転生とらぶる
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魔法先生ネギま!
0417話
文字通りに雷の速度で繰り出されるネギの拳。その圧倒的な速度で放たれる拳を魔力障壁によって受け止めながらその隙を狙うが、俺の魔力で作られたその魔力障壁を越えるというのは今のネギには難しいらしく前後左右、あるいは上下とあらゆる方向から殴り掛かってきているがその全てを魔力障壁によって防がれていた。
そして幾ら圧倒的速度とは言ってもそれに対抗する手段はある。
「集中」
精神コマンドの集中を使い集中力を上げ、同時に文字通り人外と化した俺の身体能力を使えば実際にその速度についていくのは無理でも観察は可能だ。
つまり……
「加速」
精神コマンドの加速と瞬動を組み合わせて利用し、一瞬ではあるがネギの使う雷速瞬動と同等の速度を生みだし……
「はぁっ!」
速度が速い故にある意味では単調になりがちなネギの拳を一瞬で回避し、がら空きになった胴体目掛けて白炎と化した炎の腕を突き出す。
「っ!?」
「ほう」
咄嗟に危険を察知したのだろう。俺の拳がその胴体へと届く直前、再度雷速瞬動を使用してその場から離れる。だが……
「がああああぁっ!」
加速と瞬動を同時利用したこちらもネギの使う雷速瞬動に匹敵する速度を出せるのだからそのままあっさりと逃がすはずもなく、俺の振るった一撃は回避を選択したネギの右肩を拳が掠める。
右肩を拳が掠めるというそれだけで、雷と化していたネギの右肩は雷その物が焼かれるという魔法でなければ有り得ない現象により、損傷を負う。
「生命ノ宴」
そしてネギがその痛みを堪えている隙を突き、これまでの戦いで使っていた虫や鳥といった小さな炎獣ではなく獅子や虎といった巨大な炎獣を作りだし、解き放つ。
『GYAAAAAAAAA!』
炎獣独特の吠え声を上げつつ肩を押さえて踞るネギへと襲い掛かる2頭の獅子と虎。その牙と爪がネギへと届くかと思われたその時……
「何っ!?」
突然、そのネギの前に巨大な黒い狼のような生物が現れて身体を張ってネギを庇ったのだ。
どこから出て来た狼だ? いや、狼……犬、狗神!? 小太郎か!?
先程まで小太郎が半死半生の状態で倒れていた場所へと視線を向けると、案の定そこには本来倒れているはずの小太郎の姿が消えていた。
「へっ、あんまり狗族を甘く見られ……ごほっ、狗神を自分に憑依させる俺の奥義の狗音影装や、ネギを守るくらいは出来るで」
脇腹を貫通されて、内部から焼かれたにも関わらず獣族獣化……いや、狗音影装と言ったか。それでネギを庇うか。だが、今の一連の行動が正真正銘最後の力を振り絞ったものだったのだろう。次の瞬間には地面へと倒れ伏して狗音影装が解除され、人の姿に戻ってそのまま倒れ伏す。
「……ありがとう、小太郎君。おかげで間に合ったよ」
しかし、ネギにとってはその庇って貰った時間で十分だったのだろう。感謝の言葉を述べながらさらに両腕に魔力を集中させる。
……待て、両腕だと?
『左腕、解放固定、千の雷。右腕、解放固定、千の雷……双掌掌握!』
な、に……? まさか、闇の魔法を二重に使用したのか!?
これは確かに予想外。指をパチンと鳴らして、獅子と虎の炎獣を俺の背後へと控えさせる。
その様子を見ながらこちらへとゆっくりと歩いてくるネギ。
「まさか闇の魔法の重ね掛けとはな。通常の魔法ならともかく、俺の方が先に習得した筈の闇の魔法でまで驚かされるとは思わなかったな」
「ふふっ、あのアクセル君を驚かせただけでもこれを開発した甲斐があったかもね。切り札その2、雷天大壮2と言った所かな。……行くよ!」
キュンッという音がした次の瞬間には、既に炎獣2匹はネギの攻撃によりその存在を保つ事が出来なくなっていた。まさに雷そのものとでも表現すべきその速度。先程までの雷速瞬動はそれを使った後に一瞬ではあるが動きを止め、そこから再度雷速瞬動を繰り出すという形だったが……この雷天大壮2は違っていた。一切の溜めが無い状態で雷速瞬動を繰り出しているのだ。そして溜めがないという事は常時その速度を出せるという事。そしてそれは同時に俺の魔力障壁を先程まで以上の速度で攻撃出来る訳だ。即ち。
「ぐっ! 保たないか!?」
魔力障壁に加えられるダメージが先程までとは比べものにならない!
ネギの攻撃を受ける事にひび割れていく魔力障壁。そしてやがて……
ガシャアアアアンッ、とまるでガラスが割れたような音を立てて魔力障壁そのものが砕け散る。同時に。
「カク打頂肘!」
「ぐぉっ!」
魔力障壁を破った勢いそのままにネギの放った鋭い肘が俺の鳩尾へと埋まる。
雷速瞬動の速度と雷天大壮2という闇の魔法の重ね掛けによる一撃の威力増大。それらの結果、放たれた一撃は俺を構成している炎へと大きなダメージを与えていた。
そのまま闘技場の壁際まで吹き飛ばされ、咄嗟に壁を蹴って衝撃を殺して地面へと着地する。
だがネギへと眼を向けたその瞬間、既にネギの姿は俺の目の前にあり……
「スライムッ!」
殆ど反射的と言ってもいい反応でスライムの触手を空間倉庫から伸ばし、盾として展開する。
「そのスライムで魔力を纏った攻撃は防げない筈!」
鋭く叫びながら、その拳がスライムへと打ち込まれるのを見てニヤリと笑う。
「っ!?」
その俺の笑顔を見た瞬間、恐らく咄嗟の判断だったのだろうがスライムへと放たれた拳を引くネギ。だが遅い!
スライムに埋まっていたネギの手が引き抜かれる直前、ネギの手は文字通りに消滅する。
そう。スライムの能力の1つである吸収だ。
確かに魔力を全身を雷と化している今のネギに対してスライムの物理攻撃は効果がないだろう。だが、それが転生特典である吸収となれば話は別だ。
「ぐぅっ!」
手を構成していた雷の魔力をそのままスライムに吸収され、苦痛の声を漏らすネギ。だが、すぐに吸収によって失われた腕へと魔力を流してその腕を回復する。
『おおっとぉ、なんとアクセル選手がグリフィンドラゴンではなくスライムを召喚したぞ! しかも呪文も無しの無詠唱だ!』
そんな声を聞きつつ、俺もまたネギと同様に魔力を使って身体を構成する炎を回復していく。先程ネギに食らったダメージが予想外に大きかった為か、異形化状態の俺の身体は所々が白炎としての姿を現している。
ネギの攻撃でダメージを受けた俺。スライムによって右手を消滅させられたネギ。今の一連のやり取りで行われたダメージ量だけで言えば俺の方が有利だろう。だが、その前の影のゲートを使った時のダメージを含めればギリギリ互角って所か。
だが、幸い魔力量で言えば俺の方がネギよりも上な為に回復力に関しては俺が勝っているのだ。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ……ふぅ。やっぱりアクセル君は強いね。けど、絶対に勝てない程に差がある訳じゃない。でも持久戦になれば魔力量の関係で僕の方が不利なのは事実。つまり、勝つ可能性があるとすれば短期決戦。だから……行くよ。僕の最後の切り札で!」
再び雷速瞬動を使用し、俺との距離を取るネギ。
まだ切り札がある訳か。どれだけ引き出しの数が多いのやら。だが、短期決戦をやるというならこちらとしても望む所だ。
「いいだろう、来い。俺としてもこのまま持久戦になって勝つというのは余り面白くないからな」
「うん、これが……正真正銘僕の最後の切り札だ!」
雷天大壮2の状態から、魔力を両手へと集中し呪文を唱え始めるネギ。
その様子を見ながら、俺もまた炎を操り、凝縮し、圧縮してていく。
『双腕解放、右腕固定、千の雷。左腕固定、雷の投擲。術式統合……雷神槍、巨神ころし!』
遅延魔法として使っていた左腕の雷の投擲により作り出された10mを越す長さを持つ魔法の槍。その槍へと左腕同様に遅延魔法として使っていた右腕の千の雷を挿入する。それはあたかもビームライフルにエネルギーパックを装填するかの如く。そして現れたのは千の雷を内包する、まさに雷の魔槍とも呼べる程の存在。
これは……拙い! ネギとの戦いの中でも幾度か働いた念動力が、最大級の警戒を発しているのが分かる。あの一撃をまともに食らえば混沌精霊として存在している俺でも暫く戦闘不能になる程のダメージを受ける。
かと言って、俺の腕に圧縮されている炎はまだプラズマへと変わりきってはいない。なら、どうする? つまりそれ以外の迎撃手段を……待て。雷の魔槍だと? つまりは雷で出来た存在。そんな存在を俺は見たことが無かったか? そう、魔神として暴走しているあの時に。
瞬時にその考えへと思い至ると、右手のプラズマ炎はそのままに喉へと魔力を集中していく。
「行くよ、アクセル君! はあぁぁぁぁあっ!」
そう叫び、持っていた雷の魔槍を振りかぶり……投げる。同時に俺もまた、喉へと溜め込んだ魔力を吐き出す。
「があああああぁぁぁぁぁっ!」
完全石化光線。文字通りにあらゆるモノを石化するという俺の奥の手とも言える技だ。ただしその効果は本当の意味で完全石化であり、現在ではそれを解除することが出来る者はいない。その為、殺し合いならまだしも拳闘大会というスポーツで使う事は躊躇われる技。だが……放つ相手が人でないのなら何の問題も無い!
俺の口から放たれたその光線はネギが放った雷の魔槍を迎え撃ち、その穂先から刀身とも呼べる部位を石化させ、鳥の翼のようになっている鍔の部分を石化させ、柄の部分を石化させ、最終的には雷の魔槍の全てを石化させる。
当然、石化させたとしても俺へと向かってくる槍はそのままだ。しかし、石化したという事は既に魔力を失ったただの石の槍と化しているのだ。通常の人間ならこれ程の質量を持った石の槍をぶつけられれば命に関わる怪我をするだろう。だが、それはあくまでも普通の人間の場合であって、俺は既にその人間を超越して物理攻撃を無効化するという性質を持つ混沌精霊へと至っているのだ。即ち……
轟、という音を立てながら10mを越す石の槍は俺を貫いていく。だが、その槍が過ぎ去った後には無傷と言ってもいい俺の姿が残っていた。
「……え?」
巨大な石の槍が闘技場の壁へと命中し、盛大な破壊音を立てて砕け散る。
そんな音を背に、俺の視線の先にいるのは、自分の切り札を無効化されて数秒ではあるが思考を停止させたネギ。
その一瞬の隙に俺は右手の炎へとさらに魔力を流し込み、炎へと精製し、凝縮し、圧縮する。そして完成するのは俺の魔力の結晶とも言えるプラズマ炎だ。
「っ!?」
その瞬間。ほんの一瞬の思考の空白から復帰したネギが、俺の右手にある存在の危険性を察知する。
闇の魔法に慣れている為か、一瞬にして再び闇の魔法を使い雷天大壮状態になったネギが雷速瞬動を使って俺と距離を取ろうとするが……遅いっ!
念動力を使い、ネギの動きを固定して距離を詰め……その鳩尾へとプラズマ炎を叩き付ける!
キュゴッという音を立てつつ、俺の魔力を使って作りあげた炎のドームがネギを包み込み、その中でプラズマ炎が解放された。
炎のドームで包み込まれているにも関わらず、闘技場の内の温度が数度程一気に上がる。
そのドームの中で灼熱と言ってもまだ低い温度のプラズマが暴れまくり雷化したネギを焼き尽くしていく。だが、さすがにネギと言うべきだろう。魔力による障壁を何重にも展開し、焼かれた箇所から魔力を使い雷の四肢を再生していく。
そしてドームを展開してから1分程経過し……ドームが消え去った後には既に雷化を維持する事も出来ずに生身の状態に戻ったネギが言葉も無く地面へと倒れていたのだった。
一応念の為にその首へと手を当てるがきちんと脈もある。同時に気絶しているだけだというのも確認できた。
解説の方でもそれを確認したのか、興奮した様子で喚き立てる。
『ナギ選手、気絶です! 小次郎選手も気絶しておりますので、決勝戦の勝者はアクセル選手となります。大会史上初! ソロで出場した選手がナギ・スプリングフィールド杯の頂点に立ち、同時に魔法世界最強の座を手にしました!』
わああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
という、今まで聞いた事も無いような大歓声が闘技場へと響き渡る。
その歓声の中、闘技場のスタッフがネギと小次郎を運び出していくのを見送り、ようやく優勝の実感が湧いてきたのだった。
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:39
PP:15
格闘:266
射撃:286
技量:276
防御:276
回避:306
命中:326
SP:470
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
ギアス(灰色)
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
撃墜数:392
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