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ハイスクールD×D―魔法使いのキセキ―

作者:Nation
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旧校舎のディアボロス
  第02話

 翌日、イッセーは天野と登校してきたようだ。
 昨日は自己紹介はせずにすぐに去ったため、今自己紹介をする。
「イッセー君の恋人の天野夕麻です」
「ああ、望月朔夜だ。イッセーとは小学校からの付き合いだ」
「よろしくね」
 はきはきしたいい子だ。ちなみにイッセーは天野の後ろで感動している。
 おそらく頭の中では『イッセー君の恋人』と言う言葉が駆け巡っているところだろう。
 イッセーを現実に引き戻し三人で登校する。とは言っても俺は二人の後ろをついて行っているだけだ。彼女がどうしてイッセーと付き合おうと思ったのか等聞きたいことはあるが、追々聞けばいいし二人の邪魔をするつもりはない。イッセーがせっかくつかんだチャンスだ。見守ってやろう。
 そのまま歩いていると松田と元浜を見つけた。
「な・・・なにっ!!」
「バカな!?」
 開口一番これである。まぁ、仕方ないことだろう。俺も昨日似たような反応をしたし。
「この子は天野夕麻ちゃん、俺のか・の・じょ・だ」
 勝ち誇った笑みとはこのことなのだろう。また一つ学んだ気がした。
「で、こいつらは松田と元浜、俺のダチだ」
「よろしくね」
「じゃ、行こう夕麻ちゃん」
「うん!」
 と天野は二人にお辞儀をしイッセーと一緒に去って行った。で残された二人はというと。
「ぅぅぅぅ・・・朔夜!あれは本当にイッセーの彼女なのか!?」
「イッセーがリア充に変わったというのか!?朔夜!!」
 と俺に向かってきた。・・・俺も二人と一緒に行けばよかった。
 なんというか、この二人の顔が怖い。作画崩壊とはこのことを言うのだろうか。はたまた世紀末の人間か。
 俺は二人に昨日のことを説明しながら登校することになった。
 ちなみにこいつらは終始顔が壊れていたためいつも以上に引かれていた。


 ◇◆◇


 イッセーが頂点どころか有頂天にまで達しそうなほど浮かれたまま数日が過ぎた休みの日。
 どうやら二人は今日デートをするそうだ。そんなことをなぜ知っているかと聞かれれば、イッセーから昨晩連絡があった。デートについてのいろはを聞くために。・・・デート経験のない俺に聞かれてもわかるはずもないため、イッセー自身の注意点をいくつかアドバイスし電話を終了した。気合の入り方と浮かれ方が電話越しにわかるほどだった。これで寝坊なんてしたら笑えないが、その辺は大丈夫だろう。あいつの事だ、待ち合わせ3時間前には到着して待ち構えているだろう。イッセーの恋人に言ってみたいセリフである『俺も今来たところ』と言うセリフを言うために。
 自分の予定ついでにイッセーの様子を見行くことにしよう。今から行けば待ち合わせの1時間前にはつくはずだ。
そう思い俺は電話で聞いた待ち合わせ場所に向かうと、やはりイッセーは居た。
「よう、イッセー」
「な!朔夜、どうしてここに!?」
「少し冷や水を与えに。気合を入れるのは良いが入れすぎて空回りする羽目になったら笑えないからな」
「う・・・そうだな。うん、サンキュ」
「ちなみにいつから待っているんだ?」
「7時だ!」
 待ち合わせ時間は10時。やはり3時間前に到着していたか。
「やっぱりか。その間メガネの女子の数でも数えていたんだろ?」
「よく分かったな。さすが朔夜」
「10年の付き合いだ。一応わかる。嬉しくないがな。ただ、天野がいる間は目移りするなよ?」
「当然だ!今日は夕麻ちゃんだけを見る!!」
「じゃあ、俺は行く。デートがんばれよ」
「おう!」
 あらかた忠告を済ませてその場を去る。再三忠告したんだ。大丈夫だろう。


 ◇◆◇


 その日の夜。俺は自室で勉強をしている。俺にとって成績維持は大切な課題だ。下手に落とすわけにはいかない。
 その時、何かが俺の中に入り込もうとする感覚を感じた。
「!?」
 それは強いものではなかったため問題なくレジストすることが出来た。
「なんだ・・・今のは・・・」
 確か今のは、暗示や記憶操作を受ける時の感覚に似ていたが。
 それと同時に変な胸騒ぎがする。
 なぜ暗示の類の感覚を受けたのか。胸騒ぎがするのか等考えてみたが分かるはずもなく
「イッセー・・・?」
 そう呟きながら集中することのできない勉強を続けた。


 ◇◆◇


 翌朝、イッセーとの合流地点で待っていた俺だが、イッセーが来なかったためそのまま登校することにした。
 あいつは時折寝坊することがあるのでその時はいつもメールを送り先に行くことにしている。
 そのまま教室で過ごしていると遅刻ギリギリにイッセーが飛び込んできた。かなりつらそうな顔をしながら。
「よう、イッセー。大丈夫か?」
「ああ、ちょっとダルいが大丈夫だ。それより夕麻ちゃん。知ってるか?」
 ん?何を言っているのだろうか。先週は自慢するように再三その話ばかりしていたから知っていて当たり前だ。
 そんなことを思っていると松田と元浜が。
「夕麻ちゃん?誰だそれ?」
「AV女優かなにかか?」
 なに!?松田と元浜は覚えていないのか?・・・いや、昨日感じた感覚の事を考えると記憶を消された?そう考えるのが自然か。
 となるとそれをしたのはおそらく天野夕麻と言うことになる。いったい何のために・・・
「朔夜は夕麻ちゃんの事覚えているよな!?」
 イッセーは俺の方に駆け寄ってきた。
 現状、何かをしたことははっきりしているためそれを調べないといけない。
「悪い。イッセー」
 気が付かれずに調べるためには俺が覚えている不自然を知られるのはまずいため イッセーに嘘をつくことにした。
「そんな・・・」
 イッセーは俺の言葉にひどく落ち込んだのか肩を落としながら自分の席に着いた。
 本当に悪いな。イッセー。


 ◇◆◇


 今日イッセーを観察して気付いたことと言えば、イッセーからオーラのようなものを感じることができた。これはグレモリー先輩と同じものだ。前まで特殊な魅力か何かだと思っていたが昨日までイッセーにはなかったものが突如発生したとなるとこれが関係ありそうだ。ということはあの人も関係者か?天野とは似て非なるものだから確認をするなら先輩の方がいいだろう。
 しかし現状、先輩やこの学園のイッセーと同じオーラを放つ人たちがイッセーの味方か分からない以上うかつには動けない。
 昨日何かがあったことは確実なのだから、イッセーから聞いていたデートコースを回ってみることにしよう。可能性は低いが何か手がかりがつかめるかもしれない。
 イッセーは松田の家で秘蔵コレクション鑑賞会に参加することにしたらしい。それを堂々と鑑賞予定のDVDを広げた三人組をいつも通り説教してから行動に移す。

 早足で昨日の待ち合わせだった場所に向かい、そこから服屋、カフェと聞いていた限りの場所を回っていく。特に手がかりをつかむことが出来ないまま最後の公園に向かう。辺りはだいぶ暗くなっていた。公園を調べ終えたら帰るとしよう。ただ公園でも手がかりが無かったら早くも手がなくなる。腹をくくって先輩に聞くしかないか?

 と今後の方針について考えながら公園の中に入っていく。
 だが、入ってすぐに異質な感覚に見舞われた。
「!? これは結界か?」
 魔法を練習するための部屋にも結界が張られているためすぐに気が付いた。家のものよりも精度は低いようだが。
 俺は突如張られた結界に戸惑っていると
「ガハッ・・・・・!?」
 何処からかかすれた悲鳴が聞こえた。俺は急いで声が聞こえた場所に向かうそこには。

「ほう。人間がここに入ってこれるとは。いや、すでに入っていたのか」
「さ・・・・く・・・や?」

 コートを纏い黒い翼を生やした男と光の槍のようなものを刺され倒れているイッセーが居た。

「イッセー!!!」
 俺はすぐさまイッセーの元に駆け寄る。はっきりと貫通している槍を抜くために握ろうとするがその前に槍が消えてしまう。
「見られないように結界を張ったが、見られたのなら始末するしかあるまい。それにずいぶんとしぶといな一撃で決めるつもりだったのだが」
 消えたはずの槍を握っている男がそう言いながらこちらに近寄る。
 このままでは俺もイッセーも殺されてしまうため、俺は応戦すべく内ポケットに入れていた杖を取り出し魔法を唱える。
「ファイアーボール!」
 杖の先から火の玉が飛び出し男に向かう。
「む!?」
 男は意表を突かれたようだがとっさに跳びあがり火の玉を躱した。そのまま翼を使い空中に留まる。
「貴様、魔法使いだったのか。なるほど、だから結界に入ることが出来たわけだ。するとそこに転がっているのはお前の契約悪魔と言う事か」

 契約悪魔?イッセーが悪魔だという事か?・・・なるほど、大体状況が読めてきた。イッセーが悪魔だとすると悪魔を殺そうとするのは天使か堕天使の関係者。黒い翼なのだからこの男は堕天使だろう。だからイッセーの命を狙った。
 更に推測するのなら、この男と天野夕麻の気配は同じモノと言うことは天野も堕天使で何らかの理由でイッセーを狙ったのだろう。最悪殺した。その痕跡を消すために記憶を消す術を使ったのだろう。その状況から助けてくれたのは学園のグレモリー先輩か誰かだろう。確か、悪魔には人間を悪魔に転生させる方法があるそうだからそれを使ってイッセーを悪魔にした。というところか。
「ふん。魔法使いであることには驚いたが、そこの下級なはぐれを契約悪魔に選んでいるような奴だ。大したことあるまい」
 堕天使の男が下級だのはぐれだの言っているが、そんなことどうでもいい。イッセーの意識がぎりぎりでいつ死んでもおかしくない状況だ。早く治療しないとやばいがそのためにはこの男をどうにかしないといけない。

 初の実戦がこんなやばい状況だとは。

「はぐれもろとも死ねぇ!」
 光の槍を握り男が向かってくる。腹をくくるために杖を強く握ったその時。

 ドォォン!

 横から赤黒い何かが飛んでくるとそれは男に命中する。
 俺は飛んできた方に目を向けるとそこには

「その子たちに触れないでちょうだい」

 リアス・グレモリーが男に向けて手をかざして立っていた。

「その紅の髪・・・そうか、ここはグレモリーの管轄か」
「リアス・グレモリーよ。堕ちた天使さん?そっちの子は私の眷属なの。手を出したら容赦しないわ」
 そう言うとグレモリー先輩から魔力があふれ出た。
「ふふっ・・・今日の非礼は詫びよう。だが、放し飼いにしていると私のようなものが狩ってしまう恐れがある。気を付けることだ」
「忠告痛み入るわ」
「わが名はドーナシーク。再び合間見えないことを願おう」
 そう言い残すとドーナシークは空に消えていく。

 公園には俺と倒れているイッセー、そしてグレモリー先輩だけとなった。
「・・・助けていただきありがとうございます」
「ええ」
 礼を言うがそれでも警戒を解くことをしない。先ほどの会話から先輩はイッセーの味方である可能性は十分あるが万が一ということもある。
「・・・単刀直入に聞きます。先輩はイッセーの敵ですか?味方ですか?」
「味方よ」
 俺が質問をすると間髪入れずに返ってきた。これなら大丈夫だろう。
 俺は警戒を解いてイッセーの治療をする。
「ファーストエイド」
 治療と言ったものの回復魔法はあまり使えないため応急処置的なものだ。
「へぇ。治療もできるのね」
「この傷ですと無いよりはマシ程度ですが」
「みたいね。続きは私がやるわ。この子の自宅を教えてもらえるかしら?」
「わかりました。お願いします」
 そうやり取りをしイッセーの家の住所を教える。とりあえずこれでイッセーは大丈夫だろう。
「どういう事か説明してもらえますか?」
 次は、これを聞かないといけない。色々推測はしたもののどれも予測の域を出ていない。
 ならば、すべて把握しているだろうグレモリー先輩に聞いた方がいい。
「いいけれど、この子にも説明しないといけないから明日の放課後に使いを出すわ。
 その時はあなたの事についても話してもらうわよ?」
「わかりました。では明日の放課後に」
 そう答えると先輩は魔法陣をだしイッセーと共に消えていった。
 おそらくはイッセーの家に行ったのだろう。

「ふぅ・・・」
 深く息を吐く。今日一日で色々なことが起こりすぎた。
「『神器の力は様々な運命に合う』か・・・」
 ある人から聞いた言葉だ。どうやらここから俺の運命が動き出すようだ。
 そんなことを思いながら俺は家に帰って行った。 
 

 
後書き
次回はオカルト研究部との顔合わせまでになります。

ここまで読んでいただきありがとうございます 
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