転生とらぶる
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魔法先生ネギま!
番外編022話 その頃のホワイトスター2
「いよいよ明日、ね」
ホワイトスターにある自分達の部屋の居間で、ソファに座って技術班から送られて来たアクセル用の新型機に関しての報告書を手にレモンが呟く。
それを聞くのは、同じ家に住んでいるコーネリアとマリューの2人だ。
コーネリアは少し離れた場所でストレッチを行っており、マリューはT-LINKフレームの設計を見直している所だった。
そんな2人もレモンの声に小さく頷く。
「ええ。マーカーの反応をキャッチしてから約10日。ようやくアクセルを迎えに行けるわね」
「全くだ。正直、何度あの男を始末してやろうかと思った事か」
苛立たしげに眉を顰めるコーネリア。
あの男、即ちロード・ジブリールは現在ホワイトスター内の独房に収監されており量産型Wによって色々と取り調べを受けている。このまま行けばそう遠くないうちにロード・ジブリールの知っている情報は全て引き出されるだろう。
そしてその後は表社会に出る事は一切無く、このホワイトスターの独房でひっそりとその生涯を終えるのだ。
「……まぁ、意外とパトリック・ザラと仲良くなるという可能性もあるかもしれんがな」
「いや、それはないでしょ」
コーネリアの言葉に苦笑を浮かべるマリュー。
パトリック・ザラの隣の独房にロード・ジブリールがいるというのはSEED世界の事情を知っている者にとっては皮肉以外の何ものでもないだろう。
尚、アズラエルに関しては1人ポツンと離れた場所に隔離されていたりする。
コーネリアは忌々しい人物の事は頭から消し去り、レモンの方へと視線を向けた。
「結局明日のメンバーは誰が出向く事になったのだ?」
「私、コーネリア、マリューの3人に、エキドナ、ムウ、イザーク。主な所はこの6人ね。戦力としては量産型Wが30人程。それとメギロートが10機に、量産型ゲシュペンストMk-Ⅱが5機って所」
「……本当にそれだけの戦力を連れて行くのか? まだ向こうの世界が危険だと判明した訳では無いのだろう?」
コーネリアのその質問に、愁いを帯びた微笑を浮かべたレモンは髪を掻き上げて答える。
「確かにコーネリアの心配も分かるわよ。でも、良く考えて。アクセルが……『あの』アクセルがマーカーを破損した程の何かがあったのよ? そこに丸腰で出向くなんて真似は危険すぎて出来ないわ」
「そうね。悪いけど私もレモンに賛成よ。転移先で戦争が起こっていると言う可能性も十分考えられる以上は、何にでも対応出来る準備は整えておくべきよ」
その意見は、アクセルがSEEDの世界に転移した時にヘリオポリスがザフトに襲われている現場にいたマリューならではのものだろう。
そして自らもサムライの血と名乗るテロリストとの戦いでアクセルと初接触をしたコーネリアにしても、そう言われると頷くしかなかった。
「一応聞いておくが、転移先が平和な状態だったらどうするんだ?」
「もちろん、向こうが平和的に接してくるのならこちらとしても同様の対応をするわよ? 何も好んで乱を起こそうなんて気は無いんだし」
「そうか、それなら私としてもこれ以上は何も言うまい。……あぁ、グロウセイヴァーはどうするのだ?」
「そうね、元々あの機体はアクセル専用機だからまともに動かせるパイロットはいないし……ホワイトスターに残していって、アクセルが必要なら後から転移させる形かしらね」
こうして転移についての話を進めていき、やがてその話はアクセルの新型機へと移っていく。
「それで、技術班からのアイディアにいいものはあったか?」
「ええ、特にこのヒュドラというのは珠玉の出来よ」
「ヒュドラ? あぁ、確か多機能を備えたバインダーとかいう話だったか」
コーネリアが思い出すかのように問い、それにマリューが答える。
「ええ。まさかブリッツのトリケロスを参考にしてこういう機構を思いつくとは思わなかったわ」
自分達が開発したブリッツガンダムのコンセプトが昇華されて誕生したヒュドラに感心したように頷くマリュー。
「だが、そのヒュドラというのは左右の肩にそれぞれ3枚ずつのバインダーを付けるんだろう? ……肩や腕の可動域が問題にならないか?」
「あぁ、その辺はT-LINKフレームで対応予定よ。上手く行けば可動域とかその辺の問題も解決してくれると思うわ」
「……念動力というのは、そこまで万能なものなのか?」
コーネリアの知っている念動力と言えば、念動フィールドやファントムのような遠隔操作武器、グレイプニルの糸のようにして念動力を糸状にするというものだ。あるいは機体を抜きにアクセル自身がサイコキネシスのように使っているのを見た事もある。だが、それらと可動域をどうにかするというのは全くの別物に思えた。
そんなコーネリアの様子に、思わず笑みを浮かべるレモン。
「そうね。後でいい物を見せてあげるわ。私達の世界に存在した念動力を使った機体制御の最高峰とも言える機体、SRX。あれを見れば可動域云々なんてそう大した問題じゃないと思えるわよ」
「……見てみたいような、見たくないような……」
躊躇うコーネリアの様子に微笑を苦笑に浮かべながらヒュドラについての報告書を見る。
「機能限定とは言ってもテスラ・ドライブが6つあるのよね。これにT-LINKフライトユニットと融合したテスラ・ドライブがあればガーリオンがソニック・ブレイカーとして使っていたエネルギーフィールドも使用可能ね。……念動フィールドもあるけど、二重にフィールドがあった方がパイロットの安全性は高い、か。それとテスラ・ドライブとT-LINKフライトユニットの融合に関しては最大7倍とあるけどアクセルの負担も考えればリミッターを付けておくべきね。いざという時は使用可能にするにしても……」
そんな風にアクセルの世界へと転移する前日は過ぎていくのだった。
翌日、ホワイトスターにあるリュケイオスに設置されている転移区画にはアクセル救出に向かうメンバーが勢揃いしていた。
その数は前日にレモンが言った通りにレモン達3人、エキドナ、ムウ、イザーク。そして量産型Wにメギロートと量産型ゲシュペンストMk-Ⅱだ。
「……準備はいいわね? 向こうの世界では最低でもアクセルがマーカーを損傷するレベルの戦闘が起きたという事から少なからず物騒な世界であるのは確定よ」
「ふんっ、問題無い。早く奴を迎えにいって、俺の相手をさせねばな。このホワイトスターに来ればいつでも模擬戦の相手をすると言っていたのに、実際にはこの様だ」
レモンの言葉にイザークがいつもの強気な姿勢で言い放つ。
その隣ではムウもまた、苦笑を浮かべていた。
「まぁ、あのアクセルがどうにかなるって事自体ちょっと信じられないけど……ナタルを救って貰った恩もあるから、その借りは返さなきゃな」
そんな会話を聞きながらも、レモンはリュケイオスに必要なデータを入力していく。
「転移先座標、マーカーとのリンク接続……接続固定。転移先座標への座標軸固定完了。転移フィールド生成開始……生成完了。じゃあ、行くわよ。転移開始」
その言葉とともに、転移区画にいた面々は転移フィールドに包まれてその姿を消す。
向かうのは自分達のリーダーであるアクセルが転移させられた世界。
こうして、レモン達は転移先が麻帆良という学園都市だというのは知る事もなく転移したのだった。
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