転生とらぶる
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魔法先生ネギま!
0415話
「……正直、本当に勝てるとは思っていませんでした」
選手控え室で俺を出迎えたリュボースの言葉に思わず苦笑を浮かべる。
「だろうな。だからこそ賭けに関しても俺のオッズが3倍以上になってたんだろうし」
「ええ、おかげさまで私の懐も随分と暖かくなりましたが」
「……何? お前も俺に賭けていたのか?」
「それは当然でしょう。何しろうちの代表なのですから」
「けど、勝てるとは思ってなかったんだろう?」
「確かに勝率は低いと予想していましたが、それでも0ではないと思っていましたので」
魔法世界でも知らぬ者はいない程の強者である紅き翼のラカンに、キズクモ代表である俺が勝ったのが余程嬉しかったのだろう。その表情はいつものように無表情なものではなく、珍しく満面の笑みを浮かべている。
「ちなみに、ラカン達はどうなったのか情報は入って来てるか?」
「はい。四肢は無事に繋がったそうです。というよりも、カゲタロウ選手の方はともかくとしてラカン選手の方は繋げたばかりの自分の足で歩いて帰ったとか……」
ラカンの治癒力……いや、最早この場合は再生能力と言っても過言ではない回復力に呆れた表情を隠せないリュボース。
「まぁ、ラカンのあの出鱈目ぶりを考えればそれも不思議じゃないだろう」
そう告げると、何故か今度は俺が呆れた視線を向けられる事になる。
「そのラカン選手達相手に1人で戦って、しかも殆ど無傷に近い勝利を得たアクセルさんが言っても洒落にしかなりませんけどね」
「いや、無事に見えるのは外見だけなんだが」
ラカンのあの馬鹿げた気を込めた攻撃を何発も食らっているのだ。ダメージはそれ相応に受けている。ただ、俺の場合は混沌精霊としての能力がある故にそれを表に出していないだけなのだ。表向きのダメージなら魔力を流せばすぐに回復するが、何しろあのラカンを相手にして受けたダメージだけにすぐに全快という訳にはいかない。
「……それは、大丈夫なのですか? 決勝は明日の午後3時からなのですが」
「確かにこのままだと問題はあるが、魔法球を使えば明日には全快になってるだろうしな」
「お願いします。何しろ、恐らく明日の決勝の相手は……」
リュボースはそこまで言って言葉を切る。
キズクモのライバル都市でもあるグラニクスの代表であるネギと小太郎。いや、公式にはナギと小次郎か。とにもかくにもグラニクスに対して強いライバル心を抱いているリュボースとしては、正直ラカンには負けてもいいからナギには勝てといった所か。
「分かってるさ。俺としてもリュボースとの契約があるし、賞金や賭け金の事もある。もちろん顔見知りだからなんて理由で手加減をするつもりはない」
「そうですか。それは何よりです。では、私はアクセルさんが優勝するというのを前提として書類等を揃えさせて貰いますのでこれで失礼しますね。……明日の試合、楽しみにしています」
そう言って去っていくリュボースの背を見送り、ドサリと選手控え室にあるベンチへと腰を下ろす。
リュボースに言ったのは間違いではない。実際、この身体に残っているダメージは相当なものなのは確かなのだ。
「こういう時には魔法球を買っておいて良かったと心底感じるな」
何しろ魔法球の中で2日過ごしても外では1時間しか経っていないのだ。
まぁ、普通の人間なら魔法球で時を過ごした分余計に歳を取るんだろうが。身近な例で言えば高畑だな。エヴァに聞いた所によると、高畑の実際の年齢はまだ30歳くらいらしい。だが、魔法球で過ごした年齢を考えると40歳……とまでは行かないが、それに近く見える。
だが、正直混沌精霊と化した俺は実質的に不老の存在と化しているのが何となく感覚的に理解出来る。……と言うか、そもそも10歳、15歳、20歳と自由に外見年齢を変えられる以上は年齢というのが殆ど意味のないものになっていたりするのだが。
「……まずは宿に戻って魔法球の中で回復に努めるか。ネギ達も恐らく準決勝を片付けたら最後の追い込みに入るだろうからな」
そう呟いたその時、選手控え室のドアがノックされる。
「ちょっといいか?」
入って来たのは魔法世界で宮崎を保護していたトレジャーハンター4人組のリーダー格であるクレイグだ。何やら巨大なバッグのような物を持ち、どこか恐る恐るといった様子で部屋の中へと入ってくる。当然その後にはお仲間の3人もいるが。
「ああ、構わない。どうしたんだ?」
「どうしたもこうしたもねーよ! ほら、これ!」
持っていたバッグを床へと下ろす。そこには大量のドラクマが。なるほど、俺とラカンの賭けの結果か。
「正直、こんな大金を持ち歩くとかもう勘弁して欲しいんだが……」
「くっくっく。まぁ、オッズ的には俺が勝つなんて大穴もいい所だったからな。幾らになった?」
「ざっと160万ドラクマ。人の目が怖い怖い」
「……ほう。それはまた随分と増えたな。やはりオッズはざっと3倍か」
「相手があのジャック・ラカンだからな。紅き翼の活躍を知ってる奴にしてみればどっちが勝つかなんてこの魔法世界の住人なら予想するまでもない鉄板だったんだろうよ」
「まぁ、ラカンの強さを思えばそれも無理はないだろうがな。それよりもこれからネギの試合に賭けに行こうかと思うんだが、お前達はどうする?」
さらりと出たその言葉に、顔を引き攣らせるクレイグ達4人。
「まだ賭けるつもりなのか!?」
「やめておいた方がいいと思うけどねぇ」
クレイグの隣にいたもう1人の男、クリスティンがそう告げてくる。
「そうね、私もそっちに賛成するわ。なにしろここに来るまでにも妙な奴等が後を付けてきてたんだし」
なるほど、予想通り厄介な相手が湧いて出て来た訳か。そうなると確かにやめておいた方が……
そう思った時だった。頭の中に突然声が響き渡る。
『アクセル君、聞こえますか!? あやかです』
そう、その声はグレートパル様号へと残してきた筈のあやかの声。どこか切迫している声で呼びかけてくる。
「悪い、念話だ」
クレイグ達に断り、空間倉庫からパクティオーカードを取り出して額へと。
『念話』
そう唱えてあやかへと念話を送る。
『アクセルだ。緊急事態か?』
『緊急と言えば緊急だと思います。アクセル君が捕らえた調とかいう人がいつの間にか姿を消しています』
『……何?』
調は仮死状態になったので鍵の掛けてある部屋のベッドへと寝かせておいた筈だ。それが消えたとなると……
『敵襲ではないんだな?』
『はい。飛行魚に被害はありません。本当に調という方だけが姿を消したのです』
飛行魚に被害が無い、か。そうなると襲撃とかではなくて完全に調を奪還する為だけに動いたという事になる。ナギ・スプリングフィールド杯の様子は当然TV放映されているんだから、俺が試合に出ているのを確認してから実行に移したんだろうが……そうなると疑問も残る。何故調の奪還だけで済ませる? 俺という戦力や、ネギと小太郎も俺の後に試合があるという事を考えれば飛行魚に残ってる戦力は念の為に残してきたあやかと千鶴しかいない筈だ。他の戦闘で活躍できそうなメンバーの殆どは円や美砂、茶々丸と一緒に廃都のゲートポートを探しに向かっているんだから尚更に。
あるいはフェイト達が動いたんじゃなくて調が仮死状態から元に戻って自分で抜け出した……のか? そう考えると、飛行魚に被害が無いのは理解出来ないでもない。飛行魚にダメージを与えて自分が逃亡したと察知されるのを少しでも遅らせたという可能性もあるか。
『とにかく被害自体は無いというのはいい報告だ。俺もすぐそっちに合流する』
『分かりましたわ。念の為に警戒を強めておきます。アスナさん達には?』
『あー、そうだな。一応知らせておくか。もし戻るようなら俺も一緒に戻る』
『はい、お待ちしてます』
こうして念話を終了し、クレイグ達の方へと向き直る。
「で、何かあったのか?」
「ああ。捕虜が消えたらしい」
「捕虜?」
「俺達を賞金首に仕立て上げた奴がちょっと前に接触してきたって話を宮崎に聞いてないか?」
その言葉に、数秒程考えて頷く。
「そう言えばそんな話を聞いたような気がする」
「その時にそいつ等の仲間を1人捕らえていたんだが、宮崎の能力で情報を引き出されるのを防ぐ為に仮死状態になってた奴がいるんだよ。そいつを寝かせておいた部屋から気が付いたら消えていたらしい」
「……それで大丈夫なのか?」
「分からん。だから念の為に俺は戻るとするからネギの試合で一儲けは出来なくなったな」
160万ドラクマの入った袋を空間倉庫へと収納してからいつものように全身が見えなくなるようなローブを着込む。
「じゃあ、俺はこの辺で失礼する。そっちはどうするんだ?」
「俺達か? そうだな。まぁ、お嬢ちゃんのナイト様の戦いでも見ていくさ」
クレイグの言葉を聞き、その場で別れる。その後は観客席の方へと向かい……
「あそこか」
神楽坂、近衛、宮崎、長谷川、早乙女、大河内、夏美、和泉、明石、佐々木の10人を発見する。10人全員が年齢詐称薬を使って幼女状態になっている為か非常に目立っている。キャーキャー、ワーワー騒いでいるというのもあるんだが。
一応、ネギと合流した明石や佐々木との顔合わせは済んでいるので驚かれる事もないだろう。……いや、こっちで合流した時には異形化状態の俺を見て酷く驚いてはいたが。
その時の様子を思いだし、苦笑しつつも神楽坂へと近付いていく。
「ちょっといいか?」
「あ、アク……っと、セーフセーフ。だからこのか、そのハンマーから手を離して。……で、どうしたの? っていうか。身体は大丈夫なの?」
咄嗟に俺の名前を出そうとした神楽坂だったが、近衛がどこからともなく小型のハンマー……と言うか、金槌のようなものを取り出すと慌てて言葉を詰まらせる。
「まぁ、具合がいいか悪いかで言えば当然悪いんだがそれは魔法球に籠もってれば回復するしな。それよりも問題発生だ。飛行魚に捕らえてあった調とかいう奴が姿を消したらしい」
「ちょっ、それ本当!? っていうか、私のグレートパル様号は無事なの!?」
神楽坂よりも、まずは船のオーナーである早乙女がそう言いながら俺へと掴みかかってくる。まぁ、今の俺は大人で異形化をしている状態だから腹の位置にあるローブへと掴みかかっているというのが正解なんだが。
「飛行魚に被害はない。恐らく救出部隊が来たんじゃなくて、調自身が仮死状態から回復して姿を消したんだろうな」
「アスナじゃないけどセーフ、セーフ。もしグレートパル様号が大破してたりしたら私は泣くよ」
「まぁ、早乙女が泣くのはともかくとしてだ。俺は取りあえず飛行魚の方に行こうと思ってるが、お前達はどうする?」
その言葉に、皆が悩む。
そしてやがて近衛が口を開く。
「私達はどうしたら一番安全やと思う?」
「あー、そうだな。そもそも手が足りないんだよな。護衛とか戦闘が得意な面子は廃都の方に行ってるし」
「最終兵器的なラカンのおっさんも誰かさんに倒されたしな」
長谷川のジト目に視線を逸らしながら考え、口を開く。
「選択肢は3つ、1つ目は俺と一緒に飛行魚に戻る。ただし可能性は少ないが飛行魚で戦闘になる可能性を考えるとちょっと危険だな。2つ目はここでこのままネギの試合を見て、それが終わったらネギと合流する。一番のお薦めだな。3つ目はネギを鍛えている面々に庇護してもらう。……こっちについては俺は面識がないから何とも言えない」
「うーん……どうする?」
明石の言葉に、神楽坂が真っ先に答える。
「2番目でいいんじゃない? アクセルもお薦めだって言ってるんだし」
その神楽坂の答に皆が頷き、結局この10人はここに残る事になるのだった。
「一応、クレイグ達4人がいる筈だから、もし何かあった場合はそっちを頼れ」
「分かった。アクセルも気をつけてね」
「ん? ……あ、あぁ。分かった」
何だ、今、何かが……神楽坂に対する違和感?
一瞬だけ覚えたその違和感に微かに眉を顰めつつも、その場で神楽坂達と別れて影のゲートを使いながら飛行魚へと戻るのだった。
「アクセル君、お帰りなさいまし」
「お帰りなさい、アクセル君」
あやかと千鶴が俺を出迎えるが、どうやら何か事が起こったという訳では無いらしい。そうなると調が消えたのはやはり自ら逃げ出したという可能性が一番高いな。
一応、念の為にその日は飛行魚で襲撃があるかどうか待ち構えていたのだが、結局は特に何も無いままに夜は過ぎ、日が昇る。
俺は魔法球の中でたっぷりと休憩し、そして……いよいよナギ・スプリングフィールド杯の決勝戦が始まる。
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:39
PP:15
格闘:266
射撃:286
技量:276
防御:276
回避:306
命中:326
SP:470
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
ギアス(灰色)
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
撃墜数:392
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