『言霊使いと幻想郷』
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第二十五話
「それで二人は冥界ね」
「全く冥界か。厄介だねぇ」
「何よ、知り合いでもいるのかしら?」
私の問いに魅魔は軽く溜め息を吐いた。
「まぁ知り合いと言えば知り合いだねぇ」
「それじゃあ行くわよ」
「あいよ」
そして私と魅魔は冥界へ突入した。
「おっと、いよっと……」
「左から来るぞ霧雨ッ!!」
「サンキュー兄ちゃんッ!!」
「フフフ♪」
霧雨が女性――西行寺幽々子から放たれる弾幕を避けていた。てか弾幕出しすぎだろう……。
「御覧なさいなこの西行妖を。この桜が咲くにはまだ春が足りないのッ!!」
西行寺はそう言いながら弾幕を出すが……西行妖?
どっかで聞いたような……。
『「富士見の娘、西行妖満開の時、幽明境を分かつ、その魂、白玉楼中で安らむ様、西行妖の花を封印しこれを持って結界とする。願うなら、二度と苦しみを味わうことの無い様、永久に転生することを忘れ・・・」』(すいません、妖々夢はクリアしていないのでキャラ設定から借りました(汗))
「ッ!?」
『俺にもな誠。マリアベルと会う前に好きな女がいたんだ』
……そうか、そうだったのか。
「西行妖は……」
西行寺幽々子……通りで聞いた名前だと思ったぜ。
「……まさか雄飛さんの言葉とことはと一緒に事務所の地下室の本を見ていた時を思い出すとはな……」
ならやる事はただ一つ。
「満開は阻止だな」
「ぬわぁぁぁぁぁぁッ!!」
あ、霧雨がぴちゅられたな。
「さて……貴方も止めてみるかしら?」
「あぁ。西行妖の満開だけは阻止しないとな」
そうしないとこの世から消えるのは西行寺幽々子……あんたなんだからな。
「誠兄ッ!!」
「ん? 霊夢か、それに魅魔も……」
「こりゃまた……変な時に再開だね幽々子」
「あら、悪霊さんじゃないの」
「知り合いか?」
「昔、私が死んだ時に厄介になってね」
成る程、てかそれより……。
「霊夢、ぱっぱと夢想封印であの西行寺をやっちゃってくれ。あのばかでかい西行妖が満開になると死ぬのは西行寺だ」
「何だかよく分からないけどさっさと決めるわッ!!」
「私もやるぜッ!!」
ん? 復活したのか霧雨。
「あらあらあら……フフフ♪」
西行寺は微笑みながら弾幕を形成した。
「行くぜェッ!! 恋符『マスタースパーク』ッ!!」
霧雨が必殺のマスタースパークを放つが、途中で八卦炉から煙が吹き始めた。
「げ」
ボォン。
「嘘ォッ!?」
故障だなあれは……。まぁレーザーは西行寺に向かったが、全て避けられた。
「惜しい惜しい……はッ!?」
その時、西行寺の周囲に幾つもの札が飛んでいた。
「結界ッ!!」
「霊符『夢想封印』ッ!!」
そして霊夢の夢想封印が発動した。
「……ちょっと油断しちゃった」
爆発する瞬間、西行寺はそう呟いて爆発に巻き込まれた……って。
「おま、威力凄すぎじゃないのかッ!?」
「あちゃぁ……やり過ぎたわ」
やり過ぎにも程があるわい。取りあえず西行寺はと……。
「お、いたいた」
吹っ飛ばされて気絶していた。まぁ兎に角異変は終わったな。
「よぉし、さっさと帰って宴会するか」
俺はそう言って気絶している西行寺を背負った。
「……ぅ……」
「お、気付いたみたいだな」
西行寺を白玉楼(気付いた半人半霊から聞いた)に運んでお茶を飲んでいると西行寺が目を覚ました。
「悪いが異変は終わったぞ」
「……でしょうね」
西行寺は分かっていたようで苦笑しながら溜め息を吐いた。
「西行妖を咲かせてみたかったわ」
「………」
「咲かないような桜を咲かそうだなんてね……」
「フフ、それもそうね」
霊夢の言葉に西行寺は何でもないようにそう言った。
「さて、これにて一件落着だぜッ!!」
霧雨は嬉しそうにそう言ったけど、お前の場合……。
「早く花見をしたいからだろ?」
「まぁそれもそうだけどな」
「……ぇ~」
何故か嫌そうな顔をしている霊夢である。
「……フフフ」
すると急に西行寺が微笑んだ。
「どうした西行寺?」
「何でもないわ。私の事は幽々子でいいわよ」
「そうか、俺も「誠でしょう」……知っていたのか?」
「紅霧異変の時に貴方と一度だけ視線を交わしたのよ?」
「……やっぱり西行寺だったか。どっかで見た顔だと思ってたんだ」
「幽々子でいいわよ」
「悪い悪い。なら……幽々子。これでいいだろう?」
「フフフ、えぇいいわよ」
「………」
俺と幽々子の会話に不機嫌な霊夢である。
そして俺達は白玉楼を後にして博麗神社に帰った。
「……一面満開の桜並木だな」
「……そうね誠兄」
俺と霊夢は宴会の準備をしていた。準備をするのはシートを敷くのと料理を作るだけ。
料理の材料は異変をした犯人がする役目だな。
「あたい一番乗りッ!!」
「ま、待ってよチルノちゃぁ~ん」
準備をしているとチルノと大ちゃんがやってきた。そろそろ皆も来る頃だな。
後書き
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