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忍術と食を極めし者

作者:青空
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第8巻

 
前書き
 
更新が遅れてしまい申し訳ない。
やっとこさ更新でございます。
しかも、短いうえに雑でうまく纏まってません。

あと、次の更新も未定です……
  

 
 
 
 マダラのカガミ・アスカとナギ・スプリングフィールド率いる紅き翼。双方は夜の迷宮を抜け出て外で対峙していた。ナギは、アスカの前に立った瞬間に魔力を全開にし即座に戦闘に入ろうと構えたが、そこで待ったの声とともに強烈な一撃がナギの頬に。さすがに一国の姫だと言うべきか、アリカが王家の魔力を持ってナギにビンタをかまし彼を止めた。

 マダラを前に臆せず普段通りに彼女が動いていなければナギに触発されたラカンがまじり、今頃迷宮は崩壊し全員が生き埋めになっていただろう。まあ、戦闘力が並の上であるアリカと熟睡しているテオドラ以外の面々は無事に脱出できるのだろうか。


 「それで、俺に何かようか……赤毛のガキと紅き翼ども」

 「ハッ大有りだぜ! あんた、世界最強なんだろ? そんなテメェを倒して世界最強になってやる!!」


 さっさとテオドラを回収して帰りたいアスカ。そんなことは関係なしに興奮を隠しきれず彼を指差し、堂々とお前を倒し自分が世界最強の座に就くと宣言をおこなうナギ。

 世界最強の魔法使いと自ら名乗っている彼にとって今回は絶好の機会、アスカは傭兵ではあるが帝国の人間で此方は不本意ながらお尋ね者の賞金首。今を逃せば何時になってしまうか、早くても戦争終結後になる。それでは駄目だ、アルビレオの話通りならマダラは戦争が終われば姿を消し消息を絶ってしまう。それでは本当に何時になってしまうか分からない。


 「っんじゃ……いくぜ世界最強っ!?」


 だから、今此処で目の前の男を必ず倒し己が最強なのだと証明してみせる。






 一人の少年の挑戦という形で戦いが始まり早五分前後。

 二人の戦いを見て驚いた顔を作る者が一人。アスカを含めこの中でもっとも永い時をすごし知識を蓄えては興味の対象を観察し続けてきた存在。

 アスカの古き知人であり紅き翼の参謀的立場に立つ古の魔導書であるアルビレオ・イマ。そんな彼が信じられない物を見るかのように二人の戦いを見ている。

 最初は拮抗しているように見えた。いや、見えていた。初めから魔力を全開にし挑んだものの直ぐに拮抗など無かったかのようにナギは最強を前に押されて圧されはじめた。

 少年の御世辞にも完璧と呼べなくとも天性の才能により紛いなりにも形となり絶大な威力を誇っていた魔法が通じつ、肉弾戦最強であるジャック・ラカンとの日頃の殴りあいによって洗礼されるかのよう磨きのかかった徒手空拳も届かない。

 天に愛されたかのような〝力〟と〝才〟に〝運〟を身に纏うか、その塊といった人間だと言っても過言ではない彼の全てが全て通用していない。彼の前にいる〝人間〟という名の、人の身でありながらの化物には何もかもが無意味かと示されているように全てが潰されていく。


 ありえない。


 勝てなくともここまで圧倒されるとは考えも思いもしていなかった。いくらマダラが強くともナギが手も足も出ないような状況になるとは。ギリギリに食いつけると〝当時〟より強くなっているといえど〝この〟ような場面は何一つ予想だにしていなかった。彼の者と行動していた彼が決別してから暫く一緒に行動していた当時既に彼の実力は〝完成〟され、力を持ち強さを誇っていた。あれから長き時が経ち強くなっているといっても完成されていたあの時点からさらに強靭な力をつけようとは……完全に誤算だ。


 「――がっ!?」


 彼を越えられると思っていた少年がついに膝どころか俯せで身体を地に付いてしまっている。

 何とか立ち上がろうとしようも、初めから魔力を全開にし維持し続けた代償により肩だけではなく全身で息をし汗だくの汗まみれ、両足で地に立つどころか膝を付けることすらできない。


 「ナギィっ!!」


 そんなリーダーの姿を目にし詠春が叫び、刀を抜き業を放つため気を練ると同時、ラカンが一瞬で気を全開に溜め、冷や汗顔な微笑みを消したアルビレオと普段は無表情な顔を多少歪めたゼクトが詠唱に入り、ガトウは魔力と気を融合させ身に纏う究極技法「咸卦法」を発動させアリカとテオドラの二人の盾になるため側に。


 「チっ! 結局こうなるのかよ!!」


 クロスは一気に魔力を練り上げ五つの十字架を懐から取りだし己れの周囲に滞空させ、紅き翼に加入した際にナギと仮契約をしてから愛銃となった『断罪者《ジャッジメント》』を抜き、銃口を目標に向ける、が。


 「いちいち……騒ぎ立てるな、ガキ共」


 たった一言。そのマダラのたった一言が紅き翼の面々の動きを止めた。彼の口から発せられた言葉に殺気と眼力が言霊として圧力となり、その場にそのまま彼らを身体を縛り上げ釘付けに。


 ―おいおい、マジか! 指一本動かすどころか声も出せねえだぁ?!


 皆が動こうと抗う中ジャック・ラカン、彼は今の己れ達の状態に戦慄を隠せずにいた。ナギを一方的に叩き潰したのは良くはないがいい。が、此だけの実力者たちを術も業も何も使わず声と眼力のみの圧力だけで動けなくしてしまうのは異常だ。

 長い間、戦い続けてきたがこのような事態は初。

 長年の戦いで培った経験が、勘が身体全体を警告し続ける。『奴には勝てない』と。

 過去の戦争、アルから聞いた話しついでにクロスの生の体験談。それらを統合し正直、ナギだけでは勝てなくとも自分と二人でなら勝てると考えていた。しかし、考えが甘かった。甘過ぎたと言って良いほどに。ナギがダウンしても最強クラス上位が此だけ集まっていながらこの様、どうやって奴に勝つかシミュレートしていた少し前までの自分を殴り飛ばし無理矢理にでも止めてやりたい。


 「古本が興味を持ちゼクトが弟子にし、ジャック・ラカンをはじめとする此だけのメンツが長として認めた奴が……この程度だったか。まあ、いい。」


 何とか動こうとする最中、紅き翼の彼ら等どうでもいいと言いたげにマダラは動きをだす。腕を組み今回の目的へと悠々と歩き足を進めていく。





 ▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△





 マダラが目的の者を持って去ってから数十分後、紅き翼の面々とアリカ姫はアスカにボロボロにされたナギを運び隠しアジトに身を寄せていた。

 本来は夜の迷宮よりアリカとテオドラを助け出した後に一時身を寄せ身を隠す場所だったのだが、リーダーが手も足も出せず大敗したため場は暗く重い、特に戦争を止められる存在だと信じていたアリカは大きくショックを受けて沈んでいる。


 「たまんねえな、チクショウ。アレが世界最強だってか……」


 そんな中で力なく声をあげたのは壁を背に床に座り天井を見るクロス。絞り出したかのように声は細い、彼の言葉は紅き翼全員の想いを代弁しているだろう。井の中の蛙と言っては酷だが、それほどまでに彼らは強かった、強すぎた。世界は二つ在り広大、同程度の強さを持つ者ならいるとは思っていた、アリカを除いた全員が集まった紅き翼がいい例だ。

 だが、アレは何だ。

 完全に自分たちを軽く遥かに凌駕しているではないか。文字通り手も足も出せず棒立ち、今の実力を身につけ略敵がいなくなってからは初めてのことだ。気分は竜種の前になんの術も力もなく投げ出された子供の心境のそれに近い。まさか今になって己らを越える存在がいようとは……


 ――すみませんナギ……


 別室でナギを治療魔法にて治療を行っているアルビレオは声を出さず傷だらけになり横に寝そべる彼に一人、内心詫びる。

 今回の件は自分の考え足りなさによって起こった。長年に渡って存在してきたが、これ程の後悔と失態は初めてだ。マダラが何を思って喧嘩を吹っ掛けた此方を、ナギを叩き潰しただけで何故見逃したかは定かではないが、あのとき彼の気分しだいでは紅き翼が壊滅していただろう。

 そう、かつての同胞である自分諸とも皆殺しにされ……

 もしかすると完膚なきまでやられた彼の心が折れ立ち直れず、彼を慕い集った紅き翼はこのまま分解してしまう可能性もある訳だが……


 「アル……」

 「おや……起きてましたか、ナギ」


 いつの間にか目を覚ましていたナギ。拳打と蹴りのみとはいえ、かなりのダメージを受けていた彼がこうも早く目を覚ましたのはアルビレオによる高水準の治癒魔法のおかけだろう。

 名を呼ばれたアルビレオはオチぎみであった心情を顔に出さずに、いつもの胡散臭い笑顔でこたえた。伊達に長き年月の間、人の人生を観察し時にはおちょくってきたわけではない。


 「……強かった、マジで強かった」

 「 ………… 」

 「手も足も出せずに負けちまった……」


 いつも、いつでも自信満々で元気の塊のような少年の初めて聞くであろう弱々し声だが――


 「それで、諦めてしまうのですか?」

 「ハッ! まさか!!」


 瞳には炎がメラメラと燃えており何一つも諦めていないのが丸分かりだ。傷が少しでも癒え身体を動かせるようになったら本調子出はなくとも件の人物の元まで飛んでいってしまいそうだが、やはり力の差を思い知らされた以上、無暗に突撃するようなことはしないようだ。


 「今のままじゃ奴には勝てねぇ、オレは強くなる。そして必ずアイツを越えて世界最強になってやる!?」 


 それでこそ我らのナギだと笑みをこぼしながらナギが目覚めたことを他の者に知らせる為に部屋を後にするアルビレオ。

 この後、ナギを心配していたアリカが目に涙を溜めて部屋に飛び込むかのように訪れるのだが、それを見ていたラカンにナギが弄られるのは余談だ。





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 テオドラを依頼通りに救出及び奪還を果たしたアスカは、寝たままの彼女を皇帝の側近に無事に手渡し任務を終え、方舟内で食事をしつつ休息をとっていた。

 メニューは極楽米を使用した十黄卵とにんにく鳥の親子丼、リーガルマンモスの普通の肉を調理したステーキ、酒乱牛を薄くスライスして生のままネタにした握り等の肉をメインとした物ばかり。

 長距離を移動し本気を出してなかったとしても上位精霊、造物主の使徒、赤毛のバカと三連戦したのだ。特に後半二戦は肉体をフルに使ったため最強クラスの一体と一人を相手に取ったのだから食義をマスターしていようとカロリーの消費は少なくはない。なので手軽にカロリーを摂取できるようカロリーが高い物を食している、ということだ。

 摂取している量は常人のそれを逸脱するほどの量なのだが、高カロリーで揃えているためこれでも少ない方だ。あり得ないことだが普段なら更に量が増える、この異常な食欲もグルメ細胞の影響だ。

 それと、カロリーの回復もあるが来るべき造物主との戦いの為に食義の奥義である食没によってエネルギーを蓄えないといけない為、自然と摂取量は増えてしまうのは仕方ないのだろう。

 史実とは違い紅い翼を交えてのアリカとの対談をする前にテオドラを回収してしまったが、あの姫と皇女のことだ。再び対談をする為に接触し、これからのことを話し合うだろう。多少は歴史にズレが生じるだろうが些細なことだ。

 決戦に向けて計画の仕掛けはほぼ終わっている。贄もゼツたちが各地に散らばり〝人間〟たちを滞りなく揃えた。戦場に出るのも更に念には念といった風に、血を流し刻む程度の為。雑魚を相手させる戦力も契約を含め獣たちは充分に揃っている。

 後は造物主が儀式を行う決戦の日を待つだけだ。



 
 

 
 
 

 
後書き
 
NARUTO本編終盤たですね。
ナルトが見たサスケの中が気になってしょうがないです。
  
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