問題児たちが異世界から来るそうですよ? ~無形物を統べるもの~
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Tain Bo Cuailnge ⑦ & 大祓 ⑥
一輝と湖札は、一撃をぶつけてからぶつかり合いを始めていた。
「何で兄さんが!私と同じ威力を打ててるのかな!」
「相手の変化には!しっかりと気づきましょう!命取りになるぞ!!」
一輝はそういいながら、足払いをかける。
湖札はそれを跳んでかわすが、その際に上から見てからくりに気づいたようだ。
「背中の剣?」
「正解。霊格吸収ってね。便利なもんだよ。」
一輝は、背中の剣、ダイダラボッチを吸収することで湖札と互角に打ち合っていたのだ。
憑依を強力にしたような感じだ。
「それが可能なら、かなり怖い奥義だね。」
「そこまででもないよ。少なくとも、神成りよりはましだ。」
「これは比べる対象じゃないよ。まったく別の次元にある。」
そう言いながら、一輝は背中に剣を戻し、新しく剣を抜く。
姿が曖昧な剣と、青い炎をまとった剣だ。
「次はこいつらでいくか。なんだか、分かりやすそうだし。」
「片方はそうだけど、もう片方はまったく分からないよ。」
「そうか?そうでもないと思うけど!」
一輝は青い炎を振るう。
すると、それは狐の姿をとり、湖札に襲い掛かる。
「予想してたのと違った!?」
「俺もだ。まさかこうなるとは。」
一輝はそういいながらも剣を振り続ける。
狐を量産し、全て湖札に向かわせるが・・・
「邪魔!」
の一言で霧散された。
湖札の被害状況は手に軽いやけどを負っただけである。
「よえー、青狐。」
「呑気にしてる場合!!」
一輝が狐の弱さに驚いていると、湖札が一気に距離をつめ、攻撃を仕掛けてくる。
一輝はそれに反応しきれず、ダイダラボッチも剣に戻しているので、ただ殴られ続ける。
「このまま押し切るよ!兄さんさえ倒せば、残りはどうにかなりそうだし!」
「ちょ、少しは加減しろよ!」
一輝は一発もよけきれず、どんどん殴られ、蹴られていく。
「兄さんは、体中の骨が折れても安心できないんだよ!」
「俺はどこの化物だ!」
そして、一輝が自分の体重を支えきれないかのように、地に膝を着いたところで、
「チャージ完了!狐火、九尾将来!」
湖札の後ろから、一輝が青狐を放つ。
そのサイズは先ほどとは比べ物にならないくらい大きくなり、尻尾の数も一本から九本に増えている。
「え、ちょ、きゃああああああああ!」
「はっはっは!不意打ち大成功!」
湖札がそれをもろに喰らうと、一輝が急に姿を現す。
「やっぱり、コイツはチャージ型だったんだな。今くらいで九尾になるなら、戦闘でも十分に役立つな。」
「あっつい!この・・・えい!」
一輝が武器の性能を検証していると、湖札が風を起こして、炎を吹き飛ばす。
「お、もう脱出したか。ダメージを与えれてもこんなペースで無効化されるなら、やっぱり使い方を考えないと、かな?」
「そんなことより・・・どうやって後ろを取ったの?確かに私の前で倒れてたと思うんだけど。」
「ああ、それは」
一輝はいまだに倒れている、一輝に手を向け、「解。」と唱える。
すると、倒れている一輝は一枚の紙になり、一輝のギフトカードに入っていく。
「式神でごまかした。」
「なるほどね。でも、背後を取った方法は?気配はなかったんだけど。」
「それは、こいつの力だよ。」
一輝は姿が曖昧な刀を取り出し、湖札に見せる。
「コイツは見た目どおり、俺を曖昧にしてくれる。」
「それで急に私の後ろに出てきたんだ。ぬらりひょん?」
「正解。かなり便利な武器だな。」
そういうと、一輝は青い炎を納刀し、代わりにまだ使っていない一振りを抜く。
「では、また消えま~す。」
「ちょっと待ちなさい!」
待てといわれて待つ人などいるわけもなく、一輝は再び消える。
「次はどこから来るんだろう・・・」
湖札が警戒して周りの気配を探っていると、
「・・・そこ!」
背後に気配が現れ、そこに風をぶつける。
確かに、そこに一輝はいたし、もろにその風を喰らって吹っ飛んだ。
ただし、白黒の。
「・・・え?」
湖札がその一輝に疑問を抱いていると、湖札の周りに大量の気配が現れる。
それは、全て白黒の一輝であった。
「うそ!?なにこれ!?」
湖札は驚いている。
湖札が知る、鬼道に封印された妖怪や魔物、霊獣などの中にはこんなことが出来そうなものはいないのだ。
「どうやってこんなことをしたのかは分からないけど・・・とりあえず!」
湖札は自分の周りに風を撃ちまくり、白黒一輝を消していく。
湖札はその様子を観察して正体を探っていくが・・・
「・・・墨?」
そう、白黒一輝は消える際に墨になって消えている。
湖札はそれと、一輝が全て白黒というところで正体に気づいたようだ。
「そっか。白澤、だね?」
「正解。バレちゃったらもういいか。」
一輝は姿を現し、湖札の前に立つ。
「でも、鬼道が封印してきた中に、白澤っていたっけ?」
「ああ。ギリギリ鬼道が封印した、に含まれるよ。」
「なるほど。封印したのは兄さんなんだ。」
そう、白澤の封印は鬼道の名前を奪われる直前に、一輝が殺し、封印した霊獣だ。
その事実は陰陽師課が隠していたので、湖札が知らないのも十分に納得できる。
「ああ。かなり弱かった。」
「一応霊獣なんだけど・・・でも、兄さんのギフトなら白澤が何かする前にいけるのかな?」
「そ、一撃で真っ二つにしてやった。」
実際にはそれで終わりではないのだが、一輝はその先を話さない。
「でも、これで兄さんの武器は九個どんな物か分かった。神になってる今なら対処も出来そうだよ?」
「まだ一つ残ってること、忘れてない?」
一輝はそう言いながら、左手首を見せる。
「覚えてるけど、それでどうやって攻撃を?」
「それは、見てからのお楽しみってことで!」
一輝はそのブレスレットを使い始めた。
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