転生とらぶる
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魔法先生ネギま!
0383話
予選の予選で勝ち残った翌日。俺の姿は再び闘技場の選手控え室にあった。
そう、いよいよナギ・スプリングフィールド杯が始まるのだ。
そこにいるのは今日から始まるナギ・スプリングフィールド杯の参加者達。その数は昨日の10人程度とは違い、選手控え室が複数必要になる程の人数。
……まぁ、そんな中でも個人出場、と言うか1人で出場してるのは俺の他に見当たらないが。
周囲にいる選手達も、タッグ戦が前提のこの大会に参加しているのに何故か1人で選手控え室にいる俺が気になるのかチラチラと視線を向けている。
正直、大勢から視線を集めるのは嬉しい事じゃない。何しろ現在の俺は賞金首なんだから、年齢が違っていたり異形化の影響で魔族や半魔族に見えるから色々と誤魔化しやすいとしても、いつどんな理由で賞金首と発覚するのか分からないからだ。
そんな風に思い、せめて顔を隠そうとして柔軟をしている振りをしていると誰かが近付いてくるのに気が付く。
……早速絡みに来た奴か? と思いつつ顔を上げると、そこには虎と鳥の獣人コンビの姿があった。
この2人組には見覚えがある。昨日の戦いの前に俺に話し掛けてきた2人だ。
「よう。やっぱりお前さんも昨日勝ち残ったのか」
「どうやら私の目は間違っていなかったようだね」
最初に虎が、次に鳥の獣人がそう声を掛けてくる。
「そっちも無事勝ち残ったらしいな」
「ああ。何しろ俺達はこのナギ・スプリングフィールド杯で名を売るって目的があるからな。予選にも出られずに負けるなんてのは御免だよ」
……今、虎の男の話を聞いてピクリとした。そう、ただ勝ち残っていくだけでインタビューが来る訳ではない。この魔法世界にTV局があるとして、当然その場合インタビューをするのは注目を浴びている選手が優先されるだろう。
その点、俺は拳闘士団に所属してない個人出場。しかもソロでの大会参加者だ。ある程度の注目はあってもおかしくはない。だが拳闘士団に所属していないソロ参加者なんてやろうと思えば誰でも出来るだろう。……ある程度の実力があれば。
つまり、現在の俺は目立つ事は目立つがそれ程極端に目立っているという訳でもない。
「おい、どうした?」
「ああ、ちょっと考え事をな」
そう、もし大会で極端に目立つような事……つまり、グリフィンドラゴンを召喚したり、尚且つその召喚されたグリフィンドラゴンが通常とは違う個体だったりしたら、それは十分目立たないか?
まぁ、目立つと言う事はさっきも考えたように俺が賞金首だと見抜かれる可能性もあるが……
「……本当に大丈夫か?」
虎の獣人の方が心配そうに俺へと視線を送っている。基本的に人が良いんだろうな。
「いや、確かにこのナギ・スプリングフィールド杯は名前を売るのに最適だと思っただけだ。で、どうやれば効率的にそれを出来るかと思ってな」
「そりゃ、お前……うーん、派手に勝てばいいんじゃないか?」
「確かに派手に勝てば注目されるとは思うが、彼の言ってるのはどう派手に勝てば注目されるか、という事では?」
虎と鳥の獣人の言葉に頷く。
「そうだな、派手に、目立つようにして勝ち上がっていけば嫌でも注目を集めるか」
「ちなみに、君も名を売る目的なのかい?」
「ちょっと違うな。正確に言えば……人捜し、か?」
「人捜し?」
「ああ。ちょっとした事情で転移魔法が暴走して離ればなれになってな。で、そいつ等を探す為にインタビューで俺はここにいるってのを教えられればと思った訳だ」
「うーん、でも普通ならそういう場合は公的機関とかに保護して貰うんじゃないのかな?」
「色々と事情があってな。政府とかそういうのを嫌ってるらしいんだよ」
「……なるほど。まぁ、最近はMMにもあまりいい噂を聞かないしな」
うんうんと頷く虎の獣人。
そう言えば、まだ名前を聞いてなかったな。
「今更だが、名前を教えて貰えるか? 俺はアクセル。アクセル・アルマーだ」
「うむ。俺はシルザリア・ドリュクスだ。シルって呼んでくれ」
「私はラナクーナ・クニギア。ラナと呼んで欲しい」
「シルとラナか。ま、大会で俺に負けるまではよろしくな」
「へっ、何言ってやがる。勝つのは俺達だよ」
「そうだね。こちらとしてもそうそう簡単に負ける訳にはいかないね」
そういう風に2人と話していると、次第に選手の数が少なくなってきている。スタッフに呼ばれて試合へと向かっているのだ。
「ま、今日ここで同じ控え室にいるって事は少なくても今日の俺達の対戦相手はお前じゃないって事だろうし……アクセルと当たる時を楽しみにさせてもらおうか」
そんな風に話していると、スタッフが顔を出して選手控え室の中へと声を掛ける。
「アクセル・アルマー選手、次の試合なので準備をお願いします」
「どうやらご指名のようなだな。じゃあ、早速行ってくる」
「ああ、頑張れよ。俺達と当たるまでは負けないようにな」
シルの声に軽く手を振り、選手控え室を出て闘技場へと続く通路をスタッフの後ろをついて歩いて行く。
「俺の対戦相手は?」
黙って歩いて行くのも味気ないような気がしてそう尋ねるが、俺の前を歩く20歳程のスタッフの女は無言で首を振る。
「すいませんが、選手に対してスタッフが情報を与える事は禁止されているんです」
「あー……そうか。いや、俺も変な事を聞いたな。悪かった」
確かに考えてみれば闘技場のスタッフが拳闘士に情報を与えるような真似をすると参加選手達に対する公平性が損なわれるか。まぁ、それでも世間話くらいはして選手の緊張を解してもいいとは思うんだが。
そんな風に思っていると薄暗い通路の先から微かな光が見えてくる。
いよいよ試合、か。まず今回の試合は目立ってTVクルーとかいるのなら雑誌記者達の注目を引きつけることが最大の目標だ。故に試合開始直後からやらせて貰おうか。
「ここを真っ直ぐに進めば闘技場です。では、ご武運を」
ペコリ、と頭を下げて元来た道を戻っていくスタッフの女。その背を見送り、俺もまたその反対側、闘技場へと歩を進める。
『さて、次の試合となります。次は……おおっと、これはちょっと珍しい。まず東の門から登場するのは当闘技場でも上位の実力を持つ拳闘士コンビのバジットとレイズン。知ってる人も多いと思いますが、この2人は3ヶ月前にこの闘技場で開催された闘技大会でベスト4に入った実力者となります。パワーに特化した前衛のバジット選手に、それを後方から魔法で援護するというレイズン選手。どちらかと言えばオーソドックスなスタイルで戦う2人ですが、その実力は本物と言ってもいいでしょう。グラス拳闘士団所属となります。そして西の門から出て来るのは拳闘士団に所属していない個人参加の選手です』
個人参加、という声が闘技場に響いた所で観客席がざわめく。その声はまだ闘技場に出ていない俺の所まで聞こえてきた。
……どうやら個人参加というのは思ったよりも珍しいらしい。目立つのを第一に考えている俺にしてみれば嬉しい誤算と言ってもいいだろう。
『どうやら魔族か、あるいは半魔族らしいのですが詳しい経歴は不明。ただし、拳闘士団所属以外の出場者で行われた昨日の予選ではフリーの拳闘士2人を1人で圧勝したという情報がありますので、その実力は本物と言ってもいいでしょう』
俺の紹介がされている間に闘技場の中央へと進んで行く。
その闘技場の中央では既に対戦相手のバジットとレイズンと呼ばれた2人が俺を待ち受けている。
片方が鱗の生えたドラゴニュートっぽい人物。もう片方はローブを着ており杖を持つ典型的な魔法使いで年齢は今の俺よりも少し上、20代半ばといった所か。
先程の実況の説明を聞く限りでは、バジットがドラゴニュートでレイズンが魔法使いなんだろう。
「1人でこの戦いに出て来るとは随分といい腕をしてるらしいな」
俺を見たバジットが笑みを浮かべながらそう告げてくる。
……笑み? ナギ・スプリングフィールド杯に参加申請をした時のもそうだっったが、顔がトカゲと言うかドラゴニュートなので表情が分かりにくいな。唇が弧を描いているんだから笑みでいいんだろうが。
「さて、それは戦いの中で証明してやるさ」
にしても、昨日の予選で戦ったニュグスとリュキオも前衛、後衛に役目を分けたコンビだったが……まぁ、実況でもオーソドックスと言ってたんだし安定性はあるんだろうな。
「レイズン、お前は何かないのか?」
「私は己の役目を果たすのみ。幾ら魔族と言えども我が魔法の前には為す術無し」
「あー、つまりお前が魔族でも手加減はしない。全力でお前を倒すと言っている」
「……通訳ご苦労さん」
バジットがレイズンの言葉を通訳してくれる。色々とこいつも苦労してそうだな。
そう思いつつ、お互いに向かって構える。
『ルールは皆様ご存じの通り、武器や魔法の使用には一切の制限無し。ギブアップ、あるいは戦闘不能で決着となります。では、試合開始!』
実況が試合の開始を宣言すると同時に、バジットがガバッとばかりに口を開く。
「まずは小手調べと行かせて貰おうか!」
そう言い、吐き出されたのは炎の球。ドラゴニュートだけあって炎を吐くのもお手の物らしい。だが。
「こちらもそうさせて貰うぞ!」
額から生えている深紅の角。その効果である炎を操る力を使って俺へと向かって放たれた炎の球に干渉してその場で破裂させる。
「……何?」
さすがに自分の放った炎の球が直接コントロールされるとは思わなかったのだろう。唖然とした表情を浮かべるバジット。だが、その後ろに控えていたレイズンもただ黙って見ていた訳ではない。
『闇夜切り裂く一条の光、我が手に宿りて敵を喰らえ……白き雷!』
火球が消え去るのと殆ど同時に魔法を放ってきたのだ。
「させるか!」
咄嗟に影槍を作りだし放たれた白き雷の避雷針代わりにして地面へとその雷の威力を流す。それを確認もせずに、後方へと大きく跳び退る俺。
『何と、試合開始直後にバジット選手が得意のファイアブレスを放つも、アクセル選手が何らかの手段でそれを霧散させ、続いて放たれたレイズン選手の『白き雷』も呆気なく無効化しました』
実況の驚くような声を聞きつつ、こちらも呪文の詠唱を開始する。
この2人は確かにここでも屈指の実力者なのだろう。だが、悪いが俺の引き立て役になって貰うぞ。
『我と盟約を結びし者よ、契約に従いその姿を現せ!』
呪文自体は単純な物なので、少しでも早く詠唱を完了させる為に起動キーを省略して呪文を唱える。そして呪文が完成するのと同時に、俺の後方で魔法陣が展開。
「ガアアァァァァァッッ!」
雄叫びを上げつつ、グリフィンドラゴンがその魔法陣から姿を現した。
『こ、これは……グリフィンドラゴン!? いや、微妙に私の知ってるグリフィンドラゴンとは違うが……それでもあの鷲の上半身を見る限りではグリフィンドラゴンで間違い無いでしょう。アクセル選手、とんでもないものを呼び出したぞ!』
「行け」
「グルルアアァァァァアアッ!」
俺の単純な命令に、グリフィンドラゴンは雄叫びを上げてカマイタチブレスを放つ。
そのクチバシから放たれた鋭利な切れ味を持ったブレス。それを見た瞬間、バジットはレイズンの後ろへと退避し、同時にレイズンは『風花・風障壁』らしき魔法を使ってカマイタチブレスを防御する。だが……
「グギャアアァァァッ!」
それを見たグリフィンドラゴンはすぐさま攻撃方法を体当たりへと変更してレイズンへと突っ込んでいく。『風花・風障壁』というのは強力な防御魔法だが、その効果はほんの一瞬でしかない。カマイタチブレスを防ぎきった後はその効果をなくして消滅し……
『グリフィンドラゴンの体当たり! レイズン選手、バジット選手が共に吹き飛んだ! そして起き上がれない。気絶、気絶です! 勝者、アクセル・アルマー選手!』
体長10mを越えるグリフィンドラゴンの体当たりをまともに食らった2人は吹き飛び、そのまま気絶して俺の勝利が確定するのだった。
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:39
PP:715
格闘:266
射撃:286
技量:276
防御:276
回避:306
命中:326
SP:470
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
ギアス(灰色)
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
異形化
撃墜数:392
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