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生還者†無双

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存在する意味

 
前書き
試験ってのは何歳になっても嫌ですね 

 
賊の砦を木っ端微塵に吹き飛ばし、意気揚々と歩みを進めている
と同時に今までの事を整理しようと休憩がてら適当な石に腰掛けた
辺りは段々と明るくなりかけ肌寒い風が身体を吹き抜けると
先程斬られた頬の傷がピリピリと痛んだので水筒の水を顔にバシャバシャとかけた
ふぅと一息をつき、水筒を口に運ぶ
生ぬるいが喉を潤すには十分なので気にはしていない
薄暗い見慣れぬ風景を眺めながら考える

ヨルダン付近に突如現れた建造物
先遣隊からの通信の途絶から始まり
アーカムの連中との戦闘が発生
そしてトチった馬鹿が遺跡を爆破
その影響による遺跡の暴走で恐らく古代の中国にぶっ飛んだ
しかも只のタイムトラベルでなく…どうゆう訳か有名な武将が皆女
人間…俺以外にも物も此方に飛んできているみたいだ
んで今の所…帰る手立ては何も無しと

「状況は最悪…だか悪くはねぇか」

共に戦った戦友や部下が心配ではあるがそれなりの修羅場を潜った奴らだ
何とか上手い事やっているだろう
今は今後の身の振り方を考えるべきだ
歴史への介入
これは避けるべきなのか?
大体俺がこの時代に存在する時点で既に狂っているんじゃあないか?
そもそも俺が殺した人間は本来死ぬべきではなかったはず
だか俺が殺してしまったから未来では…

「その心配はないわん♪」

急に後ろから声がした
くそったれ!油断したぜっ
俺とした事が情けねぇ
背中をこうも簡単に取られるなんぞ洒落にもならん
バッと前回り受け身をして背後に銃口を向けるが…
其処には何もいない…
油断なく辺りを見回す
ただ者じゃあねぇ…この俺の背中を取る奴だ
銃を握る手に自然に力が入り、ジンワリと嫌な汗が垂れる
暫く警戒しているが何の気配もない
そんな馬鹿な…幻聴だったのか?
銃口を下げ額の汗を拭った
何だったんだ?あの身の毛もよだつ声色は?
ふと振り返ると……
さっきまで腰掛けていた石に何かがいた

「もぅ漢女にそんな物向けるなんて……い・け・ず♪」
「何者だ、手前ぇは」
「ダーリンの味方♪」
「要らん!」

即答した
ほぼ全裸のガチムチ男なんぞ怪し過ぎて怖い
だが…半端じゃない事は解る
スプリガンかそれ以上か……
銃の安全装置を解除し額に狙いを定める
引き金の指に力を入れようとした瞬間
ドゴォ
腹部に衝撃が走り、身体が宙に浮いて吹き飛ばされた
腕がめり込む程の威力のパンチ
いつの間にか間合いを詰めた変態が漢女パンチと言っている
なん……だと!動きが見えなかった!
なんでAMスーツが機能してないっ!?
こみ上げる吐き気を飲み込み咄嗟に受け身を取った
フル装備この様かよっ
ペッと口の中に残った胃液を吐き出し構える
タボールは……足下に落ちてるかっ!拾う暇なんかねぇ!
ステゴロ上等、借りを返さないとなっ
変態に向けて駆け出すと同時に飛び蹴り
もらった!暁はそう思った……が変態の身体が霧のよう消えた
必殺の蹴りは空を切り威力そのまま地面を穿った
振り返りもう一度仕掛ける、今度は胴回し蹴り
しかし漢女は顔色一つ変えずに片手で弾きかえす
暁も負けてはいない
崩れた体勢からすかさずバックブロー、アッパー、ストレート
機関砲の様に次々と拳を放つ
並みの人間なら捌く事は出来ないだろう
AM スーツがバキバキと唸りをあげている
怒りの感情に反応してかフルパワーで稼働中である

「流石!ダーリン♪強いわねん♪」
「変態のわりにはやりやがるな」
「ダーリンともっと絡みたいけど時間がないから手短に言うわねん」
「何を知ってやがる貴様…」

ばく転をして距離を取る暁
その目は良く分からん変態を見る目から倒すべき敵を見る目になっていた
スッと自然体で構え、いつでも攻撃出来る体勢のまま話しを聞く

「ダーリンはこの世界の人間ではないわねん♪」
「世界…?時代の間違いじゃあねぇのか?」
「ダーリンは外史って知ってる?」
「知らん!」
「この世界は新しい道に進み始めているわん……ダーリンを中心に」
「訳がわからん事をごちゃごちゃと……」

暁が飛び掛かろうと一歩踏み出した……その瞬間

「漢女奥義!太陽●!」

スタングレネードが目の前で弾けた様な激しい閃光が暁を襲う
もろに閃光を直視してしまった為視界が完全に奪われた
目潰しかっ!でも関係ねぇせめて一発っ!
視界ゼロの状態から渾身の右ストレートを振り抜く
試験的に導入されていた……
サイコブロー発生装置
アーカムの技術を流用した対霊的な物ようの武装
一度も使用した事がなく、そもそも使い方すら知らなかったが
この土壇場でサイコブローが拳から知らず知らずのうちに発生
圧縮された暁の怒りの一撃は……消え行く漢女の身体に届いていた

「んもぅ……モーレツ♪」



「くそったれ……逃がしたか」

凄まじい倦怠感に襲われその場に倒れこむ
辺りはもう明るくなり朝焼けが眩しく感じた
何だかんだで今日は働き過ぎだ、すげぇ眠い
大の字で大地と朝日の恵みを感じていると…

「「「ご主人様ぁ…」」」

遠くから聞き覚えのある声と地響きがする
ご主人様かぁ……何とかならんのかな、その呼び方
鳥肌が立ってしょうがない
いずれ何とかせねばならんな……だが今は休憩が優先だ
目を閉じて心を無にすると睡魔に襲われ一瞬で意識を失う
…………………………………………

ドタドタと回りで誰かが歩き回る
うるせぇなぁ…人が寝てる所で無遠慮に……
しかし何だ……何か甘い匂いがする……

「ご主人様っ!」
「いよぅ……良い朝だぜ」

上半身を起こして背伸びをする
パキパキと背骨がなり心地よい
まして美人が起きた目の前に居れば尚更だ
目を閉じてからあんまり時間は立っていないみたいだが
どう見ても……怒ってるなこの3人娘は……
気迫に圧倒され苦笑いをするしかない暁
疲労でぶっ倒れているこの状態では……
反論も出来ん

「もう!全然良い朝じゃあないよ!心配したんだよ!」
「全くです!ご主人様はもっとご自分を大切にして下さい!」
「そうなのだ!そんな所で寝たら風邪ひくのだ!」
「すまねぇ、ちっと働き過ぎだぜ」
「そう言えば賊共は……」

愛紗が暁に訪ねようとした時
血相を変えた物見の伝令が報告にきた

「報告!賊の野営陣地は壊滅!砦も跡形も無く……」

3人は暁の方を一斉に見る
当の本人はまた…寝ていたのであった

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

所変わって白蓮の城に戻り、今報告をしている
賊の頭の殺害と砦の破壊、偶々賊の征伐に来ていた曹孟徳がほとんど片付けた事を
オブラートに包んで報告した
味方の損害は0で結果的には良いのだが……
お上に何て報告すれば良いんだと白蓮が頭を抱えていた
まぁ俺には関係ねぇからな……頑張ってくれ
若干の後ろめたさを感じながら玉座を後にする
その日のうちに荷車を勝手に借りて廃村から資材を回収
街から少し離れた小高い丘にシートを広げ、物を展開していく
眼下に街を一望でき中々良い眺めである
まず使った武器の整備をしねぇとな
部品一つ一つ入念に確認し組み立て、弾倉に弾を込める
最後にケプラー繊維で出来た頑丈なカバーを切りポンチョを作った
少々雑な作りだが雨風は凌げるだろう
大きめのアサルトバックに必要な物をぶちこむと日はもう傾いていた
朝日同様綺麗な夕焼けを眺め思いだす
変態が言っていた事を……

「俺を中心に動いている……か」
「ご主人様?」
「なんだ?桃香達じゃねぇか、どうかしたのか?」
「えへへ……此処って夕焼けが綺麗に見える所なんだよ♪」
「確かに綺麗だな」
「そうでしょ?私もお気に入りなんだぁ~」

少し離れた所で愛紗と鈴々がじゃれついている
相変わらず元気の良い娘達だ

「ご主人様、私皆が笑って過ごせる様な世の中にしたいの」
「それは中々……難しいぜ桃香」
「え?」
「弱肉強食……弱い者は強者に喰われる、それが現実だ」
「それでも……私はこの志を貫きたいの」
「ならば覚悟するんだな……志を貫く為に敵を殺す覚悟を、味方を死なせる覚悟をな」

真っ直ぐ桃香の目を見て言う暁
また桃香も目を反らす事なく暁を見ている
かつて戦場でも最後まで人命を気遣う奴がいた
敵にも情をかける甘い奴だった
ふっ……アイツと同じ目をしてるぜ

「なるほどな、覚悟は十分だ」
「本当に?ご主人様!」
「だが、楽じゃあねぇ道だぜ?」
「が……がんばる……」

暁は桃香の肩に手をポンと置いて歩きだす
背中で語る男、暁 巌
夕日を背に4人は帰路につく 
 

 
後書き
携帯の画面が割れました…スマホって脆いのねorz/// 
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