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ハイスクールD×D―魔法使いのキセキ―

作者:Nation
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戦闘校舎のフェニックス
  第20話

 
前書き
決戦直前で短いです。

是非見ていってください。 

 
 決戦当日。時刻は午後十一時。
 ゲーム開始時刻は零時丁度で、開始三十分前、十一時半に部室に集合になっている。
 俺は今回使う武装の最終確認を行っている。アゾット剣やアンコールはもちろん、今日のために作った道具もある。
 それらが戦闘中に動作しなかったら、勝敗を決してしまうかもしれないため入念にチェックをしている。
 今回は部長の将来を決める大事な戦いだ。用心に越したことはない。
 部長がかたくなに拒んでいる婚約だ。それこそ人生の墓場に入るようなものになる。
 イッセーやアーシアの主にして命の恩人であり俺自身も世話になっている人だ。やれる限りのことはする。
 確認を済ませ、装備を整えてリビングに向かう。
 そこにはすでに祐斗と小猫が居た。
「準備は済んだかい?」
「ああ、大丈夫だ」
 二人とも駒王学園の制服を着ている。部長が戦いやすい服装でと言っていたが駒王学園の制服は俺たちのユニフォームみたいなものでもある。
 俺自身も制服の上にコートを着てそこに武装を入れている。
 祐斗の横には剣が立て掛けてあり、小猫はオープンフィンガーグローブをつけていた。
「魔法使いには見えないね」
「・・・魔法使いと言うより殺し屋」
 ひどい言われようだ。
 ただメインウェポンが短剣に拳銃だと納得してしまう。
「一応魔法使いだ。むしろお前たちの方が悪魔に見えないがそれで大丈夫なのか?」
 二人は防御面で考えると軽装すぎる気がする。
「僕の場合だと下手につけると速度が落ちるからね」
「・・・同じく」
 納得だ。祐斗は速度、小猫は俊敏さが売りだ。防御を固くするより速度を上げて躱す方だろう。
「緊張してないのかい?」
 ふと、祐斗が聞いてきた。
「いきなりどうした?」
「あんまり緊張しているように見えないから気になってね」
 ああ、なるほど。そういう事か。
「緊張しているに決まってるだろ」
 していないわけがない。
「いつかの殴り込みの時は緊張よりも、堕天使への憤りとかでいっぱいだったが今回は、そう言ったものはないからな。そういう意味じゃ冷静だ」
 婚約については色々と思う事はあるが、ライザーとその眷属に怒りと言った感情は無い。
「だが、そう言った感情がないからか、緊張してる。ただ、おくびに出さないようにしてるだけだ。
 イッセーと一緒にいるといつもあいつが暴走するからな。冷静でいられるようにしている」
 それでも感情が高ぶる時は高ぶるが。
「なるほどね」
「お前たちはどうなんだ?」
 二人に聞いてみた。
「・・・緊張してます」
「僕たちだって戦闘経験はあってもゲームは初めてだからね」
 二人も緊張しているようだ。
「それでも僕たちはやらないといけない。今後、レーティング・ゲームに参加することもある。今回のゲームはそのための糧とする。部長が今後も部長として、参加できるように」
「・・・」
 祐斗の言葉に小猫もうなずく。
 二人とも意気込み十分だ。
「さて、そろそろ行くか」
「うん」
「・・・はい」
 そうして俺たちは部室に向かった。


 ◇◆◇


 部室に入ると部長と朱乃さんが居た。イッセーとアーシアはまだ来ていないようだ。
 俺たちは各々に時間まで待っている。
 少しするとイッセーとアーシアも部室に来た。
 イッセーは駒王学園の制服。アーシアはシスター服だ。
 まぁ、なんというか。悪魔の戦いにシスター服で来るあたりアーシアは大物なんだと思う。
 もちろんロザリオは付けておらず、ヴェールもしていなかった。
「イッセー、準備はどうだ?」
「もちろん、万全だ!」
 親指を立ててサムズアップする。
「そういうお前はどうなんだよ?」
「お前が大丈夫なんだ。大丈夫に決まっているだろ」
「どういう理屈だよ、それ」
「今までにお前が準備できて、俺が出来なかった試しがないということだ」
 お互いに軽口を叩きあう。
 うん、いいリラックスになる。イッセーも同じようだ。
 そうして時間を過ごし、開始十分前になる。
 魔法陣が光だし、そこからグレイフィアさんが現れた。
「皆さん、準備はお済になられましたか?開始十分前です」
 その言葉に全員が立ち上がる。
「開始時間になりましたら、こちらの魔法陣から戦闘用のフィールドに転移いたします」
「戦闘用のフィールド?」
 イッセーが疑問の声を上げる。
「異空間に作られた特別なフィールドですわ。使い捨ての場所なのでいくらでも存分に派手なことをしても大丈夫なんですの。うふふ」
 朱乃さんが楽しそうに答えた。
 異空間に作られたフィールドか。確かにそれくらいは必要だ。
 この前、イッセーが放った魔力で山が消えたんだ。地球上でやっていたらそこらじゅうが荒地になっている。
 それこそ海の上じゃないと戦えない。
「それから、朔夜様。こちらを腕に」
 そういうとグレイフィアさんは俺に腕輪を差し出した。
「これは?」
「朔夜様は眷属外からの参加になりますのでその印になります。駒の役割は『傭兵(ソルジャー)』。特性はありませんので注意して下さい」
 俺は腕輪を受け取り、腕にはめた。邪魔にならないな。
「そういえば、部長。もう一人の『僧侶』は今回の戦いに参加しないんですか?」
 イッセーが部長に聞いた。
 アーシアを転生させる時、『僧侶』の駒は一つ使っていると言っていた。なら『僧侶』がもう一人いることになるはずだが、今まで見たことがない。
 イッセーの質問に、俺とイッセー、アーシアを除くメンバーの空気が重くなった。
「残念だけど、もう一人の『僧侶』は参加できないわ。そのことについてもいずれ話さないといけないわね」
 参加『しない』ではなく、参加『できない』か。
 はぐれになった可能性を考えたがそういうわけではなさそうだ。怪我か何かだろうか。
 だが今この話をするべきではないな。大事な戦いの前だ。モチベーションを下げたくない。
「今回の『レーティング・ゲーム』は両家の皆様も他の場所で戦闘をご覧になられます」
 グレイフィアさんが話を変えてくれた。彼女にとっては事務的なものなのかもしれないが助かった。
「さらに、魔王ルシファー様も今回の一戦を拝見なされます。そのことをお忘れなきように」
 魔王の一人も見るとなると、かなり注目度の高い一戦と言う事か。
 それだけ、この縁談が悪魔社会に影響すると考えられているのだろう。
 そう思っていたのだが。
「そう、お兄様が」
 ・・・今、部長はなんて言ったのだろうか。『お兄様』そう言った気がするのだが。
「えっと、今、部長が魔王様の事をお兄様って・・・俺の聞き間違いでしょうか?」
 イッセーにもそう聞こえたらしい。
 そして、祐斗が答えてくれた。
「いや、あってるよ。部長のお兄様は魔王様なんだよ」
 ・・・驚きで言葉が出ない。
 戦争をしていた時代に四大魔王が亡くなったこと。そして、その名前が現在の魔王の役職の名として機能していることは知っていた。
 だが、そのうちの一人が部長の兄妹だったとは思いもしなかった。
「サーゼクス・ルシファー―――『紅髪の魔王(クリムゾン・サタン)』、それが部長のお兄様であり、最強の魔王様だよ」
 なるほど、だから部長が『グレモリー』を継がないといけないわけであり、純血悪魔の存続の縁談に部長が選ばれた理由でもあるのか。
 こういった話はいくらトップだろうと両家との兼ね合いが必要になる。それが自身の居た家なら話をスムーズに進めることが出来たのだろう。妹を売るような話だ。
 だが、サーゼクス・・・この名前どこかで聞いたことがあるのだが・・・
「そろそろお時間です。魔法陣の方へ」
 グレイフィアさんが俺たちを促す。
 今は考えても仕方がない。どうせ、教授から教わった時に軽く名前を聞いていた程度だろう。
 今は戦いに集中しよう。
「なお、一度あちらのフィールドに移動しますと終了まで魔法陣による転移は不可能になります」
 次にここに来るときは勝敗が決まってからと言うことだ。
「それでは、ご武運を」
 そうして俺たちは戦場へと転移した。 
 

 
後書き
ココから投稿が少し遅れると思いますが、しっかり書いていくので読んでいってください。


ここまで読んでいただきありがとうございました 
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