箱庭に流れる旋律
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あら?笛吹き襲来よ?
歌い手、依頼を受ける
前書き
テストのあとに授業があって、こんな時間になってしまいました。
では、本編へどうぞ!
「うむ、よく来たな奏」
「一応、恩人に呼び出されたので、急いだほうがいいかと思いまして」
僕は今、白夜叉さんに呼び出されて“サウザンドアイズ”に来ています。
「それで、今日はどういったご用件で?」
「その前に、これを見てくれ」
「はあ・・・“火龍誕生祭”の招待状?」
白夜叉さんが差し出した羊皮紙にはそう書いてあり、内容は次のようなものだった。
「ええっと・・・『北側の鬼種や精霊たちが作り出した美術工芸品の展示会および批評会に加え、様々な“主催者”がギフトゲームを開催。メインは“階層支配者”が主催する大祭を予定しています』?」
これを読んだとき、僕が思ったことは一つだった。
すなわち、問題児達が何かやらかしそうだな、と。
「このお祭りって、どうして開催されるんですか?毎年決まった時期に開催されるとか、でしょうか?」
「いや、そうではない。そのイベントは、北側のフロアマスターの一角、“サラマンドラ”が世代交代をした際、その旨を宣伝するためのものだ」
ふむ・・・新しいフロアマスターのお披露目、位の認識でいいのかな?
「それで、そのお祭りと僕にどのような関係が・・・?」
「それについては、こっちを見てくれ」
白夜叉さんはまた新しい羊皮紙を差し出してきた。
そこには、なぜか“天歌奏様へ”と僕宛であることが記されており、
「『“白夜叉様を通してこの依頼書に目を通していただき、まことにありがとうございます。私は“サラマンドラ”のリーダーとなりました“サンドラ=ドルトレイク”です。』・・・白夜叉さん、一つ質問いい?」
「ん、どうした?」
僕は一つ、読んでいる途中で気になったことがあったので白夜叉さんにたずねることにした。
「まさかとは思うんだけど・・・このサンドラさんってまだ子供だったりする?」
「その通りだ。まだ十一になったばかりだのう。それゆえ、私に共同の主催者を依頼し、おんしにも依頼をした、というわけだ」
「へえ、だからか。なぜか文面に幼さを感じたのは・・・」
すぐそばにその都市でリーダーをやっている人がいるからか、特に僕は驚かなかった。
「さて、続きは・・・『貴方のことは、白夜叉様より聞き及んでおります。“音楽シリーズ”の“歌”のギフトの所有者であると。』」
この時点で、僕はなんとなく予想ができていた。
「『どうか貴方に“火龍誕生祭”にて一曲歌っていただきたく、こうして依頼書を出させていただきました。よきお返事が返ってくることを期待しております。なお、お一人なら手伝いを連れてきていただいても構いません。その方とあなたの分の“境界門”の経費、その他必要な経費は全てこちらで負担させていただき、報酬についても払わせていただきます
“サラマンドラ”印』」
まあ、こんな感じのことはよくあったし、特に断る理由もなかったので、
「この依頼受諾したいんだけど・・・いいですか?」
「もちろんだとも。まあ、念のためにジンにも聞いておいたほうがよいだろう」
「じゃあ、今から聞いてきます。いつごろ向こうに向かえば?」
「今日だ。スタッフとの打ち合わせもあるから、早めにして欲しいと言っておった」
「じゃあ、必要なものをもって、手伝い・・・リリちゃんかな?といっしょに来ますね」
♪♪♪
「というわけなんだけど、いいかな、ジン君?」
「もちろんです。それに、“音楽シリーズ”への依頼、という形なら報酬もかなりの額になるでしょうし、コミュニティとしても大助かりですから」
ジン君に今回の依頼について話したところ、あっさりと許可をもらえた。
今、問題児達は“ギフトゲーム”に参加しているので、聞かれる心配もない。
「ありがとう。それと、一人手伝いを連れて行ってもいいらしいから、リリちゃんを連れて行きたいんだけど」
「構いませんよ。僕としては、十六夜さんたちに行くことがバレなければ、問題はありませんから」
「結構お金かかるみたいだしね・・・じゃあ、今からリリちゃんに頼みに行ってくるよ」
持ち物については、ほとんど倉庫の中にいれてあるので今すぐにでもいける。
リリちゃんしだいだな。
「あ、それならわざわざ行かなくても大丈夫ですよ。さっき会った時に、奏さんと僕に味見して欲しいものがあるといっていたので、たぶんそろそろ・・・」
「ジンくーん!入ってもいい?」
噂をすれば何とやら、リリちゃんが扉をノックしながらそういってきた。
「ちょうどよかった。リリに話があったんだ」
「私に話?」
リリちゃんは首をかしげながらそう聞き返した。
子供って、見てるだけで癒されるよね~。
「うん。でも、その前に味見をしたほうがいいかな?」
「うん、お願い!奏さんもいいですか?」
「もちろん。いいにおいもするし、すごく食べたい」
そう、リリちゃんが入ってきてからというもの、持ってきていたお皿からすごくいいにおいが漂っているのだ。
この辛そうな匂い・・・マーボーかな?
「奏さんが辛いものが好きだといっていたので作ってみたんです!」
リリちゃん、いい子過ぎるだろ・・・
「じゃあ、いただきます」
差し出されたお皿から一口分すくって食べる。
口に辛さが広がっていく。うん、美味しい。
「すごい勢いで食べていきますね・・・美味しいですか?」
「もちろん!」
「うん、美味しいよ。ただ、子供達にはちょっと辛すぎないかな?」
ジン君は自分も辛いのか、水を飲みながらそういう。
「うん、さすがに私達からしたらかなり辛いから、別々で作るつもり」
「結構手間がかかりそうだね・・・」
まあ、量を作るにあたってはあんまりむかないだろう。
頻繁に食べるのは諦めたほうがいいな。
「ご馳走様でした」
「「いつの間に!?」」
僕は二人が驚くぐらいのスピードで食べきっていました。
好きなものがあるとつい早く食べてしまう、僕の悪い癖です。
「じゃあ、そろそろ話に移ってもいいかな?」
「そうでした、私に話って一体・・・?」
リリちゃんは身構えるけど、そこまでの話ではない。
「僕さ、今日から北側に行って歌を歌うことになってるんだけど、よかったら手伝いとして一緒に来てくれないかな?」
「分かりました、でも、何をすればいいんですか?」
それを聞かずに承諾してくれるあたり、リリちゃんは本当にいい子である。
彼女と話をしていると、かなりの回数思うことを、再び理解した。
「それについては分からないけど・・・必要になったことをその場で、ってことになるのかな?」
「分かりました!じゃあ、今から準備してきますね!」
リリちゃんはそう言いながら、走ってでて行った。
尻尾がパタパタ動いてたし、楽しみにしてくれてるのかな?
「奏さんは準備しなくていいんですか?」
「全部倉庫の中に入ってるからね。それに、僕は楽器を演奏するわけじゃないからそっちの準備も要らないし」
その後、リリちゃんが荷物を持ってきたのでサウザンドアイズに向かうことにした。
♫♫♫
「準備ができたので、今から境界門に行こうと思います」
「そうか。リリも、手伝いにいってくれるのだな?」
「はい!火龍誕生祭にも興味がありますし、私でよければ」
白夜叉さんはうむ、と一つうなづき、
「では、これは前払いの報酬だ。受け取るがよい!」
一つ拍手を叩くと・・・上からバカみたいな量の剣が降ってきた。
「刺さる!?」
慌ててギフトカードを取り出し、その中に収納していく。
全て入ったのを確認してギフトカードを見ると、“多鋭剣×1000”と並んでいる。
「それは同時に使う量が多ければ多いほど切れ味を増す剣、おんしならば使いこなせるだろう」
「確かに、剣の舞にはぴったりですね。ありがとうございます」
「リリには菓子でもやろう。外にいる店員に言ってくれ。準備しておくよう言ってある」
「ありがとうございます!」
その後、リリちゃんが女性店員さんからお菓子を受け取り、ついでにのど飴を買って境界門から北側に向かった。
後書き
こんな感じになりました。
今日中にこの話はもう一話投稿します。
それと、テスト週間中にカンピオーネの二次創作を始めました。
題名は『少年と女神の物語』です。そちらの方も、よろしくお願いします。
では、感想、意見、誤字脱字待ってます。
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