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インフォメーション・ウェーブ

作者:のわねこ
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インフォメーション・ウェーブ

 
前書き
こんにちわ、のわねこです。今回が初投稿ですので、読みづらい点もあると思いますが、宜しくお願いします。それと誤字・脱字や文面が変な箇所がございましたら、ご指摘いただけると嬉しいです。 

 
インフォメーション・ウェーブ

「早速問うが、君の入部理由は何だね?」
「僕は運動が得意な方ではありません。しかし、この副連高校は部活動が活発だと聞いていたので何らかの部活には入りたいと
入学前から考えていました。そして入学後にこの部活について知り、とても興味をもちました。」
「ほう、その興味を持ったことというのは?」
「在籍生徒1000人を抱える副連高校、その中で楽しく過ごすには情報が大事だと思いました。
僕は極度のゴシップ好きです。ただ単に情報を得るだけでなく、情報を発信する側になりたいと思いました。
それで、見つけたのがここ、新聞部です。」
「うちの高校にはいくつもの新聞部が存在する。その中でうちを選んだ理由はなんだね?」
「勘です。」
「勘?」
「はい、ここなら楽しく新聞を作っていけるのではないかという勘です。」
「・・・分かった。ありがとう、学校一の嫌われ役を買って出てくれて・・・」

第一面  副連サテライト

ここ、副連高校は約1000人の全校生徒が在学している全寮制の高校である。
学校は「生徒の自主性を尊重する学校」を教育方針としてかかげている。生徒の要望は出来る限り承諾し、学校での居心地を高めて行くというのが
この学校の目的らしい。
部活動は活発で、どの部活も大体は大会などに出場すると、見事な功績を残してくる。
それは文化系の部活も同じだ。
学校は生徒を大いに信用し、委員会活動なども生徒みずから仕切り、その話し合いの場に教師はいない。
生徒自らが運営し物事を決定しているのだ。
このように、これほどまで生徒が自由に動けるのは先にも述べたとおり、学校が生徒を信用しているからだ。
その信頼はどこから来るのかというと入試試験にある。
学校は生徒を自由にさせる。それが故に学校の偏差値はそこらの高校とは比べ物にならない。
入試内容は筆記テストと面接による二部構成だ。
この二段重ねのテストがフィルターとなり、不純な人間は学校に入ってこれない。
その、難関を突破したものにのみ自由は与えられるのである。
そのフィルターを無事通過することのできた俺、谷口心(たにぐち こころ)は、
これからの学校生活に大いに期待する所存である。

「さて、どうしようか・・・」
入学式を終え、帰りの電車の中での俺の心境である。
俺の家は副連高校に電車で三時間位の場所にある。
今は一時半、今日は気温も高くもなく、低くもない晴天である。
家でごろごろするには惜しい気がするが、これといってやりたい事はない・・・
「ふむ・・・」
車内を見回すと俺と同じ制服を着た男女がちらほら。知ってる顔はない。
同じ中学の出で、同じく副連に入った奴って居たっけか?
そんなことを考えているうちに、電車は次の駅のホームに滑り込んだ。
電車の中では何もすることが思い浮かばなかったので、愛用のヘッドフォンを耳にあて、
mp3の音楽プレーヤーで音楽に浸ることにした。

俺の家の最寄り駅に電車が到着すると、俺は切符の入っているポケットに手を突っ込み改札に向かった。
改札に切符を入れて、駅から出てくるころには時計の針は二時を指していた。
家に帰ってすることもないので、近くの本屋で立ち読みでもしようかと考え始めたときに、携帯のバイブが鳴った。
入学式の日に電話してくるなんてどんだけ暇人なんだよ・・・。というか誰だよ。
スマートフォンの液晶画面には「東屋陸斗」(あずまや りくと)の文字が映し出されていた。
俺はあいつのことを「リク」と言う。理由は特にないが・・・

リクは中学からの付き合いで結構仲がいい、しかも同じ高校に通うことになっている。
そうか、アイツも二段階フィルターを通過した人間の一人だったか・・・。それにしても何の用だろうか?
「もしもし?」
「ちーす、今空いてる?」
「公共施設内なので、でかい声は出せない。折り返しかけるからまっとけ。」
「ういっす。」
スマホの通話終了ボタンを押し、ポケットに滑り込ませる。
我が家の最寄り駅までまだ三駅位ある。俺は音楽に再び浸ることにし、ヘッドフォンをかけなおした。

駅に電車がつくと俺はスマホの液晶画面を操作しリクに電話をかけた。
コールが四回続いた後に、電話は繋がった。
「もしもし、リクどうした?」
「いや、ちょっと暇だったもんだからさ、久しぶりに遊ぼうぜってことで電話をかけさせてもらった。」
「いつから?」
「今から。」
「どこで?」
「そうだなー・・・お前ん家?」
「何でだよ、人を誘ったお前の家でいいだろうが。」
「でも、我が家は汚いぞ?」
「知ってる。」
「じゃあ俺ん家で。」
「OK」
1分かからない通話だった。
この駅から東屋の家までは5分もかからない。
「走るか。」
一言呟き俺は駅を後にした。

家に着き玄関のチャイムを押す。東屋の家のチャイムは一度押すと音がして、離すと同時に後ろの音がするタイプだ。
俺はチャイムを押してから5秒後に指を離す。そうすることで俺が来たことを直接見なくても伝えることができるからだ。
チャイムを押して10秒後くらいに鍵が開く、中からは東屋が「入れ。」と一言。
東屋の家は、ものすごく大きいわけでもなく小さいわけでもない。ごく普通の一軒家だ。
最後に来たのはいつだったけか?たしか、去年の11月ごろだったか?まぁいいか。
「お邪魔します。」
居間に入ると、リクがシャーベット状の氷菓子「ガツガツ君」を食べながらソファにもたれ掛かっていた。
「悪いな、わざわざ家まで来てもらって。」
「別にいいよ、駅から5分だからな。で、用は何なんだ?」
「おお、良くぞ聞いてくれました!お前部活何に決めた?」
「今の所は何も考えてないが、体育系部活は絶対に入らない。」
俺がそう言うとリクは苦笑いを浮かべながら、
「相変わらずだねぇ、ココさんは。」
と一言。
「当たり前だ。放課後に体操服に身を包み、汗を流す行為のどこが楽しいのか全く分からないね。」
「それはココが理解しようとしないからじゃないの?」
「ご名答。理解したところで俺の考えは変わらないと思うから、理解など必要ないことだ。」
「釣れないねぇ・・・」
「じゃあ逆に問うが、お前は何か入るのか?」
「今の所は特には。」
「お前もかよ!そういえば、お前は寮に入るのか?」
「そのつもりだよ。ココは?」
「同じく、寮に入るよ。」
「やっぱりね。」
「そりゃそうだろ、俺が副連目指してた理由の十分の七が「寮に入りたいから」だぞ!」
「熱弁どうも。」
「ところで・・・」

時計の針は5時を指していた。
「じゃあな、今日は久しぶりに話せて楽しかった。少しだけだが。」
「ココ、一言余計だよ・・・じゃあね、初登校日にまた会おうぞ!」
リクに手を振り、俺は脚を駅に向け歩き始めた。

・・・ピピピ・・・
目覚まし時計に手を伸ばし、丸いボタンを押す
ベッドから起き上がるとクローゼットを開けて、制服を取り出す。
制服に着替え終わるとカバンを持って階段を降りエントランスへ向かい、靴を履き替え校舎の食堂へ向かう。

リクと部活の話をしてから三週間がたった。話の通り文科系の部活に入部することを決めた俺は、先週入部届けに「新聞部:副連サテライト」と書き込んで担任に提出してきた。
「副連サテライト」というのは、副連高校に多数存在する新聞部の中のひとつの部活名である。
リクは「面白そうだから」と言って俺と同じ新聞部に入部するらしい。
今日は放課後、新聞部の部室にて一年生歓迎会が行われる。正直に言うと結構緊張している。そして明日からは正式な部員として部活動に励むことになる。
俺は食堂で日替わり定食を注文し、調理のおばさんが「はいよ!」と言って渡してくれた朝ごはんを五分で食べ終え「ごちそうさま」と食器を返すときに一言。
早々と教室に向かうのであった。

六時間目の授業終了の合図がなると教科書を鞄に入れていると同じ小学校からの付き合いの女子、霧島優(きりしま ゆう)が話しかけてきた。
霧島もリクと同様俺のことを「ココ」と呼ぶ。
「ココは高校でも部活は入らないの?」
「いや、新聞部に入ることにしたよ。後で一年歓迎会を部活でやるから行ってくるよ。」
「おお!君が部活に自分からは入るなんてすごい進歩だね!」
笑われた。
「お前、さらっと酷いこと言うな・・・、まぁ事実だが。」
「認めてしまったね。」
「真顔で言うのやめろ。お前は何部だ?」
「吹奏楽でっす」
「お前中学の時もだったな。」
「そりゃそうでしょ、私のこの高校に来た理由の3分の2が吹奏楽部に入るためだからね!この高校のレベルは半端じゃないからね。」
「あー、分かった。あ、先生来たぞ席に戻れ。」
「分かってるよ。じゃあね。」
優は自分の席に戻っていった。そして、担任が教卓の前でプリントを配り始めた。

俺は我が教室一年三組の前でリクと待ち合わせをしている。二人で部室に行こうというわけだ。
新聞部の部室は確か、部室棟の三階に集められてたっけ?どうだったかな・・・
俺が頭の中で部室棟を作り出し、場所の確認をしているとリクが来た。
部室はすぐに分かった。部室棟の三階に行ってみると、教室のドアにそれぞれの部活の名前が張ってあった。
その中の「副連サテライト」と小さく書いてあるドアをリクが開け俺たち二人は部室に入っていった。
「この部活への入部希望の一年生かな?」
「はい!」
「早速問うが、君の入部理由は何だね?」
 
 

 
後書き
どうでしたか?もしも「次も読みたい」という方がいらっしゃいましたら、嬉しい限りです。
しかし、次は今書いてる途中なので、投稿が遅れると思いますがご了承ください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。 
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