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とある碧空の暴風族(ストームライダー)

作者:七の名
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幕間
  Trick@03-3_なんで苗字を≪西折≫に変えたのか聞きたいです!




「ではでは! 第一回! パジャマパーティーを開催します!」

「「「「イェ~イ!!!♪」」」」

御坂の音頭に合わせて女子5人が乾杯した。

「んっんっ っは~! おいし~!」

「あー、佐天さん! 一気飲みは禁止ですよ!」

「みみっちーですわよ、初春。今日はお姉様とわたくしが
 あの寮監から外泊許可を勝ち取った記念すべき日なんですのよ!

 一気飲みの一度や二度!
 んっんっんっ・・・・・ っア"~! ほら! 初春も!」

「あ、はい。んっんっんっ はー!」

『お~! (パチパチ)』

「じゃ! 次は御坂さんですよ?」

「私? んじゃ、ご期待の答えて んっんっプハァ!」

「さすが御坂さん! 期待を裏切らない飲みっぷり!」

「やだなぁ、こんなことで大げさな。ただの炭酸飲料だし」

「それでは最後に美雪お姉様! どうぞ!!」

「うん♪ んっんっんっ・・・・ゲホゲホッ!!」

「ちょっと美雪姉ちゃん大丈夫!? 炭酸苦手なのに一気飲みなんてするからよ!」

「こんな雰囲気なんて久しぶりだったし、ついノリで・・・ケホケホ!

 それに炭酸が苦手だってことすっかり忘れていたの♪」

「忘れていたって・・・本当に天然なんだから」

「炭酸が入っていませんオレンジジュースもありますの。
 美雪お姉様はこちらをどうぞ」

「白井さんありがとう♪」

「いえいえ、元はわたくしが美雪お姉様に一気飲みをお勧めした事が
 原因でむせさせてしまったのです。申し訳ありませんわ」

「気にしなくていいのに♪」

「黒子、雪姉ちゃんをひどい目に合わせたらただじゃ済まさないわよ」

「御坂さんと美雪さん、仲良しですね」

「さすが姉妹です」

「そういえば美雪さんと御坂さんの苗字が違うのって、本当の兄弟じゃないからでしたっけ?」

「うん。私と雪姉ちゃん、信乃にーちゃんの全員が血縁関係ないよ」

「でも私は御坂家に養子で入っているから、琴ちゃんは戸籍上の姉妹なの♪」

「へーそうなんだ」

「鈴姉ちゃん、琴ちゃんのお母さんは信乃も養子に入れたいと
 考えているみたいだけど、信乃が断ったんだ♪」

「あれだよ、本当の家族のことを誇りに思っているから、苗字は変えたくないとか
 そんな理由を言っていたよ」

本当は一度両親を失っているから、また家族が消えてしまうのではないかという
信乃自身も上手く説明できない理由から断っていた。

美雪も美琴も、美鈴からの誘いを断るのを聞いていたので、理由は知っている。

だが、本人(しの)の希望により、苗字に誇りを持っている事を断った一番の理由にしていた。

「へー、信乃さんって家族思いなんですね」

「でも、なんで美雪さんだけ御坂さんの家に養子になっているんですか?
 美雪さんは信乃さんと仲が良いですし、信乃さんが断るなら
 一緒に断りそうですけど。

 あ、ついでになんで苗字を≪西折≫に変えたのか聞きたいです!!」

「ちょっと初春! 質問をもう少し考えてから言いなさい!!」

「へ?」

「「・・・・・」」

初春以外が気まずい顔をしている。特に美琴と美雪は暗い表情だった。

「(ヒソ)忘れましたの!? 美雪お姉様が苗字を変えたきっかけは
 信乃さんの飛行機事故ですの!!」

「あ・・」

  4年前、当時の信乃が11歳の時。
  信乃は飛行機事故に巻き込まれた。

  救助隊が向かったが、生存者は一人もいない大きな事件であった。

  信乃は事故直後に生きており墜落現場から離れた為に、
  救助隊が生存を確認することができなかった。

  他の事故者と同じように死亡者扱いとして美雪達には連絡が来ていた。

初春が美雪に初めて会った時、そういう話を聞いていた。

一緒に御坂家に養子に入ったことや苗字を変えた事を話したが、
事故の話のインパクトが強かったため初春は失念していた。

「ごめんなさい! その・・・ごめんなさい!!」

謝ることしかできない初春。

家族の死は触れてはいけない話題の代表である。
それに触れてしまった初春は、謝罪の気持ちに体が震えていた。

「別にいいよ・・・・今では信乃は無事に生きているし」

「ま、まぁ雪姉ちゃんが気にしないっているなら私は何も言わないけど・・」

『・・・・・』

沈黙。楽しかったパジャマパーティーが一瞬で静かになった。

「そうだね、丁度いい機会だし私がなんで≪小日向(こひなた)≫から≪西折(にしおり)≫に変えたのか
 話そうっか。御坂家に養子になったことも含めてね」

美雪は静かに語り始めた。




・・

・・・

・・・・

・・・・・

・・・・・・


それは信乃が出発する当日の事。


「信乃、いってらっしゃい♪」

「いってらっしゃい信乃にーちゃん」

「いってきます。美雪、俺がいないからって寂しくて夜泣くなよ。
 琴ちゃん、久しぶりにここに泊るからってはしゃぎ過ぎるなよ」

「もう♪ 子供扱いしないでよ♪ でも寂しいことには違いないけどね♪」

「無理! もう雪姉ちゃんと一緒に遊べるのにはしゃがないなんてできない!」

「(大丈夫かこいつら?)・・・・たった1週間、離れるのがこんなに辛いなんて」

2人を放っておいたら大変なことになる。
『放っておいていいのか?』と言う意味で辛いと言った信乃だったが、
美雪には別の意味で脳内変換された。

「え・・・私と離れるのがそんなに嫌?」

「////ッ! 上目遣いで見るな!

 確かに離れるのは嫌だけど! いや! 嫌じゃない!
 別にお前と離れたって平気だ!」

「信乃にーちゃん、本音が漏れてるよ」

「/////うるさい!!」

「ふふふふ♪//////

 あ、ネクタイ曲がっている。ちょっと動かないで」

「お、おう」

「(完全に夫婦だね、この2人。
   いいな~、私も好きな人ができたらこんな風に・・)」

「これでよし♪ それじゃ、お土産を楽しみにしてるね♪」

「おう、適当に楽しみにしてろ」

「信乃にーちゃん、私も私も!」

「はいはい、忘れてないから安心しろ」

「出発する前に、いってきますのチューは?」

「え? いってきますの(グー)?」

「もう、恥ずかしがらなくてもいいのに♪」

「恥ずかしいに決まってんだろボケ! 2人きりだろうとそんなことしねーよ!

 いいか琴ちゃん! 羞恥心ってのは大切だから覚えておけよ!」

「うん///// 今の雪姉ちゃんはやり過ぎだと思う」

「あーあ、琴ちゃんもすっかり信乃のツンデレに染まっちゃったね♪」

「「ツンデレ言うな!!」」

「はいはい、わかりましたわかりました♪

 信乃、時間は大丈夫なの?」

「お、意外とギリギリだな。  そんじゃ、いってきます」

「「いってらっしゃい!♪」」


・・・

・・



その日の夕方、美雪と美琴は共に食事の準備をしていた。

リビングのTVの音をBGM代わりにおしゃべりを楽しんでいた。

『次に、明日の学園都市の天気です。
 明日は第三学区に一時的に雨が振ります。他の学区は・・・え? はい!

 ここで緊急ニュースが入りました!!

 学園都市から本日午前9時発の飛行機に異常が発生して墜落したようです!!』

「え・・・・」

「この飛行機って、信乃にーちゃんの・・・」

『現在、救助隊が探索に当たっていますが、墜落したと思われる国は現在内戦中で
 交渉などに手間取って・・・・・・     』

もう、この後のニュースの内容は美雪と美琴の耳には入っていなかった。




数日の間、美雪は意地を張って「大丈夫だよ」と言い続けて救助隊の
結果を待っていた。

御坂美鈴もニュースを見て学園都市に駆けつけ、3人で一緒に待っていた。

だが、待っていた救助隊の結果は予想通りで理解したくない、受け入れたくない結果であった。

美雪達がいる信乃の部屋に、救助隊からの連絡人がやってきた。

「申し訳ありません。墜落した飛行機の状態はひどいもので、遺体の確認も
 難しい状態でした。燃え残った遺留品を少し持ってきたのですが・・・・」

「そうですか・・・・・」

小さな箱に入っていたのは信乃の荷物の一部。

玄関先で美鈴が受け取っていた。

後ろには美雪と美琴がいる。
すぐ近くにいるので話は聞こえるはずだが、救助隊の話では全く何の反応もない。

「本当に申し訳ありません。お子さんを無事に救助することができずに・・」

「いえ、人間には限界と言うものがありますから、そんなこともありますよ」

「・・・それでは失礼いたします」

空気に耐えられず、荷物を持ってきた男は逃げるように立ち去って行った。

「雪ちゃん・・・・えっとね」

美鈴は何と声を掛けていいのか分からずにいた。

「・・・・・信乃・・・」

力が抜けたように、美雪はその場で座り込んだ。

「信乃にーちゃん、死んじゃったの?」

「・・・・・ええ、救助隊の人でも無理だったみたい。
 飛行機に乗っていた人は全員・・・・」

「・・・・信乃・・・・・信乃・・・・・」

「雪ちゃん、気をしっかり持って。落ち込むと信乃も・・天国で」

「・・・ァ・・・ァァァァァアアアアアアアアアアアア!!!!!!?!?!」

「雪ちゃん!?」「雪姉ちゃん!?」

「アアアアrアアアァアアァァァアアaアア!!!!!!」

「雪ちゃん落ち着いて!! 美琴ちゃん救急車を呼んで! 早く!!」

「う、うん!!」




その後、救急隊員の鎮静剤により大人しくなった。

精神系の病院に運ばれ、様子を見ようということになったが
鎮静剤が切れると再び奇声を上げて暴れ出した。

医者も手を付けられず、鎮静剤を打つしか方法が無かった。

喉も大声のせいで3日目には潰れ、それでも声にならない悲鳴を
上げ続けた。

そんな状態が半月以上も続いていた。



医者がまともに処置を出来ないことに腹を立てた御坂美鈴は強硬手段に出た。

美琴も協力すると言ったが、不安定な美雪を小学生の美琴には見せられないと言って
美鈴は1人で病院に来た。

鎮静剤が切れて暴れている中、医者の停止も振り切って美鈴は美雪の部屋に入った。

半月前に見たときとまったく症状が変わらない錯乱状態。
素人の自分よりも専門家の医者に任せたようが良いと判断した自分に嫌気がさした。

だから、もう医者には頼らない。母親または姉として美雪を救うために
美鈴は脚を進めた。

「雪ちゃん」

「アァぁぁぁ・・・・・ぁ!!!」

「美雪!!!」

暴れる美雪を抑えるように正面から抱きしめた。

それでも暴れ続ける美雪。美鈴の呼びかけにも何も反応も示さない。

だけど美鈴は諦めずに抱きしめ続けた。
美雪が正気に戻るまでずっと・・・・・




暴れ続ける美雪を抱きしめ、暴れ疲れて意識を失うまでずっと美鈴は側にいた。

意識を失った後では呼びかけても意味がない。

眠っている今の内に美鈴も食事など休憩をとり、長期戦に挑み続けていた。

そして半月後、ようやく意識はあるが暴れない状態の美雪にまで落ち着いた。

落ち着いたと言っても、いつ暴れ出すか分からない危険な状態。
美鈴は焦らず、何も言わずにずっと美雪の背中をさすり続けた。



「鈴・・・ねぇ・・ちゃん」

「!? ・・・何、雪ちゃん?」

美雪が口を開いたのはさらに半月後のことだった。

その声は1月の間、声を出さずにいたのに枯れた状態。
最初の1ヵ月でどれほど喉を酷使して叫び続けたのか痛いほど感じられた。

正面から抱きしめ、美雪の口が美鈴の耳元にある状態だから聞きとれた、
それほど小さくか細い声だ。

「信乃・・・・本当に死んじゃったの?」

「・・・・・・・・・」

「そうだよね・・・・・・
 私がこんなになっているのに側にいないってことは、そういうことだよね」

「・・・・・・・・ごめんね、私にはこれぐらいしかできなくて」

「信乃・・・・本当に死んじゃったの?」

最初と同じ質問。
現実を理解しても受け入れたくない、そんな気持ちが伝わる。

「ええ。だめ・・みたい」

「そっ・・・か・・・・

 ヒック・・・・・信乃・・・信乃・・・」

信乃が死んでから初めて涙を流した。

錯乱し、暴れ、悲鳴をあげても、涙を流す事が無かった。

この涙は信乃の死を受け止め、そして深い悲しみに出た涙だった。

美雪の背中をさすり、美鈴は静かに言った。

「雪ちゃん・・・・

 信乃の代わりなんてことは絶対に無理だろうけど、
 それでも信乃の代わりに雪ちゃんを守りたいと私は思っている。

 色々な方法を考えたけど、家族みたいに支えるのではなくて
 家族として雪ちゃんを支える方法しか思いつかなかった」

「・・・・・鈴姉ちゃん」

「だから小日向(こひなた)美雪(みゆき)ちゃん、よかったら家の養子にならない?」

それは半年前、美鈴が信乃に対していった言葉であった。

国から見ると、美鈴と美雪は赤の他人である。

いくら助けたいと言っても、法律上では限界があった。

そして何より、家族を失った悲しみを埋める方法は家族を作る方法しか
思いつかなかった。

たとえ信乃との絆に及ばなくても、元々あった美鈴との絆が少し強くなる程度でも、
それでも家族としての絆が美雪には必要だと考えた。

「美雪ちゃん、私の本当の娘になってくれないかな?
 美琴と、旦那の旅掛(たびかけ)さんも一緒に支えたいの」

「・・・・・ありがとう、鈴姉ちゃん・・・

 うん。私、鈴姉ちゃんの娘に、琴ちゃんのお姉さんになる」

「そう、よかった・・・」

返事を聞いて安心し、美鈴は一層強く美雪を抱きしめた。

「でも、一つだけお願いがあるの」

「なに? 私にできることなら学園都市相手でもなんでもするわよ?」

「私の苗字、≪小日向≫でも≪御坂≫でもなく、≪西折≫にして欲しいの」

「それは・・・」

「私にとっては信乃との関係を切ることは絶対にできない。
 例え私が他の人を好きになろうとも、絶対にできない。
 
 だから、せめて苗字だけでも・・・・信乃を感じていたいの」

「・・・いいわ! 任せなさい! 法律ぐらい私が曲げてやるんだから!!」

こうして、美雪は御坂家の養子に入り、西折美雪として生きていくのであった。



・・・・・・

・・・・・

・・・・

・・・

・・





「・・・と言う感じ」

「雪姉ちゃん、退院した後も大変だった・・・・

 たまに発作のように思い出して暴れたりしたから。
 暴れなくても大泣きするのはよくあったし」

「養子になって、親権限で半年は鈴姉ちゃんも学園都市に
 滞在できたるようしてくれて面倒見てもらったな・・・・」

「うん。私も信乃にーちゃんが死んだ最初の1週間は泣き続けた。
 思い出した時もお母さんにしがみついて泣いたな・・・」

「私達が落ち着いたのは1年ぐらい後だったよね」

「そうだね。思い出しても泣かなくなって、
 雪姉ちゃんも暴れなくなったのはその辺りかな?」

「・・・・・ごめんなさい。軽い気持ちで聞いたりして」

『・・・・・・』

5人に沈黙が流れた。

美雪の過去を、特に信乃の飛行機事故のことを話せば気まずくなるのは分かっていた。

美雪と美琴も何故話したのか分からなかった。

『・・・・・』

「そ、そうですわ!」

「黒子?」

気まずい沈黙を破ったのは空気の読める子、白井黒子だった。

「美雪お姉様がお話をされたのです! 次はわたくしの番ですわ」

ゴソゴソと持ってきた鞄に手を入れて何かを探していた。

「白井さんの番って、どういうことですか?」

「今のはあれですのよね、美雪お姉様?

 自分の少し恥ずかしい事を話しただけですのよね?」

「「「「え・・・?」」」」

「そうでしたら、ここはおしゃべりの場。
 わたくしも少し恥ずかしいお話をさせていただきますの!」

「・・・そうね。そう! 今のは恥ずかしい事の暴露話!

 ほら、雪姉ちゃんが1ヵ月以上もお母さんに抱きついて
 泣き続けていたっている恥ずかしい話なのよ! ね! 雪姉ちゃん!!?」

「あ、うん・・・そうね♪

 トークテーマが恥ずかしい事だってことで話したけど、恥ずかしすぎて
 みんな引いちゃったんだね♪ ごめんごめん♪」

「トークテーマって、私が変なことを聞いたから「初春!」 ふぇ!?」

「違うでしょ! 今のは変な意味はないの! トークテーマだったの!!

 (ボソ)ほら! 空気読んで! 白井さんがせっかく誤魔化したんだから」

「そそそそそうですね! 何言ってんだろう私! あははは」

「・・・・ありがとう、みんな♪」

「「「「/////か、かわいい」」」」

目じりには嬉しさの涙を浮かべた、
全開の笑顔に同姓全員の心を奪った美雪であった。

「ありましたの! では! わたくしが披露する少し恥ずかしいお話です!」

 ささ、このデジタルカメラに収められたマル秘動画をご覧あそばせ!!」

再生画面に移された場所はデパートの服売り場。

見覚えがある。ほぼ間違いなくセブンスミストだ。

画面の中央に写っていたのは御坂美琴。周りをキョロキョロと見回しながら
1着の服を持つ。

そして周りに誰もいないこと確認して服を、パジャマを自分の体に合わせて鏡に立つ。

満足した顔。猫の肉球の模様のパジャマ、可愛らしいデザインのそれを
御坂はかなり気に入ったようだ。

だが、鏡に合わせるだけでは興奮は収まらなかった。

『フフフ、アハハ! これ可愛いじゃん! それ! ど~ん!
 それもう1着ど~ん! アハハハ!』

「うわー、御坂さん・・・」

「パジャマ持ってくるくる回っている・・・・」

初春と佐天が若干引いたように呟いた。

「うぇーい!! 貸しなさい!!
 いつどこでだれがどうやってこんなもの撮影したのよ!」

「お姉様。黒子のステルス能力を甘く見ては困りますのよ。

 これがわたくしがお話しする少し恥ずかしいお話ですの」

「あんたの恥ずかしい話じゃなくて私の恥ずかしい話じゃないの!!

 問 答 無 用 !!(ビリビリ)」

「ぬわーぃ! おおおおお姉様のあんな写真やこんな写真が入ったカメラがー!!」

「あのパジャマ、丁度今御坂さんが着てるのと同じだね」

「その、御坂さん! そのパジャマ似合っています!
 肉球のデザインが可愛いですね!」

「そ、そう? もっと大人っぽいものがあればそっちのほうが
 良かったんだけどね。セブンスミストにはこれぐらいしかなくてさ」

「琴ちゃん♪ 説得力皆無です♪」

「雪姉ちゃ~ん(泣)

 あのね、違うのよ佐天さん初春さん! これはね! その! あれよ、あれ!」

美琴は必死に言い繕うとしていた。

そんな美琴を見ながら、美雪は静かに白井の隣へと移動した。

「ありがとう、白井さん♪ 私のせいで変な雰囲気だったの誤魔化してくれて♪」

「お礼を言われるほどの事ではありませんの」

「それともう一つ。

 わざわざ美琴の映像(たからもの)を壊してまで、
 楽しい雰囲気にしてくれてありがとう♪
 
 本当にありがとうございます  」

「気付かれてましたのね・・・」

「うん♪ 普通に自分の恥ずかしい話をするよりも、効果絶大だったね♪

 琴ちゃんの可愛いもの好きは隠しても隠しきれないものだし、初春さんと佐天さんも
 薄々は気付いていたことだった♪

 バレてもそれほど大きな影響はないよね♪
 だから白井さんは映像を見せてくれた♪

 結果は大成功♪ 琴ちゃん、本当に良い子と友達になったね♪」

「・・・わたくし、お姉様を敬愛していますの。

 最初、お姉様は超能力者(レベル5)を鼻に掛けている気に食わない人だと
 思ってましたわ。
 私の知っている能力の高い人と言うのはほとんどがそうでしたから。

 ですが、お姉様は違いました。強くても優しい。

 そんなお姉様だからわたくしは敬愛した。
 
 そしてお姉様を知れば知るほど、美雪お姉様の存在の大きさを感じますの。

 強くても優しいお姉様になったのは、間違いなく美雪お姉様のおかげですわ。

 だから美雪お姉様。 わたくしはあなたを一番尊敬していますの」

「・・・ありがと♪」

「黒子! あんたのせいで2人が信じちゃったじゃない!!

 どうしてくれるのよ!!」

2人の会話に、佐天達の説得ができずに怒ってきた美琴が邪魔をしに入ってきた。

「信じるも何も、わたくしは真実を教えたに過ぎませんの」

「琴ちゃん、言いがかりだよ♪ 白井さんは嘘を言っていないじゃない♪

 そうだ♪ 私の知っている琴ちゃんの恥ずかしい話、みんな聞きたい♪?」

「ちょ!? 雪姉ちゃん何言ってるの!?」

「「「聞きたいです(の)!!!」」」

「み、みんな何言ってんのよ!?」

「実はね♪

 私達が最初に会った時も、琴ちゃんったらゲコ太のジュースを買おうとしていたの♪
 琴ちゃんの第一印象からゲコ太だったの♪」

「やめて! お願いだからやめてーーー!」


こうしてパジャマパーティーは、美琴の恥ずかしい話大会に変わっていくのだった。




つづく
 
 

 
後書き
この裏参話、元々はとある科学のドラマCD?に
信乃が入ったらバージョンで作ろうとしてました。

しかし、作っていくうちに
「信乃の魔術について」
「現代のA・T製造法」
「美雪の過去話」
を織り込むことになり、ドラマCDの面影はほとんどなくなっています。

ちなみに、御坂美琴をツンデレ、否!
ツンデレールガンに育て上げたのは、どこかの暴風族です。
ツンデライダーです。
 
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