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とある碧空の暴風族(ストームライダー)

作者:七の名
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族結成
  Trick31_チーム名は




赤神(あかがみ)グループ

表向きでは世界的財閥として名を知られている企業。

その実態は

 赤神(あかがみ)
   謂神(いいがみ)
     氏神(うじがみ)
       絵鏡(えかがみ)
         檻神(おりがみ)

その五大財閥、≪四神一鏡≫と呼ばれる組織。

世界を魔術と科学とは関係なく、世界を大きく4つに分けた場合、
この≪四神一鏡≫は“財力の世界”のトップに君臨している。

つまり、世界の財力と、世界の4分の1を四神一鏡は支配している。


そしてこの学園都市にも四神一鏡の影響はある。

いや、学園都市の最大スポンサーが四神一鏡というのが正しい。影響がないはずがない。

何といっても財力の世界を支配する財閥。これ程のスポンサーなしでは学園都市の
科学力はありえないだろう。

もちろん、ただのスポンサーとして参加しているわけではなく、自らの利益のために
学園都市統括理事の一人として≪氏神≫が参加して学園都市内を操作したり、
最高の傭兵学校、神理楽(かみりらく)高校を作り世界へ人材を派遣している。

学園都市の上を知っている者にとっては四神一鏡と氏神は特別な存在であった。



≪先日のハラザキについて言いたいことがあります≫

そう言われて御坂たちは≪氏神ビル≫と名のついた
学園都市で一番高いビルを訪れていた。

「でっかいビルね。建物の入り口から上を見ると、首が痛くてしょうがないわ」

「信乃さん、本当に教えてくれるんですかね、前の事件について」

「教えるって言ったんでしょ♪? 信乃は一度教えると言ったらもったいぶっても
 絶対に教えてくれるから大丈夫だよ♪」

美雪が言うように、信乃が教えると言えば教えるだろう。
だが、正確には≪言いたいことがある≫であり、言うとは言っていない。

≪氏神ビル≫を訪れたメンバーは
 御坂 白井 初春 佐天 美雪 固法。
 そして神理楽高校へ入学することが決まり、罪を帳消しにされた黒妻。
 合計6人

信乃との待ち合わせはこのビルの入り口。時間の10分前に着いていた。

そして時間になるとビルの自動ドアが開き、赤い何かがすごい勢いで突っ込んできた。

「みんな~~!」

「ぐふぉ!!」

赤い弾丸、ではなく赤い髪の氏神ジュディスが突撃してきた。

今回の被害者は御坂美琴。前回の信乃と同じく鳩尾に頭突きがジャストミートした。
そしてそのまま倒れこんでジュディスは御坂に馬乗りになった。

「お姉様!?」

「御坂のおねーちゃん~~! ひさしぶりなの~!」

「この嬢ちゃんはだれだ?」

「氏神ジュディスちゃんです。以前、誘拐されたときに私達と信乃さんで助けたことが
 あるんですよ。このビルのオーナーはおそらくですけどジュディスちゃんの
 お母さんだと思いますよ」

「そうなの~!」

黒妻の問いに初春が答え、それに合わせてジュディスが元気よく返事した。

「おれは黒妻だ。よろしくな、嬢ちゃん」

「よろしく~!」

「あの~、気絶している御坂さんの上で普通に自己紹介しても大丈夫ですか?」

あまりにも呑気で誰も指摘しなかったために、佐天は苦笑いしていた。

「あ、そうだった~。それじゃ、西折のおにーちゃんのところに案内するね~」

「何事もなく案内を始めましたわよ、この子」

倒れている御坂を気にせずにビルの中にジュディスは入っていった。


御坂を起こして一同は氏神ビルの中に入る。

ビルは最新の建築技法とデザインを使われているようで、入口からすごいと
感じた一同。

何より驚いたのがビルの吹き抜け構造。

吹き抜け構造は、階をまたいで上下が連続している構造だ。
それによって広々とした開放的な空間が得られること、風通しや光が行き届きやすく
することができる。

普通の家にも使われることがある構造が、このビルにあることはおかしくない。

だがこのビルは度を過ぎていた。

200階以上の構造の氏神ビル。そのすべての階の中心が吹き抜けになっていた。

「すっご!! 見て初春! 最上階が小さすぎてよく見えないよ!!」

「見てと言っているのに見えないって、佐天さん変なこと言いますね」

「落ちたら大変だね♪」

「でも各階がロビーから見えてテレポートしやすそうですの」

「金持ちの考えることは俺には理解できないぜ。まあすごいとは思うがな」

「ビルの耐震強度とかは大丈夫かしら。一応透視したけど問題なさそうだけど」

「このビルのどこかに信乃にーちゃんはいるの?」

「うん最上階~」

ジュディスはエレベーターに向かって歩き出した。

「あれ? このビル、誰もいないの?」

ここまで大きくて立派なビルなら活気に溢れているはず。

だがビルの案内受付にも、待ち合わせに使われるためのロビーのソファーにも
誰もいない。

「今日はビルのお仕事はみ~んな休み~。だからだれもいなんだよ~。
 大事な話をするから警備員さんもいないんだ~」

「立派なビルなのに誰もいないと不気味だね♪」

「都市伝説の話題に使えそうなシュチュエーションですね!
 『誰もいない筈のビルに物音が! その正体は何か!?』とか!
 『ビルから飛び降りる影! 死んだことに気付かずに自殺し続ける幽霊男!?』とか!」

「佐天さん、本当に好きですね」

初春が呆れたように言う。

「早く行くの~! エレベーターでも時間かかるから行くの~!」

ジュディスに促されてエレベータに歩みを進めた。


 カッシャッ


「ん?」

何かがぶつかるような音が聞こえて、佐天はロビーの方を見た。

音が聞こえた方向を見たが、特に変わった様子はない。
一瞬勘違いかと思ったが、急にロビーの中心の風景が揺らいだ。
まるで熱で空気が歪んだ蜃気楼のように。

「え!?」

「どうしたんですか、佐天さん?」

「初春、何か幽霊がいる!?」

急に後ろを振り向いた佐天を不思議に思って聞いた初春に、佐天は自分が見たもの
教えるためにロビーの中心を指さす。

「? なにもないですよ」

「あれ、なんか真ん中がぼやけたように見えたのに・・・・」

「もう、都市伝説のサイトばかり見てるから何かいる気がするんですよ」

「2人とも! 早く来ないとエレベーター動かせないわよ!」

「固法先輩、すみません! ほら、佐天さんも行きますよ」

「・・・・うん」

納得しないまま佐天はエレベーターに乗る。



(私が見たの、あれって勘違いだったのかな?)

ボーっとしながらエレベーターのガラスの向こうを見ていた。

ガラスはビルの吹き抜けの方向にあり、ここから登りながら各階を見ることができる。

高層ビルの上にすぐに着けるように今乗っているのは高速エレベーター。
あっという間に景色が下に流れていく。


 フォンッ!


景色ではない何かが下に落ちていくのが見えた。

「ええぇ!?」

「佐天さんどうかしましたの? ガラスにへばりついたりして」

「今何かが落ちていった!!」

「はいはい、自殺した幽霊が気付かずに何度も落ちていってるんですね」

「違う! 何か分からないけど本当に何かが落ちていったのよ!
 もし人間だったら!?」

『ピンポーン 最上階に到着しました』

「あ、着いたみたいね」

エレベーターのアナウンスが流れて扉が開く。
それと同時に佐天がエレベーターから走り出て、吹き抜けから下を見る。

「高すぎて下が見えない・・・」

「佐天さん危ないです! 佐天さんが落ちたらダメじゃないですか!」

初春が佐天の服を引っ張って吹き抜けの手すりから離れさせる。

「でも誰かが落ちていたら!!」

「ママの部屋だったらカメラから見れると思うよ~」

「監視カメラですか。それで見ればすぐにわかりますわね」

「ジュディスちゃん! 早く案内して」

「落ち着きな。この高さで落ちたら確実にぺしゃんこだぜ。
 今から急ごうがゆっくり行こうが手遅れだ。それよりも小っこい嬢ちゃんが困ってるぜ」

佐天が迫り過ぎたせいか、ジュディスは少し涙目になっている。

「ごめん・・・ジュディスちゃん」

「大丈夫~。早く行こう~」

「そうだね」

佐天はジュディスと手をつなぎながら歩いた。


 カッシャッ


「あれ? 皆さんもう着いたんですか? あ、もう約束の時間になってますね」

後ろで物音がした後に、同じ方向から声が聞こえた。

見ると信乃が少し汗をかいて立っていた。

「あっ! 西折のおにーちゃん~!」

「あれ? どこに隠れていましたの?」

信乃がいるのは吹き抜けの手すりのすぐそば。近くに柱はない。
つまり、隠れられる場所はなかった。

「隠れていたわけじゃないですよ。今ここに到着したばかりです」

「到着ってどうやって・・・・」

御坂が言い終わる前に、一人の人物が一同の前に現れて驚かせた。

宗像 形。先日会った信乃と同じ高校に通う人物。
足には信乃が作ったという、踵から大きな刃物が出た軍用ブーツを着用している。

信乃が話す内容の当事者だったので現れるだけだったら驚く理由にならないが、
問題は現れた場所だ。

“吹き抜け空間の下から急に上がってきた”

「はぁ、はぁ、はぁ」

宗像は激しく息切れしていた。

あまりの登場に全員が固まっている。

「宗像さん、タイムが落ちてますよ。前より5秒03も遅いです」

信乃はストップウォッチを持っているわけでもないのに時間を言う。

「うるさい。新しいA・Tになったからまだ慣れていないだけだ」

調律(チューニング)したのに慣れるも糞もありません。
 むしろ時間が縮まるのが当然です。

 鍛錬不足ということであと10本追加です」

「くっ、わかった・・・戻ったらお前を殺すからな」

宗像は一度深呼吸をして、それだけで息を整える。

そして吹き抜けから跳び下りた。

「「「「「「「「「うぁーーー!!?」」」」」」」」」

「ってどうしたんですか!? そんな大声出して」

信乃とジュディスだけが宗像の行動に驚かなかったが、直後の大声で
結局は2人も驚くことになった。

「あいつ何跳び降りてんのよ!?」

「今からわたくしがテレポートで助けに!」

御坂と白井の言葉に、何を驚いているのか気付いた。

「あーそのことですか。必要ないですよ、A・Tがありますから」

「いくら高いところが大丈夫でも限度があるでしょ!
 信乃にーちゃん何考えてんのよ!?」

「だからA・Tがあるから大丈夫ですって。私も今上り下りしてきたところですから」

「へ?」

よく見ると信乃もA・Tを着けている。

というよりも佐天が1階で聞いた音も、ぼやけた風景も信乃が着地した音とその後の摩擦熱による陽炎。エレベーターで見た通り過ぎる影も当然信乃と宗像だった。

「細かいことは奥の部屋で座って説明します。行きましょう」

平然と案内する信乃だったが、他のメンバーは宗像が心配で
吹き抜けの方を何度も振り返りながらあとに続いた。




最上階の一室に移動後、信乃はお茶を飲みながらゆっくりと話し始めた。

「さて、私は能力について問題として出題していました。しかし先日、宗像 形が
 私と同じくA・Tを使っているのを見て白井さんと御坂さんにどういうことなのか
 問い詰められました。

 それでこのような場を用意して説明しようと思います」

「そのような前振りはよろしいですわ。わたくしは信乃さんのA・Tの事を含めて
 昨日の事件、操られた蛇谷と金髪の男、そして『ハラザキ』という人物について
 知っておかなければなりませんの。

 今後も知らないままでは風紀委員の仕事に支障が出ますわ」

「わかりました。全てに答えられるわけではありませんが、答えられる範囲のものは
 答えていこうと思います。

 でも、まずはA・Tについて説明します。この質問も白井さんが一番熱心ですし」

「それと一緒に信乃さんの能力についても説明して欲しいですの。
 A・Tについては初春が調べましたわ。
 一昔前に使われていたモーター付インラインスケート、ですわね。

 警察を騒がせるほどの性能を持っていたみたいですが、どう考えても信乃さんが
 見せてきた能力では説明がつきませんの。

 わたくしの知っている限りでも『空間移動(テレポート)
 『攻撃した人間の時間停止』『発火能力(パイロキネシス)』『爆発を防ぐバリア』
 『人を切り裂く真空波の攻撃』『残像を出せるほどの高速移動』
 それに木山先生との戦いでは『見えない壁』を出したとお姉様からお聞きしました。

 A・Tと組み合わせて使うことで効果をあげているようですが、どれが信乃さんの
 本当の超能力ですの?」

「私の能力、ですか。そういえば能力当て問題に答えてもらっていませんでしたね。

 本当であれば能力当て問題を出していた白井さんだけには『ギブアップするんですか?』
 とか聞いて少しいじめるつもりだったんですけどね。
 雰囲気が皆さん真面目なようなので、素直に答えさせてもらいます」

「それを聞くと信乃さんの持っている超能力が何か分からないのが
 わたくしだけのように聞こえますが?
 わたくし以外にも風紀委員支部にいた方にも問題は出されたはずですの」

白井が横の方を向いた。

自分だけでなくここにいるメンバーの何人かは能力当て問題を出されたはずだ。
白井は目線が訴えている。

「A・Tはともかく、能力についてなら4年前から知ってるわよ。
 信乃にーちゃんについて勝手に能力を勝手に調べた時、能力測定していないとしか
 言っていないし。もしかしたら変わっているかもと思って黙っていたのよ」

兄妹のように4年前から付き合いのある御坂美琴。

「同じく知ってま~す♪」

幼馴染の西折美雪。

「私達は佐天さんが幻想御手(レベルアッパー)で倒れる前に教えてもらいました」

「うん。私が幻想御手を使って後悔して電話したときに、信乃さんが初春の隣に
 居たんですよ。その時に能力について教えてもらって慰めてもらったんです。

 それに、この前の特別講習でも信乃さんが参加してたんですよ。
 それで特別講習の最後には能力測定して、その結果の紙を見せてもらいました」

教えられていたが、それを白井に伝えてなかった初春飾利と佐天涙子。

「私は信乃君の能力を一度見ただけだもの。
 能力当て問題なんて答えられるはずもないわ。

 それに昨日、先輩から話を聞いたから信乃君の“能力”については教えてもらったよ」

「ああ。俺は2年前、治療を受けてるときに信乃が学園都市にいた頃の話を聞いてな。
 その時にあいつの“能力”についても聞いた。

 美偉は同じ風紀委員だから知ってると思って話したんだが・・・」

学園都市に再来する前に知っていた黒妻綿流と、彼から教えてもらった固法美偉。

「ジュディは問題知らないもん~!

 でも西折のおにーちゃんは、おかーさんから聞いたよ~」

問題にすら参加していない氏神ジュディス。

「・・・・・本当にわたくしだけですの?」

「「「「「「「「うん(♪)」」」」」」」」

「・・・・・・」

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「改めて私の能力について知らない人が“一人だけ”いるので説明します」

「『一人だけ』を強調しないでください!」

「私は無能力者です」

「・・・・・はい?」

「無能力者、レベル0、落ちこぼれ、才能なし、どこでも好きな言葉を選んでください。
 AIM拡散力場すら出すこともできない学園都市でもまれな人材です」

「いまさら何の冗談を・・・・本当ですの?」

問いかけは信乃ではなく、周りの人間全員に向けていた。

「ほんとだよ♪ 4年前から完全なレベル0♪ 何度計測し直しても結果は
 変わらないまま♪」

「これが一番新しい計測結果です。先程佐天さんが言っていた特別補修で行った結果が
 書かれています」

「・・・・信じられませんわ・・・信乃さんの戦闘力はわたくしよりも上。
 それにお姉様も信乃さんには勝てないと言ってましたの。それなのにレベル0・・・」

「全てA・Tと、使いこなすために費やしてきた努力の結果ですよ。

 あと、御坂さんが勝てないと言ったのは子供の頃の印象が残っているだけで
 攻撃力は御坂さんの方が確実に上です」

信乃の言葉に疑いを持ったものの、能力の計測結果の紙には頷くしかなかった。
それでも疑問は残っていたようで、唸っている。

その間に、同じように疑問に持っていた佐天が話してきた。

「でも信じられないです。私、信乃さんが戦っていたのを真近で見ましたけど、
 どう考えても能力者にしか見えないですよ」

「佐天さん、小説家の≪アーサー・C・クラーク≫の有名な言葉を知っていますか?

  『高度に発展した科学技術は、魔法と区別がつかない』

 それと同じように、私のA・Tは超能力と見分けできないレベルにまで昇華している。
 ただそれだけの事です」

「でもでも、A・Tは走って跳ぶための装置ですよね!?
 それなのに『瞬間移動して』『火を出して』『時間を止めて』『バリアーを出して』
 『真空波を出して』『分身の術を使う』ってことができるんですか!?」

初春は目を輝かせて聞いてくる。

「順番に説明していきますから落ち着いてください。

 まず、A・Tについて。
 これは初春さんが調べた内容を御坂さんから聞きました。間違いではありませんが
 情報が足りなさすぎます。まあ、かなり昔のものですから調べられなくて当然ですね。

 A・Tとは、モーターの付いたインラインスケート。

 しかしただ地面を走るだけではなく、手すりを、壁を、鉄柵を、空中を、
 疾走し滑り回転し跳ぶ。

 より迅くより高く、それを目的に作られた。
 超小型モーターをホイールに組み込み、高性能サスペンションと
 エアクッションシステム、それを活かす超高性能演算装置で武装した自走シューズ。

 それがA・T(エア・トレック)」

「ただのモーターが付いただけじゃなかったんですね・・・」

「すごいね!」

初春、佐天がそれぞれの反応を返した。

「それでも能力の説明にはなりませんの」

「急かさないでください、白井さん。今から説明しますから。

 ただのモーターといってもA・Tの大きさに入る程の小さなモーターで
 改造なしのノーマルで80km/hを出せます。

 そのモーターをカスタム、そして走りの特訓をすれば
 目にも止まらぬ高速移動を錯覚させて『瞬間移動』、
 ストップ&ダッシュを繰り返して相手を混乱させる『分身の術』が
 できるわけです」

「・・・・・・」

白井は黙ってしまった。納得したわけではないが、一応説明がつく。

「信じられなければ実際に見せましょうか?」

「いえ、一度は見ましたわ、信じますの。今は話を進めてくださいです」

「他のみなさんも話を続けて大丈夫ですか?」

「私はちょっと頭がパンクしそうだけどね。でも話は続けていいわよ」

固法が苦笑いを浮かべる。

「私は大丈夫です。ついていけない感じもありますけど信じます」

「わたしも!」

初春と佐天は同意。

「俺も大丈夫だ。むしろ早く続きを聞きたい」

興味津々で続きを促す黒妻。御坂と美雪は頷いて返事した。
ジュディスは最初からまともに聞いていないので無視をする。

「次に発火能力(パイロキネシス)などの異常現象について説明、その前に
 A・Tを使っている人が走る“道”を先に説明します。

 道は一人一人が持つ技の特徴や差のことです。簡単にいえば『走り方』ですね。

 そして昔、A・Tで最強と言われたチームには8人8種類の道がありました。


 超高速の動きで摩擦熱を生み出し、大気の温度差で走った後に炎が上がる
 炎の道(フレイム・ロード)

 回転するホイールに+極と-極で磁界を作り出し、また生み出した電撃で攻撃する
 紫電の道(ライジング・ロード)

 目の前に立ちはだかる者全てを叩き伏せて壁を作って轢き潰す
 轢藍の道(オーヴァ・ロード)

 A・Tを使用者に合うように調律し、さらに高みへと昇華させる
 閃律の道(リィーン・ロード)

 大地を削り、砂を巻き上げ、時には相手すらも石に変える
 大地の道(ガイア・ロード)

 守る者のために、向かい来る敵の前に立ちふさがり、行く手を阻む"茨"(いばら)
 荊棘の道(ソニア・ロード)

 相手に傷を刻み、筋肉のキレから生み出す技は全てを断ち切る
 血痕の道(ブラッディ・ロード)

 空気の面に触れ、自在に風を操り最も空に近い道
 翼の道(ウィング・ロード)

 その道を走るA・T最上級者(トップライダー)は“王”と呼ばれ、
 彼らが特殊なパーツを使って走れば、常識を超越した“道”ができた。
 
 都市伝説でもなんでもない、これがA・Tの事実です」

「じゃあ最初にあった日、ジュディスちゃんが誘拐された日に
 車の前に出した炎はただの摩擦熱ですか!?」

「摩擦熱で間違ってはいません。ただ、ホイールが大地の沸点を超えて炎を生み出す。
 そのレベルにまでいっているんです」

「沸点・・・」

聞いた佐天は苦笑いで返すしかなかった。

その後、信乃は『時間を止める』『風のバリアー』『切り裂く真空波 =“牙”』
について説明した。

「A・Tの時代は今の学園都市よりもすごかったんですね!!
 練習して上手になれば炎とか壁とかが一緒に出せるんですから!!」

「それは違うよ」

初春の言葉を否定したのは信乃ではなく、入口から聞こえた。

「A・T上級者(トップライダー)であれば炎や壁を作ることは可能だ。
 だが、ほとんどの奴はどれか一つしか出せない。

 “王”であっても一つの道を極めることが普通だ」

タオルで髪を拭きながら宗像が部屋に入ってきた。
ここに来る前に汗をシャワーで流してきたようだ。

「でも信乃さんは炎と壁を2つもと使って・・・」

「理論上は不可能ではない。だが一つの道を極めるのにかなりの時間が必要で
 道によって練習も違い、体の作りも変わってくる。

 その状況でどうやって複数の道を走るっているんだい?
 学園都市風に言うならば多重能力(デュアルスキル)のようなものだ。

 それを信乃が実行できるのは、そんな常識を覆せるほどの異常。
 異常を十全に発揮できる、才能なんて言葉では片付けられないほどの
 何十倍も鍛錬をした結果だ」

多重能力(デュアルスキル)・・・・・ですの」

白井の呟きの後、全員が沈黙した。
A・Tについてはまだすべて理解したわけではない。

だが信乃が不可能を可能とするほどの力を持っていることは、なんとなくではあるが
全員が分かった。

「と、まあA・Tについての説明は以上になります。
 あの殺人者が言った戯言は気にしないでくださいね。多重能力なんて大げさな
 ことじゃありませんから」

「大げさなことだろ? 僕はかなり走っているが、他の道を走るなんて
 かなりキツイ。お前は異常だ」

「走り始めて1年が経過していないのに、剣の道(ロード・グラディウス)を
 “王”レベルにまで上達した奴が言うセリフですか?」

「事実を言っているだけだ。殺すよ?」

「は、面白くない傑作ですね。2人でアレができる癖に嘘をつかないでください。
 ビルのアップダウン、あと10往復追加しますよ?」

「それは勘弁してほしい。久しぶりに思いっきり走っていい気分なんだ。
 今日はこのまま終わらせてくれ」

信乃と宗像は皮肉を言いあっている。

そこに固法が入ってきた。

「信乃くん、A・Tの事は一応わかった、ということにするわ。
 だから次の話、本題に移ってほしいの。
 私が知りたいのは“ハラザキ”って人の事よ」

「「・・・・・」」

途端に信乃と宗像は沈黙した。

「私は風紀委員として、いえ違うわ。学園都市にいる人間として不安なのよ。
 “ハラザキ”って人は人を操ったりできるの?」

「・・・・そこについてなんですが」

「信乃、そこまで」

信乃の言葉を遮った人物はこのビルの持ち主の女性。

「!? クロムさん!」「あ、ママ~!!」

学園都市統括理事の一人、氏神クロム。

宗像が入ってきたのと同じ扉の前に立っていた。

「あいつについては最重要機密事項(トップシークレット)よ?
 いくら仲間であり風紀委員である彼女達でも言ってはダメ」

「元々、教えるつもりはありません。関わらないことを強く言うつもりでした」

凛々しい顔、すらりと伸びた手足、女性にしては高い身長をしており、
それが『できる女』のイメージをさらに強くする。

そして髪はジュディスと同じ赤色。

「初めまして。私の名前は氏神クロム。

 神理楽(かみりらく)高校の理事長と学園都市統括理事を務めているわ。

 よろしくね」

同じ赤のイメージを持っているのに、こっちは爽やかな笑顔だな、
と場違いな事を信乃は考えていた。(人類最強の笑顔は恐怖のイメージ)

「・・・はじめまして、第177支部に所属しています、固法 美偉です。
 あの、最重要機密事項ってどういうことですか?」

一同を代表してか、固法が立ち上がり質問した。

「言葉の通りよ。例え学園都市の平和を守っている風紀委員(あなたたち)
 あっても言えないことよ。

 一応、神理楽(ルール)に所属している2人には口止めしたはずなんだけど」

そう言って信乃と横にいる宗像を釘をさすように睨んだ。

「どうしてですか!? あんな危険な能力を持っているのに、
 みんなに知らせずに放置するんですか!?」

「固法先輩、落ち着いてください」

「そうですの、今はとにかく話を聞かないと」

「美偉。とにかく座れ」

いつもは場を落ち着かせる役割をしている固法が、今は初春と白井に宥められている。
そして隣に座っていた黒妻に手を引っ張られて(性格には手を繋がれて)
しぶしぶ腰を下ろした。

「固法先輩が怒るのも分かります。ですが・・・“ハラザキ”はかなり危険な存在。
 いえ、危険(イエロー)ではなく、有害(レッド)ですね。
 確実に被害が出てしまいます。いえ、もう出ている」

「だったら尚更じゃない!!」

「学園都市で大切なこと。能力開発もそうですが、それ以上に大切なことは
 子供の安全です。

 だから風紀委員(ジャッジメント)警備員(アンチスキル)がいる。

 だけど忘れないでください。風紀委員(わたしたち)も子供なんですよ」

「ハラザキの存在を知らせれば風紀委員は対策に出なければならない。
 そして被害者が、被験者が増えるだけだ。たかが能力者がハラザキに勝てるはずが無い」

もう一人、ハラザキの有害性を知っている宗像が信乃の言葉を紡いだ。

「でも、パトロールして見つけられるように、何かしらの手掛かりだけでも・・・・」

「手掛かりは『ハラザキ』。その名前以外教えられないわ」

粘る固法に、クロムは突放すように言った。

「クロムさん、せめて“あの6人”の名前だけは教えてもいいですか?」

「・・・まあいいでしょう。

 ただし、パトロールで不審者に名前を聞いた時、“その6人”だったら
 適当に見逃がして深追いしないで、信乃や私達に知らせることが条件よ。

 そしてここにいる人間以外に、その名前を広めることを絶対に許可しない。
 学園都市統括理事である私からの命令よ。それを破れば風紀委員を辞めてもらうわ。
 それでもいいの?」

許可は信乃に対して言ったが、条件と質問は部屋にいる全員、特に固法に向けて言った。

「ええ、かなり危険な人物だということは理解しました。深追いも絶対にしません。
 みんなもいいわね?」

固法の返事に、全員が頷いた。

「では、ハラザキに深くかかわっている6人の名前、いえ苗字だけを教えます。

 もしその苗字の人間に合ったら深くかかわらないでください。
 パトロールで見つけても急用が入ったとか、特別に見逃すとか適当に言って
 逃げてください。苗字を聞いて動揺を顔に出さ内でください。

 では、その6人の苗字を言います」

注意事項を再度言って、一度深呼吸をしてからゆっくりと話し始めた。

時宮(ときのみや)   罪口(つみぐち)
  奇野(きの)      拭森(ぬくもり)
   死吹(しぶき)     咎凪(とがなぎ)

 この6人だけです。教えられる情報は以上です。もちろんこの6人も他言無用で
 お願いします。もちろん風紀委員以外の御坂さん達もです」

固法を始め、風紀委員の固法と白井、初春は名前を覚えるために
しばらくうつむいて名前を呟いていた。

「信乃、あなたも177支部のメンバーだから、くれぐれも無理はさせないでね」

「了解です」

「それと頼まれていた常盤台の警備メンバー、決まったわよ」

「本当ですか? 良かった。“アイツ”が関わってきたから1人のままは
 不安だったんですよ」

「それってなに? 初耳だけど」

「わたくしもですわ」

襲撃事件に関わった御坂と白井だが、今の話は全く聞いていなかったので
信乃に問いかけてきた。

「先日の常盤台の襲撃事件、あれの調査と警備員の補充をクロムさんに
 お願いしていたんですよ」

「前から候補は上げていたけど、正式に決定して私達の所で一つのチームとして
 扱う体制も整えたわ」

「補充だけ、と考えたんですけど・・まあ、そちらの方が警備を十全にできますね。
 ありがとうございます。

 それでチームのメンバーは?」

「まず、西折信乃」

「はい。自分で頼んだから当然ですね」

「次、宗像形」

「了解しました、理事長」

「そういえば先日、クロムさんが私の知ってる奴だと言ってましたね」

「僕が仲間になってあげるからありがたく思え」

「『お前、仲間になるの早すぎ』って突っ込みしないぞ」

「3人目、黒妻綿流」

「俺か!?」

「あなたはうちの高校に特別入学してもらったけど、
 特別入学が異例なせいで通常授業じゃ足りないわ。
 信乃と一緒に馬車馬のごとく働いてもらうわ」

「まあ、俺に出来ることがあれば何でもするぜ」

「先輩、頑張ってください!」

「おう、任せとけ美偉。よろしくな、信乃、宗像」

「よろしくお願いします、黒妻さん」「よろしく、だから殺す」「お前もう黙ってろ」

宗像の言葉に即座に突っ込みを入れた信乃。一同は苦笑いをした。

「4人目、"位置外 水"(いちがい みず)」

「・・・だれ?」

御坂だけが口に出したが、ほとんどの人が同じように疑問を持った顔を
している。

「ここにはいないですが、優秀な女の子です」

「ふーん 信乃が言うなら相当だね」

「美雪・・・・いつもの♪が無いぞ・・・てかなんか恐いぞオーラが」

「そういえばどこにいるのかしら? 呼んだはずだけど」

クロムも今現在どこにいるか知らないらしい。

どうしようかと考えていたら

『すでに来ているぞ』

「キャッ!? びっくりした!」

部屋に設置されているスピーカーから声が流れた。
急に声が聞こえたことで佐天が悲鳴を上げた。

『クロム理事長。高貴なる私を選んだことであなたを高く評価してやる
 光栄に思う事を許そう』

「なんか高飛車な人だね・・・・・」

佐天が苦笑いした。

「顔合わせのために呼んだのに、相変わらずの引きこもりのようね。
 信乃、魂感知」

「了解。・・・・・ってかなり近くにいますよ」

クロムの指示を受けて、目を閉じて何かに集中したと思った次の瞬間に
信乃は席を立った。

魂感知などという奇妙な単語が出てきたが、『どうせ信乃だし』のノリで全員がスルーした。

部屋を出ていき、数秒後に少女を左わきに抱えて入ってきた。
まるで人攫いのワンシーンの2人だが、信乃は気にせずにそのまま

「つーちゃん。自己紹介しなさい」

「ええと・・・"位置外 水"(いちがい みず)ですぅ・・・・
 いちおう中学1年生ですぅ・・・・」

わきに抱えられた少女は、スピーカーから流れた声と同じだったが、話し方が人見知りの
それに近く、ぼそぼそと言った感じでしゃべる。

少女は10歳ほどの体格で信乃は楽に抱えている。
見た目は美少女だが、それ以上に少女にはかなり目立った特徴があった。

髪、瞳が“蒼色”をしていた。

澄み渡るような蒼色。彼女と初めて会う御坂達は一時、見惚れていた。

「えーと、信乃っぷ、降ろしてくださいぃ・・・」

「そのあだ名で俺を呼ぶな」

「ではニシ「あんたは苗字でも呼ぶな」 ・・信乃ぉ・・・?」

「それでいい。呼び捨てにしないでほしいと言いたいところですが、
 もう、今更ですからそのままでどうぞ。
 それでは降ろします」

「うに!?」

抱えていた左腕をそのまま離したので位置外 水はそのまま床に落ちた。

「えーと、信乃くん・・・知り合い? 呼び方もなんだか親しそうだったし」

信乃が珍しくひどい扱いをしている少女を見て、固法は苦笑いを
浮かべていた。

「知り合いということは認めます。ですが親しくはありません」

「痛いぃ・・・」

顔を押えながら立ち上がった水を信乃は少し冷たい目で見下ろした。

「知り合いなんて浅い関係ではないですぅ・・・。
 信乃ぉの婚約者ですぅ・・・」

「「「婚約者!?」」」

「と、つーちゃんの母親が勝手に押しているだけであって、
 私は一切認めていません。完全拒否しています」

「信乃、あとでO★HA☆NA★SHIがあるわ」

「美雪の黒いオーラが一層暗くなった・・・・話は別にかまわないけど
 家に帰ってからにしてくれ」

「♪」

「その♪がなぜか恐い・・・・」

「僕と結婚するのが嫌だったらぁ・・・・
 せめてニシオ「却下、ふざけんな、母親共々いい加減諦めろケシズミにするぞ」
 うううぅぅぅぅ・・・・・・」

水はうなだれて半泣きした。

「信乃さん、ちょっときつくあたりすぎじゃないですか?」

初春が同情して信乃に聞いてきたが、

「これぐらい抵抗しないと、すぐに結婚させられるか、
 つーちゃんの家が運営している機関に組み込まれてしまいますから」

信乃は疲労を感じさせる溜息を吐いた。
言っている事は大げさでもなんでもなく真実だった。

実際、過去に何度か角が立たないように断ってたら、次の日には
『結婚式場はどうする?』など話が勝手に進んでいた事があったので
今では否定しすぎるくらいに断っている。

「ちなみになんで“つーちゃん”なんですか?」

と初春が聞いた。

「名前が(みず)、“み”から3。

 そして苗字の位置外は 1 外  つまり1を外す。

 3から1を外して2。 2は英語で『two』。日本語発音でツー。
 それでつーちゃん」

「なんていうネーミングセンスですか・・・」

「佐天さん、一応言っておきますけど、私が考えたわけでなくつーちゃんの母親が
 考えたんですからね。

 しかもつーちゃん本人が気に入って、これで呼ばないと怒るんですよ」

「み、皆さんも、つーちゃんって呼んでくださいぃ・・・」

「自己紹介は終わった? 警備チームのメンバーは以上よ」

「豪勢なメンバーですね。殺人者、スキルアウトの元カリスマリーダーに
 サイバープロフェッショナル。すごいですね」

「人材の質も考えたけど、一番の理由はもちろんあるわ。気付いているでしょ?」

「・・・もしかしてA・Tですか?」

「そのとおり。この特別チームは新人の黒妻くんを除いて全員が使えるからね。
 どうせ集めるなら、そんなチームも面白そうだと思ったのよ」

「本当の意味で、暴風“族”ですね」

信乃とクロムの会話を聞いて御坂が

「え? あんたもA・Tを持ってるの!?」

「え、えっと、はいぃ。信乃ぉの使っているのを見て自分で作ってみましたぁ・・・・
 でも、走るのは下手だしぃ・・“足につけるA・Tは”ノーマル仕様から
 改造はありません・・・」

「なんか、話を聞いているとA・Tを俺も使わなきゃだめなのか?」

「黒妻さんだけが使えない状況ですけど、使うかどうかは本人の意思に任せます。
 腕っ節だけでも充分ですから」

黒妻の問を信乃が話に入って答えた。

「いや、俺も使いたい。このビルを上り下りできるなんて面白そうじゃねぇか。
 むしろこちらからお願いしたいぜ」

「以前に跳んでいる私を見て、楽しそうだって言ってましたからね。
 わかりました。新しいA・Tと練習場所を用意します」

「楽しみにしているぜ、信乃」

シニカルな笑みを黒妻は浮かべた。

「さて、特殊チームを作るにあたって、チームに名前をつけてもらうわ」

「名前ですか・・・まぁかっこ悪くなければ私はなんでもいいですけど」

信乃は言いながら他のメンバーの顔を見た。

「僕もこれといって意見はない」

「新入りの俺は何も言うつもりはないよ」

「ぼ、僕もなんでもいいですぅ・・・・
 チームの名前なんてそれほどこだわりないですしぃ・・・・」

宗像、黒妻、水の順に返してきた。

「つーちゃんが言うと、母親がやっていた≪チーム≫の事を思い出してしまいますね。
 正式名が無かったですし、各々が勝手に呼んでましたし。

 でも私達のチームには正式な名前をつけましょう。
 何かいいのはありますか?」

今度は御坂達に目を向けた。

「う~ん、電撃(サンダー)ってのはどう?」

「お姉様・・・・本当に電気のことしかありませんわね・・・」

「別にいいじゃない! 小型モーターってことはA・Tは電気で動いていることに
 違いはないんだから!」

「かっこいいチーム名・・・思い浮かばないな~。
 初春、何かない? そのお花はそのためにあるんでしょ?」

「違いますよ! 名前を考えるのに花が関係してくるんですか!」

「ほら、アイディアが花開く、みたいな?」

「なんですかそれ!? もう怒りますよ!」

「あはははは、ごめんごめん」

「盛り上がっているところ悪いんだけど、チーム名はもう決まっているわ。
 もう書類を作り始めているわよ」

「「「「「「え?」」」」」」

クロムの言い方が『チーム名を決めろ』と言っているように感じたが、
それは勘違いのようで、すでにクロムが決めているようだった。

「そう、チーム名はすでに決まっている。


 チーム名は  小烏丸(こがらすまる) よ!」

「はぁ!?」

唯一、その名前に聞き覚えがある信乃だけが、素っ頓狂な叫びをあげた。



つづく
 
 

 
後書き
新キャラの位置外水ですが、両親が誰かは知っている人は
予想できると思います。

実は彼女の名前よりも、あだ名の方が先に決まりました。
父親が1なので、子供は2にしたい。
それでにーちゃん、却下! それじゃ信乃と同じだ!
だったらtwoちゃん、つーちゃん ってわけです。
名前は自分でも無理矢理ですが、母親の一族が漢字一文字の名前ばかりなので、≪水≫にしました。
苗字はググった父親の名前候補のなかで、私が一番しっくりしているものを選びました。父親の名前? 私もわかりません!! 誰もわかりません!


今回の話はA・Tの説明がメインになっていましたがどうでしょうか?
分かりづらい自信があるので、分からない方は感想でドンドン質問にきちゃってください!
馬鹿なりに頑張ってお答えします!!


作中で不明、疑問などありましたらご連絡ください。
後書き、または補足話の投稿などでお答えします。

皆様の生温かい感想をお待ちしています。
誤字脱字がありましたら教えて頂くと嬉しいです。
 
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