…」

「…。甘いな。お前は目の前の『現実』から逃げようとしているだけだ。全て幻術だと決めつけて」

「…、黙れ偽物 !」
少年は鞄の中から手裏剣を取り出し、『偽物』のイタチめがけて投げる。しかし、イタチは刀一振りでそれらを全てはじく。弾かれた手裏剣はそのままダンテの体に突き刺さる。

「痛い…。つ、痛覚も再現する幻術か、相当のやり手なんだなぁ…」

「まだ現実を認めないか…。仕方がない、ここは本物の幻術をみせて自分の置かれている状況を自覚させるか…。 月読…」

「!」

突如周りがモノクロの色を帯び始め、空は赤くなり始めた。そしてイタチとほぼ同じ人物の姿が現れ一軒一軒家に入っては服に何か返って出てくる。この光景を見ていくうちにダンテはようやく何かに気づき始めた。



ダンテは震えていた。



「うぁぁぁぁぁぁ !」

「ぐぼっ !」

更に徐々に生々しい音と断末魔の叫び声のようなものが聞こえ始め、ダンテに追い打ちをかける。恐怖が最高点に達したのか遂にダンテは、

「うわああああああああああああああああああああああああああああ !」

嗚咽を上げる。
だがここは幻術空間。いくら泣き叫んだところで誰も気づいてくれない。そのこともダンテの心を更に抉る。

「もう、やめてよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ !」


「ゲホッ、ゲホッ…」

月読が解かれるとダンテは嘔吐した。
幼い少年が見るものにしてはあまりにも残酷なものである。
何かの間違いだといってほしい。こんなことはなかったといってほしい。イタチにしてほしいことはこの二つであったが、

「お前は醜い…。現実逃避も甚だしいところだ…。だがこれでわかっただろう ? これは現実だ。
 …。本来ならお前の眼を取って俺の万華鏡を『永遠なるもの』にしてもいいのだが、持ち主がこう弱者であってはな…。取り込んだ俺も弱者になる…。それだけは避けたい…」

「はぁ…、はぁ…」
どうやら、本当に現実らしい。ダンテは絶望した。
そしてイタチが訳のわからないことを言っている間、ダンテは呼吸を整えるのに必死であった。更にイタチは続ける。

「逃げて逃げ続け、醜態を晒す生を送るがいい…。お前にはそれがぴったりだ…」

「イタチ…さん…」

「お前は俺を優しい人と思い込んでいたようだが残念ながら違う。俺は力を手に入れるためなら手段は択ばない…。俺以外の命など最初からどうでもよかったのだ」

「うそだ…、うそだそんなこと !」

「いい加減にしろ…」

「ぐぁぁぁっ !」

右手にクナイが突き刺さる。痛みは本物だ。幻術ではなく、紛れもなく現実の…。

「俺が憎いか… ? フッ…。憎め…、恨め…。まぁ、お前にその勇気があるとは思えないが」

「…」
バタッとダンテはここで意識を手放し、床に倒れた。イタチはそれを見下すかのような瞳で見ていた。その表情にかつての面影は感じられない。無表情のロボット同等であったといってもいいだろう。

「…」
「(許せ、ダンテ…)」







「わぁぁっ !」
時刻は午前7時30分。悪夢を見て起床。
大門(ゲート)前集合まで後30分である。ダンテは急いで支度を済ませ、荷物を背負って集合場所に向かう。

「(まさか、あの夢を見るなんて…)」
 
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