魔法少女リリカルなのはSCARLET ~紅い狼の伝説~
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第2話 現状把握
前書き
早朝の投稿は・・・・・・きっついなぁ
「っつ!」
言いようのない感覚とともに俺は目覚めた。
「・・・また・・・あの夢か」
俺が人間として生きるのをやめた日。化物として生きていくことを決めた日。
そして、みんなと別れた日。
「・・・もう割り切ったつもりだったんだけどな」
どうやらあの夢は、俺が記憶をさっぱり忘れでもしない限り、永遠に付きまとうみたいだ。
全く、どうしようもないな。
そんなことを考えながら、自分が寝ていたところから体を起こし、辺りを見渡した。
「ここは・・・森の中・・・か」
俺の視界全てに広がるのは、無造作に伸びている木々。
どうやら、どこかの森の中で目覚めたらしい。
「・・・転生・・・したんだよな」
神様のじいさんが言ってたことが本当なら、俺は転生し、どこか別の世界に飛ばされた。
「・・・・・・・」
はっきり言って実感がわかない。
あの時はじいさんの流れに任せて転生を肯定してしまったが、今となっては、転生そのものに疑問を感じている。
現に、俺には死ぬ前の記憶がしっかりと残って・・・・・・あれ?
「俺、どうやって死んだんだ?」
思い出せない。いや、自分がついさっき死んだことは覚えているが、そこに至る経緯とかが、全く思い出せない。
まるでその部分にだけモヤがかかっているかのように。
「なんで・・・・・・・・・・・・・・・」
何がなんだかわからない。
いきなり転生したと思ったら、今度は記憶まで失って・・・
・・・考えても無駄だ。
今考えたって、どうにかなるわけじゃあるまいし、きっとどうにもならない。
思考を中断し、再び自分のいる森を見渡す。
程なくして、近くに立っている木の下、根元の辺りに何かの袋を見つけた。
「これは・・・俺のカバン?」
近くまで来て確認したが、これは間違いなく俺が使っていたカバンだ。
最初はてっきり同じ形をしているだけと思ったが、カバンについた傷を見る限り、俺が使っていたカバンに間違いない。
俺は早速ふたを開けて中身を確認してみたが・・・持ち物まで全部揃ってやがる。
転生した時に一緒についてきたっぽい。
「神様も気前がいいというか、なんというか・・・」
独り言をつぶやきながら中身を全部外に出していく。
中に入っていたのは、以前から使っていた携帯電話、財布、懐中電灯、MP3プレーヤー、カメラ、水、ナイフ、スタンガン、盗聴器・・・
「・・・・・・」
後半物騒だったが気にしない。むしろこれがあったから俺のカバンであることに間違いないんだから!
俺はそうやって自分に言い聞かせて、改めてカバンの中に目を向ける。すると、カバンの中、一番底に入っていた物が目に映った。
「こんなもの、入れた覚えはないけど・・・」
カバンの中から取り出す。見た目カードのように見えるが・・・
「これは・・・手紙?」
カードには、「To Tsukasa」と書かれてあり、俺宛の手紙であることはすぐにわかった。
察するに、あのじいさんが仕込んだな。
早速中身を開けてみる・・・音声再生型か。
中からやたらと薄い、スピーカーが出てきたので、早速、スイッチを入れてみた。
『この音声を聞いているということは、どうやら上手く転生できたようじゃの。さて、本来ならこのまますぐに転生ライフをエンジョイしてほしいのじゃが、その前に、いくつか注意点があるので説明しておくぞ』
注意点?
『まず、問題となっていたお主の魂の器に関してなんじゃが、どうやら器ではなく魂の方に問題があったらしくてな、今こっちで原因を捜索中じゃ。まあその間、お主にはこのままで生活してもらうことになるのじゃが・・・』
何だ?
『転生にはいくらかルールがあってな。転生する際にもある程度、魂の器を、転生する新しい魂の形に合わせて変化させる必要があるんじゃ。じゃがお主にはそれができなかった。その副作用として“体年齢の逆流”が起こってしまったんじゃ』
「!?」
手紙は再生の途中だが、俺はすぐに自分の体を確認した。
特に異常は見当たらないが・・・
「っつ!?」
と思った矢先、俺の体が光り始めた。
いや、そんな冷静にしてはいられないんだけど!てゆうか、どうなってんだ、これ!?
「・・・・・・」
俺は光が収まるのを確認してからゆっくりと目を開けてみた。すると・・・ああ、予想したぞ。もう話の流れ的にこれしかありえないだろう。そう!
「・・・へ?」
体が縮んでしまっていた!
『まあ、転生してすぐは体に異常はないはずじゃが、そのうち体が小さくなるから気をつけておけよ?』
・・・よし、あのじいさんいつか絶対にシメる。
『あと、お主の記憶にある程度“フィルター”をかけさせてもらった。じゃがこっちはそのうち元に戻るじゃろう。まあ、元に戻るまでは我慢してくれ。ちなみに、思い出そうとしても自力では思い出せないからな?』
・・・納得。だからどうしても思い出せなかったのか。
『最後に、転生してからのお主のことなんじゃが、世界に影響が出てもいけないから、あらかじめお主は“その世界で生きている”ことにしてある。お主が自分の家を想像すれば、自然と家がどこにあるのかがわかるはずじゃ』
そう言われて自宅を想像・・・おお、確かに分かる。
『まあ、これぐらいかの。あとのイレギュラーについては、自分で対処してくれ。それじゃ、グッドラック( ´∀`)bグッ!』
『メッセージ終了後、この音声は自動消滅します』
「何っ!?」
すぐにスピーカーを上に放り投げた!
ズドォオオオオンと耳をつんざく爆発音・・・って、どう考えてもスピーカー一つに収まり切る量の爆薬じゃねえ!
「うおおおおっ!?」
小さくなった体をどうにかして押さえ込む。体重が軽くなったせいで、爆風を浴びただけで体が吹き飛ばされそうになってるんだが・・・
爆風が収まって、ようやく顔を上げることができた。・・・うし。
「・・・・・・」
改めて現状を確認してみよう。
①転生したはいいが、俺の魂の影響で、体が小さくなった。
②俺の記憶には、ある程度のフィルターがかかっている(自力での破壊は不可)。
③俺と世界の矛盾をなくすために、俺は最初からこの世界にいたことになっている。
「まあ、こんなところか。」
小さくなった体は、大体10歳くらいまで若返っている。
今はまだ分からないが、他にどんな影響が出ているかわからない。例えば体力とか、戦闘時の立ち回りとか・・・っておいおい・・・
「なんで戦うときのことを想定してるんだよ。もう戦わないって決めただろうが」
そうだった。俺はもう戦わないと誓ったんだ。
そもそも、転生を受け入れたのは、新しい世界で平和に暮らすためだ。断じて戦うためなんかじゃない。
自分に言い聞かせて、心を落ち着ける・・・よし、もう大丈夫だ。
(ぐぅう~~~~~~~~~~~~~~)
落ち着いたら・・・腹が減った。
そういえば、死ぬ前から今にかけて、ほとんど何も食べてなかったっけ。
そうなるとまずは・・・
「飯にすっかな」
幸いにも財布の中にはある程度金は入っている。
これなら2,3日は食事に困らないだろう。
そう思い、俺は食事をするために、下山し始めた。
✽―3時間後―
食事は無事に済んだ。が、まさかマクド○ルドがこの世界にもあったとは・・・
それに・・・久しぶりに見たぞ、あの赤髪の宣教師・・・
店に入っていきなり「やぁ♪」で、そのまま「お話しようよ?」って言われたんだぜ?
もはや恐怖しか感じなかったわ・・・・・・・・・
まあ、実際何かされたわけじゃなかったけど。
ま、まあその話は置いといて、だ。
食事を済ませてから俺が向かったのは、近くの図書館だ。
あそこならネットも使えるだろうし、ここがどこだかも分かるはずだからな。
調べてみると、ここがどこなのかはすぐにわかった。
海鳴市。それが俺が今いる場所の名前らしい。
そしてその名前から、この世界が一体なんなのかも理解できた。
「リリカルなのは・・・だよな」
そう、あの「魔法少女リリカルなのは」の世界なのだ。
白い悪魔とか死神とかタヌキとか魔法とかが普通にある世界なのだ!
・・・どう考えても平和に暮らせる自信がない。
いや、極力関わらないようにしよう。そうすればきっと大丈夫だ、問題ない。
俺はそう願うしかなかった・・・
✽―1時間後―
所変わって自宅前。
じいさんからもらった記憶を頼りに、自宅まで帰ってきたのはいいけど・・・
「・・・・・・」
本日何度目かわからない絶句。
いや、今回は仕方ないと思うよ?
だって、記憶をたどって帰ってきた家が・・・
「衛宮邸・・・だと・・・」
そう、あの衛宮邸である。
Fateシリーズを知ってる人なら、あの屋敷を容易に想像できるでしょ?そう、あの衛宮邸が俺の家なのだ。
おまけに、庭にはあの土蔵も剣道場もあって、再現に抜かりがねぇ!
いや、俺も最初は間違いだと思ったぞ?でもな、表札にはちゃんと『紅神』書いてあったんだ。
そう。この家は、紛れもなく俺の家だった。
「・・・・・・・・・・・・・・・・なんでさ」
そう呟いた俺は悪くないと思う。
✽
家の中に入ってみると、中はまるで誰かがここに住んでいるかのように、きれいに整頓されていた。
まあ、俺が最初から生きていることになってるんだから、ここには納得できた。
次に家の中で探したのは家族の情報だ。
少なくとも俺はこの家に住む人間の家族のはずだから、家族に関する情報が何かあるはずだと予想した。
欲しかった情報は、すぐに判明した。
俺の両親は半年前に他界。
死因は運転中に居眠り運転のトラックに衝突されたための事故死。俺は奇跡的に助かったことになっているらしい。
まあそれでも、顔すらわからない親に対する悲しみなんてものはなかった。
そして今は親戚が面倒を見てくれていることになっているらしい。
俺としては、こちらの方に興味があった。
名前まではわからなかったが、今後もお世話になる人だ。
親切にしておいて損はないだろう。
また、その親戚というのは、月、水、金と一週間に三回この家に訪れるようだ。
ちなみに今日は金曜日。図書館で確認したから、間違いない。
ということは・・・
『ピンポーン』
チャイムの音。とりあえず返事をしておく。
「はい、紅神ですが・・・・・・・・」
『やあ、司くん。いつも通り、掃除をしに来たよ』
ビンゴ。どうやら今玄関の前にいるのがその親戚。掃除をしに来たらしい。
若干疑いもあったが、余り気にすることはないだろう。
俺は玄関に行き、引き戸を開けてその人の顔を確認した。
すると・・・
「(なんでさ・・・・・・・・・って、エェっ!?)」
心の中でこうつぶやくしかなかった。だって・・・
「やあ、司くん、元気にしてたかい?」
目の前にいるのは2,30代くらいに見える長身の男性。その柔らかな笑顔は、まさしくTHEお父さんとしか、いや、まだお兄さんでも通用する若さだぞ、これは。
そして、俺はこの人を知っている。
もちろん、前世ではなく、リリカルなのはの中での話だ。
「ええ、おかげさまで。元気にやってますよ、『士郎さん』。」
高町士郎。かの魔王の生みの親である。
つまり・・・
俺、いやでも原作に介入しなくちゃいけないらしいです、ハイ。
後書き
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