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魔法少女リリカルなのは~過去を捨て今を生きる者~

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空白期編
  なん・・・だと?

はやてや守護騎士たちと出会ったきっかけ、闇の書事件の翌年。
オレたちは一つ学年が上がり、小学四年生になった。
そしてオレたちは去年までのように嘱託魔導師ではなく、管理局に正式に入り、学校がないときは管理局員として仕事を始めた。

「美愛、いい加減に一人で起きろ!」
「うー、頼れるおにーさまがいる限りむりぃー・・・」

そんな中、今日も今日とてなかなか起きない美愛を起こすオレ。
この愚妹は今年で十歳になったというのに、未だにこのだらしない姿を兄に見せつけている。
羞恥心仕事しろ。
まあ、だからといって意識されるのも嫌だが。

「しょうがない、ヤミ」

オレは美愛にいい加減イラついていたので、自分のデバイスであるヤミに話しかける。

<はあ・・・またですか>

ヤミは機械的でありながらも、多少の抑揚はある声で反応する。

「まただよ・・・。焔火準備」

今や美愛を起こす専用になってきている魔法の準備をする。

<準備完了。焔火、放ちます>

闇の書事件のときより威力の上がった力を抑えながら、魔法を使用する。

「うわっちゃ!?お、おにぃ、なにすんのさ!」
「起きないテメーが悪い。先にリビング行ってるから、はやく来いよ」

未だにギャーギャーと騒ぐ美愛をほっといて、オレは美愛の部屋を出た。


「あ、陽龍。美愛は起きた?」

リビングに行くと、学校の制服の上にエプロンを着ているオレももう一人の妹、アリシアが話しかけてくる。

「ああ、起こしてきたよ。ったく、オレらももうチビガキってわけじゃないんだし、お前が起こしに行けよ・・・」

オレはエプロンを着てから台所に入り、食事の手伝いをしながら文句をいう。

「わたしは朝ごはん作るのに忙しいもーん。お母さんとお父さんはずっとミッドで泊まりがけのお仕事だしね」

アリシアの言うとおり、両親は進級してから四ヶ月後、急に仕事が多く入ってきたのでミッドの仕事場泊まり込んで仕事を片付けるため、家を空けていた。
ちなみにそんな生活が続いてもう三ヶ月。
小学生の子供だけでの生活は流石に心配なのか、二週間に一回は半日。一ヶ月に三日間の連休をとって帰ってきている。
そのため、オレたちはこの無駄に広い家で三人で暮らしていた。

「別にオレが朝飯作ってもいいんだけどな。あ、今の塩足りてないぞ」
「おー、了解!そして花嫁修業中だからお控えくださーい」

とまあ、そんなわけで美愛を起こす毎日。
美愛はアリシアを見習え。

「おはよー」

そんなことを思っていると、制服に身を包んだ美愛がやってくる。

「おはよ。そしてもっと早起きしろ」
「おはよう、美愛。もう、いい加減に一人で起きないとだよー?はい、おーわりっ!」
「二人とも同じこと言わないでよー。そして無理!」

あきらめが早すぎた。
そして料理が出来上がったので机に持っていき、朝ごはんを食べた。


学校についてすぐ。

「そういえば今年はクラス別れたんだよね」

下駄箱で靴を履き替えている最中、美愛が言った。
美愛の言うとおり、去年までは同じクラスだったオレらだけど、今年はオレと美愛と慎吾とフェイト、なのはとはやてとアリシアとアリサとすずかというようにクラスが別々になった。

「三年間不思議なことに同じクラスだったのにねー」

もう上履きに履き替えたアリシアが言う。
うむ。一年生から三年生、一学年四クラスあるこの学校で何故かずっと同じクラスと言う奇跡。

「ま、そっちのほうが珍しいからな」

オレたちはそんな話をしながら教室に向かう。

「じゃ、わたしはこの教室だから。まったねー」

アリシアはそう言って一つ隣の教室に入っていった。


「おはよー」
「おっはよー!」

そしてすぐにオレたちも自分の教室に入る。

「お、今日もまた遅刻の五分前」

教室に入ってすぐ、慎吾が言う。

「美愛が起きないからしょうがない」
「もう美愛、いい加減に一人で起きなきゃダメだよ?」
「フェイトまで同じこと言わないでっ」

慎吾と同じように既に来ていたフェイトが話に入ってくる。
うん、やっぱそう思うよな。

「あ、ところで一時間目の算数の宿題終わってるか?」
「もち」

慎吾の質問にオレは即答する。

「じゃあラストの問題みせてー。マジ意味わかんねー」
「ったく、見ちゃダメだろう。教えてやるからあとでプリント持って来い」
「さんきゅー」

というか、慎吾は前世の九十九輝希の記憶があるのになんで小学四年生の問題がわからないんだろう。
ちなみにオレはほとんどの記憶は所持していが、当時見ていたアニメのいくつかは忘れてしまっている。
かわりに学力はそのままだし、エリザが勝手に転生特典弄ったらしいからステータスが全体的に上がっていたりする。

「あ、ならおにぃ、プリントみせて。全部の問題丸写しするから」
「お前は勉強しろッ!」

美愛の頭をスパーンと叩いたのはしょうがないはず。


放課後。
オレたちは廊下に出ていつものメンバーを待つ。

「ごめん、待った?」

アリシアを筆頭になのは、すずか、アリサも出てくる。

「いや、オレたちもさっき出てきたとこ。じゃあ今日も翠屋でいいよな?」

今年からオレたちは放課後に用事がないときは翠屋に集まるのが当たり前のようになっていた。

「あ、そうだ陽龍くん。国語でわからないところがあるから教えてくれない?」

なのはが聞いてくる。

「別にいいぞ。代わりに理科と算数を美愛に教えるの手伝ってくれ。もう疲れた」
「う、・・・」

そう言うと、なのはの表情が曇る。

「ちょっと二人とも、それはどーゆー意味ー?教えてくれないかなー?」
「お前の物覚えが残念すぎるのがいけない」
「毎回毎回同じところを聞かれるのは、ねぇ・・・」

というわけだった。
流石に疲れた。

「わ、私だって日々成長してるんだよ!」
「じゃあ二十メートルを÷四すると?」
「七!」
「せめて割り算くらい覚えてくれ・・・!ホント、マジで頼むから・・・!」
「美愛ちゃん、九×九は?」
「えっと「クク、八時開始だったな?ならばあと十分、せいぜい残りの人生を謳歌するんだな」だから、八十一!」
「気に食わないのッ!!」

ちなみにわかっていると思うが、二十メートルを÷四すると五になる。

「さて、美愛は今日10時まで勉強な」
「おにぃのバカぁぁぁぁぁぁ!!」

美愛 は 逃げてしまった!

「しかし、魔王(あに)からは逃げられない」
「なん・・・だと?」

そんな感じで今日もオレたちは絶好調だった。
 
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