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ハイスクールD×D―魔法使いのキセキ―

作者:Nation
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旧校舎のディアボロス
  第10話

 
前書き
祝話数二けたと言いましょうか。
今回は短めですがアーシアのお話です。

是非見ていってください。 

 
 家に籠り一時間が経過した頃、部長たちがやってきた。
 堕天使に気付かれないように徒歩でやってきた。
「アーシア!無事でよかった!」
 アーシアの姿を確認するとイッセーは安堵の声を上げる。
 そういうイッセーは祐斗の肩を借りている所を見ると治りきっていないのだろう。
「イッセーさん!お怪我は大丈夫ですか!?」
 その状態を見たアーシアがイッセーに駆け寄る。そして、神器をだしイッセーの足に手をかざす。
 すると前と同じように淡い緑色の光を発し、イッセーの傷口を癒やす。
「これは・・・!」
 部長たちはその光景に驚いているようだ。シスターが悪魔を癒やしているのだから。
「・・・彼女の話はとりあえず後ね。サクヤ、どうして彼女を連れてきたのかしら?」
 切り替えるように俺に言葉をかける。その言葉には少しばかり怒気が含まれていた。
「恩人だからです。彼女にはあのイカレ神父から庇ってもらいましたから」
「堕天使と戦いになるかも知れないのよ?」
「そうならないようにするために、彼女に来るかどうか確認したんです。何も言わずにつれてきたら拉致や誘拐ですけど、彼女は『連れて行ってほしい』と答えました。すなわち亡命です」
 免罪符は用意している。
 彼女はシスターとはいえ人間だ。人間は各勢力に何かしらの形で存在している。
 天使陣営なら神父やシスター、悪魔祓い。堕天使陣営にははぐれ悪魔祓い。悪魔には契約者や魔法使い。
 他の種族が他勢力に行くのは基本的に問題になるが、人間ならよほどの人物じゃない限り一人抜ける程度だ。
 まぁ、堕天使、悪魔社会に通用してくれるか分からないが時間がなかったためこんな方法になった。
「むぅ・・・」
 俺の言い分が通用したらしく、部長がしぶしぶ引き下がる。理解はしたけど納得はしていないという感じだ。
 俺と部長が話している間にイッセーの治療が終わったみたいだ。
「すげー!違和感もない!」
 イッセーは完治したようだ。本当にすごい。光で受けた悪魔の傷をすぐに治してしまったんだから。
「さて、彼女の話を聞きましょうか。イッセーから出会った経緯や私たちが来るまでに何があったかは聞いたわ」
 部長はアーシアの方を向き問いかける。
「シスター・アルジェント。どうしてあなたは堕天使の所にいるのかしら?イッセーからの話を聞く限りとても追放されるような人物には思えないわ」
 その問いかけにアーシアは暗い顔をして。話だした。

 ―――――聖女と崇められ、魔女と蔑まれた少女の物語を


 ◇◆◇


 欧州の地方のとある田舎町の教会に一人の赤子の女の子がすてられていました。
 その女の子はシスターとしてその教会で育てられました。
 赤子の時から教会で育てられた女の子は信仰深く優しい子に育ちました。
 そんな女の子に不思議な力が宿ったのは八つの時です。
 死にそうになっている子犬が教会に迷い込んできました。
 女の子は必死に祈りました。
 すると女の子の祈りが通じたのか奇跡が起こりました。
 先ほどまで死にそうになっていた子犬の怪我がみるみる治っていき、元気になりました。
 そんな、光景をカトリック教会の人が見ていました。
 女の子は教会の本部に連れて行かれそこで治癒の力を宿した『聖女』としてあがめられるようになりました。
 女の子は教会を訪れた信者の怪我を治すようになりました。
 女の子はその生活に不自由しませんでした。
 教会の人たちは女の子によくしてくれました。
 自分の力が人のお役に立てると女の子は喜びました。
 神様が授けてくれたものに感謝しました。
 ですが女の子はさみしくもありました。
 女の子には友達がいませんでした。
 みんな、女の子に優しくして、大事にしてくれました。
 ですが、女の子に友達はできませんでした。
 女の子は知っていたのです。
 彼らが女の子の知らない所で異質な目を向けていたことを知っていたのです。
 そんな女の子に大きな出来事がありました。
 ある日、女の子は大きな怪我をした悪魔に出会いました。
 とても優しく育った女の子は悪魔の傷を治しました。
 しかし、それがいけなかったのです。
 その出来事を教会の人が知りました。
 すると女の子は魔女として蔑まれるようになりました。
 悪魔を治すことのできる異端の魔女と呼ばれるようになったのです。
 教会は女の子を追放しました。
 行くところの無くなった女の子は東の国のはぐれ悪魔祓いの組織に入りました。
 堕天使の加護を受けなければいけませんでした。

 女の子は多くの人々を救ってきました。
 ――――しかし、人々は女の子を救いませんでした

 女の子は神様に祈りを捧げ、感謝していました。
 ――――しかし、神様は女の子をすくいませんでした。


 ―――――――――――女の子に味方してくれる人は誰もいませんでした。


 ◇◆◇


 アーシアの話が終わると部屋は静寂に包まれた。
 ひどい話だ。俺はその教会関係者に憤りを感じていた。
 神様は正直どうでもいい。神様がすべてをどうにかできるなんて思っていないし、その場にいない者にどうにかしろと言うつもりもない。
 だが、彼女を見てきた教会の関係者は別だ。
 彼女の行いをずっと見てきたはずだ。彼女の祈りをずっと見てきたはずだ。
 なのに捨てた。魔女として。
 イッセーも似た感想のようだ。怒りを隠そうともしていない。
 部長や朱乃さん、小猫も抑えているようだが怒りが漏れている。
 祐斗にいたっては殺気すら感じる。
 そんな俺たちの様子にアーシアが言葉を続ける。
「・・・きっと、私の祈りが足りなかったんだと思います。私って抜けてますから。迷子になってしまうくらいですから・・・」
 そう言いながら涙を拭う彼女に俺たちは言葉をかけることができない。
「これも主の試練なんです。私がダメなシスターだからこうやって修行を与えてくれているんです。今は我慢の時なんです」
 彼女は笑いながら言葉を続ける。自分に言い聞かせるように。
「お友達だってきっとたくさんできます。私、夢があるんです。お友達と花を買ったり、おしゃべりしたり・・・」
 その夢は普通、誰しもが叶えている夢だ。当たり前のように持っているもの。
 でも彼女は普通の尺度では測れない力を持っていた。故に普通の思いすら通らなかった。
 もし、彼女にその力がなかったのならば、田舎町の教会でその夢をかなえていたかもしれない。
 だが、そんなもしもの話はありえない。過去には戻れないのだから。
 ならどうするか。そんなの簡単だ。
「俺が友達になってやる!いや、もう俺たちは友達だ」
 イッセーがアーシアに向かってそう宣言する。
「悪魔とか関係ない。一緒に買い物したり話したり遊んだりしよう!」
 淀みなく真っ直ぐにアーシアに言う。
「そうだな。その時は俺も『アーシアの友達』として付き合おう。どこかのバカが変なことをしないように」
「おい朔夜!俺がそんなことするか!」
「俺はどこかのバカとしか言っていない。それにバカの自覚があったのか」
 そう、俺たちがしてやれることは簡単だ。友達になればいい。
「・・・それは悪魔としての契約ですか?」
「そんなんじゃない!友達ってのはそんな契約とかそんなんじゃない!」
「そもそも、俺は悪魔じゃないしな」
「・・・私、文化もしりませんし、日本語も話せません」
「俺が教えてやる。いろんなところを見て回ろう!」
「日本語なら俺が教えよう。成績トップの見せ所だ」
「・・・私と友達になってくれるですか?」
「ああ、これからもよろしくな。アーシア」
「よろしくたのむ」
 イッセーは手を差し出す。
 アーシアは涙を流しながらその手を握った。


 ◇◆◇


 次はこれからどうするか。話し合わなければいけない。
「部長、あの教会についてどうでした?」
「調査中よ。ただもしかしたら・・・いえ、結果が出てから言うわ」
 どうやらきな臭い感があるようだ。
「それで、彼女はどうするの?」
「そうですね。部長、なんとかできません?」
「できなくないけど。今は堕天使がうろついてるみたいだからそれをどうにかしないことには難しいわね」
「ならその間は俺の家に匿うということで。この部屋なら気づかれないでしょう」
 見つかると、裏切り者として連れて行かれるか、殺されるか。
「なら、私と朱乃は至急あの教会について調べてみるわ」
「お願いします」
 お願いすると部長と朱乃さんは帰って行った。
「イッセー。今日は泊まっていけ」
「ああ」
 そのまま俺とイッセーとアーシア、祐斗と小猫は夜遅くまで遊んだ。
 アーシアと祐斗と小猫が仲良くなれて良かった。


 ◇◆◇


 翌日、イッセーはアーシアといるために俺の家に残り。祐斗と小猫とともに学校に向かった。
 だがこの行動は間違いだったようだ。
 放課後、部室に集まっていた俺たちのもとにイッセーが駆け込んできた。

 ―――――――――アーシアがさらわれたと 
 

 
後書き
三人称の練習としてアーシアの過去を物語風に書いてみました。

皆様に質問なんですが、主人公の設定をまとめたものを上げた方がよろしいですか?

ここまで読んでいただきありがとうございます。
 
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