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ベイサイドの悪夢

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第八章

「本当にな」
「そうですね。流石に身内でそういう奴がいるのは嫌ですから」
「不心得者は何処にもいるからな」
「ええ、本当に」
 キッドニーはこのことについては困った、そして若しそれを見つけた時に味わう後味の悪い苦さを思い浮かべる苦渋もその顔に入れて話した。
「何処にでも」
「それが親しい相手だった場合はな」
「余計に嫌ですからね」
「それがなかったこともな」
「本当によかったですね」
「全くだ、そしてだ」
「ええ」
「ボーナスもだな」
 この話にもなった、当座の現金収入のことだ。
「それもあるな」
「ですね、けれどこっちは」
「期待しない方がいいか」
「出ることは出ますが」
 このことは間違いないというのだ、だが。
「その額は」
「あまりか」
「さっきちらっと経理課の同期から聞いたんですよ」
「その彼の話か」
「いえ、彼女です」
 性別は違った。
「結婚して二人の子持ちですがね」
「その人からか」
「はい、どうやら俺達のボーナスは」
「それ程出ないか」
「残念ですけれどね」
 キッドニーはここでは寂しい笑顔になってホイットマンに述べる。
「署っていうか市の財政の関係で」
「それでか」
「jはい、あまり出ないそうです」
「世知辛い話だな」
「今は何処でもこんなのですかね」
「デトロイトのこともあるからな」
 財政破綻したかつての車の街だ、百七十万もいた人口が八十万にも減り様々な収入が減ってしまった結果であるという。
「今は何処もな」
「はい、やばいですからね」
「アメリカ自体も楽とは言えないからな」
「そこは仕方ないということで」
 話が決まったらしいというのだ。
「その様です」
「全く、しかし昇進するからな」
「いいですね」
「内通者もなかったしファミリーも壊滅する」
「いいこと尽くしですからね、今の時点で」
 私だけではなく公でもだというのだ。 
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