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リリカルなのは 仮面の男

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第三話 戦いの重さ


第三話 戦いの重さ

「よっこらせっと」

一文字が改造ベッドから起きると調子を確認した。

「悪かったな結城。急に呼び出して」

「な~に。気にしないでください・・・それにしてもジュエルシードを小さな女の子が・・・情けない・・・俺たち大人が無力なんて」

目の前の男、結城丈二はそう言った。

「だから俺の再改造を頼んだんじゃないか」

「再改造って程じゃないですけど。ジュエルシード封印機能とテレパシー送信機能を付けただけですよ?」

「十分だ」

「・・・一文字さん・・・俺も行きます・・・子供にそんな危険なこと」

「いや・・・お前はもしもの時のために残ってくれ・・・このジュエルシード事件・・・まだ裏がありそうだ。もう少し調べてみる・・・」

「わかりました」




一文字は結城の研究所を出るとバイクに跨った。そのまましばらく道なりに走った。

「とは言ったものの。正直俺だけの力でどこまでいけるか・・・あいつ等も転々としてるしな」

一文字がぶつくさ言っていると目の前にフラフラになった、なのはが歩いてきた。

「ん?なのはちゃん?」

「ああ一文字さん・・・地獄に仏~」

「良くそんな難しい言葉知ってるな」

「家まで乗せてってもらっていいですかぁ?」

「お前に頼まれちゃ断れねえや」

実際なのはの体力の限界を感じていた。一文字は呼びのヘルメットを、なのはに渡すとなのはを後ろに乗せた。

(情けねえ・・・子供にこんな負担かけるなんて)

一文字は自分の無力を呪った。だがなのはは自分の意思で戦うということを決めた。それを一文字は止めろとは言えない。ならば自分にできることをする。

「そう言えば一文字さん」

「ん?」

「明日の約束」

「ああ、大丈夫。ちゃんと行くよ♪」


数日前

翠屋でいつものようにコーヒーを飲んでいた一文字に志郎が頼みごとをしてきた。

「一文字。今度ウチのサッカーチームの試合があるんだ」

「ほぉう~そいつは」

「そ・こ・で・だ!!お前にカメラマンとして写真を撮ってもらいたい」

「別に良いけど。俺高いよ」

ちょっとニヤける一文字に志郎は。

「子供たちの笑顔のためだ!!コーヒー代!!半年無料だ!!」

「へいへい。お引き受けしましょう」

元から断るつもりなんて無かった一文字だったりもする。


「なのはちゃん」

「ふぇ?」

「明日は思いっきり休みな・・・ジュエルシードのことは俺に任せろ」

「ありがとう・・・けど・・・私もやらなくちゃ・・・」

その瞬間一文字はなのはのおでこを小突いた。

「そんなフラフラじゃ足手まといだフェレット。ちゃんとケアしてやれよ」

「・・はい・・すみませんお二人に迷惑をかけて」

「俺は別に良いけど、なのはちゃんの事はちょっとこき使いすぎかな」

「・・・・はい」

「だったらちゃんと休ませな。俺もジュエルシードを封印できるようになったし」

それだけ言うと一文字は高町邸から去っていった。


翌日

志郎のサッカーチームの写真を一文字は撮影していた。

「一文字さん、手馴れてますね」

「おいおい、なのはちゃん俺はこっちが本職なんだぜ」

「じゃあ後で私たちのことも撮ってください」

「仕事終わったらね」

「じゃあみんな記念写真撮るぞ!!」

一文字は相手チームを含めサッカー少年たちの記念写真を撮った。

翠屋にて激励会が開かれている。一文字もカウンターに座りながらコーヒーを飲んでいた。

「それにしても志郎さんうれしそうですね」

「まぁな。子供たちの喜ぶ顔が好きなんだ」

「ふ~ん。まっ俺も同じですけどね」

その時一文字は何かを感じ取った。その波動のようなものはキーパー少年から発せられていた。

(まさか・・・ジュエルシード)

「ん?どうした?一文字」

「え?あいや。写真出来たら送りますよ」

一文字は店から出ると外の席に座っていた、なのは達の元へ行った。目の前で遊ばれているユーノに思わず噴出しそうになる一文字だが。

「あ!一文字さん」

「ほい。仕事も終わったし。約束の記念写真とでも行きますかね」

なのは、アリサ、すずか、ユーノが並び記念写真が撮影された。するとアリサとすずかは一文字の持っているカメラに注目した。

「随分使い込んだカメラ使ってるんですね」

「デジカメにすれば良いのに」

「まぁこういう商売やってるとね。手放せないカメラの一台でも出て来るんだよ」

「そういうもん?」

「職人肌ってやつ?」

そしてなのは達と分かれるとさっきのキーパーの少年を追った。

「どこ行った?」

一文字の目の前でキーパーの少年が女の子に宝石のような医師を渡そうとしたその時。

「駄目だ!!その石を捨てるんだ!!!」

「「え?」」

一文字の叫びも虚しくジュエルシードが発動してしまった。町に樹木が襲い掛かる。

「くそ!!変身!!」

変身ベルトが回転すると一文字は仮面ライダーに姿を変えた。

「ぐおおおおお!!!」

樹木の破片が一文字に襲い掛かった。吹き飛ばされる一文字。

「ライダーパンチ!!」

一文字は襲い掛かってくる樹木を破壊するとコアを探した。

「あの子達はどこだ!!」

仮面ライダーの聴覚は人間の十数倍であるその聴覚でコアを探し当てた。

「あそこだ!!」

一文字がコアに向かおうとした瞬間樹木が一文字の身体を羽交い絞めにした。

「ぐあ!くっそ!!」

その時桃色の閃光が走った。一文字を拘束していた蔓を破壊しコアを攻撃した。一文字がその方向を見ると。

「なのはちゃん!!」

なのはがレイジングハートを構えていた。拘束を解かれた一文字は跳んだ。

「トゥ!!ライダァァキック!!」

一文字がコアを破壊し中に封じ込まれていたキーパーの少年と少女を助けた。そして一文字はベルトを起動させた。

「ジュエルシード封印!!」

ベルトの風車が回るとジュエルシードがベルトに吸い込まれ封印された。戦いが終わると一文字はなのはが居るビルまで向かった。そこで沈んでいる、なのは。

「なのはちゃん・・・」

「・・・一文字さん・・・私・・・分かってたんだあの子がジュエルシード持ってるって・・・・けど気のせいだと思っちゃった・・・」

なのはの目には破壊された町が焼きついていた。

「なのは・・・なのはは良くやってくれてるよ!!」

ユーノが必死に、なのはを慰めるが一文字はユーノを摘み上げた。

「ちょっと一文字さん!!」

「・・・・・・・・・・・」

「・・・一文字さん?」

「・・・今はそっとしといてやれ、なのはちゃん・・・下で待ってるぞ」

それだけ言い残し一文字はなのはを待った。なのはの魔法少女としての初めての失敗。もしかしたらあの二人が死んでしまったかもしれない。命の危機そのことを目の当たりにした、なのはの事を立ち直らせることが出来るのは他でも無い、なのはだけなのだ。

(なのはちゃん・・・待ってるぞ)

一文字はそれだけを思い、なのはを待ち続けた。


 
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