【完結】剣製の魔法少女戦記
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コラボ集
コラボ第二話 『平行世界にいっちゃった!?(後編)』【剣製の魔法少女戦記&F/mg】
前書き
お待ちしました。後編です。
ですがやっぱり賛否両論あったようですね。
もし今度の機会がありましたらもっと計画をしてやっていきたいと思います。
Side シホ・E・S・高町
私は翌朝の事、一同より早く起きて勝手したっるような感じでリビングでくつろいでいた。
時間もある事なので士郎は学校に通っているし、プレシアも管理局に勤めているというので士郎とプレシアの分のお弁当も作ってあげよう。
ちなみに食材は昨日服と一緒に買ったから大丈夫である。
それで準備をしようと取り掛かろうとしたらちょうどよく士郎が起きてきた。
ジャージという格好からしてこれから朝の鍛錬でも行うのだろう。
「おはよう、士郎」
「おはよう、シホ」
お互いに朝の挨拶を交わした。
「朝食の支度には早くない?」
「鍛錬を少ししてから、朝食に取り掛かるからな」
「ならゆっくり鍛錬してきてちょうだい。
どうせ手は空いてるから私が朝食をしておくわ」
ちょうどよかったので朝食は私が作る提案をしてみた。
「なら頼む。
あと俺とプレシアの弁当の分もあるからそっちも頼んでいいか?」
「いいわよ。いってらっしゃい」
それで士郎は工房へと向かっていった。
よし、それじゃ私も作り始めますかね。
しばらくしてそこにプレシアも起きてきて、
「あら、シホさんおはよう。早いのね」
「おはようプレシア。えぇ、帰る手段を見つけるまでは手が余っていますからこれくらいはしないとね」
「そう。それで士郎は…?」
「今は工房で自主鍛錬をしているわ」
「そう」
それから少ししてネロも食卓にやってきてアルトリアも遅れてやってきた。
「アルトリア? どうしたの? いつもより遅いと思うのだけど…」
「はい。少しばかりシロウの鍛錬の相手をしてきました。
死徒になってどう変化したのか確認してみたかったので…。
ですがその心配は杞憂でしたね。
シロウは今も変わらずシロウのままで安心しました」
「そう…」
そして最後にシャワーを浴びてきたのだろう制服に着替えて士郎がやってきた。
「いいタイミングね」
私がそう言うと士郎もちょうどよかったという表情になる。
そして、
「おはよう、プレシア、ネロ」
「おはよう、士郎」
「おはよう」
士郎がプレシア達に挨拶をしている中、私は最後の仕上げに取り掛かった。
今日の朝食は軽めにハムエッグに味噌汁、ご飯にサラダという和食と洋食が混ざったようなものを作らせてもらった。
それを五人でテーブルに着席して、全員で「いただきます」と言って食事を開始した。
「やっぱりシホさんは中身は士郎なのね。
士郎に負けずの味を出しているわ。おいしい…」
「あぁ、確かにうまいな」
「シホの料理は久しぶりに食べましたがやっぱりうまいですね」
「さすが奏者だな」
「お褒め頂きありがとうございます」
それから食べおわった後、食器を片付ける作業をしている最中、
「あ、士郎。ちょっといい…?」
「ん? なんだ?」
「昨日泊まらせてもらった部屋に魔法陣を敷いてもいいかしら?
手は早めに打っておいたほうがいいと思うから」
「ああ、構わないぞ。
好きに使えばいい。
ただし地下と鍛冶場には触れないでくれよ?」
「了解。テーブルに士郎とプレシアのお弁当置いてあるから忘れないでね」
「わかった。ありがとう」
「気にしないで」
それからプレシアが先に家を出ていき、士郎に食後の紅茶を出して時間を過ごしているとふと士郎が、
「シホ、フェイトからリンディさん達にシホの事が伝わっているかもしれない。
もしリンディさんやクロノが来たら魔術師として接してくれよ。
一応、俺達にとっての魔法使いも説明しているから、魔法使いなんていったらややこしい事になる」
「了解。気をつけるわ」
「頼んだぞ。
さて俺も行ってくるよ」
私の作ったお弁当を鞄にいれて、士郎は家を出ようとした。
その時に突如として鳴る電話。
それで士郎がすぐに受話器を取り出てくれた。
「はい、衛宮です」
誰だろう、と思っていたがしかしてその相手とは士郎の予想通りの人物だった。
士郎が受話器を差し出してきて、
「想像している人だ。
俺は学校に行くからうまくやってくれ」
「(ああ…なんか士郎の予想通りの展開になってきたわね。
リンディさん、展開が早すぎだと思うのよ。私は第二魔法を使用するための魔法陣の準備をしたいというのに…)」
心の中で愚痴っても仕方がない。
士郎も受話器を差し出してきているしここは話をする事にしよう。
「……もしもし、変わりました」
『出てくれてよかったわ…。
フェイトさんから聞いたんですけど、あなたが士郎君の親戚で魔術師でもあるシホ・E・シュバインオーグさんかしら?』
「耳が早いですね」
『ごめんなさいね。
士郎君以外の魔術師が発見されたのはあなたが二人目だから是非とも接触してみようと思いまして…』
「自分で言うのもなんですけど、私が話が通じる魔術師でよかったですね。
もっと気性の激しい人物だったらあなた達魔導師という存在に興味を持ち実験材料にする魔術師もいるでしょうね。
そこのところを少し気をつけたほうがいいですよ。
興味本位で魔術師に手を出したら手痛いしっぺ返しを受けることになりかねません」
それで少し言葉に詰まるリンディさん。
だがすぐに復帰してきて、
『ええ、危険は承知しているわ。
でも士郎君の親戚なら信じることが出来るわ』
「甘いですね。
でも信用してくれるのはありがたいことです。
さて、それでは改めて自己紹介を。シホ・E・シュバインオーグ、魔術師です」
『私は時空管理局、次元空間航行艦船アースラ艦長リンディ・ハラオウンです』
お互いに自己紹介もすみ、私はある提案をした。
「受話器越しの会話では色々と話しづらいこともあるでしょうから、直接会って話しませんか?
場所や時間等は指定してくれれば向かいます」
『わかりました。すぐに場所を確保します。
迎えに行きますので待っていてくださいね、シュバインオーグさん』
「シホで構いません。
それではまた後ほど会いましょう。ハラオウン提督」
それで電話を切る。
そして思いっきり息を吐く。
「………っはぁ。知人の人と他人行儀で話すのは疲れるわね」
「ふふ、お疲れ様です、シホ。ですがこれからリンディは迎えに来るというのですからもっと気を引き締めないといけないですね?」
「そうなのよ。きっとこれから短い期間に知り合いとはほぼ顔合わせをすると思うから少し気が遠くなるわ」
「安心するのだ奏者よ。余達がついておる」
「ありがと、二人とも。
…そうね。リンディさんが迎えに来る前に準備を終わらせておこう」
「なにをするのですか…?」
アルトリアが興味があります、という視線をおおいに私に向けてくる。
「それじゃ借りた部屋に向かいましょうか。そこで何をするか見せるわ」
「わかりました」
「うむ」
それで部屋に移動した後、
「私は聖なる錬金術師のシルビアの千年の知識とイリヤの魔術回路を使えるのはもうわかっていると思うわ。
そしてアインツベルンは錬金術がおもに使用される。
だから…」
たまにしか使わない私の別の戦闘方法や魔術。
錬金魔術。
十の指先から針金の糸を伸ばし操作して魔法陣を書き上げていく。
今度はスペルもしっかりと確認しながら刻んでいく。
二度も失敗してはたまらない。
そして刻み終わり最後に私の血を一滴垂らして魔法陣に力を吹き込む。
これで完成。
「驚きました…。
器用なものですね。ものの数秒で魔法陣を書き上げてしまうなんて…。
シルビアとの記憶を共有しているとは言え、シロウ時代からは考えられないくらいの進歩ですよ、シホ」
「あはは、まぁね…」
素直に褒めてくるのでそれで一応「ありがとう」と返しておいた。
するとちょうどよく家の呼び鈴が鳴らされた。
早いわね。もう迎えに来たのか。
それでアルトリアとネロの二人も外に出てもらった。
「それではこの世界では初対面のリンディですが…シホ、わかっていますがミスはしないようにお願いしますね?」
「わかっているわ。アルトリア」
「余達はどうしていればいいか? 奏者よ」
「そうね。設定は二人は双子の姉妹で私の従者という事にしておきましょう」
「なら当然余が姉だからな? アルトリアよ」
「構いませんよ、ネロ」
「それじゃ覚悟を決めて話し合いましょう」
「そうですね」
「うむ。委細承知した」
それで玄関を開くとそこにはリンディさんが立っていた。
「初めまして。あなたが、シホさん…?」
「はい、そうです」
「先ほど電話しましたリンディ・ハラオウンです」
「改めて初めまして、ハラオウン提督」
「管理局としてきたわけではないので役職は必要ありませんよ。
それとリンディで構いません」
「ではリンディさんと。
どうぞ中へ」
それでリンディさんをリビングへと通し、お茶を出して互いに向き合って座り話し合いの準備は整った。
さて、ここからが正念場ね。
「先ほど、『管理局としてきたわけではない』とおっしゃってましたが」
「管理局の中では士郎君にそれなりに信頼されていると思ってます。
もう一人の魔術師という話が出てきたのなら管理局内に伝える前に相談は必要でしょうから」
「配慮ありがとうございます。
諸事情で士郎の親戚を名乗ってはいますが、事実は異なります。
そして私自身、また姿を消すつもりなので今回の会談はなかったとしていただければ助かります」
「わかりました」
どうやらこのリンディさんも秘密にしてくれそうで安心である。
「ところであなたの後ろにいる二人は一体?」
「彼女達は私の従者で双子の姉妹です」
「私はアルトリアです。よろしくお願いします、リンディ」
「余はネロだ。よろしく頼むぞ、リンディ」
「はい。よろしくお願いします」
アルトリア達もなんとか話はできているから心配はないわね。
「それで、わざわざ来られたわけですが、何か目的があったのでは?」
「そうですね。
もう一人の魔術師と聞いて直接会って確認したかったのも本音です。
あとはダメでしょうけど、シホさんの魔術や技術を教えていただくわけには」
「お断りします。魔術は秘匿するモノというのは士郎からも聞いているのでしょう」
「ええ、もしかしたらとも思ったのですがやはり無理ですか、残念です」
そう言って残念がるリンディさん。
そう、今の私の世界でも魔術は発展したがいまだに私の投影魔術は知っているもの以外は転送魔術と偽って伝えてある。
第二と第三の魔法も言葉だけで詳しい内容は伝えていないからね。
「シホさん、士郎君の身内か、親しい人達がどこにいるか御存じないですが」
そう聞かれた。
おそらく先ほどの『諸事情で士郎の親戚を名乗ってはいますが、事実は異なります。』という発言で私が士郎の親戚ではないと分かったのだろう。
そしてこの世界ではまだ士郎はすべてを救う正義の味方を目指している。
昨晩、食事後に再開した士郎の過去の話を聞いてそれは判明した。
リンディさんもおそらく気づいているのだろう。
私はもうそんな気配はないとアルトリア達は言っているけど、寝る前に確認したら士郎には危うい感じがあると聞かされたから。
「恐らく、二度と会う事は敵わないと思います」
「そうですか、シホさんはいつまでこちらに?」
「明確には決めていませんが、次の目処が立てばすぐに経ちます」
「……そうですか。せっかく知り合えたのに残念です」
「士郎がここにいる限りまた会う事もあるでしょう」
それで安心させるために笑みを浮かべながら話しているのだが…、
どうしたのだろうか…?
なんかリンディさんがかつて何度も見たような人達と同じ感じに頬を赤らめてぼぉっとしている。
そして気が付いたのか何度もかぶりをふって、
「し、シホさん……あなたは笑顔になると誰もが振り向くことはないかしら?」
「え? あ、はい。よく言われます。
別段特別な笑みを浮かべているわけでもないんですけど……」
それで少し乾いた笑みを浮かべて「あはは…」と頬を掻くのだった。
「話は変わりますが、シホさんはまだお若いのにこういう話し合いは慣れているのですね。
士郎君もそうでしたが、魔術師というのはこういう交渉ごとには慣れているものなのですか…?」
「まぁ、それなりに慣れた人は多いと思います。
魔術師は同じ魔術師同士であっても隙を見せませんから。
仮に何か協力する場合でも自分の得をするように交渉するのが基本ですから」
そう話すとリンディさんは少し顔を引き締めていた。
おそらく魔術師というものを再確認したというところだろう。
「あぁ、それと少し気になっていたんですが、さっきから誰かに見られている気がするんですよね」
「え?」
だけどリンディさんは知らないという表情をする。
だとするとこれはおそらく…。
なので、
「別に構いませんが、勝手に調べられていることに関して良い気はしません」
それで私は試しに世界を越えた影響でリミッターが外れてしまっていたらしいので、魔力全開で脅しをかけてみる。
ちなみに言えば魔術回路とリンカーコアの二つの魔力を同時展開しているので、オーバーSランク相当の魔力が放出しているだろう。
それでたぶんリンディさんには知らせず秘密でモニターで見ている誰か達は息を呑んでいることだろう。
すぐに想像できる。
だってまさに今リンディさんが私の魔力に恐怖を感じているのか顔を青くして冷や汗をかいているのだから。
『待ってくれ。これは僕の独断だ!
提督は関係がない』
やっぱりクロノとエイミィさんだったらしい。
そこに背後にいるアルトリアが、
「シホ、おふざけが過ぎますよ? リンディが話ができなくなっているではないですか…」
「そうね。すみませんでした」
「い、いえ、こちらもすみませんでした」
「平気ですよ。でも……次はありませんよ?」
それで今度こそリンディさんは顔をひきつらせて無言で黙り込んでしまった。
でも、いつまでもこんな空気じゃいい気はしないので魔力と威圧を閉じる。
そしておふざけはここまでと手を『ポンッ!』と叩き、
「…と、生粋の魔術師だったらこれくらい普通にしてくるという実演をしてみました。
特にリンディさんに伝えていない独断だとしても、それをここに連れてきたリンディさんに責任があります。
下手をすればこれで交渉は破綻、そのまま戦闘になる可能性もゼロではありませんよ」
「完全にこちらの落ち度ですね」
「魔術師に接触するなら、相応の準備と覚悟をしないと自滅しかねませんよ」
「耳が痛いですね」
それでリンディさんはため息をつきながらモニターの二人に目を向ける。
「クロノ、エイミィ。
シホさんに自己紹介なさい」
『はい。
クロノ・ハラオウンです』
『エイミィ・リミエッタです』
「シホ・E・シュバインオーグです。
改めてお願いしますね」
それで一応クロノとエイミィさんとも知り合いということになった。
いや、さすがに十年前だから私達の世界に比べたらモニターの精度が甘いわね
『それにしても魔術師というのは本当にこの地球に存在していたんですね』
「……と、いうと?」
『今まで幾度も調べてきましたが、士郎以外の魔術師の足取りは一向に掴めませんでしたから。
少し半信半疑なところがあったんですよ』
「そう…」
ふむ、やはりクロノは優秀ね。
おそらくユーノにも協力してもらい無限書庫で調べていると思うけど結局手がかりが見つけだせずに無駄に終わっているのだろうね。
士郎が平行世界から来た、と正直に告白しないかぎりはこれからも調べ損になってしまうだろう。
『ねぇ、シホさん』
クロノ、ユーノ、ご愁傷様と思っているとエイミィさんが話し掛けてきた。
「なに? エイミィさん?」
『そっちが年上なんですからエイミィって呼び捨てでいいですよー。
それで聞きたいんですけどシホさんは昔の士郎君の事は知っているんですか?』
「知っているわよ。でも私はあまり会う機会はなかったからそんなに詳しいわけでもないけどね」
こうして知人らしく話しているけど、いつポカをして士郎から聞いた話と食い違いが生じて矛盾が発生するかもしれないから一言一言を慎重に選択していかないとね。
そしてそれ以降は特記する事は起こらなかった。
ただ、昼食の調理を手伝ったら色々驚かれたのは確かだ。
昼食といえば、士郎…私の作ったお弁当で今ごろ一騒動起こしてそうかもしれない。
なのは達がめざとく気付きそうだから。
…そして後に士郎に聞いたらやはりなにかあったらしく男子連中に追い掛けられたという。
◆◇―――――――――◇◆
その後、リンディさん達といくつか話した後にリンディさんは帰っていった。
それから翠屋にも顔を出してもいいのだけど、ついもう染み付いた癖で桃子お母さんと呼んでしまいそうだから油断できない。
おとなしく士郎が家に帰ってくるまで大師父に連絡を試みていよう。
そして魔法陣の上に立ち宝石剣を手に持ち、
「…―――接続開始」
宝石剣に魔力を流し繋がるイメージを持つ。
そして地面の魔法陣が赤く光りだし、同時に宝石剣もまた七色に輝きだす。
そして思い描くは私の世界の大師父のイメージ。
手順を丁寧に、そして素早くこなしていき最後に思念通話で平行世界の枠を飛び越えて語り掛ける。
《大師父、聞こえますか? 聞こえていたら応えてください…》
私の語り掛けに、そして一分くらい経過した後、
《シホか…? どうしたのだ? いつもよりいる世界が遠いではないか》
《もうお気付きになられましたか、さすがです。
それで早速なんですけど宝石剣の起動実験中にミスをしてしまって別の平行世界にアルトリアとネロの二人と一緒に飛んでしまったんです》
《ふむ…》
《それで帰る手段が見つかっていないんです。
ですからよろしかったら帰る手段の助力をしてもらいたいんです》
《素直に助けてくれ、とは言わんのじゃな…?》
《はい。できれば助けてほしいのですが、大師父ならきっと『ならば命題を与える』と予想しましたので…》
《くくっ…分かっておるではないか、シホ。
では予想どおりに儂からシホに命題という名のヒントを授けよう》
《ありがとうございます》
《うむ。ではまず最初に、シホ、主と士郎は二人とも第二魔法を会得している…が、儂からしてみれば主等はいまだ未熟者の域をでていない》
《わかっています。今回の失敗がいい例ですね》
《分かっておるならよい。して、主と士郎は元は一つの魂だった》
《はい》
《じゃから今のところシホ等は二人揃ってやっと一人前となる》
《二人揃って…?》
《そうじゃ。その言葉の意味を深く吟味し咀嚼して考えてみるがよい。
そして見事、もとの世界に繋がり帰る道を見つけてみるがよい。
この十年の修業での成長をしかと見させてもらうぞ…?》
《わかりました!》
《では吉報を待つとしよう。ではな、シホ》
《はい、教授感謝します》
それで大師父との通信を終了し私は大師父の言葉を考えてみる。
「二人でやっと一人前、か…。どういう事だろう?」
そこに外で待っていたアルトリアとネロが部屋に入ってくる。
「シホ、宝石翁と連絡はつきましたか…?」
「えぇ。ヒントという命題をもらったけどね」
「どんな内容だったのだ?」
「えぇ」
それで二人に説明する。
「…二人で一人前、ですか。宝石翁らしい言い回しですね」
「つまりは奏者と士郎、二人で協力して事を解決しろということか…?」
「そういう事になるわね。でも、私の世界の士郎は着いてきていないし…」
「別に大丈夫ではないですか?」
アルトリアがなにか分かったらしい。
それでどういう事か聞いてみると、
「宝石翁はシホの宝石剣を目印にして世界と居場所を特定しています。
なら、シホも宝石翁と同じ事をすればいいのです」
「あっ…! もしかして士郎の持つもう一つの宝石剣をの位置を特定すればどの平行世界に帰ればいいか分かるということ?」
「おそらくですが…」
「アルトリアよ、お主冴えておるな!」
「そうね! さっそく試してみましょうか」
それで私は先程行った行動をもう一度試し、今度は士郎に繋がるようにイメージする。
するとしばらくして繋がる感じがして、
《シホか!?》
《士郎! よかった…繋がったわ》
《今はどこにいるんだ? 昨日からシホ、アルトリア、ネロの三人の行方が知れず全員総出で探しているところだぞ》
《ごめんなさい…宝石剣の起動実験中に失敗しちゃって平行世界に飛ばされちゃったのよ》
《やはりか…それで帰る目処は立っているのか?》
《えぇ、大師父に教えてもらったわ。
おそらくだけど私と士郎の宝石剣を共鳴させれば戻れると思うわ》
《では、すぐに帰ってこれるのだな?》
《えぇ、たぶん。さっそく今から試してみましょうか》
《あぁ、わかった》
それであちらの世界にいる士郎と同時に宝石剣を起動する。
途端に魔法陣を中心に七色の光が広がっていきすぐに世界を飛ぶと直感した。
「アルトリア! ネロ!」
「はい!」
「わかった!」
それですぐに二人は消えた。
そして一際光が部屋を満たした瞬間、私は世界を越える感覚を味わった。
そして…、
次に目を開けてみればそこは機動六課の工房の中だった。
見ればそこには宝石剣を構えている士郎の姿があった。
「シホ! 無事か?」
「帰って、きたの…?」
「どうやらそのようですね、シホ」
「うむ、帰ってこれたのだな」
帰ってこれた事を確認できて私は喜んだ。
それからというもの私はみんなに囲まれて口々によかったと言われた。
そしてほとぼりが冷めた頃には夜になっていた。
はやてにも昨日一日分のたまったデスクワーク作業をやらされて疲れた。
しかし思う…。
あの出会いは偶然だったのか、はたまた…。
真相はわからない。
けど、私の脳裏にあの世界への行き方が刻まれていることに気付いたのだ。
これが理解するという事というのだろうか…?
それで士郎を呼びまた私はあの世界に行こうと試みる。
「しかし、また行くのか…?」
「えぇ。あちらの世界の士郎に黙って帰ってきちゃったから挨拶はしておきたいのよ」
「しかし…」
「安心して。私達は二人で一人前…どちらかがこの世界に残っていればすぐに帰ってこれる事ができるわ」
「そうか。では行ってこい」
士郎は笑みを浮かべて送りだしてくれた。
そして今回はアルトリアとネロは待機してもらい、私だけで行かせてもらった。
◆◇―――――――――◇◆
そして到着してみるとそこはやはり借りて魔法陣を刻んだ部屋だった。
「…また来れたのね」
「―――いきなり帰ったと思ったら、はやいお帰りじゃないか?」
すると背後から士郎の声が聞こえてきて私は振り向く。
そこには呆れたような感じの士郎が立っていた。
「ずいぶんないい様ね。
まぁ、事実一回帰っていた訳だけど。
そうそう、この世界に自由に来る方法と、そして元の世界に帰る方法も理解したからこの魔法陣が刻まれている部屋限定だけどいつでも来れるようになったわ」
すると士郎は驚きの表情になり、
「さすが第二魔法の使い手だな」
「あと士郎。これを渡しておくわ」
士郎にミニ宝石剣を渡す。
「これは?」
「平行世界をまたいで通信ができるミニ宝石剣よ。
だからなにか困った事があったら知らせて。
これも何かの縁だし助けてあげるわ」
「助かる」
「それとこの世界のなのは達には私はまた旅立ったって伝えておいて」
「わかった」
「そして私も私の世界でやらなきゃいけない事があるから、同じ衛宮の名を持つもの同士お互いに頑張りましょう」
そして私はまた宝石剣を持ち、あちらの士郎へとアクセスする。
「またいつか会いましょう、士郎」
「ああ、いつかな」
「それじゃまたね」
そして私は今度こそ元の世界に帰っていった。
この不思議な出会いがこの先、なにを引き起こすのかはまだ分からないけど、また一つ確かな縁が刻まれた出来事として私の記憶に確かに残ったのだった。
◆◇―――――――――◇◆
「…という事があったのよ」
私が回想を語り終えて、
「うーん…そちらの私達は本来の姿のシホちゃんに恋しているんだね」
「なんか、不思議な感じだね」
「そやね。私達もシホちゃんが男の子のままだったら恋に落ちていたということもあったんかな?」
「わからないね。でも、すずかちゃんはどちらでも恋に落ちちゃうんだね」
「それは、まぁ…私も色々とあって相思相愛になったわけだしね」
私が「あはは…」と笑う。
そこに、
「それより驚きなのは、なんで私は生まれてきていないんですかぁ…!」
ウガー!といきり立って大声を上げ出すフィア。
「まぁまぁ、落ち着きなさい、フィア。
あなたはこの世界ではしっかりと生きている。
それだけでいいじゃない、ね?」
「わかりました…」
でも、と私は思う。
「私が出会った士郎はまだ危うい感じがあったわ。
だから誰かがとなりで支えてあげてあげられればいいと思うのよ…」
「士郎君はまだ答えを見つけていないんだね」
「見つかるといいね…」
「その世界の私達がうまいことやってくれればええんやけどね」
「そちらのリインも支えてやってほしいです!」
まぁ、世界が繋がったんだからなにか士郎が困っていて私に頼ってくるようになればひとまずは安心というとこかしらね。
でも、一つ思うことは…あちらの士郎は勘違いしているようだけど私がリンのうっかりの呪いを受け継いでいるとか思っているとこかしら。
そのうちまた会う機会があったのならそこを正しておきたいところね。
後書き
士郎の世界に自由に行けるようになりましたので今後ももし機会がありましたらコラボできたらといいと思います。
ですが当分は抑えていきたいと思います。
あまりセリカ様の更新を妨げるわけにもいきませんからね。
では。
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