ヘタリア大帝国
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TURN86 宇宙台風その十
「これはとても」
「味覚としましては」
「あまりにもです」
「確かにエイリスの料理よりは美味しいです」
流石にそれよりはだった、だがそれでもなのだ。
「しかしこれは」
「はい、酷過ぎます」
こうしたことを話したのだった、しかしパーティー自体はつつがなく行われた。
そうしてだった、海軍と陸軍は少しだけ歩み寄れた。日本はこのことを見届けてからそのうえで御所において帝と伊藤に言った。
「こうしたことを何度か続けていけば」
「相互理解も進んで、ですね」
「より融和できますな」
「そうなります」
こう二人に言うのだった。
「暫く続けていきましょう」
「雨降って、ですかな」
伊藤がここでこの言葉を出した。
「だとすればよいことです」
「そうですね。祖国ちゃんもお疲れ雅でした」
「いえ」
日本は帝の微笑みの言葉に自身も微笑んで返した。
「お気遣いなく」
「いえ、本当に今回は助かりました」
「私にとてはどちらも必要です」
陸軍も海軍もだというのだ。
「ですから」
「この機会にですか」
「特に山下長官の対抗意識が強かったです」
東郷はともかく彼女がだったのだ。
「ですから」
「山下ちゃんはそこが問題なんですよね」
帝も実際に悩んでいることだった。
「生真面目なことはいいですが」
「まだ余裕を身に着けておられないですね」
「はい、そこです。ですが」
「今回のことから少しずつでも」
それでもだと言う日本だった。
「そうしたものを身に着けて頂きたいですね」
「そうですね、本当に」
「それでなのですが」
ここで話題が変わった、日本が言う。
「一つ面白いことがわかりました」
「といいますと」
「はい、チリへのワープ航路ですが」
今度はこれの話だった、航路の話だ。
「ニュージーランドへの航路も発見されました」
「本当にあったのですね」
帝は日本の今の話を聞いて顔を綻ばさせた。
「それは何よりですね」
「チリ、中南米への移動が楽になります」
「そしてですね」
「補給も」
移動、それは即ち補給の話だった。
「これでかなり楽になります」
「アステカとの戦いもより順調に進められますね」
「これまではテキサスからのルートのみでしたが」
それが変わるというのだ。
「オセアニア方面からも行える様になりました」
「ではすぐに」
「はい、オセアニア方面からの補給も開始します」
「しかもです」
今度は伊藤が話す。
「チリには修理工場も築きましたな」
「はい」
「ではチリをアステカ奥地への侵攻拠点としますな」
「そうなっています」
「何よりです。ただ出来れば」
伊藤は首相、即ち政治家だ。それで政治家として考えそのうえで日本に対して述べたのである。
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