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オタクなハッカーの日常

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『わい』の現在進行系‏

 
前書き
密室で、パソコンを華麗に操る男の正体とは、、、 

 
『カチカチカチカチ―――』
『カリカリカリカリ―――』
都心から少し離れた6畳1間のアパートの一室から、絶え間無く、パソコンのハードディスクに書き込む、あの引っ掻くような音と、キーボードをたたく音が聞こえてくる。
机にはディスプレイが5個並べてあり、うち一つには大手銀行会社のホームページが、その隣には黒い画面に無骨な白い文字が並んでいる。
その手前の椅子には、まだ二十代前半くらいの男性が座っている。
顔立ちは整っているが、髪はボサボサ、髭もここしばらくは剃っていないだろうことから、まともな社会生活を営んでいるようには見えない。(事実、営んでいないのだが)
部屋の中はパソコンを冷ますため、常に18℃設定だが、男の顔からは、珠のような汗がキーボードを叩く反動で震え、今にも滴り落ちようとしている。
男は、なおも懸命に作業を続ける。
「DO YOU WANT TO COPY? Y/N」
しばらくすると、画面にこう表示された。
男は急いでフラッシュメモリーをパソコンに差し込む。
「これで――」
人差し指を大きく振りかぶり、いつものひと呼吸は忘れない。
「――チェックメイトやッ!」
カチッ!
Yキーを押す一際大きな音が、部屋中に響き渡った。
『もっ、もう!どこ触ってんの、お兄ちゃん?』
すると、何やら奇怪な音声と同時に、右どなりのディスプレイに新たなウインドウが開き――
『Now Attacking...』
サーバーの、セキュリティホールを突破しようとする、俗に言うウイルスプログラムだ。
『Now Attacking...Success』
すると今度は、
『Now Copying...』
と表示され、メーターが徐々に増え始める。
男は、唇の端を釣り上げて、一言。
「ドヤァ、わいは決め顔でそう言った」
そう、この男、、、俗に言うクラッカーなのだ。
『Now Copying...Success』
「これでしばらくは持つやろ。」
やがて、100%になったメーターを見ながら、やはり決め顔のままそういった。
あっ、そういえばそろそろ来る時間やな。」
男は、けだるそうに立ち上がりながら、しかし、待ってましたとばかりにそういった。 
 

 
後書き
これから週1以上のペースで連載していきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いします。 
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