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ヘタリア大帝国

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TURN99 シベリア侵攻その三

「ソビエトの寒さのことを念頭に置いて兵器の開発をしていた」
「ドクツの艦艇は全部防寒設備を置いていたんだったな」
「そうだ」
 田中にその通りだと答える。
「そうしていた」
「それがソビエトの寒さなんだな」
「船が動かなくなるまでだ」
 そこまで寒いというのだ。
「だからこそ厄介だ」
「バルバロッサ作戦、東方生存権の確立は総統閣下が常に言っておられたことでした」
 エルミーは田中にこのことを話した。
「ですから事前に考えておられました」
「今はもうその考えは捨てているがな」
 レーティアも考えを変えた、そういうことだ。
「ドクツには別の生きる道がある」
「それはドクツに戻られてから見せて頂くことですね」
「エルミー、御前も楽しみにしていろ」
 レーティアが見せるそのドクツの新しい道をだというのだ。
「必ず見せるからな」
「はい、それでは」
 エルミーはレーティアに微笑み敬礼をして応えた、そうしたやり取りを経つつ。
 枢軸軍はシベリアに入った、そこにはジューコフとロシア兄妹が率いるソビエトの大艦隊が待ち構えていた。
 その大艦隊を見て先陣を率いるロンメルが言う。
「数にして二百でしょうか」
「相変わらず多いな、おい」
 ロンメルと同じく高速駆逐艦帯を率いるプロイセンが応える。
「数は向こうの方が上だな」
「これをどうするかですね」
「もう元帥には考えがあるよな」
「無論です、ただ相手はジューコフ元帥です」
 ソビエトの宿将でもある名将だ。
「そうおいそれと攻めても無駄です」
「そうだろうな、あのおっさん強いからな」
「普通ならここで機動力を活して敵の側面や後方に回りますが」
「それは出来ないな」
「ここはやり方を変えましょう」
 こうプロイセンに語る。
「そうしましょう」
「というとどの様にして攻められるのでしょうか」
 二人と同じく先陣を務めるイザベラが問う、他には宇垣にモンゴルやランス、シィルといった面々が加わっている。
「ここは」
「一撃離脱です」
 この戦術だというのだ。
「それでいきましょう」
「一撃離脱ですか」
「一旦攻撃を仕掛けすぐに下がる」
「それを繰り返すのですね」
「ジューコフ元帥やロシアさんはともかく他の将兵はこれに苛立ちます」
「そうして敵の平常心も奪い」
 敵の心理も攻める、ロンメルらしいやり方だった。イザベラもその話を聞いて納得した顔になり頷いたのだった。
「そうするのですね」
「以後の戦いにつなげましょう」
「わかりました、そうするのですね」
「そうします、では」
「はい、今から」
 こうしてロンメルは自らが先頭になりソビエト軍の前面に出た、そのうえで実際にびーぬ攻撃の後で一旦離脱した。
 だがジューコフはその攻撃を見てもこう言うだけだった。
「ここは動いてはならない」
「では今は」
「はい、陣を崩さずにです」
 そのうえでだとだ、ロシア妹に答える。
「敵の本格的な攻撃に備えましょう」
「あれは挑発ですね」
「間違いなく、敵の挑発に乗り陣を崩してはなりません」
 絶対にだというのだ。
「ですから」
「そうだね、じゃあ今はね」
 ロシアも二人の話に頷く、そしてだった。 
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