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バカとテストと召喚獣 吉井龍明の受難

作者:M・R・F・D
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序章 ~そして物語は本編へ~

 
前書き
次からようやく本編へ行きます! 

 
「へ~引っ越して来たばかりなんだ?」

「はい。此処に戻って来るのは7年振りなんです」

所変わって大通り。俺はさっき助けた女の子、永久野有栖さん(アリス)と話ながら文月学園への道のりを早歩きしていた。聞く所によれば何でもアリスは昔この街に住んでいて両親の仕事の都合でアメリカに引っ越していたそうだ。そして三年間のアメリカ暮らしで小学校を卒業し、いよいよ中学生と言うときにまた日本に引っ越して来たらしい。
そして中学校も無事卒業し、今度は高校生になるといった矢先に、アリスは両親と話し合い、高校ぐらい自分の行きたい所に行かせて欲しい、と懇願し、この街に戻って来たというワケだ。

「何だか、大変だったんだねアリスさん」

「さん、は要りませんよ龍明君。それに、これから高校生活が始まるんです。そうしたら今まで我慢してた分やりたかった事沢山やるつもりですから!」

「そっか。頑張ってねアリス」

「え?龍明君も一緒じゃあないんですか?」

「ほぇ?何で」

「だって通う高校が同じなのに、せっかく友達になれた人と一緒にいちゃいけないルールなんて無いですよね?」

「と、友達?俺が?アリスと?」

「はい!龍明君は私がこの街に戻って来てからの初めての友達です!・・・それとも迷惑、ですか・・・?」

そう言って悲しそうな目で俺を見上げるアリス。迷惑だなんて、そ、そんなワケ・・・    

「と、とんでもない!むしろ大歓迎だよ!」

「ほ、本当ですか?私、龍明君を友達だと思って良いんですか?」

「全然OKだよ!むしろ俺の方こそアリスを友達って言って良いかな」

「はい!もちろんです!」(ニコ!)

(かあわえええええええええええええええええええええええええええ!)

そう言ってはにかむように笑ったアリスは言葉では表せない位かわいかった。女の子の、しかもこんなに可愛い子の友達が出来る何て今日は人生最大の吉日なんじゃない!?

何て話をしてると間にいつの間にか文月学園の校門前に着いていた。あう、もうちょっとアリスと話してたかったなぁ。

「アリスはどこで試験受けるの?」

「私は特別教室の二号室ですね。龍明君は?」

「俺も二号室だよ。まあ、まずは入学式だけどね」

「じゃあ体育館に行きましょうか」

その時。

『よしいぃぃぃぃ!!!さかもとぉぉぉぉ!!!今日と言う今日は許さんぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!』

『明久!もっとペースを上げないと鉄人に捕まって新学期早々(肉体的な)特別指導だぞ!』

『それだけはイヤだ!こうなったら雄二を犠牲にしてでも僕は生きる!』

『おぉっと!危な!テメエ明久!ナニしやがる!』

『うるさい!良いから黙って僕の平和の礎になれぇぇぇ!』

『ふざけんな!犠牲になるのはお前お前の方だ!』

『良いからキサマ等!とっとと大人しく捕まれぇぇぇぇぇぇ!!!!!』

『『イヤだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!』』








・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「た、龍明君・・・あれ何でしょうか・・・?」

「さ、さあね~何だろうねぇ~?」

入学初日から兄と知人が教師に追っかけられている場面を見てしまった。アキ兄・・・雄二先輩・・・新学期早々何やらかしたんだろ・・・?





☆  ☆ ☆

入学式を終えて。

「では・・・始め!」

一斉に配られた問題用紙を裏返す音がする。勿論俺も裏返した。

そして俺は自分の愚かしさを呪う事になる。

(し、芯がない・・・!)

愛用のシャープペンシルの先端部分からは何度カチカチ芯を出そうとしても芯が出て来なかった。
・・・ってコレって相当不味くない!?試験は今日と明日。明日は良いとしても今日のテスト全部0点で終わってしまったら俺がどんなに頑張ってもDかCが良いところだ。それが意味するモノ。それは・・・

(し、仕送り大幅削減・・・!)

俺の兄吉井明久と、俺吉井龍明は二人でマンション暮らしである。しかしながら何分学生というものは親からの資金援助無しでは生きていけない生物なのである。即ち、『お金』である。
俺たちが二人で生活するにあたって家族と決めた約束事の中に成績関連のモノがある。良好な学習態度を維持し続ける事、並びに成績を逐一報告する事。
要は、ちゃんと勉強しなさい。その結果をちゃんと定期的に知らせなさい。どちらか一方でも怠ったら・・・仕送りについて考えるからね?
・・・とゆう事である。

(今までは何とかアキ兄の分まで俺がフォローして来たけど 入学早々に0点のテスト何て知られたら・・・クッ!)

仕送りを減らすのは俺たちの生活費だけでなく娯楽費も同時に減らすという事。このままじゃ来月発売の新発売のあれこれを諦めなくてはならなくなってしまう。クソッ!俺のバカ!

何て悩んで居ると。

コッコッコ・・・

隣から何か聞こえた気がした。これは・・・まさか!?

(も、モールス信号?)

何故に平和な筈の日本の、ごく一般的な高校での試験で、隣の席からそんな暗号方式の音が聞こえて来るのかにまずは疑問を感じたがそれより驚きなのが

ココッコッコ・・コッコココ

(タツアキ・・クン!?)

俺の名前を知っている!?
驚いてそっちを向いてしまいそうになるが慌てて止める。そんなことしたら不正行為と見なされる

コココッ・・ココッコ

(ワタシデス・・アリスデス!?)

ぜ、全然気がつかなかった・・・それとなく視線だけで横を見ると確かにアリスがそこにいた。

コッ・コッ・ココッ

(ドウ・シマ・シタか・・・)

壇上に立っている教師にわからない位の動作と音で(勿論顔はテストに向けたまま)俺は返す。えっと・・・

(シャーペンノシンガナインダ)

(チョット・・・マッテ?)

アリスが自分のペンケースをいじっている。・・・何やってるんだろうと思いつつ、それよりもどうして一介の高校生(しかもこんなに可愛い子が)モールス信号何て使えるんだろうとも考えていた。

(ワタシガセンセイヲヒキツケルカラソノウチニシンヲウケトッテ)

え?でも、それって不正行為になるんじゃあ無いだろうか?
第一、会ったばかりの俺にどうしてそんな危険を冒してくれるのだろう。下手をしたらアリスまでとばっちりを食うかも知れないのに。
しかし俺は

(アリガトウアリス、オンニキルヨ)

その申し出に乗ってしまった。・・・それがアリスに多大な迷惑を掛けるとは、この時はそんなこと考える由も無かった。





 
 

 
後書き
えっと、モールス信号の部分については私の独断と偏見で書いているのであまり気にしないでおいてくれると助かります。
さあ次からいよいよ本編です!楽しんでくれたら幸いです。 
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