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『言霊使いと幻想郷』

作者:零戦
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第二十七話






「一応はこれで良かったのかしらね……」

「……良かったんだよ」

 少し離れたところで紫と雄飛が飲んでいた。

「らんしゃま~」

「橙、服を脱ぐのは止めなさい。ブハッ!!」

 隣では酔っぱらった橙に鼻を押さえながらそう言う藍であるが、橙の身体を見て鼻血を噴き出した。

「……大丈夫なのかお前の式神は?」

「……危ないかもしれないわね……」

 何処で間違ったのだろうか……。

「それはそうと……幽々子には会っていかないの?」

 紫は扇子で薄ら笑いをしている口を隠すように雄飛にそう言った。

 対する雄飛は鼻で笑って薬煙草に火を付けた。

「フ、俺が愛したのは昔の西行寺幽々子であって今の西行寺幽々子じゃない」

 そう言って雄飛は思い出す。咲き誇る桜の下で笑う西行寺幽々子の事を……。

「……ま、今はマリアベルがいるからな」

「何時もコスプレさせて?」

「………」

 紫の言葉に雄飛は黙る。それを見て紫は愉快そうに笑う。

「あら、紫じゃない」

「幽々子」

 そこへ頬を紅く染めている幽々子がフラフラとやってきた。完全に酔っぱらっている証拠である。

「あら? そちらは……」

「土地神よ。今は守り神の方が正しいのかしらね?」

「……神である事には変わりないな」

「そう、初めまして土地神様。私は西行寺幽々子よ」

「……あぁ、俺は士夏彦雄飛だ」

 二人は挨拶をする。

「………」

「どうしたの幽々子?」

「……雄飛さんとは何処かで会った気がするのよねぇ」

『雄飛さん』

 その言葉に雄飛と紫はピクリと眉を動かした。それは生前の西行寺幽々子が雄飛に対する呼び方であったからだ。

「……そうだな。何処かで会ったのかもしれないな……」

 雄飛はニヤリと笑って幽々子の胸を触る。

「やはりこの胸も揉み心地は……」

「馬鹿しない」

 紫はそう言って雄飛の上にスキマを開いてスキマからタライを落とすのであった。




 それから数ヵ月の時が過ぎて季節は八月となった。

「暑いぃ~」

 俺は居間でへばっていた。居間には霊夢、魅魔、そして新しく神社の住人になった伊吹翠香がいた。

 三人も俺同様に暑さでへばっている。翠香の頭には角があるが、翠香の種族は鬼だ。

 何でも鬼は幻想郷にはいないと言われていたらしいが、実は旧地獄――地底にいるらしい。

 そして翠香は鬼が地上に再び来るように異変を起こしたのだが……まぁ霊夢が解決した。

『作者は残念ながら東方翠夢想をプレイしていないので翠夢想は飛ばしました。御了承下さい』

「えぇ~い、こんな日は飲むに限りよッ!! 飲むよ魅魔ッ!!」

「よっしゃァッ!!」

「……三日連続だよな……」

 俺は溜め息を吐いた。少し出掛けるか。此処にいたら翠香に捕まるしな。

「少し出掛けるからな」

「うん、分かったぁ……」

 俺の問い掛けに霊夢がそう答えてくれた。

「ま、散歩とするか。暑いけどな」

 俺は飛翔した。さて、適当に幻想郷を回るかな。



「お、あれはチルノと大ちゃん?」

 妖怪の山から反対の方向へ飛行していると同じくチルノと大ちゃんが飛行していた。

「あ、誠兄ちゃんだ」

「こんにちわです誠さん」

「おぅ、ところで二人は何処か行こうとしているのか?」

「うんッ!! 幽香の家だよ」

 幽香?

「太陽の畑を管理している風見幽香さんの家に行こうとしていたんです」

「風見幽香……あぁ」

 確か……花の妖怪だったよな。

「誠兄ちゃんは会った事ある?」

「いやないな」

「それなら一緒に行こうよッ!!」

「……いいのか大ちゃん?」

「はい、私は構いませんよ」

 というわけで行き先は太陽の畑へ向かう事になった。



「幽香ぁ~」

「いらっしゃいチルノ。それに大妖精も……あら?」

 太陽の畑のど真ん中のところに一件の家が建っていた。その庭で一人の女性が優雅にお茶を飲んでいた。

「貴方は……」

「どうも初めまして。博麗神社に居候をしている八雲誠です」

 俺は頭を下げる。

「あら、躾られているわね。私は風見幽香、四季のフラワーマスターとも言われているわ。それに大妖怪ともね」

「は、はぁ……(何か嫌な予感がするなぁ……)」

 風見さんはそう言いながら俺をなめ回すような視線で見ていた。

「……フフフ♪」

 突然、風見さんが笑いだした。

「どうしたの幽香ぁ?」

 チルノが笑う風見さんに不思議そうに言ってくる。

「ちょっと面白い事があったのよチルノ」

 風見さんはそう言って俺に視線を向けた。

「貴方……強いわね」

「……なんの事だ?」

「惚けるのは止しなさい。貴方の身体から血の匂いがするわ」

 多分それはフランちゃんをシバいた時かと……。大量に返り血を浴びていたようだしな。

「気が変わったわ。貴方、私と勝負しなさい」

「へ?」

 風見さんはそう言って日傘を俺に向けた。ん? あの日傘、石突の部分が穴が空いてるな……。

キュウゥゥゥゥンッ!!

 こ、これは某宇宙戦艦の必殺武器……。

「とぅわァッ!!」

 俺は咄嗟に避けた。直後にレーザーが地面に直撃した。

「……マジで?」

「さぁやりましょうか。死合をね」

 風見さんはニヤリと笑った。





 
 

 
後書き
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