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IS ~インフィニット・ストラトス~ 魔術の使える者

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クラスメイトは全員女 第一話目

 
前書き
間違いなどの御指摘、ありましたらお願いします。 

 
「全員そろってますねー。それじゃあSHR始めますよー」

黒板の前で微笑んでいるのは副担任の山田真耶先生。
生徒とほとんど変わらない身長で、服のせいかダボっとしていてなんだかますます小さく見えてしまう。
これが『子供が無理して大人の服を着た』的な状況なのでしょうか?

「それでは皆さん、1年間宜しくお願いしますね」

「・・・・・・」

返答なし。
となりの妹ですら緊張感のせいかガチガチだ。
私ぐらい返事をした方がいいのでしょうか?

「じゃ、じゃあ自己紹介をお願いします。えっと、出席番号順で」
狼狽える山田先生も可哀想に見えるが――残念ながら、私に余裕があるわけ無い。
正直――一刻でも早くこの異空間から解放されたい――。
異空間――そう感じるのは周りのクラスメイト。
というより、教師陣も含めて周りは女性ばかりなのだから。
そして何より――嫌でも気づくぐらい、周りからの視線を私は感じる。
席も何故か――もう一度言う、何故か真ん中の最前列。
名前順じゃないのかと思わず心の中で突っ込んでしまった。
右隣の席をちらりと見ると――。

『お兄さん、頑張れー』

それっぽい口パクした妹様からのありがたいエールが――多分エール・・・ですよね?

「……くん。霜月悠緋くんっ」

「は、はい!?」

「きゃっ!?」 

いきなり声をかけられ、私は驚いてしまった。 
さらにそれにびっくりしたのか山田先生が若干涙目になってしまった。
正直――私は女が若干苦手だ。
こんな世の中のせいでもあるんですが、女性物っぽい着物を着るようになったのは・・・・・・。
話を戻します。
女子が苦手と感じたのは中学ぐらいからでしたね。 
クラス30人近く居る中で男子は私一人だけ――。
他の男子高校生や、私の友達からすればハーレム万歳って感じでしょうが――女が苦手な私には厳しい。
女は徒党を組んで数の暴力で攻めてきますから。
そんな人達じゃなければいいのですが・・・・・・。

「あっ、あの、大声出しちゃってごめんなさい。お、怒ってる?怒ってるかな?ゴメンね、ゴメンね!でもね、あのね、自己紹介、『あ』から始まってもう順番が霜月くんなんだよね。だからね、ご、ゴメンね?自己紹介してくれるかな?だ、ダメかな?」

何度も頭を下げている山田先生を見、私は慌てて声をかけた。 
このままだと、おそらく山田先生はずっと頭を下げているのだろう――。

「だ、大丈夫ですよ?自己紹介ちゃんとしますので・・・・・・。落ち着いてください」

「ほ、本当?本当ですか?本当ですね?や、約束ですよ。絶対ですよ!」 

がばっと顔を上げ、私の手を取り熱心に詰め寄る山田先生。
その行動に申し訳なさを感じると共に周りからの注目を浴び、更に右隣の妹からは苦笑い気配が――。
とりあえず、挨拶すれば大丈夫でしょう。 
覚悟を決め、私は黒板の前まで移動した――と言っても直ぐ着いてしまうのだが。
教卓前まで移動すると、私は正面を向く――。 
目の前に広がる光景は――女子生徒ばかり、ちらほらと外人さんもいる。 
そして、その女子生徒の視線が一気に此方に向けられているのを自覚した。 
自分の顔が少し青くなるのがわかる――が、自己紹介しないと始まらないので、私は意を決して挨拶をする・・・・・・。

「霜月悠緋です。よ、よろしくお願いしますね」 
言うや、しっかり頭を下げてから、ゆっくり上げる――。
――と、大半の女子の視線が私に対してこう訴えかけていた。

『まさか、これで終わりじゃないよね?』 

という視線と空気をたくさん感じる感じる。 
趣味でも話せばいいのでしょうが・・・・・・。
なんせ趣味らしいこともほとんどなくこれは言ってはダメな気がします。
魔術薬作成・・・、過去のデータ閲覧・・・、魔術の練習・・・、体術・・・。
あれ?アウトじゃない?

「あ、えっと・・・・・・」 

ちらり、と妹を見ると、たはは・・・、って感じに苦笑いしてた。 
助け船も期待できない…妹よ、お兄さんは悲しいです? 
けど、どうにかしないと――と思ったが、秘密の塊の私がとったのは、一度深呼吸し、私は思いきって口を開く。

「い、以上ですね。上手く言えなくて申し訳ないです」

がたたっ。
そんな音を立て、思わずずっこている女子が数名いる。 
期待されても――何も出ないんですが。

「あ、あのー……」 

背後からかけられる山田先生の声。 
私のせいでしょうか、涙声に聞こえる――。 
と、不意に別の声が聞こえてくる――。

「全く、最近の男子は自己紹介も満足に出来ないのか、馬鹿者」 

その声のある方へと振り向くと、黒のスーツにタイトスカート、すらりとした長身、よく鍛えられているが、けして過肉厚ではないボディライン。 
組んだ腕に、綺麗だが鋭い吊り目をした美人さんな女性がいた。

「あ、織斑先生。もう会議は終わられたんですか?」

「ああ、山田君。クラスへの挨拶を押し付けてすまなかったな」

「い、いえっ。副担任ですから、これくらいはしないと……」 

先程の涙声は何処へ、山田先生は若干熱っぽいくらいの声と視線で担任の先生へと応えている。
そして、若干はにかんでいるのも見えた。

「諸君、私が織斑千冬だ。君たち新人を一年で使い物になる操縦者に育てるのが仕事だ。私の言うことはよく聴き、よく理解しろ。出来ない者には出来るまで指導してやる。私の仕事は弱冠十五才を十六才までに鍛え抜く事だ。逆らってもいいが、私の言うことは聞け。いいな」 

スパルタです・・・・・・、美人だが鬼がここにいます。 
そんな事を思っていると、教室中から黄色い声援が響いた。

「キャ――――――!千冬様、本物の千冬様よ!」

「ずっとファンでした!」

「私、お姉様に憧れてこの学園に来たんです!北九州から!」

「あの千冬様にご指導いただけるなんて嬉しいです!」

「私、お姉様のためなら死ねます!」 

きゃいのきゃいのと騒ぐ女子たちを見て、若干私は引きながらも織斑先生を見るとかなり鬱陶しそうな顔で見る。

「……毎年、よくもこれだけ馬鹿者が集まるものだ。感心させられる。それとも何か?私のクラスにだけ馬鹿者を集中させてるのか?」 

そんな言葉も裏腹に、更に女子のクラスメイトは――。

「きゃあああああっ!お姉様!もっと叱って!罵って!」

「でも時には優しくして!」

「そしてつけあがらないように躾をして~!」 

・・・・・・、やはり異空間ですよ、ここ。
そんなことを思っていると、織斑先生が――。

「……霜月、いつまでそこにいる?さっさと席へ戻れ」

「あ――は、はい、申し訳ございません」 

その織斑先生の言葉で、私は自分の席へと戻った。 
正直――体が緊張したせいか痛い。 
興奮冷めやらぬ教室内で、右隣の妹の視線を感じた――振り向くと。

『お兄さん、お疲れ様』 

と口が読めた。 
妹のありがたい気遣いにほっこりしていると、チャイムが鳴った。

「さあ、SHRは終わりだ。諸君らにはこれからISの基礎知識を半月で覚えてもらう。その後実習だが、基本動作は半月で体に染み込ませろ。いいか、いいなら返事をしろ。よくなくても返事をしろ、私の言葉には返事をしろ」

先程も言ったがもう一度いう、美人だが鬼だ。 
私は――ここでやっていけるのかが正直不安になってきた――。  
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