ヘタリア大帝国
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TURN84 山下の焦りその十一
「日本人、恐るべきだな」
「あっ、足は崩していいですよ」
主催者の帝からの言葉である。
「慣れない方」
「そうしていいんですね」
「茶道は楽しむものです」
だからだというのだ。
「苦しむものではないので」
「有り難い、それじゃあな」
「私もね」
ハンナも言う、そしてだった。
見れば日本人以外のほぼ全員が足を崩しだした、日本に長くいた韓国兄妹や台湾兄妹は流石に違っていたが。
動物達も同じだ、皆やっとほっとした顔になったのだった。
「いや、これは地獄だったな」
「まさかこのままずっとと思ってたわ」
ダグラスとハンナはまだ残る足の痺れを堪えながら言う。
「茶道には興味があったが」
「正座のことは知らなかったわ」
「これが日本の文化なんだな」
「侘び寂びだったわね」
「はい、そうです」
日本が二人に答える。
「これもまたです」
「そして他にもだよな」
「華道というのもあったわね」
「それはまた後で」
催されるものは他にもあった。
「そして日舞も」
「日本文化、本当に奥が深いな」
「色々なものがあるとは聞いてたけれど」
「今日はまた変わった催しだな」
「こうした祝勝もあるのね」
「今回は特別でして」
日本はちらりと東郷と山下を見た、二人というか山下の方が東郷を睨んでいる。
その二人を見てそして言うのだった。
「こうしたものにしました」
「酒は出えへんのやな」
酒好きのキューバらしい言葉だ。
「それがちとな」
「日本酒が後で出ますので」
「ああ、そやねんな」
「今宵はじっくりとお楽しみ下さい」
「ほなな、楽しませてもらうで」
「はい、それでは」
こうした話をしてだった、そのうえで。
宴がはじまった、海軍と陸軍のその対立を緩和し解消していく為の宴がはじまろうとしていた、帝や日本達が目指すそれが。
TURN84 完
2013・1・19
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