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竜になった少女

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夜道

 
前書き
月明かりに照らされたあの森には、いつしか「竜がいた森」と言う風に住人たちやこの街以外のひとたちの耳に届いていた。
 これは、2人の少年少女のストーリー。 

 
ある晩、ひとりの少年が森を歩いていた。彼の名前はダイル。彼は、森に入り自然と遊ぶことが好きだ。毎晩一人で森へ入り、心を無にしていた。いつもは迷わず帰ってこれていたが、どうやら道に迷ってしまったようだ。あたりは真っ暗で、前がよく見えない。ダイルが空を見上げると星がきれいに輝いてきた。するとすぐそばから女の子の泣き声が聞こえてきた。ダイルは背中がぞわっっとしたが、その泣き声のするところに駆けつけ、ダイルは女の子に声をかけた。

「どうしたんだい?」

少女はまだ8歳くらいの女の子だった。その少女もダイルの声に驚いていたようだが、立ち上がりこう言った。

「お兄ちゃんだれ?」
「僕はダイル。君は?」

少女は目をパッチリ開け、ダイルを見上げていた。

「私はマーチ」

と答えた。

「どうしてこんな時間にここにいるのかい?迷子かい?」

ダイルは少女に訊ねた。マーチはまた、暗い顔に戻って

「私、家から追い出されたんです……。お前は何度言ってもわからないからうちの子じゃないって」
「家に帰りたいかい?」
「帰りたいけど、お母さんもお父さんも私をいらない子だっていうから帰りたくても帰れないの」

と、その場にしゃがみこんだ。
ダイルは言った。

「僕の家おいでよ。まだ夕飯食べてないんだろう?一緒に僕の家帰ろう」
「い……いいの?」
「もちろんさ。実は僕も道に迷っててね。君が来た道を覚えてるのならそこから帰れるさ」

マーチは笑顔で「こっち」とダイルを案内した。
一体今は何時なのだろうか。あたりは真っ暗で見えづらい。ダイルは持っていた懐中電灯を照らしながらマーチと歩いた。
15分くらい歩いたか、見えたのはたくさんの家の明かりだ。そして、

「あれが、僕の家だ」

ダイルは自分の家を見つけ玄関まで歩いた。暗い時間にしては、賑やかである。
家の前に着き、ダイルはマーチを案内した。

「こっちだよ」

ダイルは手招きし、家の中にいれた。

「お母さん、ただいま」
「まぁ、どうしたの。その子は?」

ダイルの母サリーは少女を見ながら言った。

「しばらくここで一緒に住ませていいかな。この子、帰るところがないんだ」

ダイルは母にマーチから聞いたことをはなし、承諾を得た。

「マーチっていうのね。うちでよければ、ゆっくりして行ってちょうだいね」

サリーは笑顔を見せ、夕飯を出した。時刻は午後9時を回っていたにも関わらず受け入れてくれた母をダイルは誇らしく思った。そして始まった生活。 
 

 
後書き
恋愛小説でもない小説を書くのは初めてなのですが、楽しめていただけたら嬉しいです。
ご意見ご感想お待ちしてます。 
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