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少年は魔人になるようです

作者:Hate・R
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第56話 二回目は比較的平和なようです


Side 愁磨

パシュゥ
「っと。"記憶同期開始"―――成程、確かに時間跳躍している。驚嘆に値するよ、超 鈴音。」


一日目(一回目)の予定が終わった俺は、確認の為再度カシオペアを使い、学祭開始時刻まで跳んだ。

記憶上、ノワール達に構ってなかったし大会もまだだ。


「妙な話だよなぁ。今から(本体)が記憶する事は、戻る前の(本体)呼んだ方(俺2達)も記憶できるのに、

今の俺が記憶してないんだから。」


言ってる事が妙なのは、記憶を共有させられる便利さ故、か・・・。

混乱を招く物が、大事を見れば便利という。世知辛いねぇ。


「さっきから独り言おっしゃってますが、どうかしたんですの?」

「おわぁ!?し、しずな先生……。驚かさないでください。」

「あら、天下無敵の織原先生の後ろをとれるなんて。自慢になりますわね。」


珍しく、少女のように笑うしずな先生。マジで洒落にならんのだがな、これ。謎なお人だ・・・。


「愁磨先生は、これから見回りでしょうか?」

「あー、いえ。あても無く、一人寂しく彷徨うだけですよ。」

「ウフフ、それでは丁度いいわ。少々わたくしに付き合ってくださいな、愁磨さん?」


言いつつ、腕を組んでくるしずな先生。もといしずな。・・・やけに押してくるな。祭り効果か?


「1~2時間だけですわ。さ、行きましょう。」

「い、行くから引っ張るなって……。」


つーかそっちに俺2が居るんですけど!?

慌て、とりあえず別の場所へ移動させる。にしても、またデートか・・・。ネギに文句一切言えんな、これ。

………
……


ドン! ドン! ドン!
「フッ、ざっとこんなモンよ。」

「せんせー!せんせー!!もうやめてくださいよ!あんたがやるとモト取れないんだから!!」

「あらあら……。」


SRを回しながら台のホルスターに戻すと、的屋の生徒に文句を言われる。

そりゃそうだ、俺がやっているところにある商品は最下がゲーム機、上は海外旅行や学祭全フリーパス。

そこの景品を次々取られるのだ。(学祭には一回3~4万以上の超高額出店があると言えば価値が分かるだろう)


「ま、二回目だしな。いや、この時間帯なら一回目と言うべきか……?」

「何か言いました?」

「あー、いや、何でもない。」

「そう?それじゃ次は……と思ったけれど、時間が中途半端ね。

お茶しながら、ゆっくりしましょうか。」


即座に行動を開始するしずな。無論、(荷物を大量に持った)俺の腕を抱えた状態で。

そうなる事はこの2時間で分かっていたから大丈夫だったが。


「わたくしはダージリン。愁磨さんは……W&Mで。」

「か、かしこまりました!」


オープンカフェに来るなり駆けてきたメイド(中世風で実にGoodだ)は、

注文を取るなりバタバタと戻って行き、厨房でキャーキャー言っていた。


「てか、今日の気分良く分かったな。」

「うふふ、伊達に専用カップ用意して貰ってませんわ♪これでも、ちょっとは気を配っているんですからね?」


家に住むまでは行っていない物の、今では毎日来るのが当たり前になっていたり。

そして、しずな専用の・・・アリアのわんこカップとお揃い絵柄のクマさんカップが用意された事は、

既に記憶に古かったり。


「お、お待たせいたしました。ダージリンとW&Mです。

そ、それとクッキーです!どうぞ、お召し上がりください……。」

「あら、ありがとう。頂きますわ。」

「い、いえ、とんでもないです!ごゆっくり!」(バタバタバタ!


「………珍しい、ですわね?」

「そうか?そうでもないさ。―――む、なかなかやるじゃないか。」


紅茶がなかなか美味い事に驚きながら、クッキーを食べるしずなを見る。

珍しいって言ったのは、クッキーを出した人間と出された人間両方だ。


と言っても、しずなの母性的な魅力は男だけに限る物でも無く。

今の様な文系女生徒の人気も大分高いのだ。本人は自覚ないけど。


「そうかしら?言われれば、そんな気もするけれど……。あら、美味しいわ。」

「良かったじゃないか、モテモテで。…………………………なにか?」

「つれない事を言う物ではありません。あーん。」


クッキーを俺に差し出し、口を開けろと言ってくるしずなさん。

周りの生徒が超見てるし、さっきの女の子ガン見してるってか睨んでるんですけど。


「………………………………(じー)」

「はぁ。あー………ん。ムグムグ……。お、美味しい事は認めるが、なんか呪われそうな味もする……。」

「フフッ、それは何より。満足しましたし、わたくしはお仕事してきますわ。」

「ん、いってらっさい。気をつけろよ?」


『分かってますわ、また夜に』と言い残し、しずなは人ごみに消えて行った。

・・・・・・俺も周りの視線が痛かったので、紅茶を飲み干し、席を立った。


「アリアの所でも様子見に行こうかな。記憶共有してなくても怒られそうだ。ああ、でも大会もあるしなぁ。

いや、いっそ分体に任せようかなぁ……。」

「兄様、なにブツブツ言ってるんだ?」

「おわぁ!?え、エヴァ。と、アリカも。」

「ついでみたいな言い方じゃのう?」


教室に行こうとした所で、エヴァとアリカに会った。・・・俺、前後不覚すぎないか?独り言多いし。


「フン、まぁいい。それよりなんだ、これは?あちこちから兄様の"気"を感じるんだが。」

「ああ、並行世界とか違う世界線から他の俺を呼んで来たんだ。どうしても警備の手とかが足りなくてな。」

「それは手も足りなくなるじゃろうな。あちこちでデートばかりしていればな!」

「いや、そう言う訳じゃ無い―――とも言い切れんわ、ごめん。」

「「……一回、痴情の縺れで刺されれば良いのに(のじゃ)。」」


刺されても復活するからどうでもいいけどな――って、そういう問題じゃありませんよね、すいません。

とまぁ、ここで会ったが百年目。


「どっか行くか?」

「……どうしてもと言うなら、付き合ってやってもいいぞ。

私はあくまで、アリカと回りたかったのだからな!」

「(素直じゃないなぁ。)わたくしめにエスコートさせていただけませんか、お姫様方?」

「随分と、私達に合った皮肉じゃな。まぁ、私は元から吝かではないのじゃが?エヴァ。」

「ア、アリカがそう言うのなら仕方ない。荷物持ちくらいにはなれよ、兄様!」


顔を真っ赤にしズンズン歩いて行くエヴァに、二人で苦笑いしつつ。

エヴァのご機嫌取りと、アリアのご機嫌取りの方法を考える俺であった。

Side out


Side ネギ

パシュゥ
「おお!マジで昼んなったで!?超とかいう姉ちゃんマジで何もんや?」


一日目、二回目。

まだ行っていない所に行く為、僕は小太郎君と戻って来た。


「う~ん、僕も良く分からないよ。愁磨さんに聞いたら?」

「無理無理。家に行くなり脇目も許さんで球ん中放り込まれて、あの修行っちゅー名目の虐待弾幕

かまされるんやで?終わり次第ぶっ倒れて寝て起きて飯食ったら、こっちに戻ってくるだけや。」


ご飯時に聞こうにも、小太郎君が寝てる間に戻って来ちゃうから聞けないと。

・・・よくそれを続けてるよね、小太郎君。修行が好きっぽいし、だからやれてるんだろうけど。


「で?こないな時間に戻って来てどないすんねん。」

「えーっとね。クラスの方で午前の人の手伝いして、それから皆さんの部活の出し物を見て回って。

それから――」

「うっわぁ……めんっどいなぁ教師って。ワイ関係あらへんし、そこら見てようかなぁ。」

「そんな事言わないでよー。僕だって好きでやってる訳じゃ――いや、好きでやってるんだけどさ?」

「うっさいなぁもう、わーったわ。

勘違いすんなや。これ以上グダグダ言われてもしゃーないから行くんや。」


・・・これが俗に言うツンデレってやつなのかな?男がやっても可愛くもなんともないよね。


「まぁいいや。最初は……クラスの方行こうか。」

「ハイハイ。―――あれ、そう言えばお前のクラスって……。」


………
……



「い、い、いらっしゃいませぇ………///」

「小太郎君、それじゃ聞こえないよ。」

「や、や、や、やかましいわ!!なんでワイまでこないなカッコせなあかんねん!!///」

「コタく~ん。暴れると見えちゃうよ?見えちゃうよ?

と言うか見ちゃうよ~?くっくっくー。」

「やめんかーーーーーー!!」


クラスの方を手伝いに来た、と言う事は当然女装する事になる。

小太郎君は初め逃げようとしたけれど、柿崎さんや那波さんに捕まって、最終的にクラス全員に・・・・。

その結果。


「おーい、クラスの方ど……………ブッ!!」

「ギャーー!!なんでこないな時に来んねん!帰れ帰れ!!!」

「ほぉ。以外と似合うじゃないかワンコ。チョイスした者は、褒めてやるぞ。」

「ギャハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!ハッハ、フハッ!!

いやいやいや、似合ってるから逆に笑える!」(パシャパシャ!

「に、兄様。そんなに、笑ったら……わらっ!ハハハハハハハハハハ!!

ワンコ!いいじゃないか、似合ってるぞ!!茶々丸!」

「はい、マスター。」(●REC

「撮るなーーーーーーーーーーー!!」


元から犬耳があると言う事で、愁磨さんが『犬ならこれな』と言っていた

黒と赤のブレザーと灰色のスカートに加え、帽子とマント装備。あと愁磨さん達、撮影厳禁なんですけど。


「ククククク……あー、笑った笑った。

それじゃあ兄様。私は今からクラスだから、アリカと「行かん!!」」

「そもそも犬がメインと思ったか?否!断じて、否!!」

「無論じゃ。エヴァの姿も撮影せんとな。……茶々。」

「イエス・ユアハイネス。(三台設置)」(●REC

「お前も従うんじゃない!!」


「ネギ、ワイ、疲れたで………。」

「よ、よしよし。たこやきでも食べに行こっか。」


皆の目が愁磨さん達に向かっているうちに、こそこそ抜けだす。

隣の教室で着替えて、半ば担ぐように外まで来る。


「あら、ネギ先生。ごきげんよう……その子は?」

「いいんちょさん、こんにちわ。え、ええと、僕の友達なんですけれど。

クラスの方手伝ってくれたんですが、その時愁磨さんに……。」

「………災難でしたわね。お悔やみ申し上げますわ。」

「まだ生きてますよ!?」


そのまま流れで、いいんちょさんと哲学研究会や馬術部をはじめ、

美術部や天文学部、初目的のたこやき屋などを一緒に回りました。えーっと、次は―――


「あぅ?」

「キャ!ね、ネギ先生、大丈夫ですか!?いけませんわ、急いで救急車を――」

「あー、ええてええて。昨日から寝てへんから、限界が来たんやろ。」


そう言えば、そうだった・・・。

連れ去られたし、のどかさんとデートもあったし、流石に・・・・。だ、だめだ。落ちる・・・・。


「す、いません、いいんちょさん………。

いつもお手伝いして、もらっちゃって、僕も、何かと思った、んですけれど……。」

「そんな!お気持ちだけで嬉しいです。」

「アハハ、ありがと……ございます……。ごめんな、さ―――」


フラっと体が傾く感じと共に、意識を手放した。

―――――――――――――――――――――――――――――
subSide あやか


トサッ――
「うひゃぅ!?ね、ネギせん、せ………い。」

「くぅ……。すぅ……。」


最初左肩にネギ先生の頭が寄り掛かってドキッとしたのですけれど、

そのままずり落ちて太ももに頭が乗ったので、思わずはしたない声が出てしまいましたわ。で、でも・・・。


「(こ、これが噂に聞く膝枕!?こ、ここここれはどうしたら!?)」

「……ムニャ…………おねえちゃ…………ん。」


寝言を聞いて、ハッとなります。

そうですわ、有り得ない事に慣れていましたけれど、ネギ先生はまだ10歳の男の子。

気丈に振舞っては居ても、疲れが溜まるでしょう・・・。


「ふぁあぁぁぁぁ~。ネギ見とったらワイまで眠くなって来たわ。」


犬君・・・小太郎君でしたかしら?も寝てしまい、周囲に人もおらず静かで、

遠くから祭りを楽しむ人達の笑い声が聞こえてくる。

とても穏やかで、ネギ先生に膝枕させて頂いて・・・・・。


「が……(学園祭、最高ですわーーーーーーっ!!)」

「う、うぅ…………ししょー……それは、まだ早い………。」


それから一時間少々。悪夢を見ているのか唸る子供先生と、それを膝枕しながら

慈愛の顔だったりにやけたりする委員長が居たらしいですわ。

Side out
―――――――――――――――――――――――――――――

「す、すいませんでした。いいんちょさん……。」

「ホホホ、そんな事ありませんわ!(ツヤツヤ)それで、このような場所に何か御用ですの?」

「ええ、確かこのあたりの筈なんですが……あ、いた。ちさ、じゃなかった。ちうさーーん!」

「げぇ!?な、なんでてめーらがこんな所に!」


以前から見ていた千雨さんのHPに、コンテストの話があったので来た。

公式に載っていない――と見せかけて、実は、プログラムを光に透かせば見える細工が

一部のパンフレットにされてあって、その筋の人達が情報を共有し、集合している集会。

毎年開かれる場所が違うらしい。


「僕はあれから、ちうさんのHP見てまして。ファンの人達の書き込みを元に。

小太郎君は愁磨さんに話だけは聞いていたそうです。」

「おまっ、人のHPを勝手に!ってかあの理不尽意味不明教師!!いらん事しやがって………!!」

「ああ、家で皆で見とるらしいで。ワイは見た事ないけど。」

「と、言う事は……あの無口娘も、か……。

私をなんとも思ってないように見えて、実は心の中で笑ってやがったのか……?フ、フフフフ………。」


ガックリと膝をつく千雨さん。

う~ん、アリアさんはそんなの気にしないと思うんだけどなぁ・・・?


ピンポンパンポーーン
『レディース&ジェントルメン!お待たせいたしたぜ!

これより麻帆良コスプレコンテストの一般受け付けを開始する!!参加者は受付に―――』


と、そこで放送が流れる。と言うか・・・愁磨さん?こんな所にまで手を出してるんですか!?

いえ、普段もその"ケ"がありますし、警備の時の恰好もそうですけど。


「ちうさんは出ないんですか?それとも、もう登録――」

「する訳ねーだろうが!!」

「そんな、勿体ないですわ。どうせなら参加すればいいですのに。」

「と言う事は私達も参加だね、いいんちょ!!」

「あ、まき絵さん。こんにちは。どうしてここに?」

「おぉっすー、ネギ君!さっきそこで見かけてね!

思わず追いかけて来たのさ!!と言う訳で早速登録しにいこー!」(ガッ

「ん、はぁ!?ちょ、離せコラバカピンク!!私は行いかねー!!」


まき絵さんも参戦し、断り切れずに千雨さんも参加する事に。

う、うぅ~ん。お祭りなんだから、少しは参加しないと・・・だけど。ホントに嫌なら止めた方が・・・。


「それなら大丈夫よ~?そうなった場合は私達スタッフが止めるから。」

「あ、そうなんですかノワールさん。……………………………ノワールさんまで!?」

「当然よ。シュウが開いてるんだから、ここ。

その筋の人にしか分からないけれど、賞金も学祭内で上の方なのよ?」


僕の心を読みつつ後ろに現れたノワールさん・・・と、こっちを睨むアリアさん。

二人とも何かのコスプレをしているんだけど、迂闊な事は言えない。

褒めても無視しても怒られそうなんだ。(貶したらそこで間違いなく死ぬ。)


「ちゅーかノワールはん、ええとs(ズガァァァァァ!!)……………………………………。」

「さ、そろそろ始まるから、私達は行くわね。」

「ハッ!お気をつけて行ってらっしゃいませ!!」(敬礼


ノワールさん達を見送り、小太郎君を通行の邪魔にならないようにそっと脇道へ寄せ、僕は観客席の方へ行く。

受付に行ったいいんちょさん達は、どうやらそのままコンテストに出るようで。


『レディース&ジェントルメン!お待たせいたしました!!

これよりコスプレコンテストを開始いたします!

司会はわたくし"なんだこの人妻は(驚愕)"でお馴染、アイリがお送りいたします!』


うおおおおお!と野太い声援とキャーーー!と黄色い声援と共に壇上に現れたのは、無論愁磨さんだった。

この季節に冬服を着てるのは凄い事だと思う。


『さーてサクサク行こうか!まずはエントリーNo.1――』

………
……


「「二人合わせて!魔法少女♡ビブリオン!!」」

うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!

『これはハイクオリティです!流石私の生徒ですね、鼻が高い!!

それではラスト!No.150番『ビブリオ・ルーランルージュ』のちうさんです!』


と、会場の熱気に感化されて盛り上がって居ると、最後――千雨さんの番になった。

真面目な人もいればネタ(結局真面目だからクオリティは高い)もいて、凄く楽しかった。

・・・で、千雨さんが出てこない。やっぱり・・・?

――と、思った時。トン、と誰かに押されて千雨さんが出てきた。


「あっ!う………………!?

わ、私……!すいませっ……ご、ごめんなさ……い……。」


出て来たけど、観客の方を見た瞬間顔が真っ赤になって、顔を覆って座り込んでしまった。

慌てて愁磨さんに言いに行こうとする。


『  こ  れ   は   !  !  』

うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!

『悪の幹部でありながら引込み思案の泣き虫ダメキャラを見事再現!!

会場も私もこれには大 満 足 だーーーーーーーーーー!!』

「お持ち帰りするわ!!」(ギュオン!

『おぉっと何者かにお持ち帰りされたぁぁーー!と言うかウチの妻だーー!』


・・・・・・・・・状況が掴めなかったけれど・・・あれ・・・?

要するにすっごく上手く転んだって事なのかな?

ノワールさんが素早く回収したし、よかった・・・。


『と言う訳で!優勝者はNo.150、ちうさんに決定いたしましたーー!

賞金100万円と!麻帆良技術部が開発した最新型NSCをプレゼント!!』

「あ、ありがとうございま――って、重っ!!」

『それでは!今一度大きな拍手を!』

ワーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!
パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ


そう言う訳で、優勝は見事千雨さんになりました。さて、あとは小太郎君を回収しないと――


「・・・・・・これ、なに・・・?」

「あら、こっちにもありますわ。」

「あ、ちょ!?それは衣装の糸じゃ――」

――ハラリ
どぅっおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!

『おぉっと!?今日最高の歓声だーー!』

「き、き…………!!」


アリアさんといいんちょが衣装の仮縫い糸を引っ張ってしまい、千雨さんの衣装が脱げ――って、

今度こそダメですーー!?


バサッ!
「全く、相変わらずルージュはダメダメだな。」

「キャ――…って、あんた、保険医の……。」

「今は同僚のルーラン・サファイアよ。下がりな、男ども!!それ以上来たら縛り上げるよ!!」

「「「サファイア様キターーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」」」

『なんと!ルージュの仲間、サファイア様まで登場だーー!

是非縛り上げられた上で踏まれたり叩かれたりしたい!!』


いつの間にか着替えたのか、ノワールさんが、何と言うか・・・きわどいながらフリフリした衣装を着て、

上から登場。千雨さんにマントを着せました。

と言うか愁磨さん・・・・・・。


「大丈夫?立てるかしら?いいえ、そんなの関係無いわね。」
グイッ
「あ、ちょ!?だ、大丈夫ですって、下ろしてください!」

「また来るからね!覚えておいでよ!!」(ダンッ

『実にハイレベル!!最後の捨て台詞まで完璧だーー!

それではこれで、コスプレコンテストを終了いたします!!』

………
……


「うぅう、恥かいた………。」

「も、申し訳ありませんわ、千雨さん。わたくしがあのような事をしなければ………。」

「そこだけじゃねーー!はぁ……いいよ、別に。気にしてないから。」


まき絵さんに誘われて、新体操部の発表会まで来た僕達。

千雨さんはまだ落ち込んでて、いいんちょさんが慰めてる。と言うかこのパソコン、妙に重いなぁ・・・。


「千雨さん、このパソコンって何ですか?見た事ないんですが……。」

「え、ええ。織原先生が技術部と毎年開発してる、NSPですよ。

ノート型のスーパーコンピュータ。(ったく、デタラメな……。)」

「あ、そう言う事ですか。妙に重い筈です。」


なんだ、ただのスーパーコンピュータか。

愁磨さんだからてっきり、オーバーテクノロジーばっかりな物かと思った。


「ネギくーーん!」

「あ、まき絵さんですわ。ようやく順番回ってきましたのね。」

「ですね。まき絵さーーん!頑張ってくださーーーい!!」


曲が流れ始めて、まき絵さんが演技を始める。小太郎君はあまり興味なさげにあくびしてた。


「しゅたっ!どうだった?私の演技!」

「ハイ、凄くよかったです!元気なまき絵さんらしくて、カッコよくて綺麗でした!」

「そ、そこまで言われると照れるなぁ。

あ、それじゃ私は部活の方があるから!じゃねーーねーーー!」


挨拶する間もなく走って行ってしまうまき絵さん。元気だなぁ。


「せわしない姉ちゃんやなぁ。」

「概ね同意しますけれど、声に出さない方がよろしいですわ。

わたくしは打ち上げの準備に参りますけれど、先生達は?」

「僕達はもう少し回ってから行きます。」

「私は委員長についてくぜ。」

「そうですか。それでは先生、小太郎君。またあとで。」


パソコンを持っていこうとする千雨さんに寮まで持っていくと断り、二人を見送る。

これ、すっごい重いし。


「よっしゃ!これで一日目コンプリートやな!!

………ああ、そう言やまだ修行が残っとったような…………。」

「き、今日くらいは……って思いたいけど。

こっちに来れば、夜までだから……2日は休めるよ?」

「ほー、そっちはそんなもんか。こっちなんてなぁ――やめとこ。言うだけで疲れるわ。」


深く溜息をつく小太郎君と一緒に、いつもの所まで行き、

ダイオラマ球に入る。

明日はようやく、大会だ!――けれど、今は寝ておこう。


Side out

 
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