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もしもこんなチート能力を手に入れたら・・・多分後悔するんじゃね?

作者:海戦型
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されど騎士は力を振るう・part7

 
前書き
ハウスの次は森だよね

ところで前回リーゼ姉妹+グレアムのおっさんで管理局員3人って言ったけどリーぜ姉妹って管理局に所属してんのかね?しててもおかしくないからこのままでいいか。 

 
小学生30名以上を動員した例の石の一斉捜索は思った以上の成果を上げていた。

『もしもし?まどかだけど・・・河原でそれっぽい石見つけちゃったから早く来て~!!』
「おい、高町!先に河原に行くぞ!鹿目が例の奴を見つけたらしい!!」
「萩原さんが温泉で見つけたほうは?」
「・・・今はリョーゴと遠山に見張らせればいい!!あの二人なら最悪化物化しても死にはしねぇ!・・・多分」
『じゃ、私は先に公園で見つけたっていう方を見に行くわよ!』
「とっとと行って来い!」

トランシーバー片手に指示を飛ばしながら市内を激走する軽自動車。運転手は小学生のくせに何故か自動車運転免許を持っている金田君だ。小学生で探偵らしい。良く分かんないけど遠山君と仲が良かったから呼ばれたとか。
武偵と探偵って似たようなものだし、何かと話が合うんだろう。金田君も将来的には武偵になるらしいし。そういえばまだ顔は見ていないが霧切さんという武偵志願の子もこの捜査に参加しているらしい。僕も武偵目指してみようかな?

「これで5つ目ですか?一体いくつあるんでしょうねぇ・・・」
「封印できるのが一人しかいねぇのがネックだな・・・よし、河原のを改修したら次は公園だ。温泉街はちと遠いから後回しにするぞ!」
「らじゃ」
「分かりました!・・・あ、あそこにいるピンクの髪の子が例の鹿目さんですか?」

・・・都会の小学生とはこんなにアクティブに動き回る物なのだろうか。田舎っぺの僕にはわからないところである。




既に僕が回収した怪鳥ロプロスの石も含めて5つの石が発見されている。公園の石は若干発動しかけたけど羽岡さんが抑えてくれたおかげで被害は少なかった。・・・え?確かに僕たちが着いた時羽岡さんは木の根っこに絡まれてあられもない姿になってましたけど、何で知ってるんですか?触手モノのお約束?そうですか、わかりません。

途中涼宮さんが「空を飛んでる人を見たんだって!きっと宇宙人よ!」とか騒いだり相良くんが「こ、これは生産中止になった幻のASフィギュア!?」と脱線したり徐倫さんが「オラオラオラァ!!」と怪現象と戦ったり兵藤くんが「ドラゴン波ぁー!!」と叫んで腕がゴツイ事になったり色々あった結果、発見した5つの石は無事回収できた。


そして現在は再びみんなで他の場所に石が無いかの作戦会議中、僕は公園で休憩中である。
太陽はすっかり登り切って既に午後2時を回っているためか、皆もさすがに疲れて各自休憩を取っているようだ。特に超能力者の琴浦さんと体力の無い春雪くんはグロッキー状態で、織斑君がせっせと看護をしている。東風谷さんと須田くんは未だ町内を激走中らしいが。気のせいかダカダカダカと特徴的な足音が聞こえるが幻聴だと思う。たぶんきっとおそらく。

「疲れた。労働基準法違反で訴えてやる」
《誰をだ?》
「あのオジサン(司書)を」
《それは名案だ。本人がいればな》

人それを逆恨みというかもしれない。自主的に始めたことだし。何はともあれこの町に潜む脅威は小学生たちの手によって着々と取り除かれている。小学生ってすごいな、と素直に思った。

《明らかに平均的な小学生でないものが大分混じっているが?》
「なにをおっしゃるゼルギウスさん。僕が一番平均的じゃないじゃないですか」
《否定は出来んな。それと・・・何か進展があったようだぞ》

「高町くん、6つ目のブツの情報があったよ!」
「だけど場所がちょっとアレでね・・・とにかく、ちょっと来なさい」
「?」

・・・次の石は一筋縄ではいかないようだ。







「ここがブツの目撃証言があった場所・・・月村邸だ。正確には此処の裏庭付近」
「どうやってそんな情報を?」
「琴浦さんの読心能力でネコから情報を聞き出して、相良くんがその猫を追跡した結果ここに行きついた。そもそもこの町に生息する猫の3分の1がこの屋敷に住んでる猫屋敷としても有名だったから余計見つけるのは簡単だったよ」
「だが、だ」

武偵志願組や徐倫さん、由良くんが顔を顰める。

「ここはセキュリティが固すぎる・・・羽岡でさえ気付かれず入るのは無理だと判断したくらいだ」
「いくらそれなりに金持ちの家だからってここのそれはちょっと常識を逸してるレベルだ。忍び込もうにもセキュリティが突破できないし、入れてもらおうにもメイドのガードが固すぎる・・・」

そう言いながら遠山くんが懐のメモを取り出す。

「分かっているだけでも監視カメラ50台に防犯ロボット、指向性レーザーセンサーに二酸化炭素検知型センサー、体温検知型センサー、偽装された無数のセントリーガンに落とし穴や虎バサミに振動検知器、植え込みに偽装された高圧電線・・・挙句の果てにメイド2人が戦闘可能なアンドロイドと来たもんだ」
「まるで要塞よ・・・戦争でもするつもりなのかしら?やれやれだわ」

なるほど、かたいガードを突破できずに困り果てたという訳か。よく見ると体力自慢の皆は体のあちこちが汚れている。・・・挑んだのか。
どうしてもメイドを突破できずに頓挫中らしい。・・・メイド以外は突破したのか。凄まじいバイタリティにちょっと引くわー。

《少年、ここは転身の術を使うがいい》
「・・・皆、ここは僕に任せて」

転身の術によって僕の隣に2メートル大の巨大な鎧が出現する。
これを転送で裏庭に送り込む。転身の術は分身のようなものなので身元はバレないしいつでも撤退可能。それにこの鎧はあらゆる攻撃を防げるらしいので倒されることもないだろう。

「「「「・・・そういう便利なものがあるなら最初に言いやがれ!!!」」」」

思いっきりみんなの骨折り損である。セキュリティの場所もキッチリメモしてあったらしく、それらが全部無駄になったことによってみんなの視線が空裂眼刺驚・・・ごめんなさい。
まぁとにかくこうして作戦は決行された。侵入を試みた強襲メンバーがメイドを引き付け、その間に僕の分身が石を回収する手はずだ。・・・ったのだが、ちょっと予想外の事態が起きていた。

《少年。どうやらあの石が発動してしまったようだ》
「・・・マジですか」
《・・・マジだ》

マジマジと見つめてみたが、現実は変わらなかった。







「・・・えーっと、何所からツッコめばいいのかな?」
《にゃー♪》 

巨大な子猫とはこれ如何に。そんなことをぼんやり考えながら月村すずかはぽかんとその猫を見上げていた。全長何メートルあるだろうか。周囲の木が5メートルくらいだから多分それ位か、若しくはもう少し大きいだろう。5mという大きさは人間が最も物理的圧迫感を感じやすい大きさだとどこかの本で読んだことがある。

(いや!いやいやいやいやいやいやいあいあくとぅる・・・じゃなくて!!)

すずか自身、夜の一族という世間一般から見ればはなはだしく非常識な存在ではある。だが、これはいったいどうしたことだろう。あれは明らかにゾウほどの大きさがあろうかというのに、何故か外見が子猫。無論いくらこの屋敷に大量の猫が住んでいるからといってあんなにデカい子猫はいない。というかいたら困る。明らかに生物種として不自然なその猫にすずかの頭は「What?」と「Why?」で埋め尽くされつつあった。

果たしてこれは現実なのかとも思ったが、生憎すずかは今日の朝起きてから今まで何をしていたかはっきり覚えているし頬を抓ってもしっかり痛みがある。巨大子猫の正体はとんと見当がつかないが、とりあえず中の人がいる風ではない。

と、考え込んでいるのがいけなかった。少し気を離した隙に、ジャイアントキティはいつの間にかすずかに近づいていたのだ。

《にゃーお!》
「きゃっ!?」

あの子猫的には虫をつついて遊んでいる程度の感覚なのだろうが質量が洒落にならない。反射的に躱して怪我の無かったすずかだが、ようやくこの状況の危険性が理解できてきた。

(どうしよう・・・頑張れば気絶させるくらいは出来るかもしれないけど・・・)

すずかはちらりと猫の首元を見る。そこにあるのは見覚えのある鈴付きの首輪・・・記憶が正しければ屋敷の中でもまだ幼い子猫が付けていたものだ。鈴ごと大型化した所為で寺の鐘の様にガランガランという音が鳴っているが、あの形は間違いなく月村邸に住む猫の証。
つまりあの子猫はあんなナリをしていても元々はすずかの可愛がっていた猫の一匹ということだ。

たとえどんな理由があろうともすずかには猫を・・・まして自分の飼い猫に暴力を振るうなど出来ない。

「どうすればいいんだろう・・・」

あくまでも遊びのつもりで無邪気に襲いくる猫を避けながらすずかは困り果てた。姉やメイドに任せるという手もあるが、さしもの皆も巨大化したネコを元に戻す方法に心当たりがあるとは・・・


がささっ


「・・・え?」
《ふにゃ?》



「・・・・・・・・・・・・・・・」


《にゃっ!?》
「あ、あなたは・・・!?」

太陽の光を反射して光沢を放つ漆黒の鎧。巨大な体躯。そして相も変わらず「やぁ」と気さくに話しかけるような軽い感じの雰囲気。


そこにいたのは、前に誘拐されたとき悪者をやっつけた鎧の騎士さんだった。


そしてそこからはあっという間だった。
さっきまで元気いっぱいだった猫は、鎧の騎士さんにお腹を見せて服従のポーズ。どうあっても敵わない相手だと本能で理解したようだ。
そんな猫に鎧の騎士さんは手を翳した。すると、猫の身体の中から節黄な輝きを放つ青い宝石のようなものが出てくるではないか。宝石を握りしめると同時に子猫の身体は縮み、あっという間に本来あるべきサイズに戻ってしまった。

子猫はそのまま眠ってしまい、その子猫をそっと抱えた騎士さんは私にその子猫を手渡しに来た。

「あっあの!その、この前もですけど・・・ありがとうございます!」
「・・・・・・」

鎧の騎士さんは応えなかった。一瞬手をこちらに向けかけ、自分の掌を見て引っ込めてしまった。
唯それだけだったが、一瞬こちらに何かを伝えようとしたというだけでちょっと嬉しかった。
騎士さんは結局何も言わずに帰ってしまったが、助けられたのはこれで2度目になる。


「何だか事件の時だけ駆けつけるヒーローさんみたいだね?」


次も困った時にまた来てくれるかな?と密かに期待をしてしまうすずかだった。





「こ、今回は血を見ずに済んだぁぁ・・・」
《少年が一番気にしているのはそこか・・・》
「ねこちゃんの血なんて絶対に見たくないもん!」
《・・・それもそうだ》

ちなみに小学生強襲隊は何とかメイド相手に引き分けまで持ち込んだらしい。
かくして、6つ目の石は無事回収できたのだった。

 
 

 
後書き
鹿目さん・・・将来の女神様。ウェヒヒ☆
荻野さん・・・温泉旅館でお手伝いしている少女。名前は千尋。今日からお前は千だ。
金田くん・・・さんをつけなくてもいい元ネタの方。ビルの町にガオー!
霧切さん・・・超小学生級。カップ麺の妖精やってます。

ダカダカダカ・・・知りたくばググれ。万物の理はグーグルに在り! 
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