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久遠の神話

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第四十八話 会食その七

「落ち着いて理知的な紳士とのことです」
「そうですか」
「ただ。かなり背が高い、いえ」
「いえ?」
「大柄で体格のいい方とのことです」
 こう言葉を言い換えたのだった。
「まるでアメリカンフットボーラーの様な」
「そうした方なんですか」
「アメリカ人でも実際は二メートルを超える人は然程いません」
 日本人と比べて大柄な印象があるが実際のところはそうだ。
「アメリカンフットボーラーやバスケットボーラーの人達はまた特別です」
「あれだけ大きな人達はですか」
「そうはいないです」
 アメリカ人の平均身長もそこまで高くはないのだ。
「一八五になると中々体格のある方ですね」
「そうですか」
「むしろ大きいのは北欧形ですね」
「あっ、北欧の人達って確かに」
「大きいですね」
「アメリカ人より大きいですよね」
「実際平均身長ではそうです」
 北欧系の方が平均的なアメリカ人より大きいというのだ。
「ドイツ人もですが」
「ドイツもですか」
「実はヒトラーも一七五あったそうです」
 別の説では一七二だが一七〇あったことは確かだ。
「当時のドイツ人の平均身長でしたし」
「決して低くはなかったんですね」
「その様です」
「当時の日本だと背は高い方ですよね」
「はい、高いです」
 実際にそうなる。戦前と戦後では日本人の体格は全く違っている。
「それに北欧の方々は」
「ドイツ人よりもですか」
「高いです」
「そういえばバイキングでしたね」
 上城はここでこのことを思い出した。
「バイキングっていいますと」
「大柄ですね」
「背はかなり高いですね」
「寒いとどうしても体格は大きくなります」
 これは野生動物でもだ。
「ですから人もです」
「大きくなるんですね」
「中国でも同じです。北方と南方ではです」
 体格が違うというのだ。
「もっとも漢民族は結構混血していまして」
「そうなんですか」
「あの国は多くの民族が出入りしてきました」
「そういえば征服王朝ってありましたね」
 北方の異民族が立てた王朝だ。遼や金がそれにあたる。
「あとあのラストエンペラーの」
「はい、清もです」
「あの国は満州民族の国でしたね」
 上城は自分から言った。
「そうでしたね」
「そうです。そうして多くの異民族が出入りして」
「混血していったんですね」
「これは最初から、あの地域に文明が出来てからで」
 つまり何千年も前からだというのだ。
「夏はその実在がわかりませんが商から」
「何か凄い昔ですね」
「周は元々西方にあって異民族の血が濃かったのです」
 西方から異民族が来る、だからである。
「それに南方の楚も元々異民族でした」
「楚っていうと項羽の」
「はい、項羽の頃にも言われていましたし」
 大石は漢民族の定義についてさらに話す。 
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