転生とらぶる
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魔法先生ネギま!
0386話
ナギ・スプリングフィールド杯の2回戦を勝ち抜いた翌日、俺とあやか達5人の姿はキズクモの街中にあった。
さすがにずっと宿に引き籠もっていた関係もあって普段は物静かな、と表現出来る千鶴もかなりはしゃいでいるように見える。
……いや、年齢詐称薬で幼児化してからはかなり活動的になっていたからそれ程差は無いか? まぁ、それでも元気の有り余っている女子中学生としてはやはり閉じ籠もっているというのはかなりストレスが溜まっていたらしく、千鶴を含めた皆がそれぞれ屋台や店で服やら食べ物やらを購入している。
ちなみにそれぞれに1000ドラクマずつ、日本円にして約6万円程度の額を渡してあるので余程高い買い物をしない限りは使い切る事は無いと思う。
尚、俺は昨日の騒ぎで色々と目立ってしまった為に身体全体をすっぽりと覆って、顔も隠すようなローブを着ている。一応、羽もローブで隠れてはいるのだが微妙に窮屈なのは我慢するしかないだろう。
「アクセルさん、大丈夫ですか?」
茶々丸が俺の隣で心配そうに尋ねてくる。何しろ俺の両手にはあやか達が買った物がこれでもかとばかりに乗せられているのだ。
それでも麻帆良と違って空間倉庫を隠す必要がないので、ある程度荷物の量が増えたらどんどんとそれを空間倉庫に放り込んでいる。
今もまた、持っていた服やらアクセサリやら小物やら竜の木彫り人形やらを空間倉庫に収納しながら茶々丸に頷く。
「ああ、見ての通り問題無い。それより茶々丸はいいのか? お前も欲しい物があったら買ってきてもいいんだぞ」
「……その、ですが……」
「何を気にしてるのかは分からないが、遠慮しなくてもいいから行ってこい」
腰の辺りにある茶々丸の頭をポンポンと軽く叩いてやる。
「分かりました。では、マスターと猫達にお土産を買ってきます」
ペコリ、と小さく礼をして近くにある店へと入っていく茶々丸。
さすがに魔法世界とは言っても、ここみたいな交易都市だとジャングルの中にあったような非合法奴隷売買組織なんてものは存在していないらしい。
茶々丸や千鶴とにこやかに微笑みながら話している店の店主達の様子を見ながら安堵の溜息を吐く。と、そこに近づいて来たのは美砂だ。
「アクセル君、アクセル君。はいこれ」
つい、と美砂に差し出されたのは何かの肉の串焼き。香辛料を利かせて焼き上げているのか、スパイシーな香りがする。
「はい、あーん」
「……ここでもか……」
既に慣れたこの状況。数秒前に吐いた安堵の溜息とは逆の、諦めの溜息を吐いて中腰になり串焼きへと噛ぶりつく。
鶏肉に似たような食感で口の中でホロホロと解けていく。だが、強烈な肉の味が同時に口一杯に広がり、絶妙にブレンドされたスパイスがその強烈な肉の後味をさらに引き上げる。まさにいつまでも味わっていたいと思わせる肉の味だった。
「美味いな……」
思わずまだ残っている串焼きへと視線を向ける。
「でしょ。これ1本で70ドラクマもしたんだからこれで美味しくないと詐欺だよね」
「70ドラクマ……いや、まぁ、確かに食べてみればその価値はあると思うが。にしても、これは何の肉だ?」
「ファンタジーと言えばこれ、正解は稀少な黒竜の頬肉でした」
俺の囓った箇所を自分もパクリと口に運びながら正解を告げる美砂。
「黒竜? それはつまり、あれか? ブラックドラゴン」
「そそ。凄いよね、さすがファンタジー世界。まさかドラゴンの串焼きが売ってるとは思わなかったわ」
「あー……いや、まぁ、確かにドラゴンの串焼きなら1串でその値段なのも納得だが……」
にしても、黒竜の肉とか。それはつまり誰かがその黒竜を倒したって事なんだろうが。
ドラゴン退治とかまさにファンタジーだな。
「アクセル君、皆戻ってきたからそろそろマジックアイテム売ってる所に行かない?」
しみじみとファンタジー世界に思いを寄せていると、串焼きを全部食い終わった美砂がそう告げてくる。
その言葉に周囲を見ると、確かにそれぞれの買い物を終えたあやか達が俺の近くへと集まっていた。
「悪い、じゃあそろそろ行くか」
買った商品を空間倉庫の中に収納し、目的地であるレイジング魔法店へと向かうのだった。
レイジング魔法店。それは、俺がこのキズクモに来てから真っ先に向かった店であり、名前通りに魔法の道具、いわゆるマジックアイテムを取り扱っている店だ。
そんな店の中へと入ると以前と同様に客の姿は一切無く、店主であり、店の名前にもなっているレイジングが一人暇そうにカウンターの中で座って何かの雑誌を読んでいた。
「いらっしゃい」
半ば投げやりなその声を聞きつつ、ふと思い出す。俺がこの店で年齢詐称薬を買った時にした約束を。
「……あ」
そう、それは勝利者インタビューを受けた時にこのレイジング魔法店を贔屓にしていると宣伝する事だったはずだ。だが、実際にはネギに対するメッセージを送っただけであり、レイジング魔法店に関しては一切触れていなかったのを思い出したのだ。
「お客さん?」
一声呟き、その場に立ち尽くした俺を怪しんだのか、レイジングが視線を向けてくる。
それは、俺の周囲にいたあやか達も同様だった。
「あー……いや、その……すまん」
さすがに契約違反では誤魔化しようがないので、フードを取って素直に謝る事にした。
「あ、お前! アクセル・アルマー! この、勝利者インタビューで俺の店の名前を出すって約束しただろうが! なのにあんなナギ・スプリングフィールドの偽物の挑発になんか乗りやがって!」
俺の顔を見た途端、ダンッとカウンターを叩きながら立ち上がりそう怒鳴ってくる。
「いや、本当に悪かった。こっちにも色々と事情があってだな」
「それはそうかもしれないが、俺との約束にお前の事情は何か関係あるのか?」
「あー……悪かった」
ペコリ、と頭を下げて謝罪する。
「……ったく、もういいよ。やっちまったもんは仕方ねぇ」
頭を下げた俺を見て、数秒。大きく溜息を吐いたレイジングはドサリ、とばかりに椅子へと腰を掛ける。
「ただし、次にインタビューがあったら必ずこの店の宣伝をしてくれよな」
「ああ、次は忘れないようにするよ」
そんな俺とレイジングのやり取りを見て、何があったのか大体理解したのだろう。あやか達は苦笑を浮かべたり溜息を吐くだけだった。
「よし、ならこの話はここまでだ。で、今日は何の用だ? また年齢詐称薬か?」
「いや、今日はもうちょっと大きい買い物だな」
「……値下げはしないぞ」
大きい買い物と聞いて、年齢詐称薬の時のやり取りを思い出したのかレイジングは真面目な表情でそう告げてくる。
「さて、確約は出来ないな。ちなみに、俺が欲しいのはダイオラマ魔法球だ」
「あー、確かに大きい買い物だな」
「あるのか?」
「一応あるにはあるが、うちにあるのは1つだけだな。と言うか、基本的に高価なマジックアイテム……いや、高価すぎるマジックアイテムだからな。このキズクモの中でも商品として置いてあるのは俺の店だけだろうよ」
どうやら予想通り、かなり高いらしい。
「在庫があって助かるが、何だってこの店はその高価なマジックアイテムを持ってるんだ?」
「まぁ、ぶっちゃけ趣味の一環だな」
「……それでやっていけるのか、魔法店……」
「うるせー。それよりもちょっと待ってろ、今持ってくるから」
図星を突かれたのか、ぼそっと呟いて店の奥へと引っ込み、数分程すると戻ってきた。
戻ってきたレイジングの手には顔の大きさ程の水晶球らしき物が存在していた。間違い無い、エヴァの使ってるのと同じような魔法球だ。……ただ、エヴァの物とは違って中に小さな家のミニチュアが1つあるだけだが。
「何か俺の知ってる奴と随分中身が違うんだが」
「ん? 中身?」
「ああ。俺の知り合いが持っていた魔法球は中に城とかが入ってたぞ」
「城、ねぇ……多分だが、そいつは自分で城を用意するなり何なりして魔法球に収納したんだろうな」
「そういう機能もあるのか?」
「ああ。指定した場所を魔法球の中に取り込むという機能がついている」
なるほど、エヴァの別荘にある城は最初から魔法球の中に入っていた訳じゃなくてどこかに建っていたのをあの魔法球の中に収納したのか。ただまぁ、現実世界で屋敷とかを取り込んだら電気、ガス、水道の類で困る事になりそう……いや、待て。なら何でエヴァの別荘では普通に電気や水を使えていたんだ? ふとそうも思ったが、脳裏に超と葉加瀬の姿が思い浮かんだ為にその疑問はあっさりと解決した。
「時間設定はどうなっている?」
「へっへっへ」
俺のその質問に、待ってましたとでもいうような笑みを浮かべるレイジング。
「この魔法球は最新型……とまではいかないが、それでも比較的新しい型でな。魔法球の中の時間の流れをある程度調整可能になってるんだよ。外での1時間が最低3時間~最高48時間まで調整可能だ。ちなみに調整するのはほら、この魔法球の中に入っている小屋があるだろう? この中に置いてある石版――まぁ、一種の魔法装置だな――を使って調整を行う」
「へぇ……確かに俺の知ってる物は外での1時間が24時間で固定だったからな。それよりは高性能っぽいな」
エヴァの魔法球の性能を思い出しながら口を開く。
「あぁ、そのタイプは汎用性が高いって事でそれなりに売れたタイプだな。今でも魔法球の中では人気の高いタイプだ」
「……」
レイジングの言葉に思わず黙り込む。
エヴァがいつあの魔法球を手に入れたのかは知らないが、あの城が建っていたとなると相当昔、それこそ中世とかその辺だろう。エヴァ自身が600年を生きる真祖の吸血鬼なんだから中世の城を持っていても不思議じゃないんだろうが……24時間タイプが今でも売れてるとなると、どのくらい息の長い商品なんだろうな。
まぁ、その利便性は理解出来るし、色々と性能向上はしてるんだろうが。
「確かに外での1時間が48時間というのはなかなかに高性能だな。で、値段は?」
「……そうだな、まけにまけて40万って所か」
40万ドラクマ。即ち日本円にして24000万円程度か。出せない額では無いんだが、それを出すと俺達の活動資金が残り10万ドラクマ程度まで減って、かなり心許なくなるのも事実だ。
「ちょっと高すぎないか?」
「確かに高いように聞こえるだろうが、うちだって利益を出さなきゃ商売をやってられないんだよ」
「けど、元々その商品はお前が殆ど趣味で仕入れた物なんだろう? 何しろ交易都市のキズクモでもここだけしか扱ってないと店主に言わしめる程の物だ。なら、俺がこのまま買わないとずっと売れ残る可能性もあると思うが?」
俺のその言葉に軽く眉を顰めるレイジング。
「けど、もしかしたら近いうちに売れる可能性もあるぞ」
「その魔法球、仕入れてからどのくらい経っている?」
「……8年程、だな」
「で、それを俺以外に買う奴がいるとでも? あぁ、いや。もちろんその可能性はあるだろうが、今確実にここでその商品を欲してる俺に売ってその分の金で新しい商品を仕入れるという方がいいと思うがな」
「ぐっ、た、確かにこの魔法球は……」
言葉に詰まったレイジングを見てトドメの一声。
「ちなみに、1回戦、2回戦の俺の戦いでどのくらい儲けたんだろうな?」
「あー、くそっ、分かった。分かったよ! 確かにこの2試合、お前さんに大儲けさせて貰ったからな。その分を割引かせてもらうよ! 35万ドラクマ。これ以上は本気で1ドラクマも値引きできないぞ。仕入れ価格とこれまで魔法球を保管してきた分の料金で原価ギリギリなんだからな」
「35万ドラクマ、か。……まぁ、いいだろう」
空間倉庫から1万ドラクマずつ分けてある袋を35個順々に取り出してカウンターの上へと置いていく。
レイジングはそれを碌に確認もせずに金を店の奥へと運んでいった。
「おいおい、一応数えなくていいのか?」
「35万ドラクマを数えていたら1時間や2時間は平気で掛かるぞ。それに俺はお前を結構信頼してるしな」
こうして、俺達はエヴァの持っているものよりも高性能な魔法球を手に入れたのだった。
……中身に関しては圧倒的に貧相だが。
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:39
PP:715
格闘:266
射撃:286
技量:276
防御:276
回避:306
命中:326
SP:470
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
ギアス(灰色)
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
異形化
撃墜数:392
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