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バカとテストと召喚獣 吉井龍明の受難

作者:M・R・F・D
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序章 ~プロローグ~

 
前書き
まずはプロローグから。短いです。 

 
目が覚めた。
その十秒後位にムクリと上半身を起こし傍らに鎮座している愛用の時計を見る。短針が6と7の間を指していて長針が6のほんの僅か手前をさしている。
そして休む事なく動き続ける秒針が6に重なるその瞬間。

ピ、カチ。

ピピピ!とは言わせずに目覚ましのタイマーを切る。

「・・・朝だ」

当たり前か、と思いながら少年は布団を出る。洗面所で顔を洗い、今日から通い始める学校『文月学園』の指定するブレザーへとテキパキ着替える。

グゥ~~~~・・・

「飯、作るか」

本来ならば今日は兄の担当のはずなのだがキッチンに居ない所を見るどうやらまだ寝ているようだ。ならば自分で作ろう、と少年は思う。

二十分後。

キッチンには味噌汁の良い匂いが立ち込め蓋をしたフライパンからはジュワジュワと水が弾ける音が響き、見ているだけで食欲がかき立てられる。
そこへ、

「ふあ・・・龍明おはよう・・・」

龍明(たつあき)と呼ばれた少年は味噌汁用のネギを刻む手を止めて振り返る。

「おはようアキ兄。あともうちょっとで朝飯出来るから顔洗ってきなよ」

アキ兄と呼ばれたこの少年の名は吉井明久。龍明の兄だ。

「うん、そうさせて貰うよ・・・」

そしてネギを味噌汁に投入して最後の仕上げは終了。ご飯を器に盛り付け味噌汁をよそい、目玉焼きや漬け物と言ったベーシックな朝餉をテーブルに運んでいると・・・

「龍明、入学式8時からだっけ?」

「うん。今7時10分だからまだ大丈夫だよ」

そう。龍明は今日から高校デビューなのである。
今様々な業界から注目されつつある『試験召喚(しけんしょうかん)システム』を教育課程に採用するという斬新な試みを実行している文月学園に。
聞く所によるとそのシステムは科学とオカルトと《偶然》という何とも胡散臭い要素で出来上がった次世代の技術らしいが・・・

「楽しみだなぁ文月学園。ねぇねぇアキ兄、アキ兄のクラスはもう「試召戦争」をやったの?」

「あははは、いややったことはないよ。そもそもあの学園は開校以来一年生で試召戦争を起こしたクラスなんてまだ居ないらしいしね」

まあまだ開校四年らしいけど、と明久は付け足す。

「ふーん…何かつまんないなぁ。アキ兄は今年はするの試召戦争?」

「うーん…どうだろ?特にやる理由もないし、それにもし負けちゃったら設備をランクダウンさせられるし」

目玉焼きに醤油をかけながら明久が言う。

「まあ、いいや。なるようになるよね。ところでアキ兄振り分け試験どうだった?」

振り分け試験とは文字通りクラスを振り分けるための試験である。この試験での成績が一年間の時間をどう過ごすかを左右する事になる。

「フッフッフ。よくぞ聞いてくれたね龍明。今回の試験は結構上々だったんだよ。難しいと言われてる振り分け試験だけどそこまでじゃなかったよ。もしかしたらCクラス入りかもしれないくらい」

「ホント!?凄いじゃないかアキ兄!」

振り分け試験の成績でAからFまでのクラスに振り分けられ、Aクラスに近ければ近い程必然的に成績優秀な生徒と見られる。
Cクラスという事は中の上辺りを指す。昔から周りにバカバカ言われていた程のバカであるこの兄がだ。嬉しくてつい自分の事のように喜んでしまう龍明。

「ホントだよ。十問中一問も解けるなんて逆に心配になる位の出来上がりだったんだよ・・ってあれ龍明?何でそんなバカを見るような目で僕を見てるの?」

兄の事は好きだが流石にこのやり取りでこの目をしなければ自分もバカなんじゃないかと錯覚してしまう。
でも、やっぱり兄は兄だと思ってしまっている自分がいる事に龍明は気付く。

「いや、えーと、さ、流石アキ兄だね!」

取り合えずここは話を合わせておく。幼少の頃からバカだ何だと虐げられてきた明久(主に家族から)をいつもフォローしていたのは優しい性格の龍明だった。

「龍明は今日だよね振り分け試験」

「そう言えばそうだったね…ってあ!もうこんな時間!?」

時計は現在7時40分を指していた。

「アキ兄先に行くね!お皿の片付けお願い!」

「あいあーい。また後で」

朝食だけでは食べたり無かったので食パンをくわえて玄関から出る。龍明は学校まで全速力で走った。

 
 

 
後書き
まずはこんな感じです。密かに感想を楽しみにしながら続きを書きます。
早いうちに更新できるように頑張ります。私、頑張ります!
・・・大事な事なので二回言いました。
では次話でお会いしましょう。 
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