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MS Operative Theory

作者:ユリス
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MS開発史
  水陸両用MS③

 
前書き
意外と色々見つかったので長くなりました 

 
——水陸両用MSと地上用MSの相違点——

 水陸両用MSの多くは、頭部と胴体が一体化した形状と汎用性のない鉤爪(クロー)を持つ腕部など、明らかに通常のMSとは異なる外見をもつ。これらの外見上の特徴は、水中と陸上の両方で運用するために必要となる条件から導き出された結論であった。

 開発時期や設計思想によって形状は異なるものの、水中と陸戦の両方に対応するという点(特に水中への適正)においては充分に合理的なスタイルである。

 甲殻類のようなフォルムは、水中での抵抗の軽減や深海の水圧に耐えるうえで有効であるし、「手」型のマニピュレーターを廃止しバイス・クロー(アイアン・ネイルとも呼ばれる)を装備したことも、携行装備による水の抵抗の軽減につながっている。

 また、腕部や脚部に見られる蛇腹状のフレキシブル・べロウズ・リムも、関節の露出による騒音や水圧対策の一環であった(水陸両用MSが水中を航行する最大の利点は、潜水艦と同じく隠密性の高さにある。そのため自らの位置を特定されかねない騒音発生源は設計・試験の段階で可能な限り取り除かれている)。

 バイス・クローが腕部に固定されているように、射撃兵装も基本的に固定武器となっている。これは前述の通り、騒音や水圧の対策に困るが、その性能は携行装備と同等の威力をもつものが搭載されている。実際、水陸両用MSはそれまでの公国製MSが搭載できなかったメガ粒子砲のほか、複数のミサイル・ランチャーや魚雷発射管が装備され、徹底した重武装化が図られている。

 メガ粒子砲の搭載は、冷水式核融合ジェネレーターに頼るところが大きく、水中での運用を前提とした水陸両用MSならではの装備といえる。ミサイルやロケット弾は、陸戦の副武装としてだけでなく、メガ粒子砲の威力が低くなる水中船における兵装としても有用であった。このように、水陸両用MSはその戦闘領域を問わずに戦うことができる装備が施されていた。

 しかし、水陸両用MSは水圧対策などの理由から通常のMS以上に装甲を厚くするため、MSM­10(ゾック)のように200トンを超える重量を持つ機体も存在した(ちなみにRX­78­2(ガンダム)は60トン)。

 このように重量級MSである水陸両用MSは、熱核水流エンジンにより、高速水上艦をも上回る水中機動性と運動性を持つが、それも水中に限ったもので陸上での運動性は決して高いものではなかった。



——水陸両用MSの装備の変遷——

■光学兵器

 高出力ジェネレーターによって「最強の通常兵器」であるメガ粒子砲の搭載が可能となった。これにより水陸両用MSは従来のMSを遙かに上回る火力を持つ。

○胴体固定型
 胴体や頭部などに固定装備されるタイプ。ジェネレーターに近い場所に装備するため、発射システムを簡略化できるという利点を持つ。しかし、兵装を胴体に固定してしまうため、射界が狭くなることと、ジェネレーターに近い場所に非装甲部分ができるという構造上の欠点もある。

○腕部装備型
 前腕部に装備されるタイプ。正確には掌に当たる部分に内装されている。腕部内を方針として使用している(ビームライフルのバレルのように粒子加速リングを複数内装できる)ので固定式に比べて威力が高く、さらには腕部に内装するため広い発射角度が確保できる。半面、機構が複雑化するという欠点を持つ。

■実弾兵器

 ミサイルやロケット、魚雷などの実弾系の兵装。光学系兵装とともに装備されていることが多く、装備形式は胴体に固定されている場合がほとんどである。

○手持ち火器
 MS­06M(水中用ザク)やその系列機用のサブロック・ガン。「サブロック」とはサブマリン・ロケットのことで、水中以外でも発射可能。

○魚雷
 胴体内装式の魚雷発射管。水中船用のトーピドー(プロペラ推進)と汎用のサブロック(ロケット推進)の双方を発射可能なようで、地上での発射例も見られる。MSM­07E(ズゴック・エクスペリメント)の頭部にも搭載されている。

○ミサイル・ロケット
 誘導式のミサイルや、無誘導のロケット弾を発射するランチャー。頭部や腕部など様々な場所に装備される。ミサイルはランチャー・タイプだけでなく、MSM­03C(ハイゴッグ)用のハンド・ミサイル・ユニットのように外付けのオプション・タイプも存在する。

■格闘兵器

 公国系の水陸両用MSは、ヒート・ホークの様な手持ち式の格闘兵器は装備せず、腕部ユニットそのものが格闘兵器となっている。バイス・クローはその代表例である。

○マニピュレーター・タイプ
 正確には格闘兵器ではない、通常の「手」。基本的には汎用型MSのマニピュレーターと同じだが、バイス・クローの隆盛により姿を消していく。MSM­08(ゾゴック)のように、巨大なナックルと腕部伸縮機構を「アーム・パンチ」として使用する機体もあった。

○クロー・タイプ
 水陸両用MSの標準的格闘兵装であり、簡易型マニピュレーターでもあるバイス・クロー。クローの硬度と、MSの質量や突進力を使って目標を貫通・破壊する(MSM­04(アッガイ)のように腕部伸縮機能を併用する機体もある)。水上艦船の艦底に穴を穿ち、浸水・沈没させるという戦闘方法が採られることもあった。MSM­03(ゴッグ)のようにクローと「手」の折衷型もあるが、これは「手」からクローへの転換期に存在した特殊な形態と言える。





補足事項

——MSコレクションの中の水陸両用MS ——

 一年戦争中、敗走するジオン軍は大量のMSを廃棄した多くが連邦軍によって回収されたが、その一部は個人のコレクターが入手し、そのコレクションを飾ることとなった。その中でもサイド3のコロニー「タイガー・バウム」の有力者、スタンバ・ハロイ氏は一年戦争期のMSコレクターとして知られている……らしい。
 
 

 
後書き
次回 RX計画とV作戦 
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